近年、「地球温暖化は起きていない」「地球温暖化はでっち上げだ」といった声を聞くことがあります。特にインターネット上では、こうした情報が拡散されることも少なくありません。
しかし、これらの主張は科学的な根拠に基づいておらず、誤りであると断言できます。
なぜ「地球温暖化はでっち上げ」という考え方が間違っているのか、ファクトに基づいて解説していきましょう。
「地球温暖化は起きていない」という主張に反して、地球の平均気温は実際に上昇しています。これは、世界中の気象台や海洋観測ブイ、人工衛星など、多様な方法で観測された膨大なデータが示している事実です。
アメリカ航空宇宙局(NASA)やアメリカ海洋大気庁(NOAA)をはじめとする世界の主要な気象機関のデータは、産業革命以降、地球の平均表面温度が一貫して上昇していることを明確に示しています。特に、過去数十年間の上昇率は顕著です。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、世界中の何千人もの科学者が参加して気候変動に関する最新の科学的知見を評価・統合する機関です。
IPCCの第6次評価報告書(AR6)は、人間の活動が、1850~1900年の期間と比較して約1.1℃の地球温暖化を引き起こしたと結論付けています。
この数値は、単なる誤差や自然変動では説明できません。
「地球温暖化は自然のサイクルの一部だ」と主張する人もいますが、現在の温暖化のペースと規模は、過去の自然変動では説明できません。
地球の気温は、太陽活動の変化、火山噴火、地球の軌道の変化など、様々な自然要因によって変動してきました。
しかし、これらの自然要因を考慮しても、現在の急速な気温上昇を説明することはできません。
科学的な研究によって、二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの濃度の上昇が、現在の温暖化の主な原因であることが強く示されています。
「地球温暖化はでっち上げ」と主張する人たちの多くは、以下のような誤った論点を用いる傾向があります。
「今年は寒いから温暖化は嘘だ」といった主張は、地球全体の平均気温の長期的な傾向と、局地的な一時的気象現象を混同しています。
科学者たちがデータを都合よく改ざんしているという陰謀論も存在しますが、根拠は一切ありません。
「気候は常に変動している」として、今の温暖化を自然変動の一部とみなす主張もありますが、前述の通り、現在の変化のスピードと規模は自然変動だけでは説明できません。
「地球温暖化は人間の活動が原因である」という見解は、**世界の科学界の圧倒的なコンセンサス(合意)**です。
さらに厄介なのは、このような陰謀論的主張が、一部の中間知能の人達にとって非常に魅力的に映るという現実です。ここでいう“中間知能”の人達は科学的知識が乏しく、ある程度の情報をかじったことで「自分はわかっている」と過信してしまう傾向があります。
この層は、次のような傾向を持つとされます:
客観的かつ多角的に物事を検証する能力に欠ける
一見筋が通っているように見える話を、一度聞いただけで「真実だ」と思い込む
「世の中は嘘で溢れている」「自分だけは真実を知っている」という優越感をくすぐる情報に弱い
このような心理構造により、「地球温暖化は嘘だ」「メディアや科学者はグルだ」という話が、実際よりも“信憑性がある”ように見えてしまうのです。
一見すると複雑で地味な科学的事実よりも、ドラマチックでわかりやすく、権威を否定するストーリーの方が、人々の心を動かしやすい。
それがSNS時代において、誤情報が爆発的に拡散される大きな要因のひとつでもあります。
「地球温暖化は起きていない」「地球温暖化はでっち上げ」といった主張は、科学的根拠に乏しく、誤った情報です。
私たちは、こうした誤情報に惑わされることなく、科学に基づいた正しい知識を持つことが、地球温暖化問題に取り組む上で極めて重要です。
気候変動はすでに、
などを通じて、私たちの生活に深刻な影響を与え始めています。
私たちはこの厳然たる事実を受け止め、未来のために温室効果ガスの排出削減や適応策といった具体的な行動を加速させる必要があります。