神奈川県真鶴町の小林伸行(こばやし・のぶゆき)町長が注目されています。
小林伸行氏は、民間企業などでの勤務、国会議員の政策担当秘書を経て、神奈川県横須賀市議会議員を4期務めた人物です。2023年11月の真鶴町長選挙で初当選し、現在は真鶴町長を務めています。
一方、2026年には町職員へのハラスメントをめぐって真鶴町議会に百条委員会が設置され、町長本人への証人尋問も行われました。4月の証人尋問では、大声で職員を叱責したことなど一部の言動について「不適切だった」と認めながら、パワーハラスメントには該当しないとの考えを示していました。
その後、2026年9月18日に公表された百条委員会の最終報告書では、小林町長による3件の行為がパワーハラスメントに該当すると認定されています。
この記事では、小林伸行町長とはどのような人物なのか、出身地や学歴、民間企業勤務、国会議員秘書、横須賀市議時代、真鶴町長に就任するまでの経歴を整理して紹介します。
| 氏名 | 小林伸行(こばやし のぶゆき) |
|---|---|
| 生年月日 | 1975年9月3日 |
| 年齢 | 51歳(2026年9月現在) |
| 出身地 | 福島県岩瀬郡鏡石町 |
| 大学 | 筑波大学人文学類 |
| 大学院 | 早稲田大学公共経営大学院 |
| 学位 | 公共経営修士(MPA) |
| 主な経歴 | 民間企業・CSRコンサルティング、国会議員政策担当秘書、横須賀市議会議員、真鶴町長 |
| 政党 | 無所属 |
| 真鶴町長就任 | 2023年11月 |
小林伸行氏は1975年9月3日、福島県鏡石町に生まれました。
地元紙「タウンニュース」の人物紹介によると、小学生時代から行政や町政に対する関心を持っていたとされます。
当時、全国の自治体に1億円ずつ交付された「ふるさと創生事業」をめぐり、鏡石町がオルゴールを製作して住民に配ったことについて疑問を抱き、「それなら自分が町長になる」と話したことがあったと紹介されています。
後に本当に自治体の首長になることを考えると、幼少期から政治や行政に対して関心を持つ一面があったことがうかがえます。
小林氏は高校卒業後、筑波大学人文学類に進学しました。
筑波大学卒業後はすぐに政治家になったわけではなく、まず民間の世界でキャリアを積んでいます。
出版社や地域情報誌に関係する仕事、NPOの中間支援組織、環境・CSR(企業の社会的責任)に関するコンサルティング会社などで勤務したほか、個人事業主としても活動しました。
企業の環境問題や人権問題などに関わる中で、企業活動だけでは解決できず、政治や行政の仕組みそのものが社会のあり方に大きな影響を及ぼしていると考えるようになったとされています。
小林伸行氏が本格的に政治の世界へ入るきっかけとなったのが、国会議員の政策担当秘書です。
33歳の時に国会議員政策担当秘書資格試験に合格。その後、国会議員の公設秘書・政策担当秘書として政治の現場で働きました。
政策担当秘書は、国会議員の政策立案や法案、国会質問などを専門的に補佐する役割を担います。
小林氏は国政の現場を経験する一方、「国を動かすことの難しさ」を感じたといい、より住民に近い地方政治へと活動の場を移していきました。
2011年、小林伸行氏は35歳で横須賀市議会議員選挙に初当選しました。
その後、2015年、2019年、2023年の市議選でも当選し、横須賀市議を4期、約13年間務めています。
2023年4月の横須賀市議会議員選挙でも3,728票余りを獲得して当選しており、町長選への出馬直前まで現職の横須賀市議でした。
市議時代には行政改革や財政、情報公開、教育、エネルギー政策など幅広いテーマを取り上げました。
タウンニュースによると、横須賀市立小中学校などで使用する電力の調達について入札方式への変更を提案し、費用削減につながった取り組みなどもあったとされています。
小林氏は横須賀市議として活動する一方、2020年に早稲田大学公共経営大学院に入学しました。
地方自治や公共経営について学び、公共経営修士(MPA)を取得しています。
大学院では自治体間の「広域連携」などを研究しており、その過程で真鶴町が抱える行政上の課題について知るようになったとされています。
後に真鶴町長選へ立候補する背景の一つになったのが、この大学院での研究でした。
小林氏が真鶴町長選への立候補を決断した背景には、当時の真鶴町で起きていた町政の混乱があります。
真鶴町では、前町長をめぐる選挙人名簿の不正利用問題などから町政への不信が広がり、2023年9月には住民投票によるリコール(解職請求)が成立。前町長が失職しました。
これを受けて2023年11月に町長選挙が行われることになり、小林氏は横須賀市議を辞職して立候補しました。
小林氏はそれまで横須賀を政治活動の拠点としていましたが、選挙を前に真鶴町へ移住しています。
2023年11月12日に投開票された真鶴町長選挙には、5人の新人候補が立候補しました。
小林伸行氏は1,975票を獲得して初当選。2位の候補は1,444票でした。
当日の有権者数は6,083人、投票率は62.16%でした。
小林氏は選挙戦で、長期間混乱していた町政を正常化することを大きな課題として掲げました。
当選後には、派閥やリコールへの賛否、以前からの住民と移住者などの違いを超え、「みんなのための町長」になるという趣旨の考えを示しています。
2023年11月に町長へ就任した小林氏が特に重視したのが、真鶴町役場の組織立て直しでした。
前町政をめぐる混乱などから多くの職員が退職していたため、職員不足への対応や人材育成、行政組織の再構築を重要課題としています。
就任直後には、任期前半の2年間を「地固め」の期間と位置づけ、任期付職員の採用、職員との面談、業務の属人化の解消などを進める方針を示しました。
また、住民と直接話す「町長室開放日」を設けるなど、住民との対話を重視する姿勢も打ち出しています。
一方、2026年になると、小林町長と町職員との関係をめぐる問題が大きく報じられるようになりました。
真鶴町が2025年12月から2026年1月にかけて実施した職員向けのハラスメントに関するアンケートなどを受け、真鶴町議会は2026年1月、地方自治法100条に基づく「真鶴町におけるハラスメント疑い事案調査特別委員会」、いわゆる百条委員会を設置しました。
百条委員会は関係職員や副町長などから証言を求め、2026年4月27日には小林町長本人に対する証人尋問を行いました。
2026年4月の証人尋問では、小林町長が職員への対応について、感情が高ぶり大声を出したことがあるなど、複数の事案について不適切な対応があったことを認めました。
会計年度任用職員に電話で大声を出し、副町長から注意を受けたことなどについても説明しています。
ただし、この時点で小林町長は、自身の言動が不適切だったケースがあることは認めながらも、業務上必要な指導・叱責だったとして、パワーハラスメントの要件には該当しないとの立場を示していました。
その後も百条委員会は職員への聴取や証人尋問、資料の検証を続け、2026年9月18日に調査結果報告書を公表しました。
報告書では、小林町長の行為のうち、主に次の3件についてパワーハラスメントに該当すると認定しています。
特に車の鍵をめぐる事案について、百条委員会の報告書は、鍵を無断で持ち出した行為について刑法上の窃盗罪に該当すると判断される行為だと指摘し、その状態を継続させる指示を職員に行ったことを問題視しています。
これは百条委員会による調査・評価であり、刑事裁判によって小林町長の犯罪が確定したという意味ではありません。
9月18日の調査結果を受け、小林町長は報告書を重く受け止めるとの考えを示しました。
報道によると、パワーハラスメントに該当するかどうかという解釈自体を争うつもりはないとする一方、車の鍵をめぐる事案についての百条委員会の認定には納得できないという趣旨の見解も示しています。
また、現時点では町長を辞職する考えは示しておらず、任期を全うして町政運営にあたり、そのうえで町民に信を問う考えを明らかにしています。
| 1975年 | 福島県鏡石町に生まれる |
|---|---|
| 1990年代 | 筑波大学人文学類を卒業 |
| 大学卒業後 | 出版社、NPO関連組織、CSRコンサルティング会社などで勤務 |
| 30代 | 国会議員政策担当秘書資格試験に合格し、国会議員秘書を務める |
| 2011年 | 横須賀市議会議員選挙で初当選 |
| 2015年 | 横須賀市議選で再選 |
| 2019年 | 横須賀市議選で3選 |
| 2020年 | 早稲田大学公共経営大学院に入学 |
| 2023年4月 | 横須賀市議選で4選 |
| 2023年10月 | 横須賀市議を辞職 |
| 2023年11月 | 真鶴町長選挙で初当選 |
| 2026年1月 | 町議会がハラスメント疑い事案を調査する百条委員会を設置 |
| 2026年4月 | 百条委員会で証人尋問を受ける |
| 2026年9月 | 百条委員会が調査結果報告書を公表し、3件の行為をパワーハラスメントと認定 |
小林伸行町長は1975年、福島県鏡石町生まれ。筑波大学卒業後、民間企業やCSRコンサルティングなどの仕事を経験し、その後、国会議員政策担当秘書を経て地方政治の世界に入りました。
2011年から横須賀市議を4期約13年間務め、その間には早稲田大学公共経営大学院で地方自治や公共経営について学びました。
前町長のリコールによって行われた2023年11月の真鶴町長選挙では1,975票を獲得して初当選。町政の立て直しや行政組織の改革を掲げて町長に就任しました。
一方で、2026年には町職員に対する言動をめぐり百条委員会の調査対象となり、4月の証人尋問では一部の不適切な言動を認めながらも、パワーハラスメントには該当しないとの立場を示していました。
しかし、同年9月18日に公表された百条委員会の最終報告書では、職員への叱責や深夜のメッセージ、車の鍵をめぐる職員への指示など3件についてパワーハラスメントに該当すると認定されました。
小林町長は報告書を重く受け止めるとしつつ、一部の判断には異論を示しています。今後、町議会との関係や役場の職場環境改善、そして町長自身がどのような対応を取るのかが引き続き注目されます。
※この記事は2026年9月18日時点で公表されている情報をもとに作成しています。