メジャーリーグ・カナダ・なぜ?
なぜMLBにカナダのチームがあるのか?
「メジャーリーグ=アメリカのプロ野球」というイメージが一般的ですが、実はMLBにはアメリカ以外の国に本拠地を置くチームが存在します。それがカナダのトロント・ブルージェイズです。かつてはモントリオール・エクスポズもMLBに加盟していました。では、なぜアメリカのリーグであるMLBにカナダのチームが存在するのでしょうか?本記事では、その歴史的背景・経済的理由・文化的側面を詳しく解説していきます。
カナダと野球の歴史的つながり
- 野球は19世紀からカナダでも行われており、アメリカと同様に早い時期に普及しました。
- 1860年代にはカナダにも野球チームやリーグが誕生し、米国との国境を越えた交流も活発でした。
- アイスホッケーのイメージが強いカナダですが、実は野球も長い歴史と文化を持つスポーツなのです。
MLBがカナダに進出した理由
MLBがカナダにチームを設立した背景には、以下のような複数の要因があります。
① 経済的な市場価値
- カナダの大都市(トロント・モントリオール)は人口・経済規模ともに大きく、MLBにとって魅力的な市場でした。
- 特にトロントは金融と商業の中心地であり、米メディアやスポンサー企業との連携もしやすい環境でした。
② アメリカとの地理的・文化的近さ
- アメリカとカナダは国境を接しており、文化・言語(英語)・メディア市場も類似しています。
- そのため、遠征・移動・放映権ビジネスなどで大きな障害がありませんでした。
③ 北米スポーツビジネスの拡大戦略
- 1960〜70年代、MLBは新たな市場開拓を進めており、その一環としてカナダが選ばれました。
- 同時期、NBA・NHL・NFLなどもカナダにチーム進出または試合開催を行っています。
モントリオール・エクスポズ誕生と消滅

1969年、カナダ初のMLB球団として「モントリオール・エクスポズ」が誕生しました。カナダ・ケベック州最大の都市モントリオールは、当時北米でも有数の国際都市であり、1967年の万国博覧会(Expo 67)の成功も背景にあります。この万博の名前「Expo」が球団名の由来です。
エクスポズが誕生した理由
- モントリオールはカナダで最も野球文化が根付いていた都市のひとつで、マイナーリーグやアマチュア野球も盛んでした。
- 経済規模や観客動員が見込める市場としてMLBから選ばれました。
- 当時のカナダ政府や地元企業も、国際的な都市ブランド形成のためMLB誘致を支援しました。
衰退と移転(ワシントン・ナショナルズへ)
2000年代初頭、エクスポズは財政難・観客減少・本拠地球場オリンピックスタジアムの老朽化に苦しみました。さらにオーナー問題も悪化し、2004年シーズンを最後に球団はアメリカ・ワシントンD.C.へ移転し、現在のワシントン・ナショナルズとして再出発しました。こうしてカナダの球団は一時的に姿を消し、唯一残ったのがトロント・ブルージェイズだけとなったのです。
トロント・ブルージェイズ誕生と成功の歴史

1977年、カナダ第2のMLB球団としてトロント・ブルージェイズが誕生しました。トロントはカナダ最大の都市であり、経済・金融・メディアの中心地としてMLB進出には最適な環境でした。
ブルージェイズが誕生した理由
- トロントは人口・企業数ともに多く、野球ビジネスに適した都市でした。
- アメリカとの距離が近く、ニューヨークやボストンなど東海岸球団への移動も容易でした。
- 地元の大手企業「ラバット・ブルワリー」が球団設立を支援し、資金・球場建設を後押ししました。
### ワールドシリーズ連覇という快挙
ブルージェイズは1992年と1993年に2年連続ワールドシリーズ優勝を果たし、カナダ全土が熱狂しました。これは、MLBの歴史においてアメリカ以外の国の球団による初優勝であり、カナダにおける野球人気を強固なものとしました。
ブルージェイズが生き残れた理由とエクスポズとの違い
エクスポズが消滅した一方で、ブルージェイズが現在まで存続しているのは、以下のような要因によります。
- 都市の経済力:トロントはカナダ最大の都市で、企業や投資家が多く、球団経営に必要な資金が集まりやすかった。
- 球場と設備:1989年に完成した「スカイドーム(現ロジャーズ・センター)」は世界初の開閉式ドーム球場で、悪天候でも試合が可能でした。一方エクスポズの本拠地「オリンピックスタジアム」は老朽化とアクセスの悪さが問題となりました。
- **収益構造
カナダで野球が支持される理由
カナダといえばアイスホッケーのイメージが強いですが、実は野球も根強い人気を持つスポーツです。なぜカナダで野球文化が育まれたのでしょうか?以下の理由が挙げられます。
① アメリカ文化との密接なつながり
- カナダはアメリカと国境を共有し、メディア・スポーツ・経済面で深く結びついています。
- テレビ放送やラジオでMLB中継が広く視聴され、自然と野球が娯楽の一部となりました。
② 移民社会としての多様性
- カナダは多民族国家であり、アメリカ・中南米・アジアなどからの移民が多く暮らしています。
- その中には野球文化を持ち込んだ人々も多く、地域の野球チームや学校教育を通じて競技人口が広がりました。
③ 国際大会(WBC・五輪)での影響
- カナダ代表はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)やオリンピックでも一定の存在感を示しています。
- 特にブルージェイズの選手が代表として活躍することで、野球は「国を背負うス…とメディア契約**:ブルージェイズは全国放映やスポンサー契約に恵まれており、財政的に安定。一方エクスポズは収益不足で主力選手を放出せざるを得ず、人気低下につながりました。 ブルージェイズは1992年と1993年に2年連続ワールドシリーズ優勝を果たし、カナダ初のMLB世界一球団となりました。
- 1992年:アトランタ・ブレーブスを破り、カナダ球団として初優勝。
- 1993年:フィラデルフィア・フィリーズに勝利し連覇達成。ジョー・カーターの劇的なサヨナラホームランは今なお語り継がれています。
なぜブルージェイズは生き残ったのか?
- モントリオールと異なり、トロントの人口・経済力・スポンサー企業の支えが強かった。
- **ロジャース・センター(旧スカイドーム)**という屋根付き球場の存在により、天候の影響を受けず試合開催が可能でした。
- ファン層が安定しており、テレビ放映権・グッズ販売などの収益も高かったため、経営基盤が安定したのです。
カナダで野球が支持される理由
カナダといえばアイスホッケーのイメージが強いですが、野球も確かな人気を持つスポーツです。なぜ野球文化はカナダで定着したのでしょうか?
① アメリカとの文化的つながり
- 国境を越えたメディア・スポーツ交流により、アメリカの大衆文化が早い段階でカナダにも浸透しました。
- テレビ放送・ラジオ・新聞などでメジャーリーグの試合が頻繁に紹介され、憧れの存在として定着。
② 移民国家としての多様性
- カナダにはアメリカ、カリブ海、中南米などからの移民が多く、野球経験者も多数存在します。
- とくにドミニカ共和国やキューバ出身の移民コミュニティでは、野球は生活の一部であり、その文化がカナダ社会にも広がりました。
③ 子ども向けスポーツとしての普及
- カナダでは少年野球(Little League)が盛んで、学校や地域リーグでもプレーする子どもが多いです。
- 気候が温暖な地域(トロント・バンクーバーなど)では野球シーズンが長く、プレー環境にも恵まれています。
まとめ:「なぜカナダにMLBがあるのか?」への答え
カナダにMLB球団が存在する理由をまとめると、次の3点に整理できます。
- 歴史的背景と野球文化の土壌:19世紀から野球はカナダで親しまれてきた。
- 経済・人口規模の魅力:モントリオールやトロントは北米でも重要な大都市であり、MLBにとって市場価値が高かった。
- アメリカとの地理・文化的近さ:国境を接し、スポーツビジネス・放映権・移動において大きな障壁がなかった。
つまり、カナダのMLB球団は「特例」ではなく、北米スポーツ市場の自然な拡大の結果なのです。 リカ・ワシントンD.C.へ移転し、現在の「ワシントン・ナショナルズ」となりました。
トロント・ブルージェイズの成功
1977年、カナダ第2のMLB球団として「トロント・ブルージェイズ」が誕生しました。トロントはカナダ最大の都市であり、人口・企業数・経済規模ともに国内最大の市場を持ちます。
大成功の理由
- 経済力のある都市:大企業の本社が集中し、スポンサー収入や放映権の価値が高かった。
- ドーム球場スカイドーム(現・ロジャースセンター):世界初の開閉式ドームとして話題になり、雨天中止のない安定した興行が可能に。
- 1992・1993年のワールドシリーズ連覇:カナダに初のMLBチャンピオンをもたらし、全国的な人気を獲得。
現在、ブルージェイズはカナダ唯一のMLB球団となり、カナダ全土のファンから支持されています。スポーツ専門チャンネル「Sportsnet」による全国放送や、WBCでの代表選手輩出なども影響し、カナダ=野球後進国というイメージはすでに過去のものとなっています。誕生(1969年)
- 1969年、MLBは初めてアメリカ国外にチームを開設。それが「モントリオール・エクスポズ」でした。
- チーム名“Expos”は1967年のモントリオール万博(Expo 67)に由来します。
- フランス語圏の都市モントリオールに球団ができたことで、英語圏とは異なるファン文化が生まれました。
エクスポズが人気を集めた理由
- 若手育成に優れた球団として知られ、カル・リプケンJr.やペドロ・マルティネスなどのスター選手も在籍。
- 1981年にはプレーオフ進出し、カナダ初の野球ブームを巻き起こしました。
しかし…球団はなぜ消滅したのか?
- 1990年代以降、成績の低迷・観客減少・球場の老朽化が深刻化。
- MLB全体のストライキ(1994年)で大きな打撃を受け、ファン離れが加速。
- 2004年、エクスポズはアメリカ・ワシントンD.C.へ移転し、現在のワシントン・ナショナルズになりました。
トロント・ブルージェイズの誕生と成功
- 1977年、MLBは2つ目のカナダ球団「トロント・ブルージェイズ」を創設。
- オーナー企業はカナダ最大の通信企業ロジャース社(現在も運営)。
- 1992年・1993年にはワールドシリーズを連覇し、アメリカ国外のチームとして初の世界一に輝きました。
ブルージェイズ成功のポイント
- 大都会トロントの経済力・ファン数・スポンサー支援が圧倒的。
- ロジャース・センター(旧スカイドーム)はドーム球場として革新的な存在でした。
- 日本人選手も過去に多数所属しており、カナダと日本の野球ファンの架け橋にもなっています。 MLBがカナダにチームを設立した背景には、以下のような要因があります。
1. 市場拡大(ビジネス面)
- アメリカ市場だけではなく、北米全体(特にカナダの大都市)も大きな経済圏であると判断されました。
- トロントやモントリオールは人口規模・経済力ともに十分で、放映権・観客動員・スポンサー収入が期待できたためです。
2. 地理的・文化的な近さ
- カナダの大都市はアメリカの国境に近く、移動やリーグ運営に支障がありません。例:トロントはニューヨークから飛行機で1時間半ほど。
- 言語(英語・フランス語)・文化・スポーツ文化も米国と近く、ファン層の共有もしやすい環境でした。
3. 政府・自治体の協力
- カナダ政府や自治体がスタジアム建設・税制優遇・インフラ整備などを支援したことで、MLB側も安心して進出できたという背景があります。
カナダで野球はどれくらい人気なのか?
✅ アイスホッケーには及ばないが確固たる人気
- カナダでは国技・NHL(アイスホッケー)が圧倒的な人気を持つものの、野球も「第2〜第3のメジャースポーツ」として定着。
- ブルージェイズの試合は、全国放送され、特にプレーオフでは視聴率が非常に高くなります。
✅ MLBドラフトにカナダ人選手が指名されることも増加
- ジョーイ・ボットー、ラリー・ウォーカー、ジェームズ・パクストン、フレディ・フリーマンなど、メジャーで活躍するカナダ人選手も少なくありません。
なぜ今もカナダにMLBチームが存在し続けるのか?
理由 |
内容 |
経済効果 |
北米全体から観客・スポンサーが集まり収益性が高い |
地理 |
アメリカとの移動が容易でリーグ構造に溶け込みやすい |
文化 |
野球文化が根付いておりファン層が安定している |
国家単位ではなく「北米リーグ」だから |
MLBはアメリカ“国内リーグ”ではなく北米全体を市場としたプロリーグ |
「なぜカナダにMLBチームがあるのか?」への答え
カナダにMLBチームが存在する理由は、単に地理的に近いからではありません。歴史的背景、経済的メリット、文化的共感、政府の支援という複数の要素が組み合わさった結果です。MLBはアメリカ国内のリーグというより、**“北米のプロ野球リーグ”**として発展したからこそ、国境を越えてチームが存在しているのです。
今後、モントリオールでのMLB復活やカナダでの野球人気のさらなる発展にも注目が集まっています。