「AYA世代」という言葉を、医療やニュース、がんに関する記事などで見かけることがあります。読み方は「アヤ世代」です。
AYA世代とは、英語のAdolescent and Young Adultの頭文字を取った言葉で、日本語では思春期・若年成人を意味します。一般的には、15歳から30歳代、特に医療分野では15歳から39歳くらいまでの世代を指して使われます。
この年代は、進学、就職、恋愛、結婚、妊娠・出産、子育て、キャリア形成など、人生の大きな節目が重なる時期です。そのため、病気や治療、生活上の問題が起きた場合、子どもとも高齢者とも違う特有の悩みを抱えやすい世代といえます。
AYA世代は、一般的に「アヤ世代」と読みます。
AYAは、次の英語の略です。
つまり、AYA世代とは、子どもから大人へ移り変わる時期と、社会の中で自立していく若い成人期を含む言葉です。
単に「若者」という意味ではなく、人生の重要な選択が集中する時期にある人たちを指す言葉として使われます。

AYA世代の年齢範囲は、使われる分野や機関によって少し表現が異なることがあります。
日本では、医療分野、特にがん医療の文脈で、15歳から39歳をAYA世代とすることが多くあります。一方で、「15歳から30歳代まで」と説明されることもあります。
| 区分 | おおよその年齢 | 特徴 |
|---|---|---|
| 思春期 | 15歳前後から | 中学生・高校生・大学生など、学校生活や家族との関係が大きい時期 |
| 若年成人 | 20代から30代 | 就職、結婚、妊娠・出産、キャリア形成などが重なる時期 |
| AYA世代 | 主に15歳から39歳 | 子どもと大人の両方の課題を持ちやすい世代 |
厳密に「何歳から何歳まで」と決まっているというより、思春期から若い成人期にかけての世代をまとめて表す言葉と考えるとわかりやすいでしょう。

AYA世代という言葉が注目されるようになった背景には、この年代特有の生活環境があります。
たとえば、10代では学校生活、受験、友人関係、部活動などが大きな意味を持ちます。20代になると、進学、就職、転職、恋愛、結婚など、将来に関わる選択が増えていきます。30代では、仕事上の責任、妊娠・出産、子育て、住宅、家計などの問題が重なることもあります。
つまり、AYA世代は、人生の土台を作っている途中の世代です。
そのため、病気や治療、長期療養などが必要になった場合、単に体の問題だけでなく、学業、仕事、収入、家族、将来設計などに大きな影響が出ることがあります。

日本で「AYA世代」という言葉がよく使われるのは、特にがん医療の分野です。
AYA世代のがんは、小児がんと成人のがんの両方の特徴を持つことがあります。10代では、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、骨や軟部組織の腫瘍など、小児にも見られるがんが多くなる傾向があります。
一方、20代、30代になると、甲状腺がん、乳がん、子宮頸がん、胃がん、大腸がんなど、成人に多いがんも見られるようになります。
このように、AYA世代のがんは、年齢によって多い種類が変わるという特徴があります。
また、AYA世代のがん患者は、高齢者のがん患者に比べると人数が少ないため、同じ年代の患者と出会いにくいという問題もあります。そのため、「自分と同じ立場の人が少ない」「相談できる相手がいない」と感じやすいことがあります。
AYA世代は、子どもでも高齢者でもない中間の年代です。そのため、医療や支援の面でも、見落とされやすい課題があります。
10代や学生の場合、治療や通院によって学校を休まなければならないことがあります。
授業の遅れ、受験、進学、友人関係、部活動などへの影響は、本人にとって大きな不安になります。
特に思春期は、友人との関係や学校での居場所がとても重要な時期です。病気によって学校生活から離れることは、体だけでなく心にも大きな負担となることがあります。
20代、30代では、就職、転職、昇進、独立など、仕事上の大切な時期と重なることがあります。
治療のために休職が必要になったり、働き方を変えなければならなかったりすると、収入や将来のキャリアに不安を感じることがあります。
また、若い世代では貯蓄がまだ十分でない場合も多く、医療費や生活費の負担が重く感じられることもあります。
AYA世代は、恋愛や結婚を考える人も多い時期です。
病気のことを相手にどう伝えるか、将来の生活をどう考えるか、治療による外見や体調の変化をどう受け止めるかなど、非常に個人的で繊細な悩みが生まれることがあります。
周囲からは「若いから大丈夫」と言われることもありますが、本人にとっては将来に関わる大きな問題です。
AYA世代では、妊娠や出産を考える時期と治療が重なることがあります。
特にがん治療では、治療内容によって将来の妊娠や出産に影響する可能性があります。このような問題は妊よう性と呼ばれます。
妊よう性とは、妊娠する力や、妊娠に関わる体の機能のことです。
治療を始める前に、将来の妊娠・出産への影響について医師に相談することが大切です。場合によっては、精子、卵子、受精卵、卵巣組織などの保存が検討されることもあります。
治療によって、髪の毛が抜けたり、体重が変化したり、肌や爪に変化が出たりすることがあります。
AYA世代は、学校、職場、友人関係、恋愛など、人との関わりが多い時期です。そのため、外見の変化が精神的な負担につながることがあります。
医療用ウィッグ、帽子、メイク、服装の工夫など、外見を支えるサポートも重要です。
AYA世代の患者は、同じ年代の患者と出会いにくいことがあります。
小児病棟では年下の子どもが多く、成人病棟では高齢の患者が多い場合、自分だけが取り残されたように感じることがあります。
また、友人たちが進学、就職、結婚、出産など人生を進めているように見える中で、自分だけが治療や療養に向き合っているように感じ、孤独感が強くなることもあります。
AYA世代に必要な支援は、病気を治療する医療だけではありません。
学校生活、仕事、家族、将来設計、お金の問題、心のケアなど、生活全体を支える視点が必要です。
AYA世代の病気では、小児科、成人診療科、がん専門医、看護師、薬剤師、心理士、ソーシャルワーカーなど、さまざまな専門職の連携が大切です。
年齢や病名だけでなく、本人の生活状況や希望に合わせて治療方針を考えることが重要になります。
学生の場合は、学校と相談しながら、出席、課題、試験、進学などについて調整する必要があります。
治療中でも学びを続けられるように、オンライン授業、課題提出、院内学級、特別な配慮などが検討されることもあります。
働いている人の場合は、休職制度、傷病手当金、時短勤務、在宅勤務、復職支援などを確認することが大切です。
本人が一人で抱え込まず、医療ソーシャルワーカーや相談支援センターに相談することで、利用できる制度が見つかることもあります。
AYA世代では、病気そのものへの不安だけでなく、将来への不安、周囲との差、恋愛や結婚への不安、家族に迷惑をかけているのではないかという思いなど、複雑な悩みが重なりやすくなります。
そのため、心理士やカウンセラー、患者会、同世代の交流の場など、気持ちを話せる場所が大切です。
つらさを言葉にすることは、弱さではありません。治療や療養を続けるための大切な支えになります。
AYA世代の人が病気になったとき、家族や友人、職場の人は、どう接すればよいのか悩むことがあります。
大切なのは、本人の気持ちを決めつけないことです。
「若いから大丈夫」「前向きに考えよう」といった言葉が、かえって本人を苦しめることもあります。励ましたつもりでも、本人は「不安を話してはいけない」と感じてしまうかもしれません。
まずは、本人が話したいときに話せる雰囲気を作ることが大切です。
また、病気のことだけでなく、学校、仕事、将来、恋愛、家族のことなど、本人が大切にしている生活全体に目を向けることも重要です。
AYA世代という言葉を知ることには、大きな意味があります。
それは、若い世代が抱える病気や生活上の問題を、「若いから大丈夫」「まだ若いから何とかなる」と片づけないためです。
15歳から39歳という時期は、人生の基盤を作る大切な時期です。そこに病気や治療が重なると、本人の人生設計に大きな影響を与えることがあります。
AYA世代という言葉は、若い人たちが抱える特有の悩みを社会全体で見えるようにするための言葉でもあります。
AYA世代とは、Adolescent and Young Adultの略で、思春期・若年成人を意味します。日本では主に15歳から30歳代、特に医療分野では15歳から39歳くらいまでの世代を指して使われます。
この世代は、進学、就職、恋愛、結婚、妊娠・出産、子育て、キャリア形成など、人生の大きな出来事が重なる時期です。
そのため、病気や治療による影響は、体だけでなく、心、生活、将来設計にも広がります。
AYA世代という言葉は、若い世代が抱える特有の悩みを理解し、一人ひとりに合った支援を考えるために重要な言葉です。
本人だけでなく、家族、友人、学校、職場、医療者、社会全体がAYA世代の特徴を理解することで、より適切な支援につながっていきます。