太陽光発電関連会社「テクノシステム」の社長として知られる生田尚之(いくた・なおゆき)氏が、再び大きな注目を集めています。
2026年8月10日、東京地裁で開かれた国家賠償請求訴訟で、生田氏を取り調べた東京地検特捜部の検事が「検察庁を敵視するってことは反社や」などと発言している取り調べ映像が法廷で再生されました。
生田氏はそもそもどのような人物なのでしょうか。
この記事では、生田尚之氏の学歴、会社員時代、テクノシステム設立、再生可能エネルギー事業、著書、融資金詐欺事件、そして現在進行中の取り調べをめぐる裁判まで、これまでに公表されている情報を整理して紹介します。
| 氏名 | 生田尚之(いくた なおゆき) |
|---|---|
| 生年 | 1974年 |
| 出身 | 神奈川県 |
| 学歴 | 日本大学理工学部電気工学科卒業 |
| 主な勤務先 | 日本電設工業 |
| 会社 | 株式会社テクノシステム |
| 役職 | 代表取締役社長 |
| テクノシステム設立 | 2009年 |
| 主な事業分野 | 太陽光発電、再生可能エネルギー、水処理、フードシステムなど |
生田尚之氏は1974年、神奈川県生まれです。
2019年に出版された著書の著者紹介などでも、1974年神奈川県生まれであることが確認されています。
2026年の報道では52歳と紹介されています。
生田氏は日本大学理工学部電気工学科を卒業しています。
後に太陽光発電をはじめとしたエネルギー関連事業を展開することになりますが、大学時代から電気分野を専門的に学んでいた人物ということになります。
大学卒業後、生田氏は日本電設工業株式会社に入社したとされています。
日本電設工業は、鉄道電気設備や一般電気設備、情報通信設備などを手掛ける電気設備工事会社です。
生田氏はこうした電気関連分野での経験を経て、後に自ら会社を設立することになります。
生田氏は2009年に株式会社テクノシステムを設立しました。
同社は横浜・みなとみらいを拠点とし、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業のほか、水処理やフードシステムなど、幅広い分野に事業を拡大していきました。
特に再生可能エネルギー事業の拡大によって会社は急成長し、東京商工リサーチによると、2019年11月期には売上高約161億円を計上していました。

テクノシステムが当時掲げていた大きなテーマが、「水・食・電気」でした。
太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーだけではなく、水処理、水耕栽培などを組み合わせ、地方創生や循環型社会につなげるという事業構想を打ち出していました。
現在の事件報道から生田氏を知った人には意外かもしれませんが、事件が表面化する以前は、再生可能エネルギーやSDGsに取り組む経営者としてメディアなどに登場する人物でした。
生田氏は2019年3月、米谷仁氏との共著で、プレジデント社から「SDGsが地方を救う なぜ『水・食・電気』が地域を活性化させるのか」を出版しています。
同書では、太陽光発電、風力発電、バイオマス、水処理、水耕栽培などを通じた地方活性化や循環型社会の可能性について紹介されていました。
著者紹介では、生田氏は「1974年神奈川県生まれ」「テクノシステム代表取締役」と紹介されています。
順調に急成長しているように見えたテクノシステムですが、2021年になると状況が大きく変わります。
同社への資金供給をめぐってSBIソーシャルレンディングの問題が表面化し、テクノシステムの資金繰りや融資の実態が注目されるようになりました。
東京商工リサーチによると、テクノシステムは再生可能エネルギー事業を急拡大する一方、2021年には資金繰りに行き詰まり、法的整理も検討される状態になっていました。

2021年5月27日、東京地検特捜部は、生田尚之氏らを詐欺容疑で逮捕しました。
当初の逮捕容疑は、太陽光発電やバイオマス発電事業への融資を受けるため、金融機関に虚偽の見積書や契約書などを提出し、計約11億6500万円の融資金をだまし取った疑いでした。
その後、捜査対象はさらに拡大し、最終的には複数の金融機関から約22億円をだまし取ったとする詐欺罪などで起訴されました。
また、会社資金約3億9400万円を取引先口座に振り込み負債返済に充てたとする特別背任罪でも起訴されています。
生田氏は刑事裁判で無罪を主張しました。
融資について返済する意思があったなどとして、検察側が主張する詐欺には当たらないという立場を取ってきました。
さらに弁護側は、東京地検特捜部による取り調べそのものにも重大な問題があったと主張しました。
2026年3月13日、東京地裁は生田尚之氏に対し、懲役11年の実刑判決を言い渡しました。
罪に問われていたのは、複数の金融機関から融資金計約22億円をだまし取ったとする詐欺罪と特別背任罪です。
ただし、生田氏側はこの判決を不服として控訴しています。
そのため、2026年8月現在、一審で有罪判決が出ているものの、刑事裁判はまだ確定していません。
生田氏をめぐる事件が現在大きく注目されている理由は、融資金詐欺事件そのものだけではありません。
東京地検特捜部による取り調べ方法が大きな問題になっています。
取り調べは2021年に行われ、生田氏側によると41日間にわたり、録音・録画された時間は計約205時間に及びました。
生田氏は黙秘権を行使していましたが、映像には担当検事が強い言葉で発言している様子が記録されていました。
特に大きな問題になったのが、担当検事による次のような趣旨の発言です。
「検察庁を敵視するってことは反社や」
このほかにも、
などが取り調べ映像に記録されていると報じられています。
この問題について重要なのは、生田氏側だけが「問題のある取り調べだった」と主張しているわけではない点です。
最高検察庁も取り調べの一部について「不適正」だったと認定しています。
一方で、取り調べが不適正だったということと、それが刑事法上の犯罪に該当するか、あるいは国家賠償法上の違法行為に当たるかは別の問題です。
この点をめぐり、刑事・民事それぞれの裁判手続きが進んでいます。
生田氏は、こうした取り調べによって精神的苦痛を受けたとして、国に1100万円の損害賠償を求める訴訟を起こしています。
生田氏側は取り調べについて、黙秘権を侵害し、人格を否定するような違法な取り調べだったと主張しています。
これに対して国側は、問題となっている言動についても「社会的相当性の範囲を超えない」などとして争っています。
そして2026年8月10日、この国家賠償請求訴訟で大きな動きがありました。
東京地裁の法廷で、実際の取り調べ録音・録画映像が再生されたのです。
報道によると、計約205時間に及ぶ録音・録画データのうち、生田氏側が違法だと主張している58場面、計約1時間10分が大型モニターで再生されました。
法廷では、担当検事が「検察庁を敵視するってことは反社や」と発言したり、「黙秘を人のせいにするな」と怒鳴ったりする場面などが実際に上映されました。
単なる文字起こしではなく、声の大きさや口調、表情などを含む映像が公開の法廷で確認されたことで、取り調べの適法性を判断するうえでも重要な証拠になりそうです。
さらに、この問題にはもう一つ大きな展開があります。
生田氏側は、取り調べを担当した検事について特別公務員暴行陵虐の疑いがあるとして刑事告訴していました。
東京高検は2026年3月、嫌疑不十分として不起訴処分にしました。
しかし生田氏側はこれを不服として付審判請求を行い、東京地裁は2026年6月24日、担当した堀木博司検事を刑事裁判にかける決定をしました。
つまり、融資金詐欺事件では生田氏自身が被告として刑事裁判を受ける一方、その取り調べ方法については、担当検事自身が刑事裁判の対象になるという異例の展開になっています。
この事件を見る際に注意したいのが、二つの問題を分けて考える必要があるという点です。
一つは、生田尚之氏が融資金詐欺や特別背任を行ったのかという刑事事件です。
こちらについて東京地裁は2026年3月に懲役11年の有罪判決を言い渡しました。ただし、生田氏側が控訴しているため判決は確定していません。
もう一つは、仮に犯罪の嫌疑を受けた人物であったとしても、検察官が黙秘権を行使する被疑者に対してどこまで強い言葉を使って供述を迫ることが許されるのかという問題です。
被疑者・被告人に黙秘権が保障されている以上、犯罪の成否とは別に、捜査機関による取り調べが適法であったかどうかは独立して検証される必要があります。
生田尚之氏のこれまでを整理すると、次のようになります。
生田尚之氏は、日本大学理工学部で電気工学を学び、電気設備会社勤務を経てテクノシステムを設立した経営者です。
一時は太陽光発電などの再生可能エネルギー事業を急速に拡大し、SDGsや地方創生をテーマに著書を出版するなど、再生可能エネルギー分野の経営者として活動していました。
しかし2021年、融資金をめぐる詐欺事件で東京地検特捜部に逮捕され、2026年3月には一審で懲役11年の実刑判決を受けました。現在は控訴中です。
その一方で、逮捕後の取り調べでは「検察庁を敵視するってことは反社や」「黙秘を人のせいにするな」などの発言が記録され、最高検も取り調べの一部を不適正と認定しました。
さらに担当検事について東京地裁が刑事裁判を開く付審判決定を出し、生田氏が国を訴えた国家賠償請求訴訟でも実際の取り調べ映像が公開の法廷で再生されています。
今後は、生田氏自身の刑事事件の控訴審に加え、担当検事の刑事裁判、そして国に1100万円を求める国家賠償請求訴訟がそれぞれどのような結論になるのかが注目されます。