自民党総裁に就任された高市早苗氏に関して、「BL(ボーイズラブ)作品が規制されるのではないか」という憶測や誤情報が、特にインターネット上の創作ファンコミュニティで大きな懸念として広がりを見せています。
この情報に対し、結論から述べると、高市氏が特定の創作ジャンルであるBLを名指しで規制する具体的な政策を発表したり、明確な方針を打ち出したりした事実は、現時点(2025年10月)で一切確認されていません。
なぜこのような情報が広がり、どのような背景があるのか、そして、日本の「表現の自由」と政治家の関わりについて、ファクトチェックと背景解説を通じて深く掘り下げます。
高市氏と「表現規制」というイメージを結びつける主な要因は、彼女の過去の活動や発言であり、これらが誤解や切り取りによって拡散された結果だと考えられます。
最も大きな誤解の種となっているのは、高市氏が過去に自民党の「青少年特別委員会」の委員長などを務め、青少年を性的な有害情報から守るための法整備に関わってきた経緯です。
総務大臣在任中、高市氏は、放送局が「政治的公平性」を欠いた放送を繰り返した場合、電波停止の可能性があり得ると国会で答弁し、一時的に大きな論争を巻き起こしました。
BL作品などの創作物が、高市氏の総裁就任によって直ちに規制されるという懸念は、日本の法制度における「表現の自由」の強力な保障と、現行の規制のあり方を理解することで、過度な不安を抑えることができます。
日本国憲法第21条は、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障しており、検閲はこれを禁じています。政府が特定の作品の内容を事前にチェックし、不許可とするような行為は、憲法で厳しく禁止されています。
創作物への規制は、現行では主に以下の法的枠組みに基づいて行われています。
BL作品には、成人向け(R18)のものと全年齢向けのものがありますが、日本において成人向けの創作物そのものが一律に規制されることはありません。成人向けのBL作品も、一般的な成人向けコミックや映像と同様に、現行法規の枠内で販売・流通されています。
「青少年保護」を目的とした高市氏の過去の活動は、成人向けの表現そのものを規制対象とはしていません。BLを名指しで、またはその表現内容から特別な規制を加える動きは、現在の自民党の政策として確認されておらず、また「表現の自由」との兼ね合いから容易に実現するものではありません。
政治家の発言や行動が、クリエイターやファンが大切にする「表現の自由」と結びついて語られるとき、不安から情報が急速に拡散しがちです。
情報に触れる際は、以下の3つのポイントで冷静に真偽を判断しましょう。
憶測に基づく情報に惑わされず、冷静に情報を検証する姿勢が、創作者とファンコミュニティを守る上で最も重要です。