――「青い惑星」の意外な現実をわかりやすく:
地球は宇宙から見ると青く輝きます。これは地表の約7割が「水」で覆われているからです。ところが、人間が飲んだり、農業や工業に使ったり、生活用水として利用できる水は、そのうちのごくごくわずかしかありません。地球上で使用できる水の割合はどれくらいなのでしょうか?
ここでは、地球上の水がどのように分布しているのか、そして「使える水」がどれくらい少ないのかを、できるだけやさしく整理してみます。
まず最初に押さえておきたいのはこれです。
つまり、「飲める・塩を抜かなくても使える可能性がある水」は、もともと全体の2.5%しかない、ということになります。地球にはは水がいっぱいあるように見えますが、ほとんどは海水で、人間がそのままでは使いにくい水なのです。
「2.5%もあるなら、けっこうあるのでは?」と思うかもしれません。ところが、この淡水の多くは、私たちがすぐに使える場所にはありません。内訳をイメージで示すとこうなります(数字はおおまかな国際的な説明でよく使われるものです)。
つまり、淡水2.5%のうち、約3分の2は「氷」です。残りの多くも地下深くにあって、技術やコストの問題で簡単には利用できません。

ここがいちばん重要なポイントです。川・湖・湿地などに“液体の状態”で存在し、人間がそのまま取水したり浄水したりしやすい水は、地球上の水全体のうち、だいたい0.01%前後しかないとよく説明されます。
100円あったら、使いやすい水は1銭しかない、というくらいのイメージです。こう書くと、どれだけ貴重かが伝わると思います。
理由はいくつかあります。

「地球全体では0.01%しかない」と聞くと絶望的に思えますが、実際には地域ごとの偏りも大きいです。
つまり、「世界には水が足りていない地域と、あり余っている地域が同時に存在している」のです。これは、単に量の問題だけでなく、インフラや政治、国境をまたぐ川の管理などが絡むため、しばしば“水をめぐる争い”の火種にもなります。
ここまで見てきたように、人類が「比較的簡単に」使える水は、地球上にある水のごく一部です。しかも次のような要因で、そのわずかな水にさらにプレッシャーがかかっています。
このため、多くの国や自治体が「節水」「水循環」「雨水利用」「下水の再利用」「海水淡水化」などに取り組んでいます。とくに工業や農業での節水・再利用は、家庭での節水努力よりずっと大きな効果を生むことが知られています。
「海水が97.5%もあるのなら、全部真水にしてしまえばいいのでは?」と考えるかもしれません。実際、海水淡水化プラントは中東やオーストラリアなど、水が少ない地域ですでに広く使われています。しかし現状では、
といった理由で、世界の水問題を“一気に”解決するにはまだ課題があります。つまり「技術で補えるが、万能ではない」という段階です。
最後にもう一度、数字を整理しておきます。
見た目とは裏腹に、地球は「水に恵まれているようで、実は使える水が限られている星」です。この“ギャップ”を理解しておくと、節水の意味や、水源保全・水質汚染対策の大切さがわかりやすくなります。
こうした話題は、環境教育やSDGs(とくに「6. 安全な水とトイレを世界中に」)と結びつけて説明すると、より伝わりやすくなります。「水はぐるぐる回っているからなくならない」とよく言いますが、“人間が今すぐに清潔な形で使える水”はほんのわずか。だからこそ、汚さない・むだにしない・地域で回す――この3点がとても重要になります。