今村洋史元衆議院議員の経歴・学歴
※本記事は2025年11月1日時点で報道されている内容(名古屋地検特捜部による捜索など)を踏まえて整理したものです。今後の捜査・公判の進展によって新たな事実が公表される可能性があります。最新の公式発表もあわせてご確認ください。
1. 基本プロフィール
- 氏名:今村 洋史(いまむら・ひろふみ)
- 生年:1962年(昭和37年)生まれ〔2025年現在63歳〕
- 出身地:宮崎県都城市生まれとされる
- 職業:医師(精神科)、医療法人有俊会理事長、いまむら病院院長、元衆議院議員
- 主な所属政党の遍歴:
- 2012年 第46回衆院選で日本維新の会から立候補し初当選(比例東海ブロック)。
- 2015年 自民党に入党し、旧安倍派(清和政策研究会)に所属。
- 2024年の衆院選(解散見送り後に行われた2024年秋の選挙)では派閥の裏金問題の余波で公認を得られず、出馬を断念したと報じられている。
2. 学歴
- 埼玉医科大学を卒業:公式なプロフィール(自民党の候補者ページなど)や各種人物紹介で、今村氏は埼玉医科大学を卒業したと明記されている。医学部で学んだのち精神科を専攻したとみられる。
- 大学卒業後の研修・勤務:埼玉県や茨城県で精神科医として勤務した経歴が紹介されており、大学での専攻を直接生かしたキャリアを歩んだことが分かる。
- 元・埼玉医科大学精神医学講座助教:医局に在籍し、精神医学を専門として教育・診療に携わっていたことがプロフィールに記載されている。基礎研究よりも臨床現場寄りのポジションで、患者対応を行ってきたと推測される。
学歴の位置づけ
医系議員の場合、東京大学医学部・慶應義塾大学医学部などが注目されやすいが、地域医療や精神科医療に根を張ってきた医師が地域基盤の病院を運営し、その後に政治へ進むというルートも珍しくない。今村氏も「医師としての現場経験→病院運営→地域の政治課題への関与→国政へ」という流れでキャリアを積み上げたタイプといえる。
3. 医師としての経歴
- 精神科医としての勤務開始:大学卒業後、埼玉県・茨城県など関東圏で精神科の勤務医を務める。急性期から慢性期、そして地域のメンタルヘルスまで幅広く対応したとみられる。
- 愛知県一宮市での医療法人運営に転じる:その後、愛知県一宮市今伊勢町にある医療法人有俊会を引き継ぐ・もしくは中心となって運営に携わり、精神科・心療内科を中心とした「いまむら病院」の理事長・院長を務めるようになる。病床数は260床規模と大きく、地域の精神科医療では中核的な存在である。
- 医療団体での役職:愛知県精神科病院協会の理事など、地域医療の団体でも一定の役職を務めており、医療提供体制の整備や診療報酬・精神科医療の制度改善に関わっていたことがわかる。
4. 政治家としての歩み(時系列)
- 2011年ごろ:民主党政権末期の医療・介護政策への対応をめぐり、地域医療の立場から国政への関心を強めたとみられる。病院経営者としての立場が政治参加の背景にあったと推測される(推定)。
- 2012年(平成24年)12月:第46回衆議院議員総選挙で日本維新の会の比例東海ブロックから立候補し初当選。医師出身の新人議員として国会に送られた。地域の医療・福祉・高齢者ケアの現場を代弁することが期待された。
- 2013~2014年:維新の会の分党・再編が続く中で、医療・社会保障分野の政策で現場目線をアピールする一方、地元・愛知の医療法人の代表としても活動を継続。
- 2015年(平成27年):自民党に入党。第二次安倍政権が続く中で、医療・福祉の制度設計に自らの病院経営の経験を反映させたい思惑があったとみられる。入党後は清和政策研究会(旧安倍派)に所属し、自民党内での足場を築いた。
- 2017年(平成29年)10月の衆院選時点の公式プロフィールでは、「埼玉医科大学卒業」「医療法人有俊会理事長」「いまむら病院院長」「衆議院議員」といった経歴が並び、医療と政治を二本柱にした人物像が打ち出されている。
- 2020~2023年度:新型コロナウイルス感染症への対応で、いまむら病院として国の交付金を原資とする補助金を愛知県に申請。会計検査院や愛知県の調査によって、医療機器納品書の偽造や消毒費用の水増しなどが指摘され、最終的に少なくとも約4億5千万円を不正受給したと県が認定、関連する補助金全額約17億6千万円の返還を求められる事態となった。
- 2024年秋~2025年にかけて:自民党旧安倍派の裏金事件で党内の公認が厳格化された影響を受け、今村氏は2024年の衆院選で公認を得られず、出馬を断念したと報じられる。
- 2025年10月31日:名古屋地検特捜部が詐欺容疑で、一宮市の「いまむら病院」を家宅捜索。押収資料の分析を進めるとみられており、今村氏の政治家・医療経営者としての立場が再び大きく報じられた。
5. 補助金不正受給をめぐるポイント
- 指摘の発端:2024年11月に会計検査院が約1億6千万円の過大受給を指摘したことが入り口で、愛知県が詳細な調査を行った結果、偽造・水増しなどの不正がさらに判明した。
- 愛知県の認定内容:県は少なくとも約4億5千万円を不正受給と認定し、関連する補助金の全額(約17億6千万円)の返還を求めた。医療機器の納品書の偽造、消毒費用の水増し、領収書日付や通帳写しの改ざんなど、複数の手口があったとされる。
- 捜査の焦点:補助金の申請が院長・理事長としての今村氏の指示・関与によるものだったのか、それとも事務方の独断だったのか、あるいは組織的に行われていたのかが今後の焦点となる。いずれにせよ、交付金は国費を原資としており、返還請求額も大きいため、政治的にも注目度が高い。
6. 人物像と評価
- 医療と政治をまたぐ“二足のわらじ”型:精神科医として患者と家族のケアにあたりつつ、医療法人を運営し、さらに国政にも進出した点が今村氏の大きな特徴である。地方の私的医療法人のトップがそのまま国会議員になるケースは一定数あるが、補助金や診療報酬など「自らの業務と国政上の制度が直結する」ため、利益相反の管理がとても重要になる領域である。
- 地域密着型の病院長としての顔:いまむら病院は1973年開設で、精神科病床が260床と大きく、地域の高齢者や認知症患者の受け皿にもなってきた。今村氏も病院ホームページで「家族のケアも含めて支えていく」という姿勢を示しており、現場では“話が早い院長”として知られていた。
- 一方でのガバナンスの弱さ:多額の補助金を扱うようになったコロナ禍で、納品書の偽造や金額の水増しといった基本的なコンプライアンス違反が発生していたことは、病院の内部統制・チェック機能が十分に整っていなかったことを示している。政治家としての立場を持つトップの場合、組織は「院長の決裁だから」と言い出しにくくなるため、逆にガバナンスをより厳しく設計しておく必要があったといえる。
7. まとめ
- 今村洋史氏は**宮崎県都城市生まれ(1962年)**で、埼玉医科大学を卒業した精神科医という明確な医療バックグラウンドを持つ政治家である。
- 愛知県一宮市の医療法人有俊会(いまむら病院)理事長・院長として地域医療を担いながら、2012年衆院選で日本維新の会から初当選し、その後自民党に合流して旧安倍派に所属した。
- 2020~23年度にかけて病院が申請した新型コロナ関連の補助金をめぐって、会計検査院が過大受給を指摘し、愛知県が約17億6千万円の返還を求める事態になり、2025年10月31日には名古屋地検特捜部が家宅捜索を実施した。
- 今後、捜査の進展次第では政治的な責任だけでなく、法人としての刑事責任・民事上の返還スキームなども含めて議論が広がる可能性が高い。記事を更新する際は、名古屋地検特捜部と愛知県の公式リリースを必ず確認してほしい。