2025/09/28更新
2025年終盤のドジャースは、先発の故障や救援の入れ替えが続く一方で、大谷翔平が投手として復帰し、ローテの厚みが増しました。ここでは9月28日(日本時間)時点の状況を、現役ロースター/負傷者/主要トランザクション/プロスペクトまで俯瞰して整理します。
※背番号はMLB公式ロースター基準。役割はおおまかな想定(SP=先発、RP=救援、TWP=二刀流)。
表1:現役投手ロースター(背番号順)
| 背番号 | 選手名 | 投打 | 役割 | 生年月日 |
|---|---|---|---|---|
| 7 | ブレイク・スネル | 左投左打 | SP | 1992/12/04 |
| 11 | 佐々木 朗希 | 右投右打 | SP | 2001/11/03 |
| 17 | 大谷 翔平 | 右投左打 | TWP(DH/先発) | 1994/07/05 |
| 18 | 山本 由伸 | 右投右打 | SP | 1998/08/17 |
| 22 | クレイトン・カーショウ | 左投左打 | SP | 1988/03/19 |
| 31 | タイラー・グラスノー | 右投右打 | SP | 1993/08/23 |
| 33 | アンドリュー・ヒーニー | 左投左打 | SP | 1991/06/05 |
| 43 | アンソニー・バンダ | 左投左打 | RP | 1993/08/10 |
| 49 | ブレイク・トライネン | 右投右打 | RP | 1988/06/30 |
| 51 | アレックス・ベシア | 左投左打 | RP | 1996/04/11 |
| 60 | エドガルド・ヘンリケス | 右投右打 | RP | 2002/06/24 |
| 66 | タナー・スコット | 左投右打 | RP | 1994/07/22 |
| 70 | ジャスティン・ロブレスキー | 左投左打 | SP | 2000/07/14 |
| 80 | エメット・シーハン | 右投右打 | RP | 1999/11/15 |
| 86 | ジャック・ドライヤー | 右投左打 | RP | 1999/02/27 |
表2:投手の負傷者リスト
| 選手名 | ポジション | 負傷/手術 | IL種別 | IL入り | 見通し |
|---|---|---|---|---|---|
| カービー・イエーツ | RP | 右ハムストリング | 15日 | 2025/09/24 | ポストシーズン復帰の可能性 |
| マイケル・コペック | RHP | 右膝炎症 | 15日 | 2025/09/19 | ポストシーズン復帰の可能性 |
| トニー・ゴンソリン | SP | 肘手術リハビリ | 60日 | 2025/06/19 | 2025年シーズン終了 |
| エバン・フィリップス | RP | 右肘手術 | 60日 | 2025/05/29 | 2026復帰見込み |
| ブルスダー・グラテロル | RP | 右肩手術 | 60日 | 2025/03/18 | 2026復帰見込み |
| リバー・ライアン | SP | TJ手術 | 60日 | 2025/02/13 | 2026見込み |
| ギャビン・ストーン | SP | 右肩手術 | 60日 | 2025/02/11 | 2026見込み(2025年全休) |
| マイケル・グローブ | RP | 右肩手術 | 60日 | 2025/03/18 | 2026見込み |
| ブロック・スチュワート | RHP | 右肩手術予定 | 15日 | 2025/08/12 | 長期離脱 |
表3:主な動き(2025年5月以降)
| 日付 | 選手名 | 区分 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 2025/07/31 | ダスティン・メイ | トレード | レッドソックスへ | 先発右腕を放出 |
| 2025/09/24 | 佐々木 朗希 | 復帰 | 60日ILからアクティベート | 先発復帰 |
| 2025/09/27–28 | アンドリュー・ヒーニー | 選手契約選択 | AAAからメジャー復帰 | 先発/ロング候補 |
ヒーニーはピッツバーグ(メジャー)でDFA→リリースされたのち、9/2にドジャースとマイナー契約し、9/27にAAA(オクラホマシティ)から「選手契約選択」でメジャー昇格という流れ。「AAAからメジャー復帰」は“直前がAAA在籍だった”という意味ですが、**出自はメジャー球団(PIT)**です。
| 選手名 | 投打 | 区分 | 到達レベル | ETA | メモ |
|---|---|---|---|---|---|
| ニック・フラッソ | 右投右打 | 先発候補 | MLB(60日IL) | 2026 | パワーアーム。枠調整でIL移行。 |
| ジャクソン・フェリス | 左投左打 | 先発候補 | AA | 2026 | 将来のローテ左腕候補。 |
更新日:2025/09/28(JST)
| 選手 | 役割 | 背番号 | 登板(G) | 先発(GS) | 勝-敗 | 防御率 | 投球回 | 奪三振(K) | WHIP | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 山本 由伸 | 先発 | 18 | 30 | 30 | 12-8 | 2.49 | 173.2 | 201 | 0.99 | — |
| クレイトン・カーショウ | 先発 | 22 | 22 | 21 | 10-2 | 3.52 | 107.1 | 77 | 1.23 | 今季限りで引退表明 |
| タイラー・グラスノー | 先発 | 31 | 18 | — | 4-3 | 3.19 | 90.1 | 106 | 1.10 | — |
| ブレイク・スネル | 先発 | 7 | 11 | — | 5-4 | 2.35 | 61.1 | 72 | 1.26 | — |
| 大谷 翔平 | 先発 | 17 | 14 | — | 1-1 | 2.87 | 47.0 | 62 | 1.04 | 途中復帰(投手) |
| エメット・シーハン | 先発 | 80 | 15 | 12 | 6-3 | 2.82 | 73.1 | 89 | 0.97 | — |
| 佐々木 朗希 | 先発/救援 | 11 | 10 | 8 | 1-1 | 4.46 | 36.1 | 28 | 1.43 | 9月末に復帰し救援起用 |
| アンドリュー・ヒーニー | 先発 | 33 | 27 | — | 5-10 | 5.52 | 122.1 | 86 | 1.38 | *今季通算(PIT→LAD) |
| アレックス・ベシア | 救援 | 51 | 68 | — | 3-2 | 3.05 | 59.0 | 78 | 1.00 | — |
| タナー・スコット | 救援(クローザー) | 66 | 61 | — | 1-4 | 4.74 | 57.0 | 60 | 1.26 | セーブ23 |
| ブレイク・トライネン | 救援 | 49 | 32 | — | 2-7 | 5.40 | 26.2 | 36 | 1.84 | — |
(2025年9月28日時点)
ドジャースの先発陣は、山本由伸が球数効率とゴロ誘致のバランスを高水準で維持し、安定して試合を作ることで軸を担っています。夏以降に投手として復帰した大谷翔平は、スイーパーとスプリットのコンビネーションが機能し、短いイニングでも三振でしっかりアウトを積み上げることでローテーションに厚みをもたらしました。タイラー・グラスノーはフォーシームとスライダーの縦横の使い分けで空振り率を高く保ち、球数管理を徹底しながらポストシーズンにピークを合わせる調整が進んでいます。ブレイク・スネルは四球を許しても被打を極小化できる特性が健在で、走者を背負ってからのギアチェンジで失点を最小限に抑えています。クレイトン・カーショウは球速帯を抑えつつもスライダーと配球術で要所を締め、今季限りでの引退を表明した中でも登板の質でチームを支えてきました。
中堅・若手では、エメット・シーハンが直球の角度とチェンジアップの緩急でゾーン内勝負を増やし、四球率の改善が結果に結びついています。シーズン終盤に復帰した佐々木朗希は、まず救援で肩慣らしを進めつつ、来季の先発完全復帰に向けてスライダー系の精度や球数の伸ばし方がテーマになっています。アンドリュー・ヒーニーは空振りは奪えますが長打被弾と球数増が課題で、右打者外角の使い分けとチェンジアップの信頼度向上が求められます。
救援陣では、アレックス・ベシアが左のキーマンとして高い奪三振能力と低被打を両立し、左右どちらにも対応できる配球でイニングまたぎにも応えています。クローザーのタナー・スコットは空振り能力が一級品ですが、四球が失点に直結しやすいため初球ストライク率とクイック時の制球安定が鍵になります。ブレイク・トライネンはシンカーの生命線が戻りつつある一方でゾーン内外のムラが残り、主にビハインド時の“火消し”で復調を探る状況です。総じて、先発は「山本+(大谷・グラスノー・スネル・カーショウ)」で10月に向けた形が見えており、救援は健康状態と制球の安定次第で勝ちパターン(スコット-ベシア-状態の良い右腕)をどれだけ確立できるかが、ポストシーズンの明暗を分けるポイントになります。
クレイトン・カーショウは、2025年9月18日に今季限りでの現役引退を正式に表明しました。球団史上最長在籍のエースは、長引いた故障やリハビリを経ても「自分の納得いく形で終えたい」と語り、最後までドジャース一筋でマウンドに立つ道を選びました。通算3度のサイ・ヤング賞、2014年のナ・リーグMVP、通算3,000超の奪三振、複数回のワールドシリーズ制覇など――数々の勲章は言うまでもありませんが、何よりも彼が残したのは“毎回の登板がイベント”と言えるほどの圧倒的な存在感です。発表翌日の9月19日にはドジャー・スタジアムでレギュラーシーズン最後の本拠地先発に臨み、ファンとチームメイトの大歓声に送られました。引退の理由は衰えではなく、キャリアを自らの意志で締めくくるという矜持によるものです。