今戦争をしている国・2026
武力紛争の一覧と見分け方【2026年3月版】
※本記事は 2026年3月時点 の公開情報をもとに、ニュース報道や紛争トラッカーで一般に扱われる 武力紛争(armed conflict)/軍事衝突 を中心に整理したものです。
現代の「戦争」は、宣戦布告 の有無で決まりません。さらに、内戦・越境攻撃・代理戦争・テロと治安作戦の長期化 をどこまで含めるかで、「今戦争をしている国」の数は大きく変わります。
そこで本記事では、
- ① まず“今とくに注目度が高い主戦場”を押さえる
- ② 次に“世界に広がる武力紛争”を地域別に俯瞰する
- ③ 最後に“ニュースの読み解き方”と“実務上の注意点”を整理する
という流れで、地図を見る感覚で全体像が掴めるようにまとめます。
2026年3月時点で特に重要なのは、中東情勢の急激な悪化です。 2月末に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、3月に入っても収束していません。イスラエルはイラン本土だけでなくレバノン側への空爆も強め、イランは湾岸のエネルギー拠点や米軍関連施設を狙った報復を拡大。さらにホルムズ海峡では、民間船舶への攻撃や機雷・ミサイル・ドローンによる脅威が深刻化し、日本を含む複数国が「事実上の封鎖」と表現する事態になっています。
1. 2026年に「戦争」として強く意識されやすい主な地域

報道量、戦闘規模、国際秩序・市場への影響の大きさから、2026年3月時点 では、とくに次の地域が「戦争」として強く意識されやすい状況です。ウクライナ、ガザ、スーダン、ミャンマーなどの長期紛争に加え、2026年春の大きな特徴は、米国・イスラエル—イラン戦争が地域全体に波及し、レバノンや湾岸、海上交通まで巻き込む広域危機に発展したことです。
- 🟥 ロシア—ウクライナ戦争(国家間戦争/長期化)
- 🟥 イスラエル—パレスチナ(ガザ・ヨルダン川西岸)(大規模戦闘+人道危機)
- 🟥 イスラエル—レバノン(ヒズボラ)(越境衝突から実戦レベルへ拡大)
- 🟥 米国・イスラエル—イラン戦争(湾岸・エネルギー施設・海上交通を巻き込む広域衝突)
- 🟥 スーダン内戦(国家中枢を巻き込む内戦+深刻な人道危機)
- 🟥 ミャンマー内戦(国軍と反軍政勢力、民族武装組織が絡む複合紛争)
- 🟥 イエメン・紅海周辺の危機(海上交通と軍事危機が連動)
- 🟥 コンゴ民主共和国東部(武装勢力と国家の衝突が続く重要地域)
もちろん、この「主要枠」だけが世界の戦争ではありません。しかし、ここに挙げた戦場は、エネルギー価格・航路・保険・難民・食料・金融市場 にまで直接影響を及ぼしやすく、世界経済や国際政治を大きく揺らす地域といえます。とくにホルムズ海峡をめぐる危機は、単なる「中東のニュース」ではなく、世界の物流・原油・LNG・保険料率を左右する問題になっています。
2. 2026年3月の情勢で特に重要な変化
現在の国際情勢を考えるうえで、最も大きなポイントの一つは中東の連動構造です。ガザ・レバノン・シリア・イエメン・イランは互いに影響し合う「つながった戦場」として理解したほうが実態に近くなっています。イラン本土への攻撃、レバノン空爆の拡大、湾岸エネルギー施設への報復、ホルムズ海峡の事実上封鎖が、ほぼ同じ文脈で語られるようになっています。
2-1. イスラエル—レバノンが「周辺的な衝突」ではなくなった
2026年3月時点では、イスラエルによるベイルートや南レバノンへの攻撃が強まり、都市部空爆の拡大、橋梁破壊、南部での部隊増強などが報じられています。レバノン戦線は、もはや単なる国境地帯の小競り合いではなく、独立した大規模危機として見る必要がある段階に入っています。
2-2. イランの報復はイスラエルだけに向いていない
今回の特徴は、イランの報復がイスラエル国内にとどまらず、湾岸諸国のエネルギー拠点や米軍関連施設 にまで広がっていることです。これは「二国間戦争」ではなく、地域全体を巻き込む広域戦争型の危機 に近づいていることを示しています。
例えば、以下の国々が影響圏に入ると考えられています。
- 🇸🇦 サウジアラビア:世界最大級の石油施設(アブカイクなど)を抱え、過去にも攻撃対象となった実績があります。
- 🇦🇪 アラブ首長国連邦(UAE):アブダビやドバイ周辺にはエネルギー施設と米軍関連拠点が存在します。
- 🇶🇦 カタール:中東最大級の米軍基地「アル・ウデイド空軍基地」があり、軍事的に極めて重要です。
- 🇧🇭 バーレーン:米海軍第5艦隊の司令部が置かれており、海上戦力の中核拠点です。
- 🇰🇼 クウェート:湾岸戦争以降、米軍の重要な展開拠点となっています。
これらの国々はいずれも石油・天然ガスの供給拠点、または米軍の前線基地という共通点を持っています。
そのため、もし衝突が拡大すれば、単なる「イラン対アメリカ」ではなく、中東全体を巻き込む広域戦争へと発展するリスクがあります。
2-3. ホルムズ海峡は「閉鎖宣言」より危険な状態になっている
法的な意味での正式な閉鎖宣言がどうかとは別に、実務上はすでに通れない、通ってはいけない、通ると攻撃される恐れが高い という状態が進んでいます。つまり今は、法律論としての「封鎖」よりも、航行の現実 のほうがはるかに重要です。
3. 「戦争をしている国」を数えるのが難しい理由

3-1. 現代の戦争は“宣戦布告しない”
第二次世界大戦のような形式的な宣戦布告は稀で、現実には
- 国境を越える攻撃(越境砲撃・空爆・ドローン等)
- 反政府武装勢力と国家の戦闘(内戦・反乱)
- 他国が武器・資金・訓練・情報で関与する代理戦
が重なり、「どこからを戦争と呼ぶか」が曖昧になりやすい構造があります。
3-2. 「内戦」でも生活は戦争そのもの
内戦は“国内の争い”に見えても、現実には
- インフラ破壊(電力・水道・通信・道路)
- 医療崩壊(病院・薬・救急)
- 難民・国内避難民(IDP)の大量発生
- 食料危機、学習機会の喪失
が起き、住民の体感としては国家間戦争と変わりません。ガザ、スーダン、ミャンマー、コンゴ東部などは、その典型です。
3-3. 「小競り合い」と「戦争」の境界は揺れる
研究機関や国際機関でも定義は一つではありません。あるデータセットでは「戦闘関連死の規模」、別の機関では「組織的武力行使の継続性」が重視されます。だから、同じ事態でも「戦争」「武力紛争」「軍事危機」「越境衝突」など呼び方が変わります。
3-4. 同じ国でも“別々の紛争”が同時進行する
一つの国の中で、
- 首都周辺は比較的安定
- 国境地帯では戦闘
- 別地域ではテロや武装勢力の襲撃
ということが普通にあります。「その国=全面戦」と単純化しないほうが正確です。ミャンマー、シリア、コンゴ民主共和国、ナイジェリアなどは、まさにその理解が必要な国です。
4. 2026年:地域別「武力紛争・軍事衝突・危機」一覧

ここでは「戦争」と呼ばれやすい 武力紛争(armed conflict)/軍事衝突 を、地域別に整理します。
※注意:ここで挙げるのは“代表例”です。情勢は流動的なため、渡航・出張・輸送などの実務判断は、各国政府の安全情報や最新の国際トラッカーで最終確認するのが安全です。
4-1. ヨーロッパ・ユーラシア
🇺🇦 ウクライナ/🇷🇺 ロシア
- 国家間戦争として現在も継続しており、2022年の全面侵攻以降、ヨーロッパ最大級の軍事衝突となっています。
- 戦場は単なる「前線」だけではなく、次の三層構造で理解する必要があります。
- ① 前線(地上戦)
東部・南部を中心に塹壕戦や砲撃戦が続き、第一次世界大戦のような消耗戦の様相を見せています。戦車・装甲車に加え、ドローンによる偵察と攻撃が戦況を大きく左右しています。
- ② 後方都市(ミサイル・ドローン攻撃)
首都キーウを含む都市部に対して、ミサイルや無人機による攻撃が繰り返され、民間インフラや住宅地も被害を受けています。これは単なる軍事拠点攻撃ではなく、国民生活そのものへの圧力という側面を持ちます。
- ③ エネルギー・物流インフラ
発電所、変電所、港湾施設、鉄道網などが重点的に攻撃され、冬季には電力不足を引き起こすなど、国家機能を麻痺させる戦いが行われています。
- この戦争の特徴は、ドローン戦争化が急速に進んでいる点です。安価な無人機が戦車や砲兵と同じ、あるいはそれ以上の役割を持つようになり、戦場の構造が大きく変わりました。
- また、ウクライナは欧米からの軍事支援を受け、ロシアは国内動員と資源を背景に戦いを継続しており、代理戦争的な側面も強くなっています。
- その結果、戦争は短期決戦ではなく、消耗戦・長期戦</strongへと移行しています。領土の奪還・維持をめぐる攻防は続いていますが、決定的な勝敗がつかない状態が続いています。
- さらに、黒海の制海権や穀物輸出ルートも重要な争点であり、この戦争はエネルギー・食料・海上物流にまで影響を及ぼす「世界経済と直結した戦争」となっています。
🇦🇲 アルメニア/🇦🇿 アゼルバイジャン
- 大規模戦闘が常時起きているわけではなくても、停戦後の国境問題や政治的不信から再燃リスクが残る地域です。
🇬🇪 ジョージア周辺/🇲🇩 モルドバ周辺
- “凍結紛争”や周辺大国の影響を受けやすく、普段は静かでも地政学的ショックで一気に緊張が跳ねやすいタイプです。
4-2. 中東・北アフリカ
中東は「一つの戦場」が周辺へ波及しやすい地域です。国境線の複雑さ、国家と非国家武装勢力の混在、宗派・代理勢力・海上交通・エネルギー施設の集中が重なり、局地戦が国際経済の大問題に変わりやすい のが特徴です。今回のホルムズ海峡危機は、その典型です。
🇮🇱 イスラエル/🇵🇸 パレスチナ(ガザ・ヨルダン川西岸)
- 大規模戦闘・人道危機の中心。
- 民間人被害、避難、医療・物資不足、人質問題、停戦交渉が同時に動きやすい戦場です。
🇱🇧 レバノン(ヒズボラ)
- 2026年3月時点では、イスラエルによるベイルート空爆、南レバノンの橋梁破壊、部隊増強などが報じられ、越境衝突の域を超えて大規模な実戦局面 に入りつつあります。
- この戦線は今や「北の限定戦線」ではなく、イラン戦争の延長線として理解したほうが実態に近い局面です。
🇮🇷 イラン(米国・イスラエルとの軍事衝突)
- 2026年2月末以降、米国・イスラエルとイランの軍事衝突は継続し、3月時点でも中東全域へ波及する主要危機となっています。
- イランの報復はイスラエル本土だけでなく、カタールやサウジアラビアなど湾岸のエネルギー関連施設、さらに米軍関連拠点にも及び、地域全体を巻き込む構図が鮮明になっています。
- このため、今の中東は「イランとイスラエルの二国間対立」とだけ捉えると不十分で、レバノン・湾岸・紅海・ホルムズ海峡までを含む連鎖型の戦争危機 として理解するほうが実情に近いです。
🇮🇷 ホルムズ海峡(海上交通の危機)
- 現在のポイントは、「法的な封鎖宣言があったか」より、実際に安全な商業航行が成り立たなくなっている ことです。
- つまり、ホルムズ海峡はいま“地図上では開いていても、実務上は閉じているに近い”状態です。
🇾🇪 イエメン(+紅海周辺)
- 国内紛争に加え、海上交通の安全保障問題が絡むと国際的影響が拡大しやすい地域です。
- コンテナ船の航路変更、保険料上昇、遅延の連鎖など、「実務面から戦争を実感しやすい」地域でもあります。
🇸🇾 シリア
- 内戦が長期化し、多勢力が絡む複雑な形です。ある地域では沈静化しても、別地域では再燃する「地域ごとの温度差」が大きいのが特徴です。
🇮🇶 イラク
- 全面戦ではなくても、イラン系民兵や米軍への攻撃、報復空爆などを通じて不安定化しやすい局面が続いています。
🇱🇾 リビア/🇹🇷 トルコ(クルド系武装勢力との衝突)
- 大規模国家間戦争ではなくても、政治分断、治安作戦、越境作戦の組み合わせにより継続的な軍事リスクが残る地域です。
4-3. サブサハラ・アフリカ
アフリカでは、武力紛争が
- 政治(クーデター・権力闘争)
- 治安(過激派・武装勢力)
- 経済(資源・密輸・税収)
- 気候(干ばつ・洪水)
と結びつき、人道危機として爆発 しやすい傾向があります。
🇸🇩 スーダン
- 国家中枢を巻き込む 内戦 が続き、医療・食料・避難の問題が急速に悪化しやすい状況です。
🇨🇩 コンゴ民主共和国(主に東部)
- 武装勢力が多く、住民への被害・避難の連鎖が起きやすい構造です。
🇸🇴 ソマリア
🇪🇹 エチオピア/🇸🇸 南スーダン/🇨🇫 中央アフリカ共和国
- 大規模戦闘の有無にかかわらず、武装化・政治不安・地域対立が再燃しやすい構造を抱えています。
🇲🇱 マリ/🇧🇫 ブルキナファソ/🇳🇪 ニジェール
- サヘル地域では、反政府勢力・過激派・治安部隊の戦闘が複雑に絡み、国家の統治が弱い地域ほど長期化しやすい傾向があります。
🇳🇬 ナイジェリア/🇲🇿 モザンビーク/🇨🇲 カメルーン
- 国家間戦争ではなくても、武装勢力・コミュニティ間暴力・治安作戦の組み合わせによって、地域によっては「戦場に近い危険」が発生します。
4-4. アジア・太平洋
🇲🇲 ミャンマー
- 内戦 として激化しやすい局面が続いています。
- 国軍と反軍政勢力、民族武装組織が絡み、地域によって情勢が大きく変わります。
- 国境貿易や避難にも影響が見えやすい紛争です。
🇦🇫 アフガニスタン/🇵🇰 パキスタン
- 政治的不安定さに加え、武装勢力や越境的な緊張が続いています。
🇮🇳 インド/🇵🇰 パキスタン
- 国境・地域対立を背景に、軍事衝突のリスクが常に意識される枠組みです。
🇹🇭 タイ/🇰🇭 カンボジア
- 全面戦争とまでは言いにくくても、国境地帯の衝突や停戦後の摩擦が再燃リスクとして残るタイプです。
🇨🇳 中国/🇹🇼 台湾(台湾海峡)
- “いま戦争中”というより、軍事衝突の危機 として高い関心を集めるテーマです。
- 演習、航空・海上活動、経済制裁・輸出管理など、「軍事+経済」の複合リスクとして語られやすいのが特徴です。
南シナ海
- 領有権・海上警備・国際法が絡み、偶発的衝突が政治問題に直結しやすい地域です。
🇰🇵 北朝鮮(朝鮮半島)
- 直接の戦争状態ではなくても、ミサイル発射や軍事演習、政治対立が「軍事危機」として扱われ、偶発的衝突リスクが常に意識されやすい地域です。
4-5. アメリカ大陸
アメリカ大陸では、国家間戦争よりも、
が「戦場のような危険」を生むケースが多くみられます。
🇭🇹 ハイチ
- 武装集団・治安崩壊が深刻化すると、生活基盤が急速に壊れます。
🇲🇽 メキシコ
- 組織犯罪の暴力は「戦争」と別分類されることが多い一方、地域によっては武力紛争並みの危険をもたらします。
🇨🇴 コロンビア/🇪🇨 エクアドル
- 武装勢力や犯罪組織、治安不安が地域ごとに継続し、状況評価が難しい国の一つです。
🇻🇪 ベネズエラ(2026年1月の米軍急襲・大統領拘束)
- 2026年1月3日、米軍はベネズエラで武力行使を伴う急襲作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス氏を拘束して国外へ移送しました。
- この事案は、米国側が「法執行」「麻薬犯罪捜査」などの論理で説明しても、実態としては外国の首都で軍事力を用いて国家元首を拘束した作戦であり、きわめて強い軍事介入です。
- 米軍の戦力が圧倒的で、政権中枢の無力化が短時間で進んだため、長期の前線戦には発展しませんでした。しかし、短期間で決着したことと、戦争性が弱いことは同じではありません。
- むしろこのケースは、現代型の戦争に多い「宣戦布告なき急襲」「短期決着型の軍事作戦」「体制転換を伴う武力介入」として理解したほうが実態に近いです。
- その後もベネズエラ国内では権力再編が続き、治安機関や軍の掌握、暫定政権の安定性、対米関係の再構築が大きな争点になっています。
- したがってベネズエラは、「周辺で緊張が高まりやすい国」と軽く触れるだけでは不十分で、2026年に実際に米軍との武力衝突が起き、政権中枢が直接打撃を受けた事例として明記したほうが分かりやすいでしょう。
🇬🇾 ガイアナ周辺
- 資源・国境問題を背景に緊張が高まりやすい地域です。
- ただし、2026年3月時点で読者の関心が高いのは、ガイアナ単体よりも、まずはベネズエラで実際に起きた米軍の武力介入のほうです。
5. 数字で見る「世界の紛争の多さ」

- 世界では、国家間戦争だけでなく、国家と武装勢力の戦闘、内戦、越境衝突などを含めると、同時に多数の武力紛争が進行しているとされています。
- 長期化した紛争が何十年単位で続き、世代まるごと戦争しか知らない地域が生まれていることも、現代の大きな特徴です。
ここで大切なのは、ニュースで目立つ戦争だけが世界の戦争ではない という点です。中東のような大きな戦場に視線が集まりやすい一方で、スーダン、コンゴ、サヘル、ミャンマーなどでも、日常生活が壊される深刻な紛争が続いています。
6. ニュースで「戦争中の国」を見分けるチェックリスト
戦争・紛争報道を見たとき、次の観点で読むと理解が早くなります。
- ✅ 当事者は誰か(国家 vs 国家/国家 vs 反政府勢力/武装勢力同士)
- ✅ 戦場はどこか(国境地帯/首都周辺/資源地帯/港湾・海峡)
- ✅ 目的は何か(領土・政権・宗派・資源・治安・独立)
- ✅ 外部の関与は(武器供与、軍事顧問、空爆、代理勢力)
- ✅ 人道面の影響(避難民、医療崩壊、飢餓、学校閉鎖)
さらに、今の時代は次の視点も重要です。
- ✅ 海上交通が止まるか(海峡・運河・港湾)
- ✅ エネルギー施設が標的か(油田・ガス田・精製施設・LNG拠点)
- ✅ 停戦の実効性があるか(監視体制、履行メカニズム、外部保証)
- ✅ 周辺国へ飛び火していないか(空域閉鎖、基地攻撃、難民流入、航路変更)
現在の中東危機では、とくに 「海峡」「エネルギー施設」「周辺国への飛び火」 の3点が非常に重要です。これらは現代の戦争を理解するうえで、非常に強い判断軸になっています。
7. よくある誤解:戦争・紛争をめぐる混乱ポイント
7-1. 「戦争=国家間の宣戦布告」ではない
内戦や越境攻撃の連鎖でも、事実上の戦争状態になります。
7-2. “テロ”と“内戦”と“報復戦”は重なる
同じ地域で、国家間攻撃、武装勢力の越境攻撃、治安作戦、人質問題が混在することがあります。中東はこの重なりが特に強い地域です。
7-3. 「海峡が法的に閉鎖されていない=安全」ではない
ホルムズ海峡の現状が象徴的です。正式な閉鎖宣言の有無とは別に、民間船が危険で実質的に自由航行できないなら、それは実務上きわめて深刻な封鎖状態です。
7-4. 停戦合意は“終戦”ではない
停戦は「戦闘を止める約束」にすぎず、局地的な戦闘の継続、再攻撃、履行違反が起こることは珍しくありません。
8. 現在の中東危機で起きやすい連鎖
- ホルムズ海峡の危険化 → タンカー・商船の待機や迂回
- 湾岸エネルギー施設への攻撃 → 原油・LNG価格の急騰
- 燃料高 → 海運・陸送・航空のサーチャージ増
- 保険条件の変更 → 戦争保険・危険料率の上昇
- 空域制限 → フライト遅延・欠航・乗り継ぎ混乱
つまり、戦場から遠い国でも「物流コスト」と「エネルギー価格」で戦争の影響を受ける ということです。
9. 用語ミニ辞典
- 武力紛争(armed conflict):国家が絡む/絡まないを問わず、組織だった武力行使が継続する状態の総称。
- 内戦(civil war):同一国内の権力・統治をめぐる大規模な武力衝突。
- 越境衝突:国境をまたぐ攻撃や報復が常態化した状態。
- 代理戦争:当事国以外が、武器・資金・訓練などで当事者を支援し、実質的に争いを拡大させる構造。
- 凍結紛争(frozen conflict):大規模戦闘が止まっても政治解決がなく、再燃の火種が残る状態。
- 人道危機:医療・食料・安全な居住が不足し、生命の危険が拡大する状態。
- 事実上の封鎖(effective blockade):法的な宣言の有無とは別に、攻撃・機雷・威嚇・保険不能・航行回避などにより、実務上は航行が著しく妨げられている状態。ホルムズ海峡の現状を理解するうえで重要な概念です。
10. まとめ:2026年の「今戦争をしている国」は、地図より“連動”で理解すると見えやすい
「今戦争をしている国(2026)」を一つの固定リストで言い切るのは難しいものの、現代の戦争・紛争は大きく分けて
- 🟥 国家間戦争(例:ロシア—ウクライナ)
- 🟥 内戦(例:スーダン、ミャンマー)
- 🟥 国際化した内戦・越境衝突(例:中東の連動、レバノン戦線)
- 🟥 海峡・エネルギー・物流を巻き込む広域危機(例:イラン戦争とホルムズ海峡)
- 🟧 治安崩壊・犯罪暴力(例:ハイチ、メキシコの一部など)
- 🟨 軍事衝突の危機(例:台湾海峡、南シナ海など)
という“型”で理解すると、ニュースの断片情報がつながり、状況整理がしやすくなります。
2026年3月時点で特に重要なのは、中東が「複数の別々の紛争」ではなく、相互に連動する一つの巨大危機として見えるようになっていることです。 イスラエルのレバノン攻撃、イランの湾岸報復、ホルムズ海峡の事実上封鎖、エネルギー施設への攻撃、海運や航空への影響は、すべて同じ連鎖の一部として理解したほうが実態に近いでしょう。