横浜市の山中竹春市長の辞職に伴って行われる横浜市長選で、自民党が擁立に向けて調整している人物として注目されているのが、弁護士の原澤敦美(はらさわ あつみ)弁護士です。
原澤氏は、企業法務や労働問題などを扱う弁護士であるだけでなく、日本航空(JAL)で航空整備士・エンジニアとして約12年間勤務したという異色の経歴を持っています。
現在は法律事務所のパートナー弁護士を務めるほか、川崎汽船や東横インなど複数の企業で社外役員を務め、企業統治やコンプライアンスにも携わってきました。
この記事では、原澤敦美氏の学歴、日本航空時代、弁護士への転身、企業の社外役員としての活動、そしてなぜ横浜市長候補として名前が浮上したのかについてまとめます。
| 氏名 | 原澤 敦美(はらさわ あつみ) |
|---|---|
| 生年月日 | 1967年8月28日 |
| 年齢 | 59歳(2026年9月時点) |
| 職業 | 弁護士 |
| 主な専門分野 | 企業法務、労働問題、人事・労務、知的財産など |
| 現在の所属 | 五十嵐・渡辺・江坂法律事務所 パートナー |
| 主な経歴 | 日本航空勤務、弁護士、企業の社外取締役・社外監査役など |
原澤氏は1967年8月28日生まれ。2026年9月時点で59歳です。
なお、一部の報道では「原沢敦美」と「沢」の字を使った表記も見られますが、川崎汽船などの公式な役員プロフィールでは「原澤敦美」と表記されています。
原澤氏は桜蔭高等学校を卒業後、慶應義塾大学理工学部応用化学科に進学しました。
さらに慶應義塾大学大学院理工学研究科の応用化学専攻修士課程を修了しています。
後に法律家を目指すようになり、早稲田大学法科大学院を修了しました。
現在は弁護士として企業法務を中心に活動していますが、もともとの専門は法律ではなく理工系でした。
この「理系の大学院修了後に航空会社へ入り、その後ロースクールに進んで弁護士になる」という経歴は、原澤氏の大きな特徴です。

原澤氏は1992年4月、日本航空株式会社に入社しました。
日本航空では約12年間にわたり、航空機の整備士やエンジニアとして勤務しています。
川崎汽船が公表した資料によると、日本航空在籍中には一等航空整備士の資格も取得し、航空機の安全運航を技術面から支えていました。
航空機整備は、安全性に直結する極めて高い正確性と判断力が要求される仕事です。
現在の原澤氏は企業法務やガバナンスを専門とする法律家として知られていますが、その原点には、日本航空で培った技術者としての経験があります。
原澤氏は2004年3月、日本航空を退社しました。
航空会社で整備士・エンジニアとして働いていた原澤氏が法律に関心を持った背景について、過去のインタビューでは、社会人生活や私生活を通して法律を身近に感じる機会が何度かあったことを明かしています。
社会生活が法律というルールの上に成り立っていることに興味を持ち、本格的に法律を学ぶことを決断したといいます。
長年勤めた航空会社を辞め、全く異なる法律の世界に進むことには不安もあったそうですが、ロースクールで学び、弁護士への転身を果たしました。
原澤氏は2009年12月に弁護士登録しました。
同年、ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所に入所します。
その後の主な経歴は次の通りです。
リコーリースの社外取締役は2026年6月に退任し、ギックスの社外監査役は2025年9月に退任しています。
原澤氏の弁護士としての特徴の一つが、企業をめぐる法律問題に強いことです。
取り扱う分野には、企業法務・顧問弁護士業務のほか、人事・労務、知的財産・特許、渉外法務などがあります。
また、労働問題ではパワハラやセクハラ、労働条件、人事異動、不当解雇なども取り扱っています。
今回、横浜市長選の候補として原澤氏の名前が浮上した背景には、この労働問題や企業統治に関する知識もあるとみられます。
原澤氏は2019年6月、大手海運会社の川崎汽船で社外監査役に就任しました。
その後、2025年3月からは川崎汽船の独立社外取締役を務めています。
川崎汽船は、原澤氏について、弁護士として企業法務、労働法、知的財産などに関する専門的な知識や経験を持っていることに加え、日本航空で一等航空整備士として勤務した経験から運輸業にも知見があると評価しています。
2026年時点では、川崎汽船の監査委員も務めています。
原澤氏は、全国でビジネスホテルを展開する東横インの取締役も務めています。
東横インが公表している2026年6月時点の役員一覧にも、原澤氏は五十嵐・渡辺・江坂法律事務所の弁護士として取締役に名を連ねています。
法律事務所で企業法務を担当するだけでなく、実際に複数の企業の取締役や監査役として企業経営を監督してきた経験があることは、原澤氏の経歴の大きな特徴といえるでしょう。
今回の横浜市長選をめぐって特に注目されているのが、原澤氏が労働問題やハラスメント問題を扱ってきた弁護士である点です。
原澤氏の弁護士としての取り扱い分野には、人事・労務だけでなく、パワハラやセクハラなども含まれています。
山中竹春市長の辞職につながった問題がパワーハラスメントだったことから、自民党側としては、市役所組織のガバナンスや職場環境を立て直す上で、原澤氏の専門知識を生かせるとの期待があるとみられます。
横浜市では、山中竹春市長のパワハラ問題をきっかけとして市長選が行われることになりました。
自民党は山中市政の後任候補を検討する中で、企業法務や労働問題、企業統治などに詳しい原澤氏を候補として調整しています。
原澤氏には、弁護士として法律問題を扱ってきた経験だけではなく、川崎汽船、東横イン、ローソン銀行などで社外役員を務めてきた実績があります。
こうした経歴から、行政組織のコンプライアンスやガバナンスの立て直しに適した人物として名前が挙がったと考えられます。
また、山中市長を支援してきた横浜市内の経済界の一部でも、原澤氏を支持する動きが報じられています。
原澤氏のこれまでの公表経歴を見る限り、国会議員や地方議員、首長などの政治家としての経歴は確認されていません。
つまり、市長選に正式に立候補すれば、法律・企業経営の監督分野から地方政治へ転身する形になります。
これは原澤氏の強みである一方、市議会との調整や大規模自治体の行政運営など、政治家としての経験がない点がどのように評価されるかは、市長選の論点の一つになる可能性があります。
過去の弁護士としてのインタビューからは、原澤氏が「判断力」と「説得力」を重視している人物であることがうかがえます。
弁護士の仕事では一つの問題に必ずしも唯一の正解があるわけではなく、多くの選択肢から適切なものを選択し、依頼者を納得させる能力が必要だと考えているようです。
また、「人の話をよく聞くこと」も弁護士に必要な力として挙げています。
日本航空時代には航空機の安全を担う技術者として働き、弁護士への転身後は法律やコンプライアンスの観点から企業を支える立場になりました。
分野は大きく変わったものの、問題を分析し、リスクを発見し、解決策を考えるという点では、航空整備と法律実務に共通する部分もあるといえそうです。
山中竹春市長の辞職に伴う横浜市長選の日程は、次のように決まっています。
2026年9月3日時点では、自民党は原澤氏の擁立に向けて党内調整を進めている段階と報じられており、正式な立候補表明には至っていません。
今後、原澤氏本人が立候補を決断するのか、自民党以外の政党や横浜市の経済界がどこまで支援に加わるのかが注目されます。
原澤敦美氏は、慶應義塾大学大学院で理工系分野を学び、日本航空で航空整備士・エンジニアとして約12年間勤務した後、法律の世界に転身した異色の経歴を持つ弁護士です。
2009年に弁護士登録した後は企業法務や労働問題、知的財産などを扱い、川崎汽船や東横インなど複数の企業で社外役員を務めてきました。
特に企業統治、コンプライアンス、人事・労務、ハラスメント問題などに関する知識を持っている点が、山中竹春市長のパワハラ問題を受けて行われる今回の横浜市長選で注目された理由の一つとみられます。
一方で、これまで政治家として活動してきた人物ではありません。正式に立候補すれば、「元航空整備士」「弁護士」「企業の社外役員」という民間での経験を横浜市政にどう生かすのかが大きな焦点になりそうです。
2026年9月3日時点では自民党が擁立に向けて調整を進めている段階であり、今後の正式な出馬表明や他党の対応が注目されます。