サッカーの国際試合を見ていると、「日本はFIFAランキングで何位」「相手国は格上」「ランキング上位国との対戦」などの表現をよく耳にします。
FIFAランキングとは、国際サッカー連盟(FIFA)が発表している各国代表チームの世界順位のことです。正式には「FIFA/Coca-Cola World Ranking」と呼ばれ、男子代表と女子代表でそれぞれ別にランキングが作られています。
ただし、FIFAランキングは単純に「最近勝った国が上がる」「負けた国が下がる」というだけのものではありません。対戦相手の強さ、試合の重要度、勝敗、引き分け、予想される結果などをもとに、試合ごとにポイントが増減する仕組みになっています。
FIFAランキングは、各国代表の強さを一つの目安として示すために使われています。
サッカーは世界中で行われていますが、すべての国が同じ相手と同じ回数だけ試合をするわけではありません。ヨーロッパ、南米、アジア、アフリカ、北中米カリブ海、オセアニアでは大会の仕組みも対戦相手も違います。
そのため、各国の力関係を比較するには、一定の基準が必要になります。FIFAランキングは、その基準の一つとして使われています。
また、ランキングは単なる話題作りだけでなく、国際大会の組み合わせやシード分けにも関係することがあります。ワールドカップの抽選では、FIFAランキングがポット分けの参考にされることがあり、ランキングが高い国ほど強豪国同士が早い段階で同じ組に入りにくくなる場合があります。

男子のFIFAランキングでは、2018年から「SUM」と呼ばれる方式が使われています。
以前のランキングでは、一定期間の平均点をもとに計算する方法が採用されていました。しかし現在は、試合ごとにポイントを足したり引いたりする方式になっています。
つまり、代表チームは試合をするたびに、現在持っているランキングポイントに対して、勝敗や試合の重要度に応じたポイントが加算または減算されます。
この方式は、チェスなどでも使われる「Eloレーティング」に近い考え方です。強い相手に勝てば大きくポイントが増え、格下相手に負けると大きくポイントを失います。一方で、格上相手に負けても減点は比較的小さくなります。
男子FIFAランキングの基本的な計算式は、次のように表されます。
P = Pbefore + I × (W - We)
それぞれの意味は、次の通りです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| P | 試合後のランキングポイント |
| Pbefore | 試合前のランキングポイント |
| I | 試合の重要度 |
| W | 試合結果 |
| We | 予想される試合結果 |
少し難しく見えますが、考え方はそれほど複雑ではありません。
試合前のポイントに対して、「その試合の重要度」と「実際の結果が予想結果をどれだけ上回ったか、または下回ったか」を反映させる仕組みです。

FIFAランキングでは、すべての試合が同じ重みで扱われるわけではありません。
親善試合とワールドカップ本大会では、当然ながら試合の意味が大きく違います。そのため、ランキング計算でも、重要な大会ほどポイントの増減が大きくなります。
主な試合の重要度は、次のように考えられています。
| 試合の種類 | 重要度 |
|---|---|
| 国際マッチカレンダー外の親善試合 | 低い |
| 国際マッチカレンダー内の親善試合 | やや低い |
| ネーションズリーグのグループステージ | 中程度 |
| ワールドカップ予選・大陸選手権予選 | 高い |
| 大陸選手権本大会 | さらに高い |
| ワールドカップ本大会 | 最も高い |
たとえば、同じ1勝でも、親善試合での勝利とワールドカップ本大会での勝利では、ランキングへの影響が違います。
ワールドカップや大陸選手権のような公式大会で結果を出すと、ランキングを大きく上げるチャンスになります。一方で、親善試合で勝っても、増えるポイントは比較的小さくなります。

FIFAランキングでは、試合結果は基本的に次のように扱われます。
| 結果 | 数値 |
|---|---|
| 勝利 | 1 |
| 引き分け | 0.5 |
| 敗戦 | 0 |
つまり、勝てばプラスに働き、負ければマイナスに働きます。引き分けはその中間です。
ただし、相手の強さによって評価は変わります。ランキング上位国と引き分けた場合はプラスになることがありますが、ランキング下位国と引き分けた場合はポイントを失うこともあります。
この点が、FIFAランキングの大きな特徴です。
FIFAランキングでは、「どの国に勝ったか」がとても重要です。
たとえば、ランキング上位の強豪国に勝つと、予想を上回る結果を出したことになります。そのため、大きなポイントを得ることができます。
反対に、ランキングで大きく下の国に勝っても、「勝つことがある程度予想されていた」と判断されるため、増えるポイントはそれほど大きくありません。
さらに、格下相手に負けると、ランキングポイントを大きく失う可能性があります。これは、上位国にとってはリスクです。

サッカーのニュースで「格上撃破」「ランキング上位国に勝利」と大きく報じられることがあります。
これは単に話題性があるだけでなく、ランキング上も意味があります。
FIFAランキングの計算では、試合前の両チームのポイント差から「予想される結果」が計算されます。ランキング上位の国は勝つ可能性が高いと見なされ、ランキング下位の国は勝つ可能性が低いと見なされます。
そのため、ランキング下位の国が上位国に勝つと、予想を大きく覆したことになり、多くのポイントを獲得できます。
逆に、上位国が下位国に勝っても、それはある程度予想された結果なので、獲得ポイントは小さくなります。
国際大会では、決勝トーナメントでPK戦になることがあります。
FIFAランキングでは、PK戦の扱いにも特別なルールがあります。通常の勝利や敗戦とは少し違い、PK戦で勝ったチームは「完全な勝利」ではなく「半分勝利に近い結果」として扱われます。
具体的には、PK戦で勝ったチームは通常の勝利より少し低い評価となり、PK戦で負けたチームは通常の敗戦よりも引き分けに近い扱いになります。
これは、PK戦が試合内容そのものというより、決着をつけるための特別な方法だからです。120分を戦って同点だった場合、単純な勝敗だけで評価しすぎないようにするための仕組みです。
FIFAランキングには、決勝トーナメントに進んだチームを守るための特別な考え方もあります。
ワールドカップや大陸選手権の決勝トーナメントでは、強豪同士が対戦することが多くなります。そこで負けたチームが大きくポイントを失うと、大会で勝ち上がったこと自体が不利になってしまう場合があります。
そのため、最終大会の決勝トーナメントでマイナスになるような結果が出た場合でも、ポイントが減らない扱いになることがあります。
これは、グループステージを突破して上位ラウンドに進んだチームが、必要以上に不利にならないようにするためです。
親善試合でもFIFAランキングは動きます。
ただし、親善試合は公式大会に比べると重要度が低く設定されています。そのため、ランキングへの影響は比較的小さくなります。
また、親善試合はチーム作りや若手起用、戦術テストの場として使われることもあります。ランキングだけを考えれば勝つことは大切ですが、親善試合では監督が結果より内容を重視する場合もあります。
それでも、ランキング上位国に勝つような結果を出せば、親善試合でもポイントを得ることは可能です。

FIFAランキングは、代表チームの強さを知るうえで重要な目安になります。
しかし、ランキングだけでチームの実力を完全に判断することはできません。
サッカーでは、けが人、監督交代、世代交代、試合会場、気候、移動距離、日程、相性など、さまざまな要素が結果に影響します。ランキング上位国でも、コンディションが悪ければ下位国に苦戦することがあります。
また、ランキングは過去の試合結果を反映したものです。現在のチーム状態を完全に示すものではありません。
そのため、FIFAランキングは「絶対的な強さ」ではなく、「国際試合の結果をもとにした目安」と考えるのが正確です。
サッカーでは、ランキング差があっても番狂わせが起こります。
ランキング上位国が必ず勝つわけではありません。守備を固めてカウンターを狙うチーム、セットプレーが得意なチーム、ホームで大きな声援を受けるチームなどは、格上相手にも十分に戦えます。
特にワールドカップや大陸選手権では、一発勝負に近い試合も多く、ランキングだけでは読めない展開になります。
FIFAランキングは便利な指標ですが、サッカーの試合結果を完全に予測するものではありません。そこがサッカーの面白さでもあります。
FIFAランキングは、国際試合の結果を反映して更新されます。
従来は、国際マッチウィンドウの試合が終わった後にランキングが発表される形が一般的でした。現在は、試合中の得点状況に応じて暫定ランキングをリアルタイムで確認できる仕組みも導入されています。
ただし、試合中に表示されるランキングはあくまで暫定的なものです。正式なランキングは、対象となる国際試合が確認され、国際マッチウィンドウが終わった後に確定します。
そのため、ニュースなどで「暫定順位」と「公式順位」が分けて扱われることがあります。
FIFAランキングには、男子代表のランキングと女子代表のランキングがあります。
どちらも各国代表の力を示すためのランキングですが、計算方法は完全に同じではありません。男子ランキングは、2018年から導入されたSUM方式が使われています。
女子ランキングも試合結果、対戦相手の強さ、試合の重要度などをもとに計算されますが、女子ランキング独自の方法で算出されています。
そのため、男子代表の順位と女子代表の順位を単純に比較することはできません。日本男子代表のランキングと、なでしこジャパンのランキングは、それぞれ別のランキングとして見る必要があります。
FIFAランキングが注目される大きな理由の一つが、ワールドカップなどの大会抽選です。
大きな国際大会では、出場国をいくつかのグループに分ける際、ランキングをもとにポット分けが行われることがあります。ポット分けとは、強い国同士が同じグループに偏りすぎないようにするための仕組みです。
ランキング上位の国は上位ポットに入りやすく、ランキングが低い国は下位ポットに入ることが多くなります。
そのため、FIFAランキングは単なる順位表ではなく、大会の組み合わせにも影響する重要な指標です。

日本代表にとっても、FIFAランキングは大きな意味を持ちます。
ランキングが高ければ、国際的な評価が上がるだけでなく、大会抽選で有利になる可能性があります。また、強豪国との親善試合を組む際にも、ランキングは一つの参考材料になります。
日本がアジアの中で上位にいることは、ワールドカップ予選やアジアカップでの評価にも関係します。一方で、世界のトップクラスに入るためには、アジア内で勝つだけでなく、ヨーロッパや南米の強豪国を相手に結果を出すことも重要です。
FIFAランキングを上げるには、格上相手に勝つこと、大きな大会で結果を残すこと、公式戦で安定して勝ち点を積み重ねることが必要になります。
FIFAランキングを上げるためには、基本的に試合で良い結果を出す必要があります。
特に重要なのは、次のような結果です。
反対に、格下相手に負けたり、重要な試合で敗れたりすると、ランキングポイントを大きく失うことがあります。
ランキングを上げるには、単に試合数を増やすだけでは不十分です。どの相手に、どの大会で、どのような結果を出したかが大切になります。

FIFAランキングを見る時は、次の点に注意すると理解しやすくなります。
ランキングは便利な指標ですが、試合の勝敗を保証するものではありません。あくまで、過去の国際試合の結果をもとにした評価です。
FIFAランキングは、各国代表チームの国際的な位置づけを示す重要な指標です。
現在の男子ランキングでは、試合ごとにポイントを加減するSUM方式が使われています。計算では、試合前のポイント、試合の重要度、勝敗、対戦相手の強さ、予想される結果などが考慮されます。
そのため、同じ勝利でも、親善試合で格下に勝つ場合と、ワールドカップで格上に勝つ場合では、ランキングへの影響が大きく異なります。
FIFAランキングは、国の強さを知るための目安であり、ワールドカップなどの大会抽選にも関係する重要な数字です。ただし、ランキングだけで試合結果が決まるわけではありません。
サッカーでは、戦術、選手の状態、相性、会場、気候、試合の流れなど、さまざまな要素が勝敗を左右します。FIFAランキングの仕組みを理解しておくと、代表戦やワールドカップのニュースをより深く楽しめるようになります。