2026年8月、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長がアメリカ政府の制裁対象となったことを受け、世界各国から反発や連帯表明が相次いでいます。
特にヨーロッパでは、スペインやフランスが「連帯」を明確に表明したほか、ドイツ、オランダ、ベルギーなどもICCや赤根所長を支持する立場を示しました。
日本政府もアメリカの制裁について「極めて遺憾」とし、ICCを引き続き支持する姿勢を明確にしています。
では、赤根智子所長に連帯を表明した国はどこなのでしょうか。
2026年8月22日時点で確認できる各国の反応を一覧にして紹介します。
2026年8月22日時点で、政府、外務省、外相などが今回のICC赤根所長に対する制裁について具体的な反応を示したことが確認できる主な国は以下の通りです。
| 国 | 主な表明内容 | 立場 |
|---|---|---|
| スペイン | 制裁をICCの独立性・完全性・公平性への「あからさまな攻撃」と批判。制裁対象となった裁判官、検察官、職員への「全面的な連帯」を表明 | 全面的な連帯 |
| フランス | ICCへの脅威や強制措置を非難し、制裁対象となった裁判官への連帯を明言 | 連帯を明言 |
| セネガル | 制裁対象となった同国出身のアブドゥライ・セイ氏だけでなく、今回の措置の対象となった他のICC当局者・職員にも「全面的な連帯」を表明 | 全面的な連帯 |
| ドイツ | 「ICCと赤根智子所長を支持する」と明言。ICCを独立した機関として守ることが重要との立場 | 赤根所長を明確に支持 |
| オランダ | 米国の制裁に反対し、ICCと職員への全面的な支持を表明。赤根所長を招き、今後の支援について協議 | ICC・赤根所長を支持 |
| ベルギー | ICC、その職員、ICCに協力する関係者への制裁を非難。EUによる対抗策の検討も主張 | 制裁を強く批判 |
| ノルウェー | 赤根所長らに対する米国の制裁に「強く反対」。司法関係者を職務遂行を理由に制裁することは国際司法の独立性を損なうと批判 | 強く反対 |
| フィンランド | 新たな制裁を「深く遺憾」とし、ICCとその職員への強い支持を改めて表明 | ICCを支持 |
| デンマーク | 赤根所長らへの制裁について「深く懸念」。ICCの独立性・公平性・完全性を全面的に支持すると表明 | 全面的な支持 |
| アイルランド | 赤根所長らに対する米国の追加制裁を「深く遺憾」とし、ICCへの支持を表明 | ICCを支持 |
| イギリス | ICCの独立性への支持を改めて表明。重大な国際犯罪の責任者は責任を問われなければならないとの立場を示す | ICCを支持 |
| 日本 | 米国の制裁を「極めて遺憾」と表明。ICCが重大犯罪の訴追や法の支配の維持に果たす役割を一貫して支持すると強調 | 制裁に否定的・ICC支持 |
したがって、2026年8月22日時点では、少なくとも12か国が今回の制裁について反対、懸念、連帯、ICC支持などの立場を明確にしたことが確認できます。

上の12か国すべてが、公式声明で文字通り「連帯」という表現を使ったわけではありません。
特に明確に「連帯」を表明しているのが、スペイン、フランス、セネガルです。
スペイン外務省は米国の制裁について、ICCの「独立性、完全性、公平性に対するあからさまな攻撃」と強く批判しました。
さらに、制裁対象となった裁判官、検察官、ICC職員への「全面的な連帯」を表明しています。
今回の各国の声明の中でも、特に強い表現を使った国の一つです。
フランス政府も、ICCやその職員、市民社会組織に対する脅威や強制的措置を非難。
制裁対象となった裁判官への連帯を明確に表明するとともに、ICCへの「揺るぎない支持」を改めて示しました。
今回、赤根智子所長と同時に制裁対象となったアブドゥライ・セイ氏はセネガル出身です。
セネガル政府はセイ氏への「全面的な連帯」を表明しただけでなく、今回の措置の対象となった他のICC当局者や職員にも連帯を表明しています。
そのため、赤根所長らへの連帯を表明した国の一つとしてセネガルも含めることができます。
注目されるのがドイツの対応です。
ドイツ外務省は、
「われわれは国際刑事裁判所と赤根智子所長を支持する」
という立場を明確にしました。
ICCには批判されるべき点があり得ることを認めつつも、それを理由としてICCそのものやこれまでの実績を根本的に否定することはできないとしています。
ドイツはイスラエルの安全保障について歴史的に強い責任を負うとの立場を取ってきた国だけに、今回ICCと赤根所長への支持を明確にしたことは注目されています。
赤根智子所長の母国である日本も、今回の米国の措置に否定的な立場を示しています。
日本政府は2026年8月19日、赤根所長が米国の制裁対象に指定されたことについて、
「極めて遺憾」
との声明を発表しました。
日本はICC設立条約であるローマ規程の締約国で、ICCへの主要な資金拠出国でもあります。
政府は、重大な国際犯罪を訴追し、国際社会における法の支配を維持するICCの活動を日本は一貫して支持してきたと説明しています。
ただし、スペインやフランスなどとは異なり、日本政府は今回の声明で「連帯」という言葉そのものは使用していません。
そのため、厳密には「赤根所長への連帯表明」というより、「米国の制裁への遺憾表明とICC支持」と整理するのが適切です。
国ではありませんが、欧州連合(EU)も今回の問題で非常に重要な立場を示しています。
EUは米国による赤根所長とアブドゥライ・セイ氏への制裁を「深く遺憾」とし、ICCへの「揺るぎない支持」を表明しました。
また、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と欧州理事会のコスタ議長も、ICC、赤根智子所長、ICCの使命を担う職員を強く支持する姿勢を示しています。
EU内ではさらに、米国など第三国による域外制裁からEU企業や個人を守るための「ブロッキング規則」を発動すべきだという声も出ています。
ここで注意が必要です。
EUが公式にICC支持を表明しているため、
「EU加盟27か国すべてが赤根所長への連帯を個別に表明した」
と考えることもできますが、これは厳密には正しくありません。
EUとしての声明と、各国政府が個別に発表する声明は別だからです。
そのためこの記事では、EUの声明だけを根拠としてEU加盟27か国すべてを一覧に加えることはせず、各国政府や外務省、外相などが今回の制裁について具体的な立場を示したことが確認できる国を中心に掲載しています。
ICCには2026年時点で125の締約国があります。
ICC自身も今回の声明で、締約国や市民社会などから寄せられている「一貫した連帯」に感謝を表明しています。
しかし、これも125か国すべてが今回の赤根所長への制裁について個別声明を発表したという意味ではありません。
したがって、
「ICC加盟国=すべて赤根所長への連帯表明国」
とするのは適切ではありません。
今後さらに各国政府が声明を発表すれば、連帯・支持を表明した国は増える可能性があります。

米国のトランプ政権は2026年8月18日、赤根智子ICC所長と、ICC検察局の上級法務官アブドゥライ・セイ氏を新たな制裁対象に指定しました。
トランプ政権は、ICCが米国やイスラエルなどICCに加盟していない国の関係者にまで管轄権を行使しようとしていることを強く問題視しています。
ICCは2024年、パレスチナ・ガザ地区での戦闘を巡り、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らに逮捕状を発付しました。
米国はICCに加盟しておらず、イスラエルも加盟していません。
トランプ政権はICCのこうした動きを国家主権への侵害だとしており、ICCの裁判官や検察官などに相次いで制裁を科しています。
一方、ICCや欧州各国、日本などは、裁判官や検察官が司法上の職務を遂行したことを理由に制裁を科すことは、司法の独立や国際的な法の支配を損なうとして反発しています。
今回の制裁が発表されたのは2026年8月18日で、各国の声明は19日以降、相次いで発表されています。
8月21日にはデンマークも新たにICCへの全面的な支持を表明しており、今後ほかのICC締約国が公式声明を出す可能性もあります。
また、焦点となるのは単なる声明だけではありません。
ベルギーなどからは、米国の制裁の影響をEU域内で遮断する「ブロッキング規則」を発動するよう求める声も出ています。
今後EUが実際に対抗措置に踏み切れば、ICCを巡る対立は「米国対ICC」という構図から、米国と欧州諸国との外交問題へさらに発展する可能性があります。
2026年8月22日時点で、赤根智子ICC所長らに対する米国の制裁を受け、連帯・支持・反対・遺憾などの立場を具体的に示したことが確認できる主な国は、少なくとも12か国です。
スペイン、フランス、セネガルは「連帯」を明確に表明し、ドイツは赤根所長を名指しして支持しました。
オランダ、ベルギー、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイルランド、イギリスもICCの独立性を支持し、米国の制裁に反対または懸念を示しています。
日本政府も「極めて遺憾」として、ICCへの一貫した支持を表明しました。
さらにEUもICCと赤根所長を強く支持しており、今回の米国による制裁に対する国際的な反発は広がっています。
今後、新たに声明を発表する国やEUによる具体的な対抗措置が出てくるかが注目されます。