2026年2月6日、トヨタ自動車は2026年4月1日付の役員人事として、CFO(最高財務責任者)を務める近健太氏が社長・CEOに就任することを正式に発表しました。現社長の佐藤恒治氏は副会長(Chief Industry Officer=CIOを兼任)へとポジションを移し、経営の第一線からは一歩引きつつ、産業界・業界全体を見渡す役割を担うことになります。
この人事は単なるトップ交代ではなく、トヨタが直面するEV化・ソフトウェア化・巨額投資時代を見据えた、明確な戦略的判断として注目されています。
本記事では、近健太氏の学歴およびトヨタ入社後の職歴を、公式プロフィールや公表情報をもとに時系列で詳しく整理します。あわせて、CFO出身者が社長に就任する意味や、トヨタ経営における位置づけについても丁寧に解説します。
1968年生まれの近氏は、いわゆる「団塊ジュニア世代」にあたり、長期的なグローバル競争を見据えた経営を担う世代のトップとしても位置づけられます。
近健太氏の学歴として公表されているのは、東北大学経済学部卒業という経歴です。東北大学は日本有数の国立総合大学であり、経済学部ではマクロ経済、財政・金融、企業経営などを体系的に学ぶ環境が整っています。
学生時代の詳細な研究テーマやゼミについては公表されていませんが、その後のキャリアを見る限り、会計・財務・企業経営を理論と実務の両面から理解する素地を、この時期に築いたと考えられます。
ここからは、トヨタ自動車の公式サイトに掲載されている役員プロフィールをもとに、近健太氏のキャリアを年表形式で整理します。その後、各時期の意味合いについて補足解説を加えます。
| 年月 | 役職・出来事 | 補足(役割・背景) |
|---|---|---|
| 1991年4月 | トヨタ自動車 入社 | 新卒で入社。主に経理・財務系部門を中心にキャリアを形成 |
| 2017年1月 | 経理部 部長 | 単体・連結決算、管理会計などを統括する中核ポスト |
| 2018年6月 | 常務役員 | 役員として経営判断に直接関与 |
| 2018年6月 | 総務・人事本部 副本部長 | 人事・総務を含む管理部門全体にも関与 |
| 2018年6月 | 経理本部 副本部長 | グローバル経理体制の運営を担う |
| 2019年1月 | 先進技術開発カンパニー Executive Vice President | 技術開発部門と経営の橋渡し役 |
| 2019年7月 | 執行役員 | 執行サイドの中枢メンバーに昇格 |
| 2019年7月 | 経理本部 本部長 | トヨタグループ全体の財務・会計を統括 |
| 2020年1月 | 先進技術開発カンパニー Fellow | 技術戦略に深く関与する専門的ポジション |
| 2020年4月 | Chief Financial Officer(CFO) | トヨタ全社の財務責任者に就任 |
| 2021年6月 | 取締役・執行役員 | ガバナンスと執行の両面を担う |
| 2022年4月 | 取締役・執行役員 副社長 | 経営実務の中核として全社運営に関与 |
| 2023年4月 | 取締役 | 取締役として継続 |
| 2023年4月 | Woven by Toyota 代表取締役・CFO | ソフトウェア・先端領域の財務を統括 |
| 2023年10月 | Woven by Toyota 取締役・CFO | 組織再編後も要職として継続 |
| 2025年1月 | トヨタ自動車 執行役員 | 体制変更に伴い役職表記を更新 |
| 2025年4月 | Mobility 3.0 Office担当 | モビリティカンパニー化を推進 |
| 2025年7月 | Chief Financial Officer(CFO) | CFOとして引き続き全社財務を統括 |
| 2026年2月6日 | 社長就任を正式発表 | 4月1日付での就任を公表 |
| 2026年4月1日(予定) | 社長・CEO 就任 | 新経営体制が始動 |
近健太氏のキャリアで際立つのは、経理・財務部門を起点に、段階的に経営中枢へと上り詰めている点です。
特に、
という流れは、トヨタの財務ラインにおける王道ともいえる昇進ルートであり、社内外から高い信頼を得てきたことがうかがえます。
CFO就任後は、為替変動や原材料高、EV投資の増大といった難局に対応しながら、財務健全性と投資余力の両立を図ってきました。
近氏は財務専門家でありながら、
といったポジションを歴任しています。これは、数字だけでなく「人」「技術」「組織変革」を理解する経営者として育成されてきたことを示しています。
特にWoven by Toyotaでの経験は、従来の自動車メーカーとは異なるスピード感や、IT企業的な発想に触れる機会となり、今後の経営にも大きな影響を与えるとみられます。
トヨタは現在、EV・電池・自動運転・ソフトウェアといった分野で、長期かつ巨額の投資競争に直面しています。この局面では、技術力だけでなく、
が経営の成否を左右します。
近健太氏の社長就任は、こうした課題に対し、財務と経営を一体で考えるトップが必要だというトヨタの強い意思表示といえるでしょう。
今後は、豊田章男会長、佐藤恒治副会長とともに、トヨタの次の10年を形づくる中心人物となることは間違いありません。