「小泉八雲の子孫 俳優」というキーワードで検索すると、朝ドラ『ばけばけ』の情報や、八雲ゆかりの地・松江のニュースがたくさん出てきます。
「八雲の子孫に俳優さんがいるの?」「ドラマで八雲を演じている俳優は、本当に子孫なの?」
と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
を、できるだけ分かりやすく整理して解説していきます。
まずは簡単に、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)本人についておさらいしておきます。
その人生は波乱に満ちていますが、日本文化を世界に紹介した人物として、いまも国内外で非常に人気があります。近年は NHK 連続テレビ小説『ばけばけ』のモデルとしても注目されています。
小泉八雲は、松江出身の小泉セツと結婚し、3人の息子と1人の娘に恵まれました。
一般的に紹介される子どもたちは、次の4人です。
現在「小泉八雲の子孫」として名前がよく挙がる方々は、この4人から枝分かれした家系にあたります。
家系図はかなり複雑ですが、ざっくりいうと、
といった方々が、メディアや講演会などで顔出しをしている代表的な子孫です。
小泉凡(こいずみ ぼん)さんは、小泉八雲とセツの「ひ孫」にあたる方です。長男・一雄の家系に生まれ、東京で育ちました。
凡さんは民俗学を専攻し、島根県立大学短期大学部の教授・名誉教授を務めてきました。また、松江市にある「小泉八雲記念館」の館長や顧問を務め、
などを通じて、曾祖父・八雲の魅力を現代に伝える役割を担っています。
近年は、朝ドラ『ばけばけ』の考証にも関わっており、ドラマの制作陣と対談したり、インタビューに応じたりする姿が多く紹介されています。学者でありつつ、テレビや雑誌にも登場する「語り手」としての存在感が非常に大きい子孫と言えるでしょう。
もうひとり、近年よく名前が挙がるのが、守谷天由子(もりや あゆこ)さんです。小泉八雲とセツの次男・稲垣巌の系統にあたり、「玄孫(やしゃご)」に当たる世代の方です。
守谷さんは、
といったテーマを発信しています。
とくに、朝ドラ『ばけばけ』の制作が発表されてからは、「ご先祖様が朝ドラのモデルになる」という極めて珍しい立場から、ドラマへの期待や裏話、関連本の紹介などを積極的に発信し、話題を集めています。
いわゆる「芸能プロダクション所属のタレント」ではありませんが、メディア露出も多く、インフルエンサー的な役割を果たしている子孫です。
ではなぜ、「小泉八雲の子孫 俳優」という検索キーワードが生まれているのでしょうか。
考えられる主な理由は、次の 3 つです。
順番に見ていきます。
2025年後期の NHK 連続テレビ小説『ばけばけ』では、
という人物が登場し、このキャラクターが小泉八雲をモデルにしています。
このヘブン先生を演じているのが、イングランド出身の俳優・ミュージシャン、トミー・バストウさんです。
トミー・バストウさんは日本語も堪能で、過去にも日本の作品に出演してきた俳優ですが、血縁として小泉八雲の子孫というわけではありません。「八雲の役を演じている外国人俳優=子孫なのでは?」と誤解してしまう人がいても不思議ではありませんが、あくまで「役を演じている俳優」です。
もうひとつの要因として、
の存在があります。
村雨さんはスウェーデン生まれで、のちに日本国籍を取得したことで知られるタレント・俳優です。NHK の番組にも多数出演しており、時代劇やドラマでの演技に加え、庭師としての活動でも人気を集めています。
2024年には、島根県松江市の小泉八雲記念館を訪れた様子が紹介され、
「日本に憧れて帰化した」という生き方が、 「日本に魅了されて帰化した」小泉八雲とよく似ている
として話題になりました。そのため「八雲を演じるのは村雨さんが適任では?」という声がネット上で多くあがり、
と誤解してしまう人も出てきたと考えられます。
ただし、現時点で公表されている情報では、村雨辰剛さんと小泉八雲のあいだに血縁関係はありません。あくまでも「生き方が似ている」「日本文化を愛する」という点で重ねて語られている存在です。
さらにややこしくしているのが、
といった形式のイベントです。
たとえば、俳優の佐野史郎さんや宮崎美子さんが八雲作品の朗読を行い、その場に小泉凡さん(ひ孫)が登壇してトークをする、といった企画が各地で開催されています。
こうしたニュースをざっくりと目にしたときに、
と誤解してしまうケースも十分考えられます。
実際には、
という役割分担で同じ舞台に立っていることが多く、血縁ではなく「八雲ファン」「八雲の継承者」として一緒に活動している、というのが実態です。
では、「小泉八雲の血を引き、なおかつ職業が俳優」という人は実在するのでしょうか。
公開されている情報を整理すると、
というのが現状です。
もちろん、芸能プロダクションに所属していない舞台俳優や、インディーズ映画の俳優など、一般にはあまり知られていない形で演技活動をしている子孫が、どこかにいる可能性を完全に否定することはできません。
ただし、
は、現時点では確認できる根拠がなく、「噂レベル」「想像レベル」を出ていないと考えたほうが安全です。
ここまで見てきたように、
は、しばしば同じ場で語られますが、基本的には別々の存在です。
両者の活動が重なり合うことで、
の両方が豊かになり、結果として私たちが小泉八雲を多角的に知ることにつながっています。
「小泉八雲の子孫 俳優」というキーワードには、
といった、視聴者や読者のさまざまな関心が詰まっています。
現時点で分かっていることをまとめると、
というのがポイントです。
朝ドラやイベントをきっかけに、
の両方に注目してみると、小泉八雲という人物が、単なる「怪談作家」ではなく、多文化をつなぐ架け橋として生きたことが、より立体的に見えてきます。
ドラマや作品を楽しみながら、その背後で静かにバトンを受け継いでいる家族や研究者たちの存在にも、少し思いを馳せてみると、八雲の世界はさらに深く味わえるのではないでしょうか。