2023年WBCで「たっちゃんフィーバー」を巻き起こしたラーズ・ヌートバー選手。あの全力プレーと明るいキャラクターを思い出す日本のファンも多いと思います。
しかしここ数年、ヌートバーはケガに悩まされ続けています。2025年オフには両かかとの手術まで受けることになり、2026年シーズン開幕やWBC出場に黄信号がともっています。さらに、メディアやファンの間では「放出(トレード要員)ではないか?」という話題も出てきています。
この記事では、
を整理して、現在のヌートバーを分かりやすくまとめていきます。
ヌートバーは、2023年WBCで侍ジャパンの1番打者・中堅手として大活躍し、日本でも一気に知名度が上がりました。多くの日本人選手とも交流が深く、いまも日本のファンから熱い支持を受けています。
一方で、MLBでは2023年以降、順風満帆とは言えないシーズンが続いています。打撃成績の波に加えて、たび重なるケガがキャリアのブレーキになっているからです。
2024年シーズンは、春のキャンプで外野フェンス付近のプレーの際に肋骨を骨折してしまい、開幕からつまずく形になりました。その後、復帰してきたものの、5月末にはスイングを止めた際に腹斜筋(わき腹)を痛め、再び故障者リスト入りしています。
腹斜筋やわき腹の故障は、スイングや投球動作に直接影響するため、再発もしやすく、野球選手にとってはやっかいなケガです。2024年のヌートバーも、まさにこの典型的なパターンにはまってしまいました。
2025年シーズンも、完全な「健康体」とはいきませんでした。肋骨やわき腹の周辺に違和感を抱えながらプレーする時期があり、夏には左側の痛み(インターコスト〈肋間筋〉の問題と報じられたケース)で途中交代する試合も出ています。
シーズン中に何度も同じような部位を気にしながらプレーしていたと言われており、「とにかくどこかしら痛い状態で1年をやり過ごした」という印象を持ったファンも多かったはずです。
2025年オフに入り、カージナルスは複数選手の手術を発表しました。その中にヌートバーの名前も含まれており、10月7日に両かかと(左右両足)の手術を受けたことが明らかになりました。
報道によると、ヌートバーが手術したのは**「ハグルンド変形(Haglund’s deformity)」**と呼ばれるかかとの異常です。これは、かかとの骨の後ろ側が出っ張ってしまい、アキレス腱や周囲の組織と擦れて慢性的な炎症や痛みを引き起こす状態を指します。
ヌートバーの場合、この問題がここ2〜3年ずっと続いていたとされており、2025年シーズンも足の痛みを抱えながらプレーしていたことが報じられています。
そこで、オフに思い切って骨の出っ張り部分を削る手術を両足同時に行う決断をした、という流れです。
ハグルンド変形の手術は、
といったステップを踏みます。選手や手術方法によりますが、実戦復帰まで数ヶ月単位で見ておく必要があるケースが多いとされています。
報道でも、カージナルスは2026年の開幕時点で間に合うかは微妙というニュアンスのコメントをしており、「順調にいってギリギリ開幕に間に合うかどうか」「少し遅れてシーズン途中合流」という可能性が指摘されています。
ヌートバー本人は、2023年WBC優勝後も一貫して**「また侍ジャパンでプレーしたい」**という趣旨の発言を続けてきました。2026年大会についても、現地メディアのインタビューなどで前向きなコメントが報じられており、日本のファンも「次のWBCでもたっちゃんを見たい」と期待していました。
ところが、両かかとの手術が行われたのは2025年10月。WBCは例年、MLBシーズン開幕前の3月に開催されます。
つまり、
という非常にタイトなスケジュールになります。
かかと・アキレス腱まわりの手術を経た外野手が、3月時点でWBCレベルの全力プレー(連戦・長距離移動・全力疾走・ダイビングキャッチなど)をこなせる状態まで戻すのは、現実的には相当ハードルが高いと言わざるを得ません。
もう1つ重要なのが、所属球団カージナルスの立場です。ヌートバーはまだ球団コントロール下の貴重な外野手であり、年俸も抑えられる戦力として期待されています。
そうした選手が、
という状況でWBCに参加し、もし再び足を悪化させてしまえば、球団としては大きな痛手です。そのため、
「ヌートバー本人が出たいと言っていても、球団側が許可しない可能性が高い」
という見方が強まっています。
現時点(2025年11月)で「WBC不参加決定」と公式発表が出ているわけではありませんが、実務的にはほぼ不可能に近いと言ってよい状況です。
ヌートバーについて最近よく聞かれるのが、「カージナルスが放出を検討している」「トレード要員ではないか」といった話です。この点は、少し整理しておく必要があります。
アメリカの報道によると、カージナルスはチーム再編の一環としてヌートバーのトレードを検討していたとされています。実際に、
など、外野手を求める複数球団がヌートバーに関心を示していたと報じられています。ただし、これはあくまで
「投手陣の補強と引き換えに、外野の駒を出す選択肢の一つとして名前が挙がっている」
というレベルのもので、「絶対に放出」「すでにトレード合意」などの事実があるわけではありません。
10月に両かかとを手術したことで、少なくとも2025〜26年オフ時点ではトレード価値が読みづらくなったと指摘されています。
という状況では、見返りとして得られる投手や有望株が思ったほど集まらない可能性があります。そのため、
「いったんはカージナルス残留で様子を見るのではないか」
という見方も強くなっています。
「放出」という言葉が1人歩きすると、
といったイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし現実には、
といった事情から、いきなり完全放出(解雇に近い形)になる可能性は低いと見られています。
まとめると、現状の「放出」という言葉は、
「トレードの駒として他球団に出される可能性がある」
という意味合いが中心であり、「即戦力外」「解雇」という話とは分けて考える必要があります。
ヌートバーは、打率だけを見るとやや物足りないシーズンもありますが、
といった点から、**「数字以上にチームに貢献できるタイプ」**として評価されてきました。
特に、侍ジャパンで見せたような
は、どの球団にとっても魅力的な要素です。
ただし、どれだけ能力が高くても、試合に出られなければ意味がないという厳しい現実があります。ここ数年のヌートバーは、
と、身体のさまざまな部分のケガに悩まされました。
両かかとの手術が成功し、
が実現すれば、打撃成績も自然と上向く可能性があります。
日本のファンからすると、
という夢は、現実的にはかなり厳しくなりました。一方で、
もまた、大きな楽しみの1つです。
今後のポイントは、
といった点になるでしょう。
いずれにしても、2023年WBCで日本に大きな喜びをもたらした選手であることに変わりはありません。日本のファンとしては、無理にWBCで急いで復帰するよりも、まずはしっかりとケガを治し、長くMLBで活躍し続けてほしいところです。
今は「WBCはさすがに無理だろう」と現実的に受け止めつつ、数年後にまた元気なヌートバーが侍ジャパンのユニフォームを着る日を、気長に待ちたいところです。