大手ゼネコン「竹中工務店」の河井辰巳(かわい・たつみ)氏が注目を集めています。
河井氏は、大阪・関西万博のシンボルとなった「大屋根リング」などの建設工事で、竹中工務店側の総括作業所長を務めていた人物です。
2026年8月19日、大阪・関西万博の工事費をめぐる背任の疑いで大阪府警に逮捕されたことが報じられ、一気に名前が知られることになりました。
しかし、今回の報道で突然名前が出てきた人物というわけではありません。
過去の竹中工務店の資料や建設業界の報道を確認すると、大型病院の建設で作業所長を務めたほか、大阪本店の技術・工務部門で責任ある立場を経験し、その後、世界的にも注目された大阪・関西万博の建設工事を取りまとめていたベテランの技術者であることが分かります。
ここでは、河井辰巳氏の経歴や竹中工務店での役職、大阪・関西万博でどのような仕事をしていたのか、そして2026年8月19日に報じられた出来事について整理します。
| 氏名 | 河井辰巳(かわい・たつみ) |
|---|---|
| 年齢 | 61歳(2026年8月19日時点) |
| 勤務先 | 株式会社竹中工務店 |
| 主な職種 | 建築施工・工務関連 |
| 過去の主な役職 | 作業所長、大阪本店技術部門・工務部門の管理職、大阪本店総括作業所長など |
| 主な担当工事 | 大阪国際がんセンター、大阪・関西万博会場整備工事など |
| 万博での役割 | 竹中工務店JVの総括作業所長 |
河井氏の出身地や出身高校、出身大学などについては、現時点で信頼できる公開資料から確認できる情報がほとんどありません。
一方、竹中工務店における施工関係の経歴については複数の公開資料から確認することができます。
河井辰巳氏は、長年にわたって竹中工務店の建築施工部門に携わってきた人物です。
2025年に大阪・関西万博の建設工事について取材を受けた際には、建設現場で30年以上の経験を積んできたことが紹介されていました。
61歳という年齢から考えても、若い頃から建築施工の仕事に携わり、大規模プロジェクトの現場経験を積み重ねてきた技術者だったとみられます。
竹中工務店は鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設と並んで「スーパーゼネコン」と呼ばれる日本有数の建設会社です。
その会社で大規模工事の作業所長や総括作業所長を任されるということは、施工管理や工程管理、安全管理、品質管理、協力会社との調整などについて相当な経験が必要となります。
河井辰巳氏の名前が竹中工務店の公式資料で確認できる代表的なプロジェクトの一つが、現在の大阪国際がんセンターです。
大阪国際がんセンターは大阪市中央区にある大規模ながん専門医療機関で、建物は地下2階・地上13階、延床面積約6万8000平方メートルという大規模施設です。
工事期間は2014年6月から2016年11月。
竹中工務店の建築作品資料では、このプロジェクトの「作業所長」として河井辰巳氏の名前が記載されています。
病院建築は一般的なオフィスビルとは異なり、医療設備や高度な空調・電気設備、安全性、衛生管理、患者や医療スタッフの動線など非常に複雑な条件が求められます。
そのような大型病院の建設で作業所長を担当していたことからも、河井氏が竹中工務店の施工部門で長い経験を持つ人物だったことがうかがえます。
公開されている企業人事情報では、河井辰巳氏は竹中工務店の大阪本店技術部長を務めた後、大阪本店工務部長を務めた記録も確認されています。
現場の作業所長だけでなく、本店側で工事や技術を管理する立場も経験していたことになります。
スーパーゼネコンでは、多数の建設現場を同時に動かしています。
工務部門は、それぞれの現場の工程や施工計画、コスト、技術的課題などを支援・管理する重要な部署です。
その後、河井氏は再び大型プロジェクトの第一線に立ち、大阪・関西万博の建設工事に関わることになります。
河井辰巳氏の経歴の中で最も注目されるのが、2025年大阪・関西万博の会場建設です。
万博会場の象徴として建設されたのが、巨大な木造建築「大屋根リング」でした。
大屋根リングは全周約2キロに及ぶ巨大な構造物で、ギネス世界記録にも認定された世界最大級の木造建築として注目されました。
工事は複数の工区に分割され、このうち西側約700メートルを含む西工区を、竹中工務店を中心とする共同企業体(JV)が担当しました。
河井氏は、この竹中工務店JVで総括作業所長を務めていました。
「総括作業所長」という名称は一般にはあまり聞き慣れないかもしれません。
簡単に言えば、大規模建設プロジェクトの現場全体を取りまとめる責任者です。
大規模工事では、元請け企業だけでなく数多くの専門工事会社や下請け会社が参加します。
総括作業所長には、工事全体を俯瞰しながら、工程、安全、品質、施工方法、資材搬入、人員配置、協力会社との調整などを統括する役割があります。
大阪・関西万博のような巨大プロジェクトの場合、通常の建設工事以上に多くの企業や関係者との調整が必要になります。
河井氏はその現場のトップクラスの責任者として工事を指揮していたことになります。

竹中工務店JVが担当した大屋根リング西工区では、当初の予定より約2か月早く基本構造の上棟を終えたことが建設業界で注目されました。
その背景には、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3Dモデルを利用した施工計画、工場で部材をできるだけ加工してから現場に運ぶ「オフサイト化」、デジタル加工技術などがありました。
河井氏自身も当時の取材で、こうした新しい施工技術について説明しています。
大屋根リングは伝統的な日本建築の「貫工法」を現代の技術によって発展させた構造が特徴です。
河井氏は鉄製のくさびを利用する独自の施工方法などについても説明しており、施工技術の責任者としてメディアの取材にたびたび登場していました。
河井辰巳氏は、大屋根リングそのものの施工だけでなく、建設現場で働く人たちの環境改善についても取材を受けています。
2024年には、竹中工務店の万博工事事務所で作業員向けのマッサージサービスなどを導入した取り組みについて説明していました。
万博会場のある大阪・夢洲では、夏場の厳しい暑さの中で大規模な建設工事が続けられました。
そのため熱中症対策や作業員の健康管理は大きな課題となっており、河井氏は現場責任者として働く環境の改善にも関わっていたことが確認されています。
こうした経歴を持つ河井辰巳氏ですが、2026年8月19日、大阪府警が背任の疑いで逮捕したことが報じられました。
報道によると、問題となっているのは大阪・関西万博の建設工事費です。
河井氏は、万博工事に関わっていた下請け業者に対し、実際よりも工事費を水増しして竹中工務店へ請求させ、会社に損害を与えた疑いが持たれています。
報道各社によって金額の表現には若干の違いがありますが、約1300万円以上の水増し請求が行われた疑いがあると報じられています。
さらに捜査関係者の情報として、水増しされた工事費の一部が河井氏の自宅のリフォームや、親族が経営する飲食店・カフェの工事などに充てられていた可能性が報じられています。
具体的には、本来は万博工事とは関係のない部品や工事費について、万博関連工事の費用であるかのように請求させた疑いなどが調べられています。
部品や工賃の単価、数量を実際より増やしたり、実際には存在しない業務を計上したりした可能性についても捜査が進められています。
大阪府警は8月19日、竹中工務店本社の家宅捜索も行い、詳しい資金の流れや関係者の関与について調べています。
竹中工務店は今回の事件を受け、事実関係を確認した上で会社として厳正に対処する方針を示しています。
また、関係者に対して謝罪するコメントも発表しています。
日本国際博覧会協会も今回の逮捕について捜査状況を注視し、必要に応じて協力する姿勢を示しています。
ここで重要なのは、河井辰巳氏について現在報じられている内容は、あくまで捜査機関が持っている容疑だという点です。
逮捕されたからといって、その時点で犯罪行為が確定したわけではありません。
2026年8月19日午後の報道では、警察は河井氏の認否について明らかにしていません。
今後、警察・検察による捜査が進み、実際にどのような請求が行われたのか、河井氏がどこまで関与していたのかなどが詳しく調べられることになります。
そのため、現段階では「水増しをした」「私的に流用した」と断定するのではなく、「その疑いが持たれている」と理解する必要があります。
河井辰巳氏の出身高校や出身大学についても検索されています。
しかし、2026年8月19日時点で確認できる竹中工務店の公式資料や信頼性の高い報道では、河井氏の出身高校・大学・学部などは明らかになっていません。
竹中工務店で長年建築施工に携わってきたことは確認できますが、具体的な学歴については不明です。
ネット上では今後さまざまな情報が出てくる可能性がありますが、本人や勤務先、公的資料などによって確認されていない学校名を事実として扱うのは避けた方がよいでしょう。
河井辰巳氏は、竹中工務店で長年にわたって建築施工に携わり、大型病院の建設から大阪・関西万博という国家的な大型プロジェクトまで担当してきたベテラン技術者です。
特に大阪・関西万博では、シンボルである大屋根リングなどを担当する竹中工務店JVの総括作業所長として、工事全体を取りまとめる重要な立場にありました。
万博開催前には施工技術や現場の働き方についてメディアの取材に応じるなど、竹中工務店の万博建設を代表する技術者の一人でもありました。
その人物が2026年8月19日、万博工事費をめぐる背任の疑いで逮捕されたことで、大きな注目を集めています。
一方、現時点では逮捕容疑について捜査が続いている段階であり、警察も本人の認否を明らかにしていません。
今後は、水増し請求とされる費用の詳しい内容や資金の流れ、下請け会社との関係、竹中工務店側の管理体制などについて、捜査によってどこまで明らかになるのかが焦点となりそうです。