Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

ピッチコムの値段

ピッチコムの値段

ピッチコム-プロからアマチュアまでコスト

近年のMLBやWBCの中継で耳にすることが増えた「ピッチコム(PitchCom)」。

前回の記事では仕組みや使い方を紹介しましたが、野球好きの多くが一番気になるのはやはりこのポイントではないでしょうか。

「ピッチコムって、いったいいくらするの?」

ニュースを見ていると、メジャーのピッチャーや捕手が当たり前のように使っていますが、

  • 1台いくらぐらいなのか
  • チームでそろえると総額どのくらいになるのか
  • 日本のアマチュアチームでも手が届く価格なのか

といった疑問がわいてきます。

本記事では、公開されている情報や公式サイトの価格をもとに、ピッチコムの値段の「目安」を整理しつつ、プロチームとアマチュアチーム、それぞれの導入コストのイメージをていねいに解説します。

※金額は記事執筆時点の情報と為替レートをもとにした目安です。実際の契約条件やレートによって変動します。


1. ピッチコムは「買い切り」ではなくリースが基本

まず押さえておきたいのは、ピッチコムが一般的な家電のように「1台いくらで購入」というスタイルではなく、

年間契約(サブスクリプション/リース)方式 が基本になっている点です。

公式サイトを確認すると、

  • 4ピース構成のキット
  • 8ピース構成のキット

といった形で、チーム向けに「セット+年間料金」で提供されています。料金はドル建てで提示されており、たとえば一部のパートナー向けプランでは、

  • 4ピースのオーディオシステム:年額1,600ドル(2年契約が前提)
  • 8ピースのオーディオシステム:年額3,200ドル(2年契約が前提)

といった金額が公表されています。

1ドル=約150円でざっくり計算すると、

  • 4ピース:年間約24万円、2年間で約48万円
  • 8ピース:年間約48万円、2年間で約96万円

というイメージです。

もちろん、これは一例であり、

  • 契約する団体(リーグや連盟)
  • セット内容(受信機の数など)
  • サポートやアップデートの条件

によって金額は変わる可能性がありますが、**「1セットで数十万円クラス」**という大まかなレンジ感は見えてきます。


2. MLBチームが使うフルセットはいくらぐらい?

次に気になるのが、MLB球団クラスになると「どのくらいの規模・金額」になるのか、という点です。

残念ながら、MLBとピッチコム社との具体的な契約金額は公表されていません。ただし、いくつかの報道やリーグのメモから、ある程度の水準は推測できます。

2-1. 紛失時の「1台あたり5,000ドル」ルール

MLBが各球団に通知したメモの中には、

・送信機や受信機を紛失した場合、1台につき5,000ドルを球団に請求する

という趣旨の記載があります。

5,000ドルというと、1ドル=150円換算で約75万円です。これはあくまで「紛失時のペナルティ価格」ではありますが、

  • それだけ高価な機器である
  • 1台あたりの価値がかなり大きい

ということがわかります。

2-2. 球団全体で見ると「数百万円〜」の世界

MLB球団は、

  • 投手・捕手用の受信機
  • 内野・外野のキーとなる野手用受信機
  • 予備機
  • 複数の送信機

をそろえる必要があります。仮に、

  • 本番用+予備で合計10〜20台程度の受信機
  • 送信機を数台

を用意しているとすれば、紛失ペナルティ価格ベースで考えても、フルセットでは数百万円以上の価値があると見ておくのが自然でしょう。

実際にはリーグ向けの契約や一括導入によるディスカウントも考えられるため、球団が支払っている正確な金額は外部からはわかりません。しかし、

「個人で気軽に買える価格帯ではなく、完全にプロ球団向けの設備投資レベル」

というイメージを持っておくと現実に近いと考えられます。


3. 日本のアマチュアチームが導入する場合の費用感

では、日本の高校野球・大学野球・社会人・クラブチームなどがピッチコムを導入したい場合、どのぐらいのコストを覚悟する必要があるのでしょうか。

3-1. 公式サイトの「アマチュア向けプラン」の目安

前述した通り、ピッチコムは公式サイトでアマチュア向けのプランも用意しており、

  • 4ピースのキット:年額1,600ドル
  • 8ピースのキット:年額3,200ドル

といった価格帯が公表されています。

1ドル=150円で試算すると、

  • 4ピース → 年間約24万円
  • 8ピース → 年間約48万円

です。例えば、

  • キャッチャー1人+投手2人+内野のキープレーヤー1人

といった運用であれば4ピースのキット、

  • 投手陣複数名+捕手2人+内野・外野の要となる選手

といった形で幅広く使うなら8ピース、といったイメージになります。

3-2. 「約70万円程度」という日本語情報の背景

日本語の解説記事やブログでは、

「メジャーで使われているピッチコムは一式でおよそ70万円前後」

といった記述が見られることがあります。これは、

  • 公式のドル建て価格
  • 当時の為替レート
  • 受信機や送信機の数

などを加味した「ざっくりした目安」と考えるのがよいでしょう。

いずれにしても、

高校や大学の1チームが気軽に“お試し”で導入するには、かなりハードルの高い金額

であることは間違いありません。


4. 個人で購入できる? 日本からの入手性

4-1. 基本的には「チーム単位・団体単位」の契約

ピッチコムは、

  • MLB球団
  • 各種リーグ・連盟
  • 学生野球やクラブチーム

といった「チーム」や「団体」を想定した製品です。公式サイトのフォームも、

チーム名や団体名を記入して問い合わせる形式

になっており、一般的な通販サイトのように「カートに入れて個人購入」というスタイルではありません。

そのため、

  • 個人で自分の練習用に1台だけ買う
  • 少人数の草野球チームで“ちょっと試したい”

といったニーズには、あまりフィットしていないのが実情です。

4-2. 日本語サポートや国内代理店の状況

2025年時点では、

  • 日本語で気軽に問い合わせできる国内代理店
  • 日本の量販店やネットショップでの一般販売

といった形はまだ一般的ではなく、導入には一定のハードルがあります。

そのため、日本国内で本格的にピッチコムを使いたい場合は、

  • 大学野球部や社会人野球チームが予算を組んで導入する
  • 独立リーグやプロ球団が先行導入する

といったルートが現実的です。


5. ピッチコムが高いと感じるチーム向けの代替案

「便利なのは分かるけれど、年数十万円〜百万円単位はさすがに厳しい」というチームも多いはずです。

そうした場合の選択肢として、

  • スマホアプリ+Apple WatchやBluetoothイヤホンを組み合わせた“自作ピッチコム風システム”
  • 従来型のサイン交換(指サイン)を工夫し、盗まれにくいパターンを増やす

といった方法が考えられます。

実際、Apple Watchを使ってピッチコム風の仕組みを実現するアプリを開発している事例もあり、その紹介の中で「本家ピッチコムは一式で数十万円と高額なので、より安価な選択肢として…」という位置づけがされています。

もちろん、公式のピッチコムと比べると、

  • セキュリティ(盗聴・不正アクセス対策)
  • 信頼性(電波干渉への強さ)
  • サポート体制

といった面で差はありますが、予算が限られたチームにとっては現実的な代替案になり得ます。


6. まとめ:ピッチコムの値段は「プロ仕様の投資」レベル

最後に、この記事で紹介した内容を整理しておきます。

  • ピッチコムは買い切りではなく年間契約(リース)方式が基本
  • 公式サイトの一例では、
    • 4ピースキット:年額1,600ドル(2年契約)
    • 8ピースキット:年額3,200ドル(2年契約)
  • 為替レートによりますが、1セットで数十万円クラスの投資になる
  • MLB球団レベルでは、複数の受信機・送信機・予備機を含めると、数百万円規模の設備投資と考えられる
  • 日本のアマチュアチームが導入するにはまだハードルが高く、代替としてスマートウォッチ系のアプリなどを使うケースも出てきている

ピッチコムは、単に「ちょっとした便利グッズ」というレベルではなく、

チーム全体の戦略やテンポ、そしてサイン盗み対策まで含めて変えていく“野球のインフラ”

ともいえる存在です。

その分、値段もプロ仕様ですが、今後普及が進むことで、より安価で手に取りやすいプランが登場してくる可能性もあります。これからの数年で、国内外の野球界がどのようにピッチコムを取り入れていくのか、価格の動きと合わせて注目していきたいところです。

 

Leave a Reply