小説家の小砂川チト(こさがわ・ちと)さんが、2026年7月15日に発表された第175回芥川龍之介賞を受賞しました。
受賞作は、文芸誌「群像」2026年5月号に掲載された「ゾンビ回収婦」です。小砂川さんが芥川賞候補となるのは、「家庭用安心坑夫」「猿の戴冠式」に続いて3回目でした。
1990年に岩手県で生まれ、慶應義塾大学文学部から同大学院へ進学した小砂川さんは、心理学を学んだ後、小説の執筆を始めました。2022年の作家デビューからわずか4年で芥川賞を受賞したことになります。
この記事では、小砂川チトさんの出身地や年齢、学歴、作家デビューまでの経緯、代表作品、文学賞の受賞歴について紹介します。
| 名前 | 小砂川チト |
|---|---|
| 読み方 | こさがわ・ちと |
| 生年 | 1990年 |
| 年齢 | 36歳(第175回芥川賞発表時) |
| 出身地 | 岩手県 |
| 職業 | 小説家 |
| 出身大学 | 慶應義塾大学文学部 |
| 最終学歴 | 慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻修了 |
| 作家デビュー | 2022年 |
| デビュー作 | 「家庭用安心坑夫」 |
| 芥川賞受賞作 | 「ゾンビ回収婦」 |
小砂川チトさんの詳しい生年月日や家族構成、出身高校などについては、公式プロフィールでは明らかにされていません。
小砂川チトさんは、1990年に岩手県で生まれました。報道では岩手県盛岡市出身と紹介されています。
2026年7月に第175回芥川賞を受賞した時点の年齢は36歳です。
小砂川さんは2022年に作家としてデビューしているため、デビュー時の年齢は31歳から32歳ごろだったと考えられます。
10代や20代前半から作品を発表していたタイプではなく、大学院を修了した後に本格的な小説執筆へ進んだ作家です。
小砂川チトさんは、慶應義塾大学文学部を卒業しています。
慶應義塾大学文学部では、文学だけでなく、哲学、歴史学、社会学、心理学、教育学など、人間や社会に関する幅広い分野を学ぶことができます。
小砂川さんが大学時代に具体的にどのような研究をしていたのかは、公開されているプロフィールだけでは分かりません。しかし、大学卒業後は心理学をより専門的に学ぶため、同大学の大学院へ進学しました。
大学卒業後、小砂川さんは慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻へ進学し、同研究科を修了しました。
心理学を専門的に学んだ経験は、小砂川さんの小説に登場する人物の心理描写や、人間同士の関係、現実と認識のずれを描く際にも生かされていると考えられます。
ただし、小砂川さん自身が作品と大学院での研究との直接的な関係を詳しく説明しているわけではありません。そのため、心理学を学んだ経歴と作風を単純に結びつけることはできません。
小砂川チトさんは大学院を修了したものの、研究職や一般企業への就職には進まず、以前から関心を持っていた小説を文学賞へ投稿することを決意しました。
小砂川さんはインタビューで、大学院修了後に研究職や就職活動へ進むことに気持ちが向かず、小説を投稿しようと思い立ったことを明かしています。
安定した就職ではなく創作活動を選ぶことについて、小砂川さんは自身の選択を「破滅的」と表現したこともあります。
その一方で、避けてきた状況へ飛び込んでからの方が、人生が生き生きすることもあるのではないかという考えも語っています。
こうして小砂川さんは、本格的に小説家を目指すようになりました。
2022年、小砂川チトさんは「家庭用安心坑夫」で第65回群像新人文学賞を受賞しました。
同賞には2072作品の応募があり、その中から小砂川さんの「家庭用安心坑夫」と、平沢逸さんの「点滅するものの革命」が当選作に選ばれました。
「家庭用安心坑夫」は、現実と幻想の境界が揺らぐ独特の世界を描いた作品です。受賞作は「群像」2022年6月号に掲載され、同年7月には講談社から単行本として刊行されました。
さらに、「家庭用安心坑夫」は第167回芥川龍之介賞の候補作にも選出されました。
群像新人文学賞を受賞して作家デビューした最初の作品が、そのまま芥川賞候補になったことから、小砂川さんはデビュー直後から注目を集めることになりました。
小砂川チトさんの第2作となったのが、「猿の戴冠式」です。
同作は「群像」2023年12月号に掲載され、2024年1月に講談社から単行本として発売されました。
「猿の戴冠式」は、ある出来事をきっかけに引きこもるようになった元競歩選手の女性と、言語教育を受けたボノボとの交流を描いた作品です。
人間と類人猿という異なる存在が、独自の方法で心を通わせていく一方、外見に対する評価やインターネット上の炎上、生きることの苦しさなど、現代社会につながる問題も描かれています。
同作は第170回芥川龍之介賞の候補となり、選考では高い評価を受けましたが、受賞には届きませんでした。
その後、単行本『猿の戴冠式』は、第37回三島由紀夫賞と第46回野間文芸新人賞の候補にも選ばれています。
2026年、小砂川チトさんは第3作となる「ゾンビ回収婦」を発表しました。
同作は「群像」2026年5月号に掲載され、2026年7月8日に講談社から単行本として刊行されました。
そして2026年7月15日、第175回芥川龍之介賞の選考会が東京都内で開かれ、「ゾンビ回収婦」が受賞作に決定しました。
小砂川さんにとっては、「家庭用安心坑夫」「猿の戴冠式」に続く3回目の芥川賞候補で、初めての受賞となりました。
「ゾンビ回収婦」は、AIの発達によって人間の仕事が失われていく近未来を舞台とした小説です。
主人公の女性は、AIによって仕事を失い、夫との生活にも大きな変化が生じます。その後、ゲーム機のヘッドセットを装着し、ゾンビが存在する仮想現実の世界で掃除婦として働き始めます。
主人公に与えられた仕事は、倒されたゾンビの残骸を回収し、仮想空間のホテルを美しく保つことです。
一見すると、ゾンビゲームを題材にしたSFやホラーのように見えます。しかし、物語の中心にあるのは、AI時代における労働の意味や、人間が働くことで得てきた役割、他者から必要とされたいという感情です。
現実世界では仕事を失った主人公が、仮想空間では清掃という仕事に没頭していく姿を通じて、「人間にとって働くこととは何か」「AIが仕事を担う社会で人間は何を支えに生きるのか」という問題が描かれています。
AIが急速に社会へ浸透している2026年という時代と重なるテーマを扱ったことも、作品が注目された理由の一つです。
小砂川チトさんの経歴で特に注目されるのが、作家デビュー後に発表した主要3作品が、すべて芥川賞候補に選ばれていることです。
| 発表年 | 作品名 | 芥川賞 |
|---|---|---|
| 2022年 | 家庭用安心坑夫 | 第167回候補 |
| 2023年 | 猿の戴冠式 | 第170回候補 |
| 2026年 | ゾンビ回収婦 | 第175回受賞 |
デビュー作で初候補となり、第2作で再び候補、第3作で受賞という経歴です。
デビューから作品数を重ねるたびに評価を高め、3回目の挑戦で芥川賞受賞に至りました。
小砂川チトさんの作品には、現実の社会を舞台にしながら、幻想的な世界や非現実的な存在が自然に入り込んでくるという特徴があります。
「家庭用安心坑夫」では現実と幻想が入り交じる世界を描き、「猿の戴冠式」では人間とボノボの交流を通して、人間であることや女性として見られることの苦しさを表現しました。
「ゾンビ回収婦」では、AIが人間の仕事を奪った現実世界と、ゾンビが存在する仮想空間を行き来しながら、労働や夫婦関係、人間の存在意義を問いかけています。
いずれの作品にも、社会の中で居場所を失った人物や、自分が何者なのか分からなくなった人物が登場します。
奇妙で幻想的な設定を使用しながら、現代を生きる人々が抱える孤独や不安、生きづらさを描いている点が、小砂川作品の大きな特徴といえるでしょう。
2022年に第65回群像新人文学賞を受賞したデビュー作です。第167回芥川賞候補にも選ばれました。
現実と幻想が混ざり合う世界の中で、家族や記憶、安心できる場所をめぐる物語が展開されます。
元競歩選手の女性と、言葉を学習したボノボとの交流を描いた作品です。
第170回芥川賞、第37回三島由紀夫賞、第46回野間文芸新人賞の候補となりました。
AIに仕事を奪われた女性が、仮想現実の世界でゾンビの残骸を回収する掃除婦として働く物語です。
2026年の第175回芥川龍之介賞を受賞しました。
デビュー作「家庭用安心坑夫」と第2作「猿の戴冠式」を収録した文庫本です。2026年6月に講談社文庫から発売されました。
| 年 | 文学賞 | 作品・結果 |
|---|---|---|
| 2022年 | 第65回群像新人文学賞 | 「家庭用安心坑夫」で受賞 |
| 2022年 | 第167回芥川龍之介賞 | 「家庭用安心坑夫」が候補 |
| 2024年 | 第170回芥川龍之介賞 | 「猿の戴冠式」が候補 |
| 2024年 | 第37回三島由紀夫賞 | 『猿の戴冠式』が候補 |
| 2024年 | 第46回野間文芸新人賞 | 『猿の戴冠式』が候補 |
| 2026年 | 第175回芥川龍之介賞 | 「ゾンビ回収婦」で受賞 |
小砂川チトさんは、1990年に岩手県で生まれた小説家です。
慶應義塾大学文学部を卒業した後、慶應義塾大学大学院社会学研究科で心理学を学びました。大学院修了後は研究職や一般企業への就職ではなく、小説を書く道を選びます。
2022年に「家庭用安心坑夫」で第65回群像新人文学賞を受賞し、作家としてデビューしました。同作は第167回芥川賞候補にも選ばれています。
第2作「猿の戴冠式」も第170回芥川賞候補となり、三島由紀夫賞や野間文芸新人賞の候補にも入りました。
そして2026年、第3作「ゾンビ回収婦」で第175回芥川龍之介賞を受賞しました。
デビューから発表した3作品がすべて芥川賞候補となり、3回目の候補で受賞を果たした小砂川チトさん。AIと人間の関係や、労働、孤独、生きづらさを独自の世界観で描く作家として、今後の作品にも注目が集まりそうです。