南鳥島レアアース採掘企業
南鳥島レアアース泥──関与企業名を「根拠の強さ」で整理
※本記事は「南鳥島周辺のレアアース泥(レアアースを高濃度に含む深海底の泥)」の探査・採鉱(試験)・周辺技術に関わる企業名を、公開情報(公的発表・コンソーシアム名簿・企業IR等)からできるだけ具体的に整理したものです。投資助言ではありません。
1. まず前提:いま何が進んでいるのか
南鳥島周辺のEEZで注目されるのは、海底下に分布する「レアアース泥」です。日本では内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)などの枠組みのもと、JAMSTEC(海洋研究開発機構)を中心に、水深約6,000m級での採鉱システム接続試験などが計画されています。
ここで重要なのは、現段階は「商業採掘での大量生産」ではなく、
- 🔧 採鉱・揚泥(泥を引き上げる)
- 🧪 選鉱・製錬(泥からレアアースを取り出す)
- 🌊 環境モニタリング(影響評価) といった“産業化のための技術実証フェーズ”が中心だという点です。
2. 「企業名が知りたい」読者向けの結論:企業は大きく3層に分かれる
南鳥島レアアース泥に関する企業は、ざっくり次の3層に分かれます。
- ✅ A層:名簿・一次情報で“参加が確認できる企業”(最も根拠が強い)
- 🟦 B層:プロジェクトでの役割が報道・資料で示される企業(関与が見える)
- 🟨 C層:採掘そのものではなく“周辺サプライチェーン/装置/素材”で連想される銘柄(テーマ株的に扱われやすい)
以下、A→B→Cの順で、企業名を具体的に挙げます。
3. A層:参加が名簿で確認できる企業(東大系コンソーシアム会員など)
南鳥島レアアース泥の研究・産業化に関わる代表的な枠組みの一つとして、東京大学の研究室ページで公開されている「レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム」の企業メンバーが参考になります(公開名簿に掲載)。
企業メンバーとして掲載がある例(抜粋)
- 🏗️ 東亜建設工業
- ⚙️ 古河機械金属
- 🛢️ 三井海洋開発
- ⚓ 深田サルベージ建設
- 🧱 鹿島建設/大成建設/三井住友建設
- 🚢 日本郵船/商船三井
- 🧪 堀場製作所(分析・計測)
- 🧲 TDK(材料・電子部品)
- 🧱 太平洋セメント
- 🧪 信越化学工業
- 🏭 三菱電機
- 🧪 三井金属鉱業
- 🧱 UACJ ほか
これらは「南鳥島の採掘をそのまま担当する」企業だけでなく、採鉱機材、船舶、建設、計測、材料、サプライチェーンなど役割が多岐にわたります。
4. B層:JAMSTEC/SIP/報道などで“役割が見える”企業(注目されやすい)
ここは、検索ユーザーが最も知りたいゾーンです。
4-1. 採鉱・揚泥・海洋システムの“ど真ん中”
- 🟦 東洋エンジニアリング(6330)
- 深海(6,000m級)からレアアース泥を回収するシステム技術開発に関与として言及されることが多い。
- 🟦 三井海洋開発(6269)
- 海洋開発(FPSO等)で培った技術が、深海資源開発の文脈で取り上げられやすい。
- 🟦 INPEX(1605)
- 海底資源開発技術の文脈で関連銘柄として挙げられることがある。
4-2. 海洋調査・環境モニタリング側(採掘の“前後”で重要)
- 🟦 いであ(9768)
- 環境コンサル・調査の会社。海洋環境影響評価やモニタリング需要の文脈で関連が語られる。
- いであを中心に、深田サルベージ建設、石油資源開発などが関与する形で、海洋資源調査の実用化を狙う新会社(後述)も。
4-3. 装置・機材・分析(“掘る”だけでは終わらない)
- 🟦 島津製作所(7701)
- レアアースの分析機器(ICP-MS等)の側面で関連として挙げられる。
5. ここは要チェック:『次世代海洋調査株式会社(nHORT)』と出資企業
南鳥島レアアース泥の開発は「採掘」だけでなく、
- 🔎 探査(どこにどれだけあるか)
- 🌊 環境モニタリング(影響評価)
- 🤖 AUV/観測装置(深海での計測) がセットになります。
この文脈で出てくるのが 次世代海洋調査株式会社(nHORT) です。
出資企業として公表されている例
- いであ(9768)
- 深田サルベージ建設
- 石油資源開発(JAPEX)
- ダイヤコンサルタント
- 岡本硝子 (その後、IHIが株主に加わった旨の記載もあり)
「南鳥島レアアース泥=採掘企業だけ」ではなく、調査・環境評価の企業が表に出やすいのが、このテーマの特徴です。
6. C層:投資家が“テーマ株”として追いがちな周辺企業(広めに拾う)
ここは「南鳥島に直接入っている」と断定しにくい一方で、投資家が“関連銘柄”として見ている領域です。
- 🟨 商社(海外レアアース調達、精製・販売網)
- 🟨 化学・素材(分離精製、磁石材料、電池材料)
- 🟨 分析・計測(レアアース定量、海底データ解析)
- 🟨 建設・港湾・海洋土木(海洋工事・設備)
- 🟨 海運・物流(資機材輸送、将来のサプライチェーン)
C層は銘柄数が膨大になるため、本記事では「南鳥島」よりも「レアアース国内供給網」全体の話になりやすい点に注意が必要です。
7. 株式で“どこに投資?”を考える人向け:見るべきポイント(銘柄名より大事)
企業名リストは入口で、投資判断は次の観点が重要です。
- ✅ 一次情報(官公庁・JAMSTEC・企業IR)で関与が確認できるか
- ✅ 関与があっても 売上にどう乗るか(受託額・採算)
- ✅ 技術が“実証成功”から“商業化”に移るまでの タイムライン
- ✅ **環境規制・国際標準(ISOなど)**に対応できるか
- ✅ レアアース価格は政治・需給で動くため テーマ相場のブレが大きい
8. まとめ:この記事で押さえるべき企業名(再掲)
最後に、検索ユーザーが求める「まず名前を知りたい」ための再掲です。
- ⭐ 採鉱・揚泥システム側で注目:東洋エンジニアリング(6330)/三井海洋開発(6269)
- ⭐ 機材・採鉱装置系で注目:古河機械金属(5715)
- ⭐ 調査・環境評価で注目:いであ(9768)/深田サルベージ建設/石油資源開発
- ⭐ 分析機器側で関連:島津製作所(7701)
- ⭐ コンソーシアム名簿で確認できる参加企業:東亜建設工業、IHI、鹿島建設、大成建設、TDK、堀場製作所、日本郵船、商船三井、三井金属鉱業、三菱電機、UACJ など
参考:よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年に“試掘”と聞くが、すぐ商業化して儲かる?
A. 試掘・接続試験は重要な一歩ですが、商業化は「技術」「コスト」「環境評価」「制度」の壁があり、直線的には進みにくいのが一般的です。
Q2. 企業名リストが記事ごとに違うのはなぜ?
A. ①一次情報(プロジェクト参加)と、②テーマ株(周辺)を混ぜているからです。本記事は根拠の強さで層分けしました。
Q3. 「採掘企業」はどこ?
A. 現時点では、特定の民間企業が単独で商業採掘を行う段階というより、JAMSTECやSIP等の枠組みで実証・技術開発に複数企業が関与する形が中心です。
(免責)本記事は一般情報であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で、一次情報(企業IR・官公庁発表)も併せて確認してください。