Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

斉藤健一郎・経歴

斉藤健一郎・経歴

NHK党離脱までの歩みと今後の行方

2025年11月17日、参議院議員の斉藤健一郎(さいとう・けんいちろう)氏が、自身のX(旧Twitter)で「NHKから国民を守る党(以下、NHK党)」からの離党を表明しました。かつては「ホリエモン新党」などの看板で話題を集め、ガーシー元議員の除名を受けた繰り上げ当選で国会入りした人物でもあります。

本記事では、斉藤健一郎氏の生い立ちから飲食店経営者時代、堀江貴文氏との関係、数多くの選挙への挑戦、そして国会議員としての軌跡やNHK党離脱に至るまでの経緯を、時系列で整理して解説します。


プロフィール

まずは、斉藤健一郎氏の基本的なプロフィールを整理します。

  • 氏名:斉藤(齊藤)健一郎(さいとう けんいちろう)
  • 生年月日:1980年12月25日
  • 出身地:兵庫県尼崎市
  • 学歴:奈良産業大学 法学部卒業
  • 前職:飲食店経営(カフェレストラン「aqua」など)
  • 家族:配偶者なし(離婚歴あり)
  • 現職:参議院議員(比例代表・1期)
  • 主な肩書・役職歴:
    • ホリエモン新党 会計責任者
    • 堀江貴文氏の運転手兼秘書(マネージャー)
    • アドベンチャーレース「NISEKO EXPEDITION」創設者
    • 堀江政経塾 塾長

政治家であると同時に、YouTuberとしても活動しており、政治・社会問題に関する動画配信も行ってきました。


少年時代から飲食店経営者になるまで

野球少年としての学生時代

斉藤氏は兵庫県尼崎市の出身で、小学4年生の頃から野球を始めました。高校は野球の強豪として知られる神戸弘陵学園高等学校に進学。その後、野球推薦で奈良産業大学に進学し、法学部に所属します。

大学でも野球部に所属していましたが、途中で退部し、学業とアルバイトに比重を移していきました。卒業後のキャリアや人生の方向性を模索していた時期でもあり、後に政治家になる人物としては、比較的「普通の若者」に近いスタート地点だったと言えるでしょう。

社会人としてのスタートと飲食業界へ

奈良産業大学法学部を卒業したのち、大学時代のアルバイト先のひとつであった兵庫県西宮市のカフェレストラン「aqua(アクア)」に入社します。その後、結婚を機に、クルマ情報誌「Goo」などを手掛けるプロトコーポレーションに転じ、自動車関連の仕事にも関わりました。

しかし、やがて再び飲食業界に戻る決断をします。2005年には、かつて勤めていたカフェレストランaquaを前オーナーから事業承継し、オーナーとして店を切り盛りする立場に転換。2007年には、兵庫県西宮市で株式会社aquaLstyleを設立し、代表取締役に就任します。

飲食店経営を通じて、地元密着型のビジネスや雇用の現場を経験したことは、後に「現場感のある政治」を掲げる際の基盤にもなっています。


政治を志すきっかけ――橋下徹氏への共感

斉藤氏が「政治家を志そう」と明確に決意したきっかけは、28歳の頃に見た当時大阪府知事だった橋下徹氏の政治姿勢と言われています。

「これからの時代、政治家は子どもたちから憧れられる職業になり得る」と考え、「その時代の見本となるような政治家になりたい」と強く思うようになったとされています。飲食店経営を続けながら、政治の世界への道を模索し始めたのがこの頃です。

この段階では、まだ国政レベルの政治家になる具体的なルートは見えていなかったものの、「将来は選挙に出たい」という志を持ち、行動を起こす土台ができあがっていきます。


堀江貴文氏との出会いと「ホリエモン新党」

2018年、飲食事業の売却と「ホリエモンの運転手」に

2018年、斉藤氏は自身が経営していた株式会社aquaLstyleを売却します。その後、友人の紹介を通じて実業家の堀江貴文氏(ホリエモン)と出会い、同氏の運転手兼マネージャーとして活動するようになります。

この「堀江氏の運転手」という立場は、後の政治活動においてもたびたび話題となりました。実際に、のちの選挙での政見放送などでも、「政治家になるために堀江貴文の運転手をやった男」というキャッチフレーズ的な紹介が行われています。

ホリエモン新党の会計責任者として

やがて、堀江氏の周辺で政治プロジェクトが動き出し、「ホリエモン新党」という名称の政治団体が立ち上がります。斉藤氏はこのホリエモン新党で会計責任者を務め、堀江氏の政治的メッセージを世に広める枠組みづくりに関与しました。

この時期から、斉藤氏は「堀江貴文の側近」というイメージとともに世間に知られるようになっていきます。


2020年東京都知事選への挑戦

斉藤健一郎氏が大きく注目を集めたのは、2020年の東京都知事選挙への立候補です。

  • 選挙名:2020年東京都知事選挙
  • 投開票日:2020年7月5日
  • 所属:ホリエモン新党公認、NHKから国民を守る党推薦
  • 結果:5,114票(得票率0.08%)、22人中14位で落選

当時の都知事選には、現職の小池百合子氏をはじめ多くの候補者が乱立し、話題性の高い選挙となりました。その中で斉藤氏は、「既存政治への挑戦」や「新しい政治のかたち」を訴えましたが、結果として議席獲得には至りませんでした。

とはいえ、この都知事選への挑戦は、斉藤氏の名前を全国区の政治好き・ネットユーザー層に広く認知させる契機となりました。


2021年衆院選・2022年参院補選への挑戦

2021年 第49回衆議院議員総選挙

2021年10月31日に行われた第49回衆議院議員総選挙では、斉藤氏は「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(当時の党名)公認候補として比例九州ブロックから立候補しました。

  • 選挙名:第49回衆議院議員総選挙
  • 選挙区:比例九州ブロック
  • 所属:NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
  • 結果:落選

政見放送には堀江貴文氏も出演し、「齊藤が当選したら僕が秘書をやる」と発言したことでも話題を呼びましたが、得票率は伸びず、議席獲得には至りませんでした。

2022年 石川県選挙区参院補選

続く2022年4月24日の参議院石川県選挙区補欠選挙では、「NHK受信料を支払わない国民を守る党」公認で立候補します。

  • 選挙名:参議院石川県選挙区補欠選挙(第25回参院補選)
  • 所属:NHK受信料を支払わない国民を守る党
  • 得票数:9,430票(得票率3.40%)
  • 結果:落選

ここでも議席獲得には届きませんでしたが、斉藤氏は連続して国政選挙に挑戦しており、「何度落選してもあきらめないタイプの政治家」というイメージを強めていきます。


NHK党副党首就任と2022年参院選

2022年6月、斉藤氏はNHK党の副党首に就任します。同年7月10日の第26回参議院議員通常選挙では、比例代表としてNHK党から立候補しました。

  • 選挙名:第26回参議院議員通常選挙(2022年)
  • 区分:比例代表
  • 所属:NHK党
  • 結果:党内4位で落選(NHK党の当選者は1人のみ)

この時点では、繰り上げ当選の機会も回ってこず、形式的には「落選候補」の立場にとどまります。しかし、この参院選の候補者名簿に名を連ねていたことが、のちの「ガーシー除名」をきっかけとする国会議員就任につながっていきます。


ガーシー除名と繰り上げ当選で参議院議員に

2023年3月、NHK党比例代表で当選していたガーシー元参議院議員が、国会欠席問題などを理由に参議院で「除名」処分を受け、議員資格を失いました。

当初、比例名簿上の次点候補者に繰り上げ当選の権利がありましたが、党内調整の結果、先順位の候補者が繰り上げ当選を辞退し、4番目だった斉藤健一郎氏に議席が回る形となりました。

  • 繰り上げ当選決定:2023年3月23日
  • 官報告示による効力発生:2023年3月24日
  • 区分:参議院比例代表

この結果、斉藤健一郎氏は初の国会議員(参議院議員)となり、長年掲げてきた「政治家になる」という目標を実現することになります。


政党名変更騒動――政治家女子48党・みんなでつくる党へ

斉藤氏が国会議員になった後、NHK党をめぐっては、党名変更や代表者をめぐる複雑な内部対立が続きました。

政治家女子48党の代表就任をめぐる混乱

ガーシー騒動などの過程で、党名が「政治家女子48党」となった時期があります。2023年3月29日には、同党の臨時総会で、大津綾香氏の辞任に伴い、斉藤健一郎氏が代表に就任したとする議決が行われました。

しかし、大津氏はこの代表交代を受け入れず、斉藤氏や臨時管理人であった立花公美氏を相手取り、代表の地位確認を求める仮処分を千葉地方裁判所に申し立てます。これにより、党の正統性をめぐる訴訟・対立が長期化しました。

「みんなでつくる党」とNHK党の二重構造

一方で、党名は「みんなでつくる党」へと変更されますが、参議院内の会派名は「NHKから国民を守る党」のまま残るなど、外形的にも複雑な状態が続きました。

総務省や中央選挙管理会は、どの届け出に代表権があるのかについて慎重な姿勢を示し、「齊藤氏による党名変更・代表者変更の届け出は、権限ある代表者によるものか疑義が解消されない」として受理しない決定を出しています。

この間、斉藤氏は「党代表」や「参議院会派の顔」として振る舞いながらも、法的な位置づけをめぐって多くの議論と批判にさらされました。


自民党会派入りとその解消

2025年に入ると、斉藤氏の立場はさらに大きく動いていきます。

  • 2025年7月:参院選で浜田聡議員が落選し、NHK党所属の参議院議員が斉藤氏1人となる。
  • この結果、斉藤氏は「各派に属しない議員」として扱われることに。
  • 2025年10月15日:自由民主党会派に入会し、会派名は「自由民主党・無所属の会」となる。

首班指名選挙で斉藤氏は、高市早苗氏や末松信介氏に投票していた経緯があり、こうした投票行動が自民党との連携を模索する布石であったとも指摘されました。

しかし、2025年11月、NHK党をめぐる情勢が一変します。

  • 2025年11月9日:NHK党党首・立花孝志氏が逮捕される。
  • 2025年11月11日:斉藤氏は、自民党側に対し「自由民主党・無所属の会」の解消を申し出て、同会派は解消。

この一連の動きは、「NHK党の唯一の国会議員」としての立場や、自身の今後の政治的スタンスを改めて考え直す過程でもあったと考えられます。


2025年11月 NHK党離脱表明

そして、2025年11月17日、斉藤健一郎氏はX(旧Twitter)で、NHKから国民を守る党からの離党を公表しました。

投稿では、おおむね次のような内容が伝えられています。

  • 「ご報告」としてNHK党を離党したことを明らかにしたこと。
  • 同日14時からの緊急役員会で正式に離党届を提出したこと。
  • 浜田幹事長や副党首らが、斉藤氏の決断を「尊重する」と述べたこと。
  • 党の副代表職なども辞任する旨を示したこと。
  • 離党の理由については記者会見で説明するとしたこと。

報道によれば、党内部の情報流出問題や、党首逮捕による国会活動への悪影響などを理由に、「これ以上、同党に所属したままでは本来の議員活動に支障が出る」と判断したとされています。

この離党により、NHK党は国会に所属議員を持たない政治団体となり、事実上「国会から姿を消す」形になりました。一方で、斉藤氏は無所属の参議院議員として活動を続けることになります。


政策・主張の特徴

斉藤健一郎氏は、これまでの各種アンケートや政見放送などで、比較的保守的かつタカ派寄りと受け取られる政策スタンスを示してきました。主なポイントを整理すると、次のようになります。

憲法・安全保障

  • 憲法改正には賛成の立場。
  • 憲法9条については、自衛隊の存在を明記する改正に賛成。
  • 緊急事態条項の新設にも賛成。
  • 「敵基地攻撃能力」の保有に賛成。
  • 日本の核武装についても「日本は核兵器を保有すべきだ」とする回答歴がある。

外交・歴史認識

  • 日韓関係については、徴用工・慰安婦問題などの対立を踏まえ、「韓国政府がより譲歩すべき」とする姿勢。
  • 米軍基地問題では、普天間基地の辺野古移設に賛成。

ジェンダー・人権

  • 選択的夫婦別姓や同性婚について、アンケート時期によって賛成・反対が揺れている回答歴があり、立場の変遷も見られる。
  • クオータ制(議会における女性議員などの数値目標)導入には反対。

その他

  • 森友学園問題をめぐる公文書改ざんなどについては、「さらに調査・説明が必要」とするなど、行政の透明性向上を求める姿勢も示してきた。
  • 被選挙権年齢の引き下げには賛成し、若い世代が政治に参加しやすくなるべきだとする考えを持つ。

全体として、外交・安全保障ではかなり強硬な立場をとる一方で、行政の透明性や政治参加の拡大には前向きであり、「ネット世代」「ホリエモン世代」の価値観を反映した政治スタイルと評価されることもあります。


不祥事・批判

斉藤氏を語るうえで、不祥事や批判も避けて通ることはできません。

スピード違反問題

2022年7月、千葉市若葉区内の高速道路を走行中、斉藤氏の運転する車がスピード違反で千葉県警に摘発されていたことが、後に報道で明らかになりました。当時の車には、NHK党党首だった立花孝志氏も同乗していたとされています。

報道によれば、斉藤氏は車両の停止には応じたものの、「スピード違反はしていない」「ゴルフ場へ急いでいる」と主張して交通反則切符の作成を拒否し、警察からの出頭要請にも応じなかった時期があったとされます。その後、参議院議員への繰り上げ当選直後に反則金の支払いに応じる考えを示したと報じられました。

この件は、法をつくる立場にある国会議員の候補者としてふさわしい行動だったのかという批判を招き、今も評価が分かれるポイントとなっています。

党内対立・代表権争い

政治家女子48党やみんなでつくる党をめぐる党名変更・代表権争いも、斉藤氏の政治的イメージに影を落としました。

「どちらが正当な代表なのか」「有権者に対してわかりにくい状態を作っているのではないか」といった批判も多く、インターネット上では支持と不信が激しくぶつかり合う状況が続きました。


斉藤健一郎氏の今後の行方

2025年11月17日にNHK党を離脱したことで、斉藤健一郎氏は「NHK党唯一の国会議員」から「無所属の参議院議員」へと立場を変えました。今後、どのような道を歩むのかは、現時点では確定していませんが、いくつかの可能性が指摘されています。

  1. 無所属議員として独自路線を歩む道
    ネットを通じた発信力や、YouTuberとしての活動を活かし、政党に縛られないスタイルで政策提言を続ける可能性があります。
  2. 既成政党への合流・新会派形成
    すでに一度、自民党会派に加わった経験があることから、今後も自民党やその他の保守系政党との連携・合流が取り沙汰される可能性があります。無所属で活動しつつ、国会内会派としてどこかと組むという選択肢も残されています。
  3. 新たな政治団体・新党の立ち上げ
    これまでの経歴を見ても、新党設立や党名変更など、既存の枠組みにとらわれない政治プロジェクトに関わってきました。今後も新たな政治団体を立ち上げる、あるいは既存の小規模団体と連携するといったシナリオも考えられます。

いずれにしても、ガーシー騒動、党名変更騒動、立花氏の逮捕、NHK党離脱と、非常に激しい環境変化の中で政治活動を続けてきた人物であることは間違いありません。長年の支持者は「ここからどう立て直していくのか」を注視しており、一方で批判的な立場からは「これまでの混乱に対してどう責任を取るのか」が問われています。


まとめ

斉藤健一郎氏は、兵庫県尼崎市出身の元飲食店経営者からスタートし、堀江貴文氏の運転手兼秘書、ホリエモン新党会計責任者などを経て、ガーシー元議員の除名をきっかけに参議院議員となった、非常に異色の経歴を持つ政治家です。

多数の選挙への挑戦、NHK党や政治家女子48党、みんなでつくる党をめぐる党名・代表権騒動、自民党会派への一時的な参加、そして2025年11月のNHK党離脱表明――その歩みは、常に話題と賛否両論を呼んできました。

今後、無所属議員としてどのような立場をとり、どの政党や勢力と距離を取っていくのか。憲法改正や安全保障、行政の透明性、ネット時代の政治参加といったテーマに対し、どのようなメッセージを発信していくのか。斉藤健一郎氏の動向は、引き続き日本の政治ウォッチャーや有権者の注目を集めることになりそうです。

 

Leave a Reply