スティーブン・クワンとWBC
招待報道、出場資格、2026年の展望
クリーブランド・ガーディアンズの外野手、スティーブン・クワン(Steven Kwan)は、日系と中国系のルーツを持つアメリカ出身の選手です。2023年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では日本代表への“招待報道”が話題となりましたが、結果的に出場は実現しませんでした。
本稿では、クワン選手とWBCをめぐる経緯と、WBC2026年大会に向けた最新の見通しを整理します。
スティーブン・クワンのプロフィール
- 所属:MLB クリーブランド・ガーディアンズ(外野手)
 
- 出身:米国カリフォルニア州(ベイエリア)
 
- ルーツ:父系は中国、母系は日本(山形)
 
- プレースタイル:際立つコンタクト能力、選球眼、守備範囲。長打よりも出塁と状況打撃に強み。
 
2023年WBCで何が起きたのか
1) 日本代表“招待”が報じられる
2022年末〜2023年初頭にかけて、クワン選手とラーズ・ヌートバー選手が“日本代表候補に招待”と海外メディアで報じられました。クワン選手は自身の日本ルーツに誇りを示し、出場への意欲も語っていました。
2) しかし最終的に不参加に
最終メンバー発表の段階で、クワン選手は日本代表にも中国代表にも登録されませんでした。大きな理由は、WBCの出場資格(国籍・旅券等)に関する規定をクリアできなかったためと説明されています。ルーツや祖父母が日本出身であっても、本人または親の有効な旅券や国籍要件を満たさない場合は代表登録が難しいケースがあります。
3) ヌートバーとは何が違う?
ヌートバー選手は母親が日本国籍を持ち、本人が出場資格要件を満たしていたため、日本代表として登録できました。対してクワン選手は、旅券・国籍に関する要件を満たすための法的手続きが間に合わず(または条件に適合せず)、日本代表入りが見送られた——という構図です。
よくある誤解とポイント整理
- 「日系なら誰でも日本代表になれる?」→ いいえ。WBCは“血統”だけでなく、国籍・旅券・居住歴・親の国籍など複数の条件のいずれかを満たす必要があります。
 
- 「クワンは日本代表に選ばれなかったの?」→ “実力で落ちた”というより、制度上の要件がハードルでした。
 
- 「中国代表は?」→ 父系ルーツから中国代表の可能性も話題になりましたが、こちらも資格要件やチーム編成方針等で登録は実現しませんでした。
 
2026年WBCへの展望
1) クワンはどの代表で出る可能性がある?
- 日本代表への強い意欲
スティーブン・クワン本人は、2026年WBCでの日本代表入りへの意欲をたびたび示しています。報道でも、出場資格が整えば「侍ジャパンでプレーしたい」という趣旨のコメントが紹介されています(出場には旅券・国籍等のWBC資格規定クリアが必要)。 
- 米国代表(Team USA)
現状、資格上の不確実性が少なく実務的には最も現実的。外野は激戦だが、クワンの高出塁率・確実性・守備安定は短期決戦で価値が高い。 
- 中国代表の線は消滅
2025年のWBC予選で中国代表は敗退し、2026年本大会には不参加が確定。したがってクワンが中国代表として出場する選択肢は今回ありません。 
2) ポジション別の競争環境(対・米国代表)
2026年大会の外野はスーパースター級が並ぶ想定。クワンのコンタクト力と守備貢献は“役割枠”として有力。
3) 健康状態と直近の実績
選考は直近成績と健康状態が重要。通年での出塁と守備指標を維持できれば、日米いずれの編成でも議論のテーブルに上がる存在です。
クワン×WBCを楽しむ視点
- 国籍とスポーツの交差点:WBCは“国籍の法要件”と“出自・文化的アイデンティティ”が交差する大会。クワン選手のケースは、その複雑さを象徴します。
 
- チーム編成の妙:パワー偏重の打線に、コンタクトと守備で流れを変えるタイプが一枚入ると、短期戦では勝ち筋が増えます。
 
- アジア系米国人のロールモデル:クワン選手は自らのルーツを誇りに、MLBで結果を示す存在。WBCでの雄姿が実現すれば、次世代に与える影響はさらに大きくなるでしょう。
 
まとめ
- 2023年は資格要件の壁で日本(および中国)代表入りは実現せず。
 
- 2026年は米国代表が現実的選択肢。日本・中国代表は制度面と編成が整えば可能性は残る。
 
- クワン選手のコンタクト力・守備・出塁は国際大会でも武器。健康と直近成績次第で十分“選ぶ側に迷いを与える”タレントです。
 
FAQ
Q. 祖父母が日本人でも日本代表になれますか?
A. 旅券・国籍などのWBC資格規定のいずれかを満たす必要があります。祖父母の出自“だけ”では足りないケースがあります。
Q. 2026年、日本代表でクワンを見られる可能性は?
A. 制度クリア+編成方針が条件。現時点では米国代表の方が現実味がありますが、ゼロではありません。
Q. ヌートバーはなぜ出場できたの?
A. 母の日本国籍などにより資格を満たし、侍ジャパンの編成に合致したためです。