2026年8月22日に滋賀県の長浜市、彦根市、高島市で開催するとして告知されていた「琵琶湖三市同時花火大会」。
3市合計で1万発以上の花火を打ち上げるとして有料観覧席も販売されていましたが、長浜市や彦根市など自治体側が大会への関与を否定。その後、主催者は8月9日に大会の中止を発表しました。
この騒動の中で注目されているのが、公式サイトの「特定商取引法に基づく表記」に運営統括責任者として名前が掲載されている谷中康亮(たになか・こうすけ)氏です。
では、谷中康亮氏とはいったい何者なのでしょうか。
公開情報を調べてみると、今回の花火大会だけで突然名前が出てきた人物ではなく、以前からドローン関連の事業や活動に関わってきた人物であることが分かります。
2026年8月10日時点で公開情報から確認できる範囲を整理すると、次のようになります。
一方、生年月日、年齢、出身地、学歴などについては、現時点で信頼できる公開資料から確認できません。
そのため、ネット上の断片的な情報だけをもとに年齢や経歴を推測するのは避けた方がよいでしょう。
「谷中」という名字は「やなか」と読むケースもあるため、今回の騒動でも「やなか こうすけ」と紹介されることがあります。
しかし、谷中康亮氏について確認できるドローン関連の公開ページでは、
「谷中 康亮(タニナカ コウスケ)」
と明記されています。
そのため、今回の人物については「たになか こうすけ」と読むのが適切と考えられます。
谷中氏について調べると、花火大会以前からドローン関連の活動に携わっていたことを示す公開情報が確認できます。
あるドローン事業関連ページでは、自治体の防災訓練への参加やドローン操縦者の養成などを紹介するページに、
「担当 谷中 康亮(タニナカ コウスケ)」
として名前が掲載されています。
さらに、SNS上には「株式会社DIS 代表取締役 谷中康亮」という名称のアカウントがあり、神戸市でドローンスクールをはじめ、ドローンを利用した測量、壁面調査、植物の活性調査、水中ドローンによる船底調査、水中3Dデータ作成、ソフト開発などを行っていると紹介されています。
少なくとも公開情報を見る限り、谷中氏はドローンを中心とした技術系事業に以前から関わってきた人物とみられます。
谷中氏との関係が確認できるのが株式会社DISです。
「株式会社DIS」という法人自体は実在します。
経済産業省の法人情報サイト「Gビズインフォ」では、株式会社DISは法人番号6140001111231として登録され、本店所在地は兵庫県神戸市北区となっています。
また、公開されている社会保険の適用事業所情報では、被保険者数2人と掲載されています。
一方、Gビズインフォの公開情報では代表者名欄が空欄となっているため、この政府データだけから谷中氏が現在の代表取締役であると断定することはできません。
ただし、「株式会社DIS 代表取締役 谷中康亮」を名乗る公開SNSアカウントが存在しており、谷中氏と株式会社DISとの関係を示す情報は確認できます。

谷中氏について調べるうえで、非常に興味深い公的資料があります。
それが滋賀県教育委員会の公式ホームページです。
2026年5月に掲載された滋賀県立高島高校の記事では、同校の科学探究部が水中ドローンを使って琵琶湖を調査した様子が紹介されています。
その中で谷中氏は、
「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会代表の、谷中康亮氏」
として紹介されています。
さらに記事によると、谷中氏は、自身が行うドローン関連事業を高島高校でも活用できないかと考えて学校を訪問し、水中ドローンを使ったフィールドワークを支援したとされています。
つまり、少なくとも2026年5月の時点で、谷中氏は滋賀県内で実際に活動しており、県教育委員会の公式サイトでも「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会代表」として認識されていたことになります。
滋賀県教育委員会の記事を見ると、谷中氏が高島市や琵琶湖を題材とした地域活動にも関心を持っていたことがうかがえます。
水中ドローンを利用して琵琶湖を調査し、その映像やデータを地域コンテンツなどに活用することを考えていたようです。
そのため、谷中氏が突然滋賀県に現れ、まったく地域との接点がない状態で花火大会を企画した人物だった、というわけではなさそうです。
ここで大きな疑問が出てきます。
ドローン事業の経験があることと、巨大な花火大会を運営できることはまったく別だからです。
「琵琶湖三市同時花火大会」は、長浜・彦根・高島という離れた3地域で同日に花火を打ち上げ、3市合計で1万発以上という大規模な計画でした。
さらに、各会場には有料観覧席を設置し、ナイトマーケットなども開催すると宣伝されていました。
この規模のイベントを実施するためには、花火業者だけでなく、警察、消防、自治体、警備会社、交通事業者、土地所有者、出店者など、多数の関係者との調整が必要になります。
しかし、今回確認できた公開情報では、谷中氏についてドローン関連の事業歴は確認できる一方、過去に数万人規模の花火大会を主催した実績や、大規模イベントを運営した具体的な実績は確認できませんでした。
ここは今回の騒動を考えるうえで非常に重要なポイントです。

当然ながら疑問になるのが、なぜ谷中氏が「3市同時」という非常に大規模な花火大会を企画したのかという点です。
1つの市で開催する花火大会でも、会場の確保、火薬類の使用に関する手続き、警備、交通規制、観客の誘導など多くの準備が必要です。
それを長浜・彦根・高島の3か所で同日に行うとなれば、通常の花火大会よりはるかに複雑な運営体制が求められることになります。
ところが、開催予定日が近づく中で自治体が大会への関与を否定し、必要な準備状況にも疑問が浮上しました。
最終的には主催者自身が「開催日までに必要な準備・運営体制を整えることが困難」と判断し、大会中止を発表しています。
この経緯を見ると、そもそも当初の計画が現実的な運営能力や体制に見合ったものだったのか、という疑問は残ります。
一方で、「自治体に何も知らせず勝手に企画した」という単純な話でもないようです。
報道によると、長浜市は2025年12月と2026年1月に主催者側から開催について相談を受けていたとされています。
その際、市側は警察や消防など関係機関への必要な手続きを進めるよう伝えていたとされています。
つまり、少なくとも大会について自治体へ事前相談を行った形跡はあります。
ただし、自治体に相談したことと、自治体が主催・共催・後援していることはまったく別です。
実際、彦根市は大会について「彦根観光協会および彦根市は関係していない」と公式に発表しています。
長浜市も「琵琶湖三市同時花火大会」は市が主催・共催する花火大会とは別のイベントだとして、情報の混同や誤認に注意するよう呼びかけました。
今回の騒動では、大会そのものだけでなく、「琵琶湖三市同時花火大会」という名称についても疑問の声が出ています。
一般の人が「三市同時」という名称を見れば、長浜市、彦根市、高島市という3つの自治体が何らかの形で関係するイベントだと受け取る可能性があります。
さらにチケット販売ページでは、「長浜市」「彦根市」「高島市」と市名を使って各会場のチケットが販売されていました。
その一方で自治体側は大会への関与を否定しています。
このギャップが、「自治体が関係する花火大会だと思って購入した人がいたのではないか」「名称が誤認を招かなかったのか」といった疑念につながっています。
もちろん、「三市同時」という名称を使用したことだけで詐欺になるわけではありません。
しかし、購入者にどのような印象を与える名称や宣伝だったのかについては、今後主催者から詳しい説明が求められるポイントの一つでしょう。
琵琶湖三市同時花火大会実行委員会は2026年8月9日、大会の開催中止を正式に発表しました。
主催者は、開催に向けて準備や調整を進めてきたものの、
「開催日までに大会を実施するために必要な準備・運営体制を整えることが困難」
と判断したと説明しています。
延期・振替開催は行わず、今後の開催予定もないとしています。
また、チケット購入者や出店者への対応については、法的専門家に相談しながら内容を確認・整理しているとしています。
大会中止後、公式サイトに掲載されていた事務局所在地についても説明が行われました。
主催者によると、公式サイト等に掲載していた事務局所在地は2026年6月をもって使用を終了していたとのことです。
しかし、所在地情報を更新できておらず、旧所在地がそのまま掲載された状態になっていたと説明しています。
現在、その場所は琵琶湖三市同時花火大会実行委員会の事務局ではなく、直接訪問しないよう呼びかけています。
単に事務所を移転しただけであれば、それ自体が不正を意味するわけではありません。
ただし、高額な有料チケットを販売していたイベントだけに、正確な所在地が掲載されていなかったことが購入者の不信感をさらに強める結果になりました。
今回の騒動を受け、SNSなどでは谷中氏個人について「詐欺ではないのか」といった強い批判も見られます。
しかし、2026年8月10日時点で谷中康亮氏が詐欺事件の容疑者として逮捕された、あるいは捜査機関や司法によって詐欺を行ったと認定されたという事実は確認できません。
したがって、現段階で「谷中康亮氏は詐欺師である」と断定するのは適切ではありません。
イベント運営の準備不足や計画の甘さと、最初から人をだまして金銭を受け取る意図があったという刑事上の詐欺は、分けて考える必要があります。
一方で、谷中氏は実行委員会代表・運営統括責任者として名前を公表しており、実際に有料チケットや出店募集を伴う大会が進められていました。
そのため、主催者側には少なくとも次のような点について詳しい説明が求められるでしょう。
谷中氏や実行委員会に対する評価を考えるうえで、今後特に重要になるのが返金対応です。
大会公式サイトの特定商取引法に基づく表記では、主催者の判断によって大会が中止となり、延期開催も行われない場合にはチケット代金を全額返金すると記載されていました。
今回まさにその状況になったため、今後本当に購入者へ返金が行われるのかが大きな焦点となります。
予定どおり迅速に返金され、主催者側から大会中止までの経緯について詳細な説明が行われるのであれば、「最初からチケット代だけを集める目的だった」とする見方とは大きく異なってきます。
一方で、返金が長期間行われない、主催者と連絡が取れなくなるなどの事態になれば、問題はさらに深刻になるでしょう。
公開情報から確認できる範囲では、谷中康亮氏は「琵琶湖三市同時花火大会」のためだけに突然登場した正体不明の人物というわけではありません。
以前からドローン関連の事業に関わり、水中ドローンなどを利用した活動を行ってきたことが確認できます。
また、2026年5月には滋賀県立高島高校の水中ドローンを利用した探究活動にも関わり、滋賀県教育委員会の公式サイトでも「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会代表」として紹介されていました。
一方で、今回確認した公開情報からは、長浜・彦根・高島の3市で同時に1万発以上を打ち上げるほどの大規模花火大会を過去に運営した実績は確認できません。
そのため今回の騒動では、
「ドローン関連事業を行ってきた人物が、なぜこれほど巨大な花火大会を企画することになったのか」
という疑問が残ります。
大会はすでに中止されましたが、問題が終わったわけではありません。
今後、谷中氏および琵琶湖三市同時花火大会実行委員会から、企画に至った経緯、実際の運営体制、集めた資金の扱い、そしてチケット購入者や出店者への返金について、どこまで具体的な説明が行われるのかが注目されます。
※本記事は2026年8月10日時点で確認できる公的機関、公式サイト、法人情報などの公開情報をもとに作成しています。犯罪行為については捜査機関・司法による認定が確認されていないため、断定的な表現を避けています。
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