サッカー・ワールドカップ2026の日本対ブラジル戦で、試合後に大きな注目を集めた選手がいます。ブラジル代表の背番号9、マテウス・クニャ選手です。
日本は決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、佐野海舟選手の先制点で一時リードしました。しかし後半にカゼミロ選手のゴールで追いつかれ、さらに後半アディショナルタイムにガブリエル・マルティネリ選手に決勝点を許し、1-2で敗れました。
試合終了後、ピッチに座り込んで涙を流す田中碧選手のもとへ、ブラジル代表のクニャ選手が歩み寄りました。勝利した側の選手でありながら、相手選手の頭を包み込むようにして声をかける姿は、多くのサッカーファンの心に残る場面となりました。
田中碧選手は、この試合で途中出場しました。日本は終盤までブラジルを苦しめていましたが、終了間際の失点につながる場面で田中選手がボールを失ったこともあり、試合後は強い悔しさを隠せない様子でした。
その田中選手に声をかけたのが、ブラジルのマテウス・クニャ選手でした。クニャ選手は試合後、日本代表について非常に高く評価し、田中選手が日本代表に大きく貢献してきたことを思い出してほしかった、という趣旨の説明をしています。
特に印象的だったのは、クニャ選手が単なる慰めの言葉ではなく、田中選手のこれまでの努力や日本代表での存在感に触れていた点です。負けた直後の選手にとって、結果だけで自分を責めてしまう瞬間はあります。クニャ選手は、そうした悔しさの中にいる田中選手に対して、「この一試合だけで自分の価値を決める必要はない」と伝えるような振る舞いを見せました。
ただし、クニャ選手の試合後の行動には別の側面もありました。報道では、田中選手を慰めた一方で、日本ベンチに向けて5本指を立てる場面もあったとされています。これはブラジルがワールドカップで5回優勝していることを示すジェスチャーと受け止められ、賛否を呼びました。
この二つの行動は、一見すると矛盾しているようにも見えます。しかし、クニャ選手の人物像を考える上では重要です。相手選手の悔しさには寄り添う一方で、ブラジル代表としての誇りを強く持ち、挑発的な言葉や態度には感情を見せる。そこには、優しさと闘争心が同居する南米のストライカーらしい一面が表れています。

| 名前 | マテウス・サントス・カルネイロ・ダ・クニャ |
|---|---|
| 登録名 | マテウス・クニャ |
| 生年月日 | 1999年5月27日 |
| 出身地 | ブラジル・パライバ州ジョアンペソア |
| 国籍 | ブラジル |
| ポジション | フォワード |
| 所属クラブ | マンチェスター・ユナイテッド |
| 代表での特徴 | センターフォワード、セカンドトップ、左サイドでもプレーできる万能型アタッカー |
マンチェスター・ユナイテッド公式プロフィールでは、クニャ選手は1999年5月27日生まれ、ブラジル・ジョアンペソア出身のフォワードと紹介されています。2025年6月12日にマンチェスター・ユナイテッドに加入し、クラブでは背番号10を背負っています。

クニャ選手は、ブラジル北東部のジョアンペソアやレシフェで育ち、幼いころからフットサルに親しみました。その後、ブラジル国内のクラブを経て、10代でヨーロッパへ渡ります。最初に本格的なプロキャリアを築いたのはスイスのシオンでした。
18歳でブラジルを離れ、スイスへ移籍する決断は簡単なものではありません。しかし、クニャ選手はそこで結果を残し、ドイツのRBライプツィヒへステップアップしました。ライプツィヒ時代にはスピード、推進力、攻撃的なセンスを評価され、ドイツ国内でも将来性の高いアタッカーとして注目されるようになります。
その後はヘルタ・ベルリンへ移籍し、さらにスペインのアトレティコ・マドリードでもプレーしました。ディエゴ・シメオネ監督のもとで戦術的な強度を学び、前線からの守備、球際の強さ、相手DFとの駆け引きにも磨きをかけていきます。
クニャ選手のキャリアを語る上で欠かせないのが、東京五輪での活躍です。2021年夏、ブラジル代表の一員として東京五輪に出場し、決勝では横浜で行われたスペイン戦で先制点を決めました。ブラジルはこの試合に2-1で勝利し、金メダルを獲得しています。
今回、クニャ選手が日本代表の成長に敬意を示した背景には、日本で開催された東京五輪での経験も関係していると考えられます。彼にとって日本は、国際舞台で大きな成功を収めた場所でもあります。
クニャ選手はその後、イングランドのウルバーハンプトン、通称ウルブスへ移籍しました。ここで彼はプレミアリーグの激しい当たりや速い展開に適応し、チームの攻撃を引っ張る存在となります。
マンチェスター・ユナイテッド公式サイトは、ウルブス時代のクニャ選手について、強い個性と技術でイングランドのファンに印象を残したと紹介しています。2024-25シーズンにはプレミアリーグで15得点を挙げ、マンチェスター・ユナイテッド移籍につながる評価を高めました。
2025年、クニャ選手はマンチェスター・ユナイテッドへ加入しました。ブラジル代表の前線を担う選手が、世界的な人気クラブでプレーすることになり、注目度はさらに高まります。
マンチェスター・ユナイテッドでは背番号10を着けていますが、ブラジル代表では9番を背負う場面がありました。ブラジル代表の9番は、ロナウドをはじめとする偉大なストライカーの記憶と結びつく特別な番号です。その重みを背負うクニャ選手には、得点だけでなく、前線でチームを動かす役割も求められています。
クニャ選手は、典型的なゴール前専門のストライカーというよりも、幅広く動いて攻撃に関わる万能型のフォワードです。センターフォワードとして中央でプレーするだけでなく、左サイドやセカンドトップの位置に流れながら、ドリブル、パス、シュートのすべてでチャンスを作ることができます。
大きな特徴は、ボールを持ったときの力強い推進力です。相手DFを背負ってキープするだけでなく、前を向いた瞬間に一気に加速し、相手の守備ラインを乱すことができます。また、ゴール前では冷静さもあり、強引な突破と繊細なフィニッシュを使い分けられる選手です。
さらに、感情を前面に出すタイプでもあります。喜びを爆発させる姿、相手に向かって闘志を示す姿、そして田中碧選手に寄り添う姿。どれもクニャ選手の一部です。サッカーを単なる技術だけでなく、感情のぶつかり合いとして表現する選手だといえます。
クニャ選手が田中碧選手に声をかけた理由は、同じプレミアリーグで戦う選手としての敬意もあったと考えられます。田中選手はリーズ・ユナイテッドに所属し、クニャ選手はマンチェスター・ユナイテッドでプレーしています。両者はイングランドで同じ舞台に立つ選手同士です。
また、クニャ選手は日本代表について、世界でも高く評価されるチームになっているという趣旨の発言をしています。これは単なる社交辞令ではなく、ブラジルを最後まで苦しめた日本の戦いぶりを踏まえた言葉だったといえるでしょう。
ワールドカップの決勝トーナメントで、ブラジルを相手に先制し、終盤まで互角に近い戦いを演じた日本代表。その中心で戦ってきた田中碧選手に対し、クニャ選手は敗戦直後の悔しさだけでなく、ここまで積み重ねてきたものにも目を向けてほしかったのかもしれません。
ブラジル代表の9番は、特別な番号です。ロナウド、アドリアーノ、ガブリエウ・ジェズス、リシャルリソンなど、時代ごとに多くのストライカーがこの番号に注目を集めてきました。
クニャ選手は、単に点を取るだけの選手ではありません。前線でボールを引き出し、味方を生かし、守備にも関わり、感情面でもチームにエネルギーを与えるタイプです。ブラジル代表の9番として求められるものは大きく、その重圧は簡単ではありません。
それでも、今回の日本戦後の振る舞いを見ると、クニャ選手が勝利だけでなく、相手への敬意やサッカーという競技そのものへの思いを持っていることが伝わってきます。一方で、5本指のジェスチャーのように、ブラジル代表の誇りを強く表に出す場面もある。そこに、彼の複雑で人間味のある魅力があります。
ブラジル代表のマテウス・クニャ選手は、1999年生まれのフォワードで、シオン、RBライプツィヒ、ヘルタ・ベルリン、アトレティコ・マドリード、ウルブスを経て、現在はマンチェスター・ユナイテッドでプレーしています。東京五輪ではブラジルの金メダル獲得に貢献し、2026年のワールドカップではブラジル代表の重要なアタッカーとして存在感を示しています。
日本対ブラジル戦後、涙を流す田中碧選手に寄り添った場面は、クニャ選手の優しさと相手への敬意を象徴するものでした。一方で、ブラジルの誇りを示す熱い振る舞いもあり、彼が単なる好青年ではなく、強烈な勝負師でもあることが分かります。
ブラジル9番クニャ選手は、技術、身体能力、感情表現、そして人間味をあわせ持つ現代的なフォワードです。今回の田中碧選手との場面は、勝者と敗者を超えて、サッカーが持つ深いドラマを感じさせる瞬間でした。