中部電力の林欣吾(はやし・きんご)社長が注目を集めています。
2026年9月13日、浜岡原子力発電所の再稼働審査をめぐるデータ不正問題の責任を取り、林社長が辞任する意向を固めたと複数の報道機関が伝えました。
すでに勝野哲会長も辞任する意向を周囲に示したと報じられており、中部電力の会長と社長がそろって引責辞任する見通しとなっています。
林氏は京都大学法学部を卒業後、1984年に中部電力へ入社。市場調査、販売企画、営業、事業戦略などの部門を中心に経験を積み、2020年4月に代表取締役社長へ就任しました。
この記事では、林欣吾社長の学歴や中部電力での経歴、社長就任後の取り組み、浜岡原発のデータ不正問題と辞任報道について詳しく解説します。
※この記事は2026年9月13日現在の公表情報および報道に基づいています。役員人事については、今後の正式発表によって内容が変更される可能性があります。
| 名前 | 林 欣吾(はやし きんご) |
|---|---|
| 生年月日 | 1961年1月9日 |
| 年齢 | 65歳(2026年9月現在) |
| 出身地 | 三重県 |
| 最終学歴 | 京都大学法学部卒業 |
| 入社 | 1984年4月、中部電力株式会社入社 |
| 現在の役職 | 中部電力代表取締役社長・社長執行役員CEO |
| 主な経歴 | 東京支社長、販売カンパニー社長、中部電力社長 |
林欣吾氏は1961年1月9日、三重県生まれです。
2026年9月現在の年齢は65歳。中部電力に40年以上勤務してきた生え抜きの経営者です。
中部電力の勝野哲会長が電気工学を学んだ技術系出身であるのに対し、林氏は京都大学法学部を卒業し、営業、販売、市場調査、事業戦略などを中心に経験してきました。
林欣吾氏は、1984年3月に京都大学法学部を卒業しました。
京都大学卒業後の同年4月、中部電力株式会社へ入社しています。
また、講演会などで公表された経歴によると、1992年に米国のニューヨーク大学でMBAを取得したとされています。
法律を学んだうえで、海外の大学において経営学も修めたことになります。こうした経験は、その後の市場調査、販売戦略、新規事業などの仕事にも生かされたと考えられます。
中部電力が公表している林欣吾氏の主な経歴は、次のとおりです。
| 年月 | 主な経歴 |
|---|---|
| 1984年3月 | 京都大学法学部卒業 |
| 1984年4月 | 中部電力株式会社入社 |
| 2003年7月 | 販売本部市場調査グループ課長 |
| 2007年4月 | 販売本部市場調査グループ課長兼販売企画グループ課長 |
| 2007年7月 | 販売本部市場調査グループ部長兼販売企画グループ部長 |
| 2008年7月 | 長野支店営業部長 |
| 2011年5月 | 経営戦略本部事業戦略グループ部長 |
| 2013年5月 | お客さま本部部長 |
| 2015年7月 | 執行役員・お客さま本部部長 |
| 2016年4月 | 執行役員・東京支社長 |
| 2018年4月 | 専務執行役員・販売カンパニー社長 |
| 2018年6月 | 取締役専務執行役員・販売カンパニー社長 |
| 2020年4月 | 代表取締役社長・社長執行役員に就任 |
| 2024年4月 | 電気事業連合会会長に就任 |
| 2025年4月 | 代表取締役社長・社長執行役員CEO |
| 2026年1月 | 電気事業連合会会長を辞任 |
林欣吾氏の経歴の大きな特徴は、営業や販売、市場調査、事業戦略の部門を中心に歩んできたことです。
2003年に販売本部市場調査グループ課長となり、その後は市場調査と販売企画の責任者を務めました。
2008年には長野支店営業部長に就任。2011年には経営戦略本部事業戦略グループ部長となり、営業の現場だけでなく、中部電力全体の事業戦略にも関わるようになりました。
2013年にはお客さま本部部長、2015年には執行役員に昇進しています。
電力会社の経営トップには発電所や送電設備に詳しい技術系出身者も多いなか、林氏は顧客サービス、マーケティング、販売戦略を熟知した文系出身の経営者といえます。
林氏は2016年4月、執行役員東京支社長に就任しました。
東京支社は、国のエネルギー政策や電力業界の動向、中央官庁、経済団体などとの関係において重要な役割を担う部署です。
林氏は東京支社長として、電力小売りの全面自由化や発送電分離など、電力業界が大きく変化する時期の政策動向にも関わりました。
2018年4月には専務執行役員・販売カンパニー社長に就任し、同年6月には取締役となっています。
販売カンパニー社長は、中部電力の電気・ガスの販売や顧客サービスを統括する重要な役職です。
林氏は販売部門のトップから、わずか2年ほどで中部電力の社長に抜てきされました。
林欣吾氏は2020年4月、勝野哲氏の後任として中部電力代表取締役社長・社長執行役員に就任しました。
林氏が社長に就任した2020年4月は、中部電力が大規模な組織再編を行った時期でもあります。
電力システム改革に伴い、送配電事業は中部電力パワーグリッド、小売事業は中部電力ミライズへ分社化されました。
これにより、中部電力グループは次の3社を中心とする体制へ移行しました。
林氏は、従来型の地域電力会社から、複数の事業会社を統括する企業グループへ移行した直後の経営を担ったことになります。
林氏が社長を務めた時期、中部電力は電力の安定供給に加え、再生可能エネルギー、海外事業、デジタル技術、新しい生活支援サービスなどの分野を強化しました。
中部電力は三菱商事と共同でオランダの総合エネルギー会社Enecoを買収し、欧州を中心とする再生可能エネルギー事業にも進出しています。
また、家庭に設置されたスマートメーターなどのインフラを活用し、高齢者の見守りや医療・生活支援など、電気やガスの販売にとどまらないサービスの開発も進められました。
林氏は販売部門出身であることから、エネルギーを供給するだけでなく、顧客の生活に関わる新しい価値を提供することを重視してきたとみられます。
林氏は2024年4月、全国の大手電力会社などで構成される電気事業連合会の会長に就任しました。
電気事業連合会会長は、日本の電力業界を代表して、政府のエネルギー政策や原子力発電、再生可能エネルギー、電力の安定供給などについて意見を表明する立場です。
林氏は、将来的な電力需要の増加に対応するため、再生可能エネルギーだけでなく、原子力発電や脱炭素化した火力発電など、さまざまな電源を活用する必要があるとの考えを示していました。
しかし、浜岡原発のデータ不正問題が明らかになったことを受け、2026年1月16日付で電気事業連合会会長を辞任しました。
当時は中部電力社長については続投し、問題の原因究明と原子力部門の立て直しに専念する方針を示していました。
林欣吾氏が今回注目されているのは、浜岡原子力発電所の再稼働審査に関するデータ不正問題を受け、中部電力社長を辞任する意向を固めたと報じられたためです。
問題となっているのは、静岡県御前崎市にある浜岡原発3号機と4号機の新規制基準適合性審査です。
原子力発電所の耐震設計では、施設が備えるべき耐震性の基準となる「基準地震動」を策定します。
中部電力は2026年1月、地震動評価に使用する代表波の選定について、原子力規制委員会の審査会合で説明していた内容とは異なる方法や、意図的とみられる方法が使われていた疑いが確認されたと発表しました。
地震の揺れを実際より小さく評価する方向にデータが選ばれた疑いがあり、浜岡原発の再稼働審査に対する信頼が大きく損なわれました。
中部電力は、外部の弁護士などで構成する調査委員会を設置し、不適切なデータ選定が行われた経緯や原因、組織上の問題、経営陣の責任などを調査してきました。
2026年9月11日、中部電力は調査委員会から報告書を受領したと発表しました。
報道によると、林社長は報告書の内容を踏まえ、経営責任を取って辞任する意向を周囲に示しているとされています。
勝野哲会長も辞任する意向と報じられており、中部電力の両首脳がそろって退任する見通しです。
また、不正が始まった時期に中部電力社長を務めていた水野明久相談役についても、相談役を退くことが検討されていると伝えられています。
2026年9月13日現在、林欣吾社長が辞任する意向を固めたことは複数の報道機関によって伝えられています。
ただし、中部電力による正式な役員人事の発表はまだ行われていません。
中部電力は9月11日の時点で、役員人事に関する報道について、会社が公表したものではなく、決定している事実はないと説明していました。
中部電力は9月14日に外部調査委員会の報告書を公表し、同日午後に記者会見を開く予定と報じられています。
林社長はこの会見で、自身の経営責任や進退、今後の再発防止策などについて説明するとみられます。
林氏は、データ不正問題が明らかになった後の2026年6月に開かれた中部電力の定時株主総会で、取締役に再任されていました。
株主からは林社長や勝野会長の解任を求める議案も提出されましたが、いずれも否決されています。
会社側は、林氏らを中心に原因究明や組織改革を進める姿勢を示していました。
しかし、その後提出された外部調査委員会の報告書を踏まえ、従来の経営体制のまま信頼を回復することは難しいとの判断に傾いた可能性があります。
現時点で、林欣吾氏本人がデータの不正操作を指示したと正式に公表されたわけではありません。
報道されている辞任は、林氏が不正行為に直接関与したことを理由とするものではなく、現在の代表取締役社長として負う監督責任や経営責任によるものとみられます。
データの選定に誰が関与し、どのような意思決定が行われたのかについては、外部調査委員会の報告書を確認する必要があります。
林氏個人の直接的な関与と、会社の最高経営責任者としての責任は、分けて考えることが重要です。
林社長が正式に辞任した場合、次の社長を誰が務めるのかも大きな焦点となります。
中部電力は浜岡原発の再稼働審査だけでなく、電力の安定供給、脱炭素化、再生可能エネルギーの拡大、海外事業など、多くの重要課題を抱えています。
後任社長には、電力事業についての幅広い知識に加え、原子力部門の組織改革を進め、行政や地域住民、株主からの信頼を回復できる人物が求められます。
勝野会長も退任することになれば、会長と社長の後任を含む大規模な経営体制の刷新が行われる可能性があります。
中部電力の林欣吾社長は、1961年に三重県で生まれ、京都大学法学部を卒業した経営者です。
1984年に中部電力へ入社し、市場調査、販売企画、営業、事業戦略などの部門を中心に経験を積みました。
東京支社長、販売カンパニー社長などを経て、2020年4月に代表取締役社長へ就任。2024年には電気事業連合会会長にも就き、日本の電力業界を代表する立場となりました。
一方、浜岡原発の再稼働審査をめぐるデータ不正問題により、中部電力の安全管理と企業統治に対する信頼は大きく損なわれています。
2026年9月13日現在、林社長は経営責任を取って辞任する意向を固めたと報じられています。
ただし、辞任や後任人事はまだ正式に発表されていません。外部調査委員会の報告書の内容や、今後発表される役員人事、中部電力が示す再発防止策が注目されます。