最近、YouTubeやSNSで「富士山がそろそろ噴火するのではないか」「地震が続いているから富士山噴火の前兆ではないか」といった不安をあおる情報を目にする人が増えています。
富士山は日本を代表する山であると同時に、気象庁が監視している活火山です。そのため、将来的に噴火する可能性そのものは否定できません。しかし、「近いうちに必ず噴火する」「特定の日に噴火する」といった情報には、現時点で確認できる公的根拠があるのでしょうか。
この記事では、2026年7月時点で確認できる公的情報をもとに、「富士山がそろそろ噴火する」という話題をファクトチェックします。

まず結論から言うと、現時点で「富士山がすぐに噴火する」と断定できる公的な根拠は確認されていません。
気象庁の富士山の火山活動情報では、最近1週間以内に発表した情報はなく、現在の警戒事項も「特になし」とされています。また、富士山の噴火警戒レベルは「レベル1、活火山であることに留意」とされ、火山活動は静穏で、噴火の兆候は見られないと説明されています。
さらに、気象庁の月間火山活動解説資料でも、火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候は認められないとされています。噴気は認められず、火山性地震は少なく、火山性微動や浅部の低周波地震も観測されていないと説明されています。
| 話題 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 富士山が近いうちに必ず噴火する | 根拠不十分 | 気象庁は現時点で噴火の兆候は見られないとしている |
| 地震があったから富士山噴火の前兆だ | 断定不可 | 地震と噴火を単純に結びつける科学的根拠は確認されていない |
| 富士山はもう噴火しない | 誤り | 富士山は活火山であり、将来の噴火可能性はある |
| 今すぐ避難が必要 | 現時点では確認されていない | 現在の警戒事項は「特になし」 |
富士山噴火説が広がりやすい理由はいくつかあります。
第一に、富士山が長い間噴火していないことです。最後の大規模な噴火としてよく知られているのは、1707年の宝永噴火です。気象庁の記録では、1707年12月16日に南東山腹の宝永火口で大規模な噴火が発生し、江戸にも多量の火山灰が降ったとされています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
第二に、地震が起きるたびに「富士山噴火の前兆ではないか」と結びつけられやすいことです。実際、山梨県は2026年7月1日、6月26日夜の地震後にSNSなどで富士山噴火と結びつける投稿が見られたとして、根拠のない情報に注意するよう呼びかけています。山梨県は、現時点では富士山の火山活動に活発化の兆候は見られていないとも説明しています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
第三に、YouTubeやSNSでは「もうすぐ噴火」「異常現象」「予言」といった強い言葉が使われやすく、不安を感じた人がさらに拡散してしまうことです。災害に関する情報は人命に関わるため、再生数を狙った不確かな情報には特に注意が必要です。
富士山は、現在も気象庁が常時観測している活火山です。気象庁は、富士山について地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラなどを用いて監視・観測を行っています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
つまり、「今すぐ噴火する」という話が根拠不十分である一方で、「富士山は完全に安全」「二度と噴火しない」と考えるのも誤りです。
大切なのは、極端な安心でも極端な不安でもなく、正確な情報に基づいて備えることです。
噴火警戒レベルとは、火山活動の状況に応じて、警戒が必要な範囲や住民・登山者が取るべき対応を5段階で示す指標です。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
富士山は現在、噴火警戒レベル1「活火山であることに留意」とされています。これは、火山としての性質を忘れてはいけないものの、現時点で入山規制や避難が必要な段階ではないことを意味します。
ただし、噴火警戒レベルは「必ず1から2、3、4、5と順番に上がる」とは限りません。気象庁も、火山の状況によっては異常が観測されずに噴火する場合もあり、レベルの発表が段階を追うとは限らないと説明しています。
富士登山オフィシャルサイトでは、2026年7月7日時点で「現在、警報・注意喚起の掲載はありません」と表示されています。また、気象警報・注意報についても、富士吉田市、小山町、御殿場市、富士宮市の各登山口周辺で発表されていないとされています。
ただし、これは「登山が常に安全」という意味ではありません。富士山は標高3,000メートルを超える高山で、天候の急変、低体温症、高山病、落石などの危険があります。噴火情報だけでなく、登山ルート、天候、装備、入山規制の有無も必ず確認する必要があります。
「大きな地震が起きると富士山が噴火する」という話は、SNSでたびたび広がります。確かに、過去には1707年の宝永噴火が宝永地震の後に発生したことが知られています。
しかし、だからといって「地震が起きたら必ず富士山が噴火する」とは言えません。地震と火山活動の関係は単純ではなく、個別の地震をすぐに噴火の前兆と断定することはできません。
山梨県も、地震と富士山噴火を結びつける不安をあおる情報について、科学的根拠が確認されているものではないと注意を呼びかけています。:
富士山が将来噴火した場合、影響は噴火の場所、規模、風向き、季節によって大きく変わります。主なリスクとしては、噴石、火山灰、溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流、降灰後の土石流などが考えられます。
静岡県の富士山ハザードマップでは、火山災害要因の影響が及ぶおそれのある範囲を地図上に示し、避難計画や避難訓練などの火山防災対策を行う上で重要な基礎資料とされています。
つまり、今すぐ噴火するという情報に飛びつくのではなく、自分の住んでいる地域が降灰や溶岩流、土石流などの影響を受ける可能性があるのかを、自治体のハザードマップで確認しておくことが大切です。
富士山噴火に関する動画や投稿を見るときは、次の点を確認してください。
災害情報では、映像の迫力やタイトルの強さよりも、情報源の信頼性が重要です。
現時点で富士山噴火が切迫していると確認されているわけではありませんが、富士山が活火山である以上、日頃の備えは必要です。
富士山噴火への備えは、地震や台風など他の災害への備えにもつながります。不確かな噂に振り回されるより、普段からできる準備を進める方が現実的です。
「富士山がそろそろ噴火する」という情報について、現時点で公的に確認できる状況をまとめると、すぐに噴火すると断定できる根拠は確認されていません。気象庁は、富士山の火山活動は静穏で、噴火の兆候は見られないとしています。
一方で、富士山が活火山であることも事実です。将来の噴火可能性をゼロと考えるのではなく、ハザードマップを確認し、正しい情報源を知り、家庭でできる備えをしておくことが大切です。
SNSやYouTubeで不安をあおる情報を見たときは、すぐに拡散するのではなく、まず気象庁や自治体の発表を確認しましょう。富士山噴火に関する情報は、恐怖で判断するのではなく、事実に基づいて冷静に受け止めることが重要です。