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中国・日本人のビザ免除を停止?

Japan and China

中国・日本人のビザ免除を停止?

――日中緊張の中で広がる噂と、実際の制度の「いま」

高市早苗首相の台湾有事に関する発言をきっかけに日中関係は一段と緊張し、旅行・ビジネスの現場にも影響が出ています。そうした中で最近、

「中国が日本人へのビザ免除を停止するのでは?」

という噂がSNSやネットで広がりました。

結論を先に言うと、現時点で中国政府が日本人向けのビザ免除を停止した、あるいは停止を正式決定したという事実は確認されていません。 むしろ中国は2025年11月に、日本人を含む対象国への短期ビザ免除措置を2026年末まで延長する方針を公表しています。

ではなぜ「停止説」が出たのか。今の中国入国制度はどうなっているのか。この記事では、噂と事実を切り分けながら整理します。


1. そもそも「中国の日本人ビザ免除」とは?

中国は近年、インバウンド(中国への訪問客)回復と国際交流の活性化を目的に、複数国に対して**短期滞在のビザ免除(30日以内の観光・商用・親族訪問など)**を段階的に広げています。

日本もその対象に含まれており、2024年末から試験的に始まった短期ビザ免除が、2025年にも継続されてきました。


2. 2025年11月時点の“公式な制度状況”

ここが最重要ポイントです。

2-1. 中国側は「日本人のビザ免除を延長」と発表

2025年11月初旬、中国政府は、日本を含む対象国に対する30日短期ビザ免除を2026年12月31日まで延長すると発表しました。

つまり、制度の方向性としては

  • 停止ではなく「継続・延長」

が公式ラインになっています。

2-2. ただし“入国の最終判断は現場で行われる”

ビザ免除が続いているとしても、

  • 入国審査での追加確認
  • 渡航目的や滞在計画の説明要求

が厳しくなることはあり得ます。

制度そのものが「免除」であっても、

実際の入国可否は現地の出入国管理・国境検査の判断に委ねられる

という点は、渡航前に理解しておく必要があります。


3. なぜ「停止説」が広がったのか

制度が延長されたにもかかわらず、なぜ停止の噂が出たのでしょうか。背景には、いくつかの“混線ポイント”があります。

3-1. 中国が「中国人の日本渡航」を事実上冷やしている

今回の緊張局面で中国は、

  • 中国国民に対する日本渡航の強い注意喚起(事実上の自粛要請)
  • 航空便のキャンセル増や路線縮小

につながるようなメッセージを出しています。

この「旅行を止める方向の動き」が、

「日本人側のビザ免除も止めるのでは?」

という連想を呼び、噂が拡大したと考えられます。

3-2. 「ビザ免除」と「ビザ発給の運用停止」の混同

過去の対立局面では、中国が

  • ビザ発給の窓口運用を一時的に絞る
  • 手続きが急に遅れる

といった“運用面での締め付け”を行うことがありました。

このタイプの動きは、

  • 公式には制度を変えない
  • しかし現場の運用で実質的な圧力をかける

という形を取りやすく、

「制度停止」という言葉で雑にまとめられやすい

のです。

3-3. 情報戦・心理戦として“それっぽい噂”が増える時期

日中関係が緊張すると、ネット空間では

  • 相手の強硬姿勢を誇張する噂
  • 国内の不安を煽る情報

が一気に増えます。

「ビザ免除停止」は、

  • 生活やビジネスに直結
  • すぐに危機感を呼びやすい

テーマのため、拡散力が高い“情報戦ネタ”になりやすいのです。


4. 「停止はしていない」でも、危険度は増えたのか?

ここは多くの人が真面目に気にしている点です。

4-1. 制度より先に“世論・空気”が動く

中国側の反発が強い局面では、

  • 反日感情の高まり
  • 日本人に対する風当たり強化
  • SNSでの“晒し”や監視のような空気

が先に膨らむ可能性があります。

つまり、

「ビザ免除が続いている=安心して渡航できる」

とは限らない、ということです。

4-2. 近年の中国は「国家安全」名目の拘束事例が続く

中国では近年、

  • 企業関係者
  • 研究者
  • 長期滞在者

が国家安全やスパイ関連の名目で拘束される例が報じられています。

これらは政治家だけでなく一般のビジネス層にも影響しうるため、

渡航時は“政治リスクを含む治安環境の変化”を前提に行動する

ことが必要になっています。


5. 日本人が中国へ行く場合の現実的な注意点

「ビザ免除が続くかどうか」以上に、現場で役立つポイントを整理します。

5-1. 渡航目的と滞在計画を説明できるようにしておく

  • どこに泊まるか
  • 何をしに行くか
  • いつ帰国するか

を、入国審査で聞かれても言えるように準備しておくのが無難です。

5-2. 政治・軍事に関連する話題や撮影に注意

  • 軍事施設に見える場所の撮影
  • デモ・警察・公共安全に関する話題
  • 反政府的と誤解されるSNS投稿

は、意図がなくてもトラブルの種になり得ます。

5-3. 緊張期は“現地での空気変化”が急に来る

日中関係が動くと、

  • 日本人への視線
  • 入国・移動手続きの雰囲気
  • 宿泊や通信の扱い

が短期間で変わることがあります。

出発前に

  • 最新の渡航情報
  • 現地日本大使館・総領事館の注意喚起

を必ず確認する姿勢が大切です。


6. まとめ:停止説の真偽と、いま見ておくべき現実

最後に要点をまとめます。

  • 中国が日本人向けビザ免除を停止したという公式な事実は現時点で確認されていない。
  • むしろ中国は2025年11月に、短期ビザ免除措置を2026年末まで延長する方針を示している。
  • 「停止説」は、
    • 中国が中国人の日本旅行を自粛させる動き
    • 過去のビザ運用締め付けとの混同
    • 情報戦・心理戦的な噂の拡散 が重なって広まりやすい。
  • ただし制度が続いていても、
    • 反日感情の高まり
    • 入国審査や現地運用の厳格化
    • 国家安全名目の拘束リスク など、“政治リスク込みの渡航環境”は以前より不安定になり得る。

結局のところ、いま必要なのは

「ビザが要る・要らない」だけで判断せず、 渡航環境の総合的なリスクを見たうえで行動すること

です。

日中関係は短期で大きく揺れる時期に入っています。ビザ免除が続くかどうかも含め、今後も情報は変わり得るため、渡航を考える場合は、常に最新の公的情報を確認した上で判断するのが安全だと言えるでしょう。

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