TBS系日曜劇場『VIVANT』に登場する人気キャラクターの一人が、富栄ドラムさん演じる「ドラム」です。
阿部寛さん演じる公安刑事・野崎守を支える頼もしい存在ですが、ドラマを見ていて気になるのが、ドラムが自分の声でほとんどしゃべらないことです。
ドラムは相手の言葉を理解しているように見えるにもかかわらず、スマートフォンに文字を入力し、女性の音声を使って会話します。
「ドラムはなぜしゃべらないのか?」
「声が出ない病気なのか?」
「日本語が話せないだけなのか?」
「何かの伏線なのか?」
さまざまな疑問が浮かびますが、結論からいうと、ドラムが肉声で話さない本当の理由は、2026年8月時点でも明確には説明されていません。
この記事では、ドラマで確認できる設定と制作上の演出を分けながら、「ドラムはなぜしゃべらないのか」を整理します。

まず重要なのは、「富栄ドラムさん本人がしゃべれない」というわけではないことです。
富栄ドラムさん本人はもちろん普通に会話することができます。『VIVANT』で肉声を使わないのは、あくまで「ドラム」という登場人物の設定です。
第1シーズンでは、ドラムは日本語を理解することはできるものの、日本語を話せない人物として登場しました。
そのため、自分の言いたいことをスマートフォンに入力し、音声で読み上げさせるという独特の方法で野崎たちと会話しています。
ただし、ここで一つ疑問が残ります。
日本語を話せないだけなら、母語では普通にしゃべってもよさそうです。
ところがドラムは、基本的に肉声そのものを使いません。
そのため、「単に日本語の発音ができないから」というだけでは、すべてを説明できない部分があります。
ではドラムは、声帯の病気や事故などによって声を失った人物なのでしょうか。
これについても、現時点では断定できません。
ドラマの中で、ドラムについて
といった具体的な説明はされていません。
したがって、「ドラムには○○という病気がある」と決めつけることはできません。
第1シーズン初期には、ドラムが翻訳音声を使うことについて「日本語が話せないから」と理解した視聴者も多かったと思われます。
しかし物語が進むにつれて、ドラムは日本人以外とコミュニケーションを取る場面でもスマートフォンの音声を利用しています。
つまり、ドラムの「しゃべらない」という特徴は、単なる日本語能力の問題というより、ドラムというキャラクターそのものに与えられた特徴として見る方が自然です。
そして『VIVANT』のドラムを強烈に印象づけたのが、スマートフォンから流れる女性の声です。
この声を担当しているのが、声優の林原めぐみさんです。
林原めぐみさんといえば、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ、『名探偵コナン』の灰原哀など数多くの人気キャラクターを演じてきた、日本を代表する声優の一人です。
屈強な体格のドラムがスマートフォンを取り出すと、そこから柔らかな女性の声が流れる。
このギャップがドラム独特のかわいらしさにつながり、『VIVANT』を代表する演出の一つになりました。
興味深いのは、女性の声を使うというアイデアが、かなり早い段階から制作側にあったことです。
『VIVANT』の飯田和孝プロデューサーは、第1シーズン放送当時、ドラムのスマートフォン音声について、最初から女性の声にすることが決まっていたことを明らかにしています。
普通の声にするのか、少し色っぽい声にするのかなど複数のアイデアが検討され、その結果、さまざまなキャラクターを演じ分けられる林原めぐみさんに依頼することになったとされています。
つまり、少なくとも制作上は、
「ドラムをしゃべらせないことで、スマートフォンの女性音声との組み合わせをキャラクターの魅力にする」
という狙いがあったと考えられます。
ドラムがしゃべらないことには、もう一つ大きな効果があります。
それが表情の演技です。
普通の俳優であれば、驚き、怒り、喜び、不安などをセリフによって表現できます。
しかしドラムには、そのセリフがありません。
そのため富栄ドラムさんは、目や口、顔全体、身ぶりなどを使って感情を伝えなければなりません。
富栄ドラムさん本人も第1シーズン当時のインタビューで、役作りのために笑顔をはじめとする表情の練習をしていたことを明かしています。
結果として、
という組み合わせが完成しました。
セリフがないことが、逆にドラムのキャラクターを強烈に印象づけているわけです。
そして2026年、『VIVANT』第2シーズンの放送に合わせて、ドラムの過去を描くサイドストーリー『ドラム―VIVANT THE ORIGIN STORY―』がU-NEXTで配信されました。
これまで謎の多かったドラムの幼少期や家族関係などに焦点を当てた全4話のオリジナル作品です。
第1シーズンでは、ドラムについて分かっていることは非常に限られていました。
ところが2026年になって制作側がわざわざドラムだけを主人公とした作品を制作したことで、ドラムが単なる「野崎の便利な協力者」ではなく、独自の過去を持った重要人物であることがより鮮明になりました。

ここが今回のテーマで最も重要な点です。
ドラムの過去が描かれるようになったからといって、現在のドラムが肉声を使わない理由について、すべてが説明されたわけではありません。
2026年8月現在の第2シーズンでも、富栄ドラムさん演じるドラムと、林原めぐみさんによるスマートフォン音声という組み合わせは継続しています。
つまり制作側も、「しゃべらないドラム」というキャラクター性を引き続き残しているわけです。
ここからは考察になります。
大きく分けると、次の可能性が考えられます。
病気、けが、事故などによって発声が困難になった可能性です。
ただし、そのような設定は現在まで公式には明かされていません。
過去の出来事やトラウマなどによって、自分の声で話すことを避けている可能性も考えられます。
ドラムの過去をわざわざ別作品として描いていることを考えると、この説を想像する視聴者が出るのも不思議ではありません。
ただし、これも現段階では推測です。
現時点で最も確実に言えるのはこちらです。
制作上、ドラムがしゃべらず、林原めぐみさんの女性音声を使うことで、他の登場人物にはない非常に個性的なキャラクターが誕生しました。
物語上の理由とは別に、演出上の理由として「ドラムをしゃべらせない」ことには非常に大きな意味があると考えられます。
ちなみに「富栄ドラム」は役名だけではありません。
演じている俳優も現在「富栄ドラム」の芸名で活動しています。
元大相撲力士で、本名は冨田龍太郎さん。現役時代は伊勢ヶ濱部屋に所属し、「富栄」の四股名で土俵に上がっていました。
最高位は幕下6枚目。2021年に力士を引退した後、俳優・タレントとして活動するようになりました。
『VIVANT』への出演も、当初から大役が決まっていたわけではなく、エキストラのオーディションへの参加がきっかけでした。
そこから福澤克雄監督らの目に留まり、レギュラーキャラクターであるドラム役に抜てきされました。
結果として、『VIVANT』第1シーズンを代表する人気キャラクターの一人になったのです。
この点については、かなり明確です。
ドラムの外見と声のギャップを生み出すためです。
ドラムは大柄で力が強く、危険な状況では非常に頼りになる人物です。
そんな人物がスマートフォンを取り出した瞬間、かわいらしい女性の声で話し始める。
緊迫した展開が多い『VIVANT』の中で、この意外性が視聴者を和ませる役割も果たしています。
もし富栄ドラムさん本人の低い男性の声で普通にしゃべっていたら、現在のドラムとはかなり違うキャラクターになっていたでしょう。
今後注目したいのが、ドラム本人の肉声がドラマの中で使われる可能性です。
2026年8月現在、『VIVANT』第2シーズンはまだ放送途中です。
そのため、今後の物語でドラムがしゃべらない理由が明らかになったり、重大な場面で初めて肉声を発したりする可能性を完全に否定することはできません。
もし長期間しゃべらなかったドラムが突然自分の声で言葉を発すれば、それだけで非常に印象的なシーンになります。
制作側がその瞬間をあえて残している可能性も考えられますが、現段階ではあくまで考察にとどまります。
『VIVANT』の「ドラムはなぜしゃべらないのか?」について整理すると、次のようになります。
したがって現在のところ、最も正確な答えは、「ドラムが肉声でしゃべらない具体的な理由はまだ公式には明かされていない。ただし、制作上は林原めぐみさんのスマホ音声と富栄ドラムさんの表情を組み合わせることで、独特のキャラクターを作り出している」ということになります。
『VIVANT』では、一見何気ない設定が後になって重要な意味を持つことがあります。
ドラムの「声」も単なるキャラクター設定なのか、それともまだ明かされていない過去と関係しているのか。
2026年の第2シーズンで、この謎に答えが示されるのかも注目したいところです。