高市早苗首相の台湾有事発言をきっかけに日中関係が緊張する中、もう一つ注目を集めているのが
「上野動物園のパンダ返還」
という話題です。
2025年6月に和歌山・アドベンチャーワールドの4頭が中国へ返還されたことで、日本に残るジャイアントパンダは上野動物園の双子2頭だけとなりました。 そしてその双子、シャオシャオ(雄)とレイレイ(雌)にも、返還期限が目前に迫っています。
この記事では、
を、事実と見通しを整理しながら解説します。
上野動物園で飼育されているパンダは、
の双子2頭です。
2頭は2021年6月23日に上野動物園で生まれた日本育ちのパンダですが、返還期限は2026年2月20日と定められています。
返還まで残り数か月ということもあり、
といった声が再び高まっています。
双子の両親である
は2011年2月に来日し、上野の人気者として長年親しまれてきました。
しかし高齢期に入り、健康上の理由から両国専門家の協議を経て、2024年9月29日に中国へ返還されています。
つまり、上野でパンダを見ることができるのは、今はこの双子2頭だけ、という状態です。
「日本で生まれたのに、なぜ中国へ返す必要があるの?」 この疑問は毎回、返還の時期になると大きく話題になります。
ポイントは、パンダの所有権と貸与の仕組みにあります。
現在、海外の動物園にいるパンダは、すべて
で飼育されています。
貸与された親パンダだけでなく、その期間に海外で生まれた子パンダの所有権も中国側に帰属するというのが国際的なルールです。
したがって、たとえ日本で生まれ、日本で育った双子でも、法的には“中国のパンダ”という位置づけになります。
中国側は世界のパンダ保護・繁殖を一元的に管理しており、
のため、海外で生まれた子パンダを
「繁殖可能な年齢に入る前(おおむね2〜4歳)に中国へ戻す」
という運用をしています。
シャオシャオとレイレイが4歳になる前の2026年2月20日が返還期限になっているのは、この方式に沿ったものです。
パンダの返還・貸与は、単純な動物取引ではありません。 必ず背景にあるのが、いわゆる**「パンダ外交」**です。
中国ではパンダは国家的保護動物であり、国外に貸し出すこと自体が
と位置づけられています。
そのため、
という側面が否定できません。
今回、
で日中関係がこじれる中、
「中国が“日本への新規パンダ貸与を見送るのではないか”」
という見方が国内外で取り沙汰されています。
シャオシャオとレイレイが返還されるだけでなく、
可能性が出てきたため、
「日本がゼロパンダになる危機」
が現実味を帯びてきたわけです。
貸与協定には返還期限が明記されていますが、過去には
が行われた例もあります。
ただし2025年11月時点では、
と伝えられており、延長・追加貸与の見通しは立っていません。
パンダは上野動物園にとって
であり、東京都や関係者が
を模索しているのは確実です。
しかし、最終決定権は中国側にあり、外交状況と連動するため、
「交渉している=必ず来る」
とは言い切れません。
パンダは単なる人気動物ではなく、
を大きく左右する存在です。
過去の返還時には
といった現象が起きています。
ゼロパンダが現実になれば、
にも一定の影響が出ると考えられます。
日本ではパンダは半世紀以上、
として親しまれてきました。
だからこそ、
という感情も強く出ます。
この“喪失感”は、返還のたびに日中関係の空気にも影響を与えるほど大きな要素です。
パンダ返還は、
「可愛い双子との別れ」
であると同時に、
「日中関係の温度差を映し出す鏡」
でもあります。
2026年2月までの残された時間が、
その答えは、動物の問題だけではなく、外交の現実に左右される局面に入っていると言えるでしょう。