ICC(国際刑事裁判所)は、戦争犯罪や人道に対する犯罪、ジェノサイドなど、国際社会全体に関わる重大犯罪を裁くために設立された国際裁判所です。
しかし、世界のすべての国がICCに加盟しているわけではありません。
2026年8月現在、ICCの基本条約である「国際刑事裁判所に関するローマ規程」には125か国が加盟しています。
日本はICC加盟国ですが、アメリカ、中国、ロシア、インド、イスラエルなどの大国は加盟していません。
この記事では、ICC加盟国125か国を地域別に一覧で紹介するとともに、主要な非加盟国や「ICCに加盟すると何が変わるのか」についても分かりやすく解説します。

ICCはInternational Criminal Court(国際刑事裁判所)の略称です。
オランダ・ハーグに本部があり、2002年7月1日に発足しました。
ICCが主に対象としているのは、次のような極めて重大な犯罪です。
通常の犯罪を裁く国内裁判所とは異なり、国家ではなく重大な国際犯罪を行った個人を刑事責任の対象とするのが大きな特徴です。
2026年8月時点で、ICCのローマ規程締約国は125か国です。
| 地域 | 加盟国数 |
|---|---|
| アフリカ | 33か国 |
| アジア・太平洋 | 19か国 |
| 東ヨーロッパ | 20か国 |
| 中南米・カリブ海 | 28か国 |
| 西ヨーロッパ・その他 | 25か国 |
| 合計 | 125か国 |
| ベナン | ボツワナ | ブルキナファソ |
| カーボベルデ | 中央アフリカ共和国 | チャド |
| コモロ | コンゴ共和国 | コートジボワール |
| コンゴ民主共和国 | ジブチ | ガボン |
| ガンビア | ガーナ | ギニア |
| ケニア | レソト | リベリア |
| マダガスカル | マラウイ | マリ |
| モーリシャス | ナミビア | ニジェール |
| ナイジェリア | セネガル | セーシェル |
| シエラレオネ | 南アフリカ | タンザニア |
| チュニジア | ウガンダ | ザンビア |
日本はこの「アジア・太平洋グループ」に含まれています。
| アフガニスタン | バングラデシュ | カンボジア |
| クック諸島 | キプロス | フィジー |
| 日本 | ヨルダン | キリバス |
| モルディブ | マーシャル諸島 | モンゴル |
| ナウル | パレスチナ | サモア |
| 韓国 | タジキスタン | 東ティモール |
| バヌアツ |
| アルバニア | アルメニア | ボスニア・ヘルツェゴビナ |
| ブルガリア | クロアチア | チェコ |
| エストニア | ジョージア | ハンガリー |
| ラトビア | リトアニア | モンテネグロ |
| 北マケドニア | ポーランド | モルドバ |
| ルーマニア | セルビア | スロバキア |
| スロベニア | ウクライナ |
ウクライナは以前からICCの管轄権を受け入れていましたが、ローマ規程を正式に批准し、2025年1月1日にICC締約国となりました。
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐってICCの捜査が注目されていることもあり、ウクライナの正式加盟は国際的にも重要な意味を持っています。
| アンティグア・バーブーダ | アルゼンチン | バルバドス |
| ベリーズ | ボリビア | ブラジル |
| チリ | コロンビア | コスタリカ |
| ドミニカ国 | ドミニカ共和国 | エクアドル |
| グレナダ | グアテマラ | ガイアナ |
| ホンジュラス | ジャマイカ | メキシコ |
| パナマ | パラグアイ | ペルー |
| セントクリストファー・ネービス | セントルシア | セントビンセント・グレナディーン |
| スリナム | トリニダード・トバゴ | ウルグアイ |
| ベネズエラ |
| アンドラ | オーストラリア | オーストリア |
| ベルギー | カナダ | デンマーク |
| フィンランド | フランス | ドイツ |
| ギリシャ | アイスランド | アイルランド |
| イタリア | リヒテンシュタイン | ルクセンブルク |
| マルタ | オランダ | ニュージーランド |
| ノルウェー | ポルトガル | サンマリノ |
| スペイン | スウェーデン | スイス |
| イギリス |
日本はICC加盟国です。
日本は2007年7月17日にローマ規程の加入書を国連に寄託し、同年10月1日に正式な締約国となりました。
日本はICCの活動を支える主要国の一つであり、財政面でも大きな貢献を続けています。
さらに日本人の赤根智子氏がICC判事を務め、2024年にはICC所長に選出されたことで、日本とICCの関係はさらに注目されるようになりました。
アメリカはICC加盟国ではありません。
アメリカは2000年にローマ規程へ署名しましたが、その後批准せず、ICCの締約国にはなっていません。
アメリカ政府は、ICCが非加盟国の国民に対して司法権を行使することに強い警戒感を示してきました。
特に米軍関係者やイスラエル政府関係者に対するICCの捜査・訴追をめぐり、ICCとの対立が繰り返されています。
中国もICCには加盟していません。
中国は、国家の同意なしに国際裁判所が個人を訴追できる制度などについて慎重な立場を取ってきました。
国連安全保障理事会の常任理事国でありながらICC非加盟という点では、アメリカやロシアと共通しています。
ロシアも現在ICC加盟国ではありません。
ロシアはローマ規程に署名したものの批准せず、2016年にはローマ規程の締約国になる意思がないことを国連に通知しました。
その後、ウクライナ侵攻をめぐりICCは2023年、ウラジーミル・プーチン大統領に対して逮捕状を発付しています。
ロシアはICCの管轄権を認めておらず、ICCの判断を強く批判しています。
イスラエルもICC加盟国ではありません。
イスラエルはローマ規程に署名したものの批准しておらず、締約国ではありません。
ところがICCは、パレスチナがローマ規程の締約主体となっていることなどを根拠として、パレスチナ領域で行われたとされる犯罪について管轄権を行使できるとの立場を取っています。
2024年にはICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らに対する逮捕状を発付したため、イスラエルやアメリカとICCの対立が一段と激しくなりました。
人口世界最大級の国家であるインドもICC非加盟国です。
このため、世界人口という観点で見ると、ICCの125か国加盟という数字だけで「世界のほとんどがICCの管轄下にある」と考えるのは適切ではありません。
中国、インド、アメリカ、ロシアなど人口・軍事・経済規模の大きな国が非加盟だからです。
| 国・地域 | ICC加盟 |
|---|---|
| 日本 | 加盟 |
| アメリカ | 非加盟 |
| 中国 | 非加盟 |
| ロシア | 非加盟 |
| インド | 非加盟 |
| イスラエル | 非加盟 |
| イギリス | 加盟 |
| フランス | 加盟 |
| ドイツ | 加盟 |
| 韓国 | 加盟 |
| ウクライナ | 加盟 |
| パレスチナ | 加盟 |
ICCの加盟状況を見るうえで興味深いのが、国連安全保障理事会の常任理事国です。
| 常任理事国 | ICC加盟 |
|---|---|
| アメリカ | 非加盟 |
| 中国 | 非加盟 |
| ロシア | 非加盟 |
| イギリス | 加盟 |
| フランス | 加盟 |
つまり、国連安保理常任理事国5か国のうちICC加盟国はイギリスとフランスの2か国だけです。
アメリカ、中国、ロシアという世界有数の軍事大国がICC非加盟であることは、ICCの権限を考えるうえで非常に重要なポイントです。
「ICCに加盟していない国の人ならICCに逮捕されない」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
たとえば、犯罪が行われた場所がICC加盟国の領域であれば、被疑者の国籍が非加盟国であってもICCが管轄権を持つ場合があります。
また、国連安全保障理事会が案件をICCに付託することによって、非加盟国で発生した事件がICCの捜査対象になる場合もあります。
この点が、アメリカやイスラエルなどとICCの間で繰り返し大きな争点となっています。
一度ICCに加盟した後、ローマ規程から脱退した国もあります。
代表的なのがブルンジとフィリピンです。
| 国 | 状況 |
|---|---|
| ブルンジ | 2017年に脱退が発効 |
| フィリピン | 2019年に脱退が発効 |
ただし、脱退したからといって、加盟していた期間中に発生したとされる犯罪についてICCの管轄権が自動的になくなるわけではありません。
フィリピンのドゥテルテ政権時代の「麻薬戦争」をめぐるICCの捜査がその代表例です。
ハンガリーをめぐっては注意が必要です。
ハンガリー政府は2025年にICCから脱退する方針を示し、国連に脱退を通知しました。
しかしその後、2026年5月29日に脱退通知を撤回しました。
そのため2026年8月現在、ハンガリーは引き続きICC加盟国です。
古い資料やニュースだけを見ると「ハンガリーはICCを脱退した」と誤解する可能性があるため、現在の加盟国一覧を確認する際には注意が必要です。
ICC非加盟国がすべて同じ理由で加盟していないわけではありませんが、大国が懸念している代表的な問題の一つが国家主権とICCの司法権の関係です。
ICCに加盟すると、自国の政治家や軍人などが一定の条件下でICCの捜査・訴追対象になる可能性があります。
特に海外で大規模な軍事活動を行う国にとっては、自国軍人が国外の国際裁判所によって訴追される可能性は非常に重要な問題となります。
そのため、国際刑事司法の必要性を認めながらも、ICCの権限のあり方について慎重な国も少なくありません。
ICCには独自の警察組織がありません。
そのためICCが逮捕状を発付しても、実際に容疑者を逮捕するためには加盟国などの協力が必要になります。
ローマ規程の締約国には、原則としてICCの捜査や逮捕などに協力する義務があります。
このためICCから逮捕状が出ている人物が加盟国を訪問した場合、その国が逮捕・身柄引き渡しを求められる可能性があります。
プーチン大統領やネタニヤフ首相に対するICCの逮捕状が大きなニュースになるのも、世界各国への訪問に影響する可能性があるためです。
2026年8月現在、ICC(国際刑事裁判所)のローマ規程締約国は125か国です。
日本、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、オーストラリア、カナダ、ウクライナなどは加盟しています。
一方で、アメリカ、中国、ロシア、インド、イスラエルなどはICCに加盟していません。
特に国連安全保障理事会の常任理事国5か国を見ると、加盟しているのはイギリスとフランスだけで、アメリカ、中国、ロシアは非加盟です。
ICCは125か国が参加する大規模な国際司法制度ですが、世界の主要大国の一部が参加していないことが、ICCの権限や実効性をめぐる大きな議論につながっています。
近年はウクライナ戦争やガザ情勢をめぐってICCの逮捕状や捜査が相次いで注目されており、「どの国がICC加盟国なのか」は国際ニュースを理解するうえでも重要なポイントとなっています。