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中低所得者とは?

中低所得者とは?

食料品の消費税1%分が還元される対象は年収いくらまでなのか

食料品の消費税減税をめぐり、「中低所得者には1%分を還元する」という説明が使われています。そこで気になるのが、「中低所得者とは具体的に年収いくらまでなのか」「自分も給付の対象になるのか」という点です。

結論から言うと、中低所得者には全国共通の決まった年収基準があるわけではありません。今回の制度についても、2026年8月5日に基本方針が閣議決定されたものの、給付対象となる年収の上限や給付額は、まだ確定していません。

また、今回の「中低所得者」は、単に年収の低い人を広く指しているのではなく、主として一定の勤労所得があり、税金や社会保険料を負担している中低所得の現役勤労者を意味しています。この点を理解しておかないと、「低所得なら誰でも給付される」と誤解する可能性があります。

食料品の消費税減税と1%分の還元とは

政府は2026年8月5日、現在8%となっている食料品の消費税率を、2027年4月1日から2年間に限って1%へ引き下げる基本方針を閣議決定しました。さらに、残る1%相当分の範囲内で中低所得の現役勤労者に新たな給付を行い、対象者については「実質ゼロ」にする方針です。

  • 食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる
  • 実施期間は2027年4月1日から2年間
  • 税率引き下げによる7%分の負担軽減は、所得に関係なく消費者全体に及ぶ
  • 残る1%相当分は、中低所得の現役勤労者への給付で補う
  • 2029年度には所得連動給付を本格導入し、食料品の税率は8%へ戻す方針

ただし、閣議決定は政府の基本方針を決めた段階です。税率変更や給付を実施するには関連法案の成立が必要で、政府は今後、税制改正の具体策をまとめ、秋の臨時国会へ法案を提出する予定です。

「中低所得者」は法律で決まった用語ではない

「中低所得者」は一般に、「中所得者と低所得者」をまとめた表現です。「中所得より少し低い層」だけを指す言葉ではありません。

しかし、法律上、すべての制度に共通する「年収○万円以下」という定義はありません。どこまでを低所得または中所得とするかは、制度の目的によって異なります。

例えば、物価高対策の給付金では「住民税非課税世帯」が対象になることがあります。一方、生活保護では収入だけでなく世帯構成や資産なども審査されます。統計上の貧困率では、世帯人数を調整した可処分所得を使います。これらはすべて判定方法が異なるため、住民税非課税世帯と今回の中低所得者が同じ範囲になるとは限りません。

今回の「中低所得者」は現役勤労者が中心

政府方針で明示されているのは、「中低所得の現役勤労者」を対象にするという点です。社会保障国民会議の資料では、一定の勤労性の所得があり、税金や社会保険料を負担している人を主な対象とする考え方が示されています。

現時点で示されている制度の方向性は、次の通りです。

  • 会社員だけでなく、パート、アルバイト、自営業者、フリーランスも対象になり得る
  • 働いており、現役世代と同程度の負担がある中低所得の高齢者も対象になり得る
  • 原則として世帯単位ではなく個人単位で判定する
  • 子どもの人数に応じた加算を設ける
  • 所得が増えると給付額を徐々に減らし、一定の所得で給付をなくす
  • 公平性の観点から、給与以外の所得や配偶者の所得を考慮する場合がある

つまり、単純に「世帯年収が低いかどうか」だけで決まる制度ではありません。本人の勤労所得、税・社会保険料の負担、給与以外を含む総所得、子どもの人数などを組み合わせて判定する仕組みが想定されています。

年収300万円以下が中低所得者なのか

「年収300万円以下が対象」と正式に決まったわけではありません。検討資料や報道では複数の金額が登場しますが、それぞれ意味が異なります。

示されている金額 その意味 現在の位置付け
年収約53万円 雇用保険の適用水準を参考にした給付開始基準の候補 未決定
年収約74万円 給与所得が生じる水準を参考にした給付開始基準の候補 未決定
年収約106万円 短時間労働者の社会保険加入水準を参考にした給付開始基準の候補 未決定
年収約270万円前後 諸外国では平均年収の50%前後で給付が消失する例が多いという資料から導かれた一つの目安 日本の上限として決まった数字ではない
年収500万円以下 大和総研が給付額を試算するために置いた仮定 政府の対象基準ではない

 

53万円、74万円、106万円という数字は、給付がなくなる上限ではなく、所得連動給付をどの収入水準から始めるかという候補です。一方、約270万円という数字は、諸外国の制度を参考にした場合の目安にすぎません。

したがって、現段階で「年収300万円以下なら対象」「年収500万円を超えたら対象外」などと断定することはできません。

「収入」と「所得」は同じではない

今後の制度内容を見る際には、「年収」「収入」「所得」の違いにも注意が必要です。

会社員の年収は、通常、税金や社会保険料が差し引かれる前の給与収入を指します。これに対し、給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いた金額です。自営業者の場合は、売上から必要経費を差し引いた金額が事業所得となります。

政府資料では「勤労性の所得」や「総所得」という表現が使われています。そのため、最終的な基準が所得額で定められた場合、同じ「年収300万円」でも、会社員と自営業者で判定に使われる金額が同じになるとは限りません。

1%分は買い物ごとに返金されるのか

「1%分を還元する」といっても、買い物のレシートを提出し、実際に支払った消費税を一件ずつ返してもらう仕組みではありません。現在検討されているのは、公的機関が把握している所得情報を利用し、所得に応じた現金給付を行う方式です。

例えば、本体価格1万円の食料品を購入した場合、現在は消費税8%を含めて1万800円です。税率が1%になれば1万100円となり、店頭での支払いは700円減ります。残る100円については、対象者へ別途行う所得連動給付によって、制度全体として「実質ゼロ」に近づける考え方です。

そのため、各個人が実際に支払った1%分と給付額が完全に一致するとは限りません。食費が多い人と少ない人の税額を一人ずつ精算するのではなく、所得などを基準に給付額を決める制度になる見通しです。

低所得なら必ず対象になるとは限らない

今回の制度で特に注意したいのは、対象の中心が「現役勤労者」とされていることです。

収入が少なくても、勤労所得がない人、年金収入だけで生活する人、失業中の人などが同じ給付の対象になるかは、現時点では明確になっていません。一方、働いている高齢者については、現役世代と同程度の負担がある中低所得者を対象に含める方向が示されています。

これは、所得連動給付が物価高対策だけでなく、税金や社会保険料によって手取りが伸びにくい勤労者を支え、「年収の壁」による働き控えを減らす目的も持っているためです。勤労所得のない低所得者への支援をどの制度で行うのかは、別の重要な論点となります。

なぜ高所得者には1%分を給付しないのか

消費税は所得にかかわらず同じ税率がかかるため、所得が低い人ほど収入に占める負担割合が大きくなりやすいという「逆進性」が指摘されています。特に食料品は生活に欠かせず、低所得世帯ほど家計に占める食費の割合が高くなる傾向があります。

一方、税率を一律に引き下げると、高所得者も同じように恩恵を受けます。さらに、購入額が大きい人ほど減税額の絶対額も大きくなります。そこで、7%分はすべての消費者の負担を軽くし、残る1%相当分の財源は中低所得の勤労者に重点的に配るという考え方が採られています。

よくある疑問

住民税非課税世帯なら対象になりますか?

自動的に対象になるとは限りません。今回の給付は、住民税非課税世帯をそのまま対象にする制度ではなく、一定の勤労所得と税・社会保険料負担がある人を中心に設計されています。

年収300万円なら対象になりますか?

まだ判断できません。年収上限、給付額、所得の判定方法はいずれも未確定です。約270万円や300万円という数字は目安として語られているだけで、正式な線引きではありません。

夫婦共働きの場合は世帯年収で判定しますか?

原則は個人単位で判定する方向です。ただし、公平性を保つため、配偶者の所得などを考慮する例外が設けられる可能性があります。

年金生活者も対象ですか?

働いており、現役世代と同程度の負担がある中低所得の高齢者は対象に含める方向です。年金収入だけの人が先行給付の対象になるかは、今後の制度設計を確認する必要があります。

食料品の消費税1%はすでに決定したのですか?

政府の基本方針は閣議決定されましたが、税率変更を実施する法律はまだ成立していません。今後、税制改正の具体策と法案の国会審議が必要です。

まとめ

中低所得者とは、一般には中所得者と低所得者をまとめた表現であり、全国共通の年収基準がある言葉ではありません。

今回の食料品の消費税1%分の給付で想定されているのは、主に一定の勤労所得があり、税金や社会保険料を負担している中低所得の現役勤労者です。会社員だけでなく、パート、自営業者、フリーランス、働く高齢者なども対象になり得ます。

ただし、対象となる年収の上限、給付開始の基準、給付額はまだ決まっていません。「年収300万円以下」「年収500万円以下」といった数字を確定情報として受け取らず、今後示される税制改正の内容と関連法案を確認する必要があります。

参考資料

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