2025年10月24日、ロサンゼルス・ドジャースに大きな衝撃が走りました。チームはワールドシリーズの開幕を目前に控え、ブルージェイズとの頂上決戦に向けて士気を高めていた最中、29歳の中継ぎ左腕アレックス・ベシア(Alex Vesia)が突然の離脱を発表したのです。その理由は「極めて個人的な家族の事情」。球団も詳細を明かさず、ファンの間には驚きと心配の声が広がりました。
現地時間10月23日、ドジャース球団は公式X(旧Twitter)およびチーム公式サイトで以下の声明を発表しました。
【心が痛むお知らせですが、アレックス・ベシアと妻ケイラは深刻で個人的な家族の問題に対処するため、チームを離れました。ドジャース球団一同、ベシア家の皆様に心よりお見舞い申し上げます。】
球団のコメントからも、この離脱が緊急かつ深刻なものであることがうかがえます。メディアの取材にも球団関係者は「これ以上の情報は開示しない」と述べ、徹底したプライバシー保護の姿勢を見せました。チームメイトやファンも詮索を避け、ベシア家に寄り添うコメントを投稿しています。
アレックス・ベシアは、ドジャースの救援陣の中核を担う存在でした。速球とスライダーを軸に強打者をねじ伏せるスタイルで、特に左打者への被打率はリーグ屈指の低さを誇ります。今季の成績は以下の通りです。
特筆すべきは、シーズン終盤の安定感です。直近6試合ではすべて無失点に抑え、ロバーツ監督からも「今の彼は間違いなくベストの状態にある」と高く評価されていました。そんな矢先の離脱は、ブルペンの戦略に大きな影響を及ぼしています。
英語圏の主要メディアもこのニュースを大きく報じました。
**『MLB.com』**は、「Vesia and his wife are dealing with a deeply personal family matter(ベシア夫妻は極めて個人的な家族の問題に直面している)」と報じ、彼の復帰時期は未定であると伝えています。
『People』誌は、「The Dodgers lose a key bullpen arm ahead of the World Series(ワールドシリーズ直前に重要なブルペン投手を失った)」という見出しで、チームへの影響の大きさを強調しました。同誌は、ベシアの妻ケイラもSNSで沈黙を守っていると報じ、事態の深刻さを示唆しています。
さらに**『ESPN』**はデーブ・ロバーツ監督のコメントを引用し、
“We’re still trying to understand the procedures and see how to adjust the roster.”
(私たちはまだ規定を確認しながら、ロースターをどう調整するかを検討している最中だ)
と伝えました。監督の言葉からは、状況が想定外であることが明確に伝わります。
また**『Reuters』や『CBS Sports』**は、「Vesia is unlikely to return during the World Series(ワールドシリーズ期間中の復帰は難しい)」と報じ、ベシアが少なくともシリーズ中は戦列を離れる可能性が高いとしています。
ベシアの離脱を受けて、ドジャースは即座にロースターの見直しを開始。右腕エドガルド・エンリケスとウィル・クラインを追加登録し、急場をしのぐ体制を整えました。しかし、左の中継ぎが不足している現状では、他の投手への負担が増すことは避けられません。
『Dodgers Nation』によると、ロバーツ監督は「日ごとに状況を確認していくしかない」と語り、代役の起用については明言を避けています。一部報道では、若手のライアン・ヤーブローやキャレブ・ファーガソンの起用機会が増える可能性も指摘されています。
チーム内では、ベテラン投手の一人が「彼のためにも全力で戦う」と語り、チームが一丸となって戦う決意を示しました。精神的な支えを失った状態でも、ドジャースは“家族のような結束”を持つチームとして知られており、その強さが試されるシリーズとなりそうです。
SNS上では「#PrayForVesia」というハッシュタグが拡散し、ファンからは「家族を支えるためなら当然の決断」「戻ってくる日を待っている」といったコメントが多数寄せられています。フレディ・フリーマン夫人のチェルシー・フリーマンもInstagramで「We’re praying for the Vesias(ベシア家のために祈っています)」と投稿し、多くのチームメイトやファンが共感を寄せました。
また、ドジャースの広報担当者は「チーム全員が彼とその家族を気にかけている。現時点ではベシアに必要な時間を与えることが最優先だ」と述べ、チームのサポート体制を強調しています。ベシアの背番号51を記したリストバンドを着けて試合に臨む選手もいるなど、団結の象徴としての動きも見られます。
アレックス・ベシアはプロとしてだけでなく、一人の人間として「家族を優先する」という決断を下しました。スポーツの世界では、勝利や結果がすべてのように見える場面も多いですが、今回の件は“選手の人生にも優先すべきことがある”という重要なメッセージを示しています。
MLBファンの間では「この決断を支持する」「家族を守ることは立派なことだ」といった声が多く上がっており、SNS上では感動的なメッセージが続々と投稿されています。
今回の離脱は、ドジャースにとって戦力的にも精神的にも大きな痛手ですが、同時にチームの結束力を試す機会でもあります。ロバーツ監督は「彼が戻るときのために、私たちは前に進み続ける」とコメントし、チーム全体でのサポートを強調しました。
アレックス・ベシアの復帰時期は未定ですが、彼の存在がチームの士気にどれほど大きな影響を与えていたかは誰の目にも明らかです。ファンも選手も、彼が安心して再びマウンドに立てる日を信じて待ち続けています。ドジャースにとって、この試練の時間は“人間としての強さ”を示す重要な瞬間となるでしょう。