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国旗毀損罪・海外

国旗毀損罪・海外

海外各国の法律・罰則・実例と日本との違いをわかりやすく整理

「国旗を燃やしたら逮捕される?」「海外では国旗を傷つけるとどんな罪になる?」「そもそも『国旗毀損罪』は日本だけ?」――ニュースで抗議デモや政治的パフォーマンスを見かけたとき、こうした疑問が一気に現実味を帯びます。

結論から言うと、国旗を傷つけた行為を“犯罪”として罰する国もあれば、表現の自由として広く保護する国もあるため、海外事情はかなり幅があります。さらに厄介なのは、同じ国でも

  • 行為の場所(公の場/私的空間)
  • 対象(自国旗/外国旗/国章/国歌など)
  • 意図(侮辱目的か、単なる破損か)
  • 周辺事情(火気・暴力・暴動・侵入・器物損壊)

によって、法的評価が大きく変わる点です。

この記事では、「国旗毀損罪」的な法律が海外でどう扱われているのかを、法律のタイプ別に整理しつつ、代表的な考え方・よくある誤解・旅行者や在住者が現実に気をつけるべきポイントまでまとめます(※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません)。


「国旗を傷つける」=いつも同じ罪、ではない

まず、海外比較の前に大事な前提があります。

  1. 「国旗に特化した犯罪」がある国も、ない国もある
  • 国旗への侮辱を直接処罰する条文がある国
  • 国旗条文はなく、器物損壊・治安法規・公共秩序・侮辱罪などで処理する国
  1. “国旗を傷つけた”の中身が幅広い
  • 引き裂く、落書きする、踏みつける、燃やす、土足で踏む、地面に敷く、ゴミ箱に捨てる
  • 国旗を模した衣服・小物の扱い(床マット、靴下、下着、テーブルクロス)
  • SNSでの画像加工(国旗を汚すコラージュ)
  1. 法以前に、治安・感情・外交が絡む 法律に明確に書いてあるかどうかより、
  • 現地の警察が治安維持目的で介入する
  • 群衆が過激化しやすい
  • 外交問題として炎上しやすい

という「現場のリスク」が先に来ることも少なくありません。


1. 「国旗毀損罪」とは

日本の刑法では、一般に「国旗毀損罪」と呼ばれるものは、厳密には **刑法92条(外国国章損壊罪)**が該当します。

  • 対象:外国の国旗・国章(「国章」=国の紋章)
  • 要件:公然と損壊・除去・汚損し、かつその国を侮辱する目的があること
  • 特徴:「外国」の国旗・国章を保護する点がポイント

一方で、日本には「自国(日本)の国旗を燃やしたら必ず犯罪」という形の、国旗に特化した一般犯罪は、制度設計としては諸外国に比べて少し独特です(ただし別の構成要件、たとえば器物損壊、迷惑防止、条例、火気使用、威力業務妨害などに該当し得ます)。

海外比較をする際は、次の3点を軸に見ると整理しやすいです。

  • 「国旗に特化した犯罪があるか」
  • 「自国だけか/外国も含むか」
  • 「表現行為として保護されるか」

2. 海外の「国旗を傷つける行為」規制は大きく4タイプ

海外の法制度は、ざっくり次の4類型に分けると理解が早いです。

タイプA:表現の自由が強く、国旗焼却なども原則「表現」として保護

  • 代表例:アメリカ(象徴的)
  • 特徴:国旗の侮辱や焼却が「政治的意思表示」として保護される傾向
  • 注意:ただし「方法」が危険なら別の罪(放火、器物損壊、暴行など)で処罰される

タイプB:国旗・国章の侮辱を犯罪化(不敬罪・侮辱罪・公共秩序の一部として)

  • 代表例:ヨーロッパの一部の国など(国によって対象・構成要件が違う)
  • 特徴:「公の場」「故意」「侮辱意図」など要件が細かいことが多い

タイプC:「外国の国旗」も含めて保護(外交・治安の観点が強い)

  • 代表例:国によっては外国旗の侮辱を明示的に処罰
  • 特徴:外交摩擦や治安悪化を避ける狙いが色濃い

タイプD:法律はあるが運用は限定的(実際には他の罪で処理されがち)

  • 代表例:多くの国で該当
  • 特徴:国旗条項は「象徴的規定」になりやすく、実務では治安法規・器物損壊・暴力行為などで対応することが多い

ここで重要なのは、タイプA=何をしてもOKではなく、タイプB/C=何をしても即逮捕でもない、という点です。法律と運用の間に、常に「現場の線引き」が存在します。


3. アメリカ:国旗焼却は「表現の自由」の象徴になりやすい

「国旗を燃やしたらアメリカでは逮捕される?」というイメージは根強いのですが、アメリカはむしろ逆で、国旗焼却などが“政治的表現”として強く保護される国としてよく知られています。

ただし、ここで混同しやすいポイントがあります。

  • **国旗を燃やす“意思表示”**が保護されても
  • 危険なやり方(人混みで火を使う、可燃物を撒く等)
  • 他人の所有物を燃やす(盗んだ旗、施設の旗など)
  • 暴力・侵入・器物損壊を伴う

といった場合は、普通に別の罪で処罰されます。

つまり「国旗を燃やしたから逮捕」ではなく、 危険な方法/所有権侵害/治安悪化など、周辺事情で処理されることが多いのが実態です。

また、SNSなどで拡散された映像が誤解を生み、「国旗を燃やしたから捕まった」と見える場合もありますが、実際は乱闘、放火、器物損壊、不法侵入などがセットになっているケースが多い点も注意です。


4. ヨーロッパ:国旗侮辱を犯罪化する国もあるが、要件が細かい

ヨーロッパは国によって差が大きい領域です。国旗そのものよりも、

  • 公共の秩序
  • 他者の尊厳
  • ヘイト扇動
  • 外交関係

といった価値と結びついて規制されることがあります。

たとえば、**「公共の場で」「故意に」「侮辱の意図で」**といった要件が重視され、私的空間での行為や芸術表現との線引きが争点になるケースもあります。

ここで理解しやすいのは、「国旗を守る」ことが目的というより、

  • 公共空間での挑発によって衝突が起きる
  • 特定集団への敵意表明(ヘイト)として機能する
  • 外交問題や社会不安を招く

といった“結果”を警戒している、という見方です。結果として、国旗侮辱の条文が置かれている国もあれば、条文は薄いが治安法規の運用が厳しい国もあります。


5. 中東・アジア・その他:象徴への不敬を重く見る国も(ただし「国旗」だけとは限らない)

国によっては、

  • 国旗
  • 国章
  • 国王・国家元首
  • 国歌
  • 宗教的象徴

などをまとめて「国家・体制への不敬」として扱う法体系があり、国旗の損壊もその一部として重く見られる場合があります。

このタイプの国では、次の特徴が出やすいです。

  • 外国人旅行者でも摘発対象になる可能性が相対的に上がる
  • その場の出来事よりも、**拡散(SNS・動画)**で問題が拡大しやすい
  • 侮辱の意図がなくても、「そう見える」行為が危険になり得る

さらに、国旗だけでなく「国家元首」「宗教」「体制批判」など複合的に触れてしまうと、国旗条項単体よりも大きな問題になり得ます。旅行者にとっては、ここが最も現実的な注意点です。


6. 「外国の国旗」を傷つけた場合は、海外でもリスクが上がりやすい

海外で国旗に関するトラブルが起きる場面で、実務的に重要なのがここです。

  • 自国旗に対する行為は「表現」や「文化的文脈」で争点になりやすい
  • しかし外国旗への行為は、
    • 外交的配慮
    • 特定国・特定民族への敵意(ヘイト)
    • 公共の安全

と結びつきやすく、結果としてより問題化しやすい傾向があります。

例としては、抗議の相手国の旗を燃やしたり踏みつけたりする行為が、

  • 特定の国や民族への敵意表明
  • 報復や衝突の誘発
  • 大使館周辺での緊張激化

につながりやすく、当局の対応も強くなる、という構図です。

日本の刑法92条も、まさにこの発想(外交・国際関係の保護)に近い構造といえます。


7. 「法律があるか」より先に見ておくべき:現場で問題になりやすい4パターン

海外での「国旗」関連の炎上・トラブルは、法律以前に状況で危険度が変わります。特に、次の4パターンはリスクが跳ね上がります。

パターン1:デモ・対立が激しい場所での国旗パフォーマンス

国旗が燃やされる・引き裂かれるのは、抗議や対立が激しい場面が多く、 警察の介入・逮捕・暴力・群衆事故が起きやすいです。

パターン2:火気を使う(燃やす、花火、可燃物)

国旗侮辱の条文がどうであれ、火はそれだけで危険です。 放火・危険行為・公共安全の観点で介入されやすくなります。

パターン3:公的施設・大使館・軍施設など「象徴性が高い場所」

施設の旗は「公物」扱いになりやすく、 公物損壊・侵入・治安妨害などで重く処理されることがあります。

パターン4:撮影・投稿・拡散(SNS)

「冗談」「ネタ」「アート」のつもりでも、拡散によって文脈が失われると、 当局や世論の反応で後から問題化することがあります。


8. 旅行者・在住者が気をつけたいポイント(現実的な注意)

ここからは、実際に海外に行く人・住んでいる人にとって役立つ「現実的な注意点」です。

✅ デモ現場に近づかない

最も安全で確実な回避策です。取材目的でも、旅行者が不用意に近づくと

  • 身分確認
  • 事情聴取
  • 巻き込み事故

が起き得ます。

✅ 「冗談」「ネタ動画」でもSNSは危険

国旗を踏む、汚す、破る、燃やす…といった行為を撮影して投稿すると、 現地当局や世論の反応で、後から問題化することがあります。

✅ 土産物・衣料品のデザインにも注意

国旗風デザインの衣服、床に敷くマット、靴下、下着、テーブルクロスなどは、国や地域によっては強い反感を買うことがあります。 「法律違反」以前に、現地の感情がトラブルの引き金になり得ます。

✅ “自分の旗”でも「他人の場所」でやると別問題

自分で買った小旗でも、

  • 商業施設
  • 学校
  • 公園

などでは、迷惑行為や秩序維持の観点で制止・退去を求められたり、他の違反に波及することがあります。

✅ 施設の旗は触らない(写真だけでも注意が必要な場合がある)

国旗掲揚ポールや大使館周辺で、挑発的な行為を撮影するだけでも警戒対象になり得ます。 「触らない」「近づかない」「煽らない」が基本です。


9. 国別一覧(主要国16カ国)|条文タイプ・罰則の目安・注意度

※ここでの「罰則の目安」は、各国の典型的な規定・運用をもとにした大まかな整理です。国によっては改正や運用変更があり得るため、渡航前に「国名+flag desecration law」「国名+刑法+国旗 侮辱」などで最新情報を確認してください。

国・地域 規制タイプ 対象・成立のポイント(ざっくり) 罰則の目安(上限イメージ) 注意度
アメリカ A 国旗焼却などは原則「政治的表現」として保護されやすい(ただし危険行為・器物損壊等は別罪) 国旗侮辱そのものは処罰困難。周辺事情で罰金・拘禁など 低〜中
イギリス(英・スコ) A/D 国旗毀損に特化した一般犯罪は基本なし。治安・平穏侵害で処理され得る 国旗条項より、秩序違反・迷惑行為等の枠で対応 低〜中
カナダ A/D 国旗侮辱に特化した一般犯罪は基本なし(立法案が出たことはある)。周辺罪で処理 器物損壊・騒擾・迷惑行為など次第 低〜中
オーストラリア D 国旗焼却を直接禁止するより、危険行為・秩序違反・公衆の安全で処理されやすい 火気・迷惑行為・器物損壊等で処罰
ニュージーランド B/D 国旗侮辱を規定する枠組みがあり得る(ただし運用は状況次第) 罰金中心になりやすい 低〜中
ドイツ B/C 公然の侮辱・悪意ある軽蔑が焦点。外国旗も保護対象になり得る 〜3年(加重で〜5年)または罰金
フランス B 公の場で秩序を乱す条件+侮辱意図など要件が絡む 罰金(目安:数百〜千€台)+状況で加重
スペイン B 「国家・国旗等への侮辱」に関する枠組み。要件や運用により争点化 罰金中心になりやすい(ただし幅が大きい)
デンマーク C/D 外国旗を含めて扱う枠組みが議論されやすい(外交・秩序) 罰金中心になりやすい
スイス B/C 公式掲揚の旗などが対象になりやすい。政治事件として慎重運用も 罰金または拘禁(短期も含む)
インド B 国旗の侮辱・不敬を禁じる枠組み(象徴の尊重が強め) 罰金〜拘禁(年単位の可能性)
イスラエル B 国旗・国章の侮辱を処罰し得る枠組み 〜1年程度の拘禁+罰金など(状況で別罪も) 中〜高
ロシア B 国旗への侮辱を処罰する枠組み。政治・治安の文脈で重くなり得る 〜1年程度の拘禁や短期拘束等の枠
中国 B 国旗侮辱に関する規定があり、政治的に重く扱われやすい 〜3年程度の拘禁・拘留等の枠
韓国 B/C 自国旗・国章だけでなく、外国旗も一定条件で対象。侮辱意図が鍵 自国旗損壊:〜5年や高額罰金の枠/外国旗:〜2年等
日本 C(外国旗のみ) 刑法92条:外国国旗・国章を公然と損壊等+侮辱目的(告訴要件等も関係) 懲役・罰金の枠(条文上は2年以下の懲役または20万円以下の罰金)

表の読み方(実務的ポイント)

  • **注意度「高」**は「国旗そのもの」だけでなく、体制・治安・世論が絡み、外国人にも現実にリスクが及びやすい国のイメージです。
  • **注意度「低〜中」**でも、火気・暴力・侵入・器物損壊が絡むと一気に「高」へ跳ね上がります。

10. 旅行者向けチェックリスト|国別の注意度と「避けるべき行動」

① まずは自分の渡航先の「注意度」を決める

  • :国旗侮辱の条文が弱い/表現として扱われやすい(ただし周辺罪は別)
  • :国旗侮辱の条文があり、公共空間での挑発は問題化しやすい
  • :象徴への不敬が政治・治安と直結しやすく、外国人でも処理が重くなり得る

② 注意度ごとの“やらない”基準(迷ったら上の基準で)

【低】でも避けたいこと

  • 🔸 人混みで火を使う(国旗に限らず危険行為)
  • 🔸 他人や施設の旗を触る・持ち出す(所有権侵害)
  • 🔸 交通や営業を妨げる(トラブルが別罪に直結)

【中】で追加して避けたいこと

  • 🔸 公共の場で踏む・引き裂く・汚すなど、侮辱と見える行為
  • 🔸 大勢の前で挑発的に撮影し、SNSに投稿
  • 🔸 旗を床に敷く・尻の下に置く等、文化的反感を買いやすい使い方

【高】では原則「国旗をネタにしない」

  • 🔸 国旗・国章・国家元首・宗教象徴を絡めた“冗談動画”
  • 🔸 抗議の文脈で旗を扱う(第三者でも疑われやすい)
  • 🔸 旗を加工した画像(汚す・燃やす合成)を投稿

③ デモや大使館周辺での注意点(注意度に関係なく共通)

  • 近づかない:写真目的でも巻き込まれやすい
  • 旗・プラカードを持っている集団の近くに長居しない
  • 挑発に反応しない(口論→暴行→逮捕の連鎖が起きやすい)
  • 撮影のしすぎは避ける(当局に“当事者”と誤認されることがある)
  • 大使館・領事館・軍施設の周辺では特に慎重に(警備が強い)

④ もし現地で止められたら(最悪回避の動き)

  • ✅ 指示に従い、その場で議論しない
  • ✅ 身分証提示や退去要請には抵抗しない
  • ✅ SNS投稿は削除を求められる場合もある(国によっては通信端末の扱いが問題化することも)

11. まとめ:海外では「国旗毀損罪」の有無より、“表現”と“治安”の境界がカギ

海外に目を向けると、国旗を傷つける行為の扱いは一律ではありません。

  • 表現の自由を強く優先する国もあれば
  • 国旗侮辱を犯罪として規制する国もあり
  • 外国旗の侮辱は特に問題化しやすい傾向もあります

そして実際のトラブルは、「国旗を傷つけたから」だけでなく、

  • 危険行為(火気)
  • 群衆・暴動
  • 公物損壊
  • 不法侵入
  • ヘイト扇動

と絡み合って処理されることが多い点が重要です。

言い換えると、海外で国旗に関する行為が問題になるのは、国旗そのものというよりも、 **「その行為が社会の衝突や危険を呼び込むかどうか」**という判断が背後にあることが多い、ということです。


よくある質問(FAQ)

Q1. 海外で国旗を燃やしたら必ず逮捕されますか?

国によります。国旗そのものの侮辱を犯罪化している国もありますが、そうでない国もあります。また、国旗侮辱とは別に、火気・器物損壊・治安妨害・不法侵入などで逮捕されることがあります。

Q2. 日本の「国旗毀損罪」は日本の国旗が対象ですか?

日本で一般に「国旗毀損罪」と呼ばれる刑法92条は、主に外国の国旗・国章を対象とする構造です。

Q3. 旅行中に国旗デザインの服を着るのは危険ですか?

国旗を「踏む」「尻に敷く」「床に置く」ような形になるデザインは、反感を買う可能性があります。法律より先に、現地の感情がトラブルの原因になり得ます。

Q4. 自分で買った国旗を破ったり捨てたりするのもアウトですか?

国・地域・状況によります。私的空間での処分が問題になりにくい国もありますが、公の場で挑発的に行うと治安上の問題として扱われることがあります。

Q5. 「外国の国旗」を傷つけるほうが危険なのはなぜ?

外交問題やヘイトの文脈と結びつきやすく、衝突や報復を誘発しやすいためです。結果として当局も強く介入しやすくなります。

 

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