ロシアの爆撃機・一覧

🇷🇺ロシア軍の爆撃機一覧と解説：戦略から戦術、未来型まで一挙紹介

ロシアは冷戦時代から現在にかけて、多様な爆撃機を開発・配備し、核抑止力や戦術戦力の中核として活用してきました。特にウクライナ戦争以降、戦略爆撃機の運用やその脆弱性が改めて注目されています。さらに近年では、無人機との連携やステルス性能の強化といった次世代戦略も重視されており、航空戦略の転換期を迎えているといえるでしょう。

ロシアの爆撃機開発は、冷戦中のアメリカとの軍拡競争が背景にあり、核兵器搭載能力と地球規模での投射力を追求してきました。ソ連時代には多くの実験的機体も開発され、失敗と成功を繰り返しながら、現在のTu-160やTu-95といった長距離戦略爆撃機の基盤が築かれました。

ソ連崩壊後、ロシアは財政難の中でも軍備の維持と近代化に取り組み、老朽化が進む機体のアップグレードを通じて戦力の維持に努めてきました。2020年代以降は、PAK DAのような次世代ステルス戦略爆撃機の計画も進行しており、再び長距離戦力の再構築に向けて動いています。これにより、ロシアはアメリカのB-21レイダーや中国のH-20に対抗する体制を整えようとしています。

本記事では、ロシアが保有する主要な爆撃機を「現役の戦略爆撃機」「戦術・近接支援機」「退役機や開発中の次世代機」に分類し、それぞれの特徴・歴史・現状についてわかりやすく解説します。初心者にも理解しやすいよう、技術的な用語にも注釈を加えながら、爆撃機の役割やその進化の過程にも焦点を当てていきます。

✈️ Ⅰ. 現役の戦略爆撃機（Strategic Bombers）

🛩 Tu-160 “ブラックジャック”

• 特徴：世界最大の超音速戦略爆撃機、可変翼機構を持つ。
• 用途：核兵器・巡航ミサイル搭載可能。
• 運用状況：近代化型「Tu-160M2」がロシア空軍にて導入中。
• 豆知識：NATOでは“ブラックジャック”と呼ばれる。
• 補足：ロシアの核トライアドの航空戦力を象徴する存在。白く塗られた外装が特徴的。

🛩 Tu-95 “ベア”

• 特徴：大型ターボプロップ4発機、長距離巡航が可能。
• 用途：主に核・巡航ミサイル搭載。
• 初飛行：1952年ながら、近代化され今も現役。
• 戦場：近年のウクライナ空爆でも使用。
• 補足：その巨大なプロペラ音はNATO軍にも知られており、対潜哨戒機としての運用も一部。

🛩 Tu-22M “バックファイア”

• 特徴：可変翼、音速飛行が可能な中距離爆撃機。
• 用途：核ミサイル、対艦ミサイル、通常爆弾など幅広く対応。
• 使用例：ウクライナ紛争、シリア内戦など。
• 補足：空母キラーとも呼ばれるKh-22ミサイルの運用母機。

🪖 Ⅱ. 戦術爆撃機・近接支援機（Tactical Bombers & Ground-Attack Aircraft）

🛩 Su-34 “フルバック”

• 特徴：第4世代戦闘爆撃機、二人乗り、精密誘導兵器に対応。
• 運用状況：ロシア空軍の主力戦術爆撃機。
• 実戦投入：ウクライナ、シリアなど。
• 補足：操縦席が横並びになっているユニークな構造。電子戦任務にも対応。

🛩 Su-24M “フェンサー”

• 特徴：可変翼による低空侵入、高速爆撃に対応。
• 用途：戦術核爆弾から通常爆撃まで。
• 実戦：チェチェン、シリア、ウクライナで多数投入。
• 補足：旧世代機だが、近代化改修により一定の戦力を維持。

🛩 Su-25 “フロッグフット”

• 特徴：A-10に似たコンセプト。装甲が厚く、耐久性に優れる。
• 用途：対地支援、ゲリラ掃討、低空攻撃。
• 実戦：アフガニスタン、ジョージア、現在のウクライナなど。
• 補足：撃墜されても生還できる設計思想が特徴。現地パイロットからの信頼が厚い。

🛑 Ⅲ. 退役済み・旧型爆撃機（Retired Bombers）

🛩 MiG-27 “ファイログ”

• 由来：MiG-23戦闘機の派生型。
• 用途：地上攻撃機。現在はロシアでは退役済。
• 補足：インド空軍での長期使用でも知られる。

🛩 Yak-28 “ブリューワー”

• 特徴：冷戦期の高高度爆撃・電子戦機。
• 現在：退役済み。歴史的遺産として記録に残る。
• 補足：偵察・電子戦・空中早期警戒など多様な派生型があった。

🛩 Il-28 “ビーク”

• 解説：ソ連初のジェット爆撃機。1950年代に活躍。
• 現在：完全退役。中国などで改良版が長く使われた。
• 補足：戦後のソ連軍用機輸出の主力でもあった。

🔭 Ⅳ. 開発中・未来の爆撃機（Next-Generation Projects）

🛩 PAK DA（パク・ダー）

• 内容：Tu-95の後継とされるステルス戦略爆撃機。
• 特徴：亜音速・長距離飛行・核ミサイル運搬が可能。
• 初飛行予定：2025年以降。
• 補足：全翼機型でレーダー反射断面積を最小化。B-2スピリットに類似。

🛩 Su-70 “オホートニク-B”

• 特徴：Su-57と連携可能な大型ステルス無人戦闘機。
• 用途：偵察・爆撃・電子戦などの多用途。
• 補足：将来的には有人機と無人機の混成飛行部隊での運用が見込まれる。

🛩 MiG-41（極超音速母機構想も）

• 用途：迎撃戦闘機として計画されるが、極超音速ミサイルの発射母機としても研究中。
• 補足：マッハ4以上の速度を想定。宇宙空間への到達能力も噂される。

🧨 Ⅴ. 最新トピック：ウクライナによる爆撃機への攻撃

2025年6月、ウクライナ保安庁（SBU）は「スパイダーウェブ作戦」と称し、AI誘導ドローンでロシアの空軍基地を一斉攻撃。Tu-95やTu-22Mなど戦略爆撃機41機が破壊または損傷したと報道されています。

「この攻撃により、ロシアの戦略爆撃機戦力の約34%が戦力外となった」
— The Australian

この事件は、従来の巨大爆撃機がドローンによる非対称戦に対して脆弱であることを示し、ロシアの軍事ドクトリンにも変化を迫っています。

また、ドローン攻撃は高コストな戦略兵器に対して安価な手段でダメージを与えることが可能であり、今後の航空戦略における爆撃機の役割そのものの見直しも始まりつつあります。

✍️ まとめ

ロシアは、世界屈指の爆撃機戦力を保持しており、その種類は戦略爆撃機から近接支援用の攻撃機まで多岐にわたります。しかしながら、現代戦争では小型ドローンや電子戦といった新たな脅威が出現しており、爆撃機の運用にも再定義が求められています。