今戦争をしている国・2026
武力紛争の一覧と見分け方【2026年5月最新版】
※本記事は、2026年5月下旬時点で確認できる公開情報、ニュース報道、紛争トラッカー、国際情勢の分析をもとに、世界で続く武力紛争、軍事衝突、内戦、軍事危機、治安崩壊を整理したものです。
「今戦争をしている国はどこか」という問いは、一見すると単純に見えます。しかし、現代の戦争は、必ずしも正式な宣戦布告によって始まるわけではありません。国と国が正面から戦う国家間戦争だけでなく、内戦、越境攻撃、代理戦争、武装勢力との長期戦、海峡や港湾をめぐる軍事危機、治安崩壊に近い武装集団の暴力なども、人々の生活や国際経済に大きな影響を与えています。
そのため、「今戦争をしている国」を考えるときは、単に国名だけを並べるのではなく、どの国・地域で、どのような種類の武力暴力が起きているのかを分けて見る必要があります。
2026年5月時点で特に重要なのは、中東情勢が「全面拡大」から「停戦・交渉・海上危機が併存する不安定な局面」へ移っていることです。米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、2026年春に中東全体を大きく揺さぶりましたが、5月下旬にはイランとの和平協議やホルムズ海峡再開に関する動きも報じられています。ただし、停戦や交渉があるからといって、中東が完全に安定したわけではありません。レバノン、ガザ、紅海、ホルムズ海峡、湾岸諸国の基地・エネルギー施設をめぐるリスクは、現在も残っています。
つまり、2026年の世界情勢を見るうえでは、戦争中の国、停戦下にある地域、再燃リスクの高い軍事危機、海上交通の危険、治安崩壊に近い暴力を分けて理解することが大切です。
1. 2026年5月時点で注目される「戦争中の国・紛争地域・軍事危機」早見表
まず、全体像を分かりやすくするために、2026年5月時点で特に注目される国・地域を分類すると、次のようになります。
| 分類 |
主な国・地域 |
状況の特徴 |
| 大規模な戦争・内戦が続く地域 |
ウクライナ、ロシア、スーダン、ミャンマー、ガザ、コンゴ民主共和国東部など |
継続的な戦闘、人道危機、避難民、インフラ破壊が深刻 |
| 停戦中・交渉中だが再燃リスクが高い地域 |
イラン危機、レバノン、ホルムズ海峡、紅海周辺など |
大規模戦闘が一時的に抑えられていても、攻撃再開や海上危機の可能性が残る |
| 軍事衝突の危機が高い地域 |
台湾海峡、南シナ海、朝鮮半島、インド・パキスタン国境など |
現時点で全面戦争とは言えないが、偶発的衝突や軍事的緊張が続く |
| 治安崩壊・組織犯罪暴力が深刻な地域 |
ハイチ、メキシコの一部、エクアドルの一部、コロンビアの一部など |
法律上の戦争とは別分類でも、地域によっては戦場に近い危険がある |
| 短期決着型の軍事介入が起きた地域 |
ベネズエラ |
長期の前線戦ではないが、外国軍による急襲・政権中枢拘束が報じられた |
このように見ると、「戦争をしている国」は一つの基準だけでは数えにくいことが分かります。国家間戦争、内戦、越境紛争、軍事危機、海上交通の危険、治安崩壊は、それぞれ性格が違います。しかし、現地の住民にとっては、どれも生命、生活、医療、食料、移動の自由を脅かす深刻な危機です。
2. 「今戦争をしている国」を見る前に必要な分類

「今戦争をしている国」と言った場合、それは法律上の戦争状態だけを意味するとは限りません。実際には、宣戦布告がなくても、空爆、地上戦、ドローン攻撃、越境砲撃、武装勢力との戦闘、海上封鎖に近い危機が続いている場合があります。
そこで、現代の戦争・紛争は、次のように分類すると分かりやすくなります。
| 分類 |
主な例 |
特徴 |
| 国家間戦争 |
ロシア—ウクライナ |
国と国が直接戦う形。領土、主権、国際秩序に直結する。 |
| 大規模内戦 |
スーダン、ミャンマー |
同じ国の中で政府軍、反政府勢力、民兵、民族武装組織などが戦う。 |
| 国際化した内戦・越境紛争 |
ガザ、レバノン、シリア、イエメンなど |
国内・地域紛争に周辺国や大国が関与し、広域危機になりやすい。 |
| 海峡・航路をめぐる軍事危機 |
ホルムズ海峡、紅海 |
戦場から離れた国にも、原油、LNG、海運、保険料を通じて影響する。 |
| 軍事衝突の危機 |
台湾海峡、南シナ海、朝鮮半島 |
今すぐ全面戦争とは言えないが、偶発的衝突や緊張拡大のリスクが高い。 |
| 治安崩壊・犯罪暴力 |
ハイチ、メキシコの一部、エクアドルの一部など |
法律上の戦争とは別分類でも、地域によっては戦場に近い危険がある。 |
| 短期決着型の軍事介入 |
ベネズエラ |
長期戦ではなくても、外国軍による急襲や政権中枢への軍事行動が行われるケース。 |
この分類を前提にすると、「戦争をしている国」を無理に一つの定義で数えるよりも、どの地域で、どの種類の武力暴力が起きているのかが見えやすくなります。
3. 2026年5月に「戦争」として強く意識されやすい主な地域

報道量、戦闘規模、国際秩序への影響、エネルギー・物流への影響の大きさから、2026年5月時点では、特に次の地域が「戦争」または「深刻な武力紛争」として意識されやすい状況です。
- 🟥 ロシア—ウクライナ戦争:国家間の戦争として長期化
- 🟥 イスラエル—パレスチナ:ガザを中心とする大規模戦闘と人道危機
- 🟥 イスラエル—レバノン:停戦下でも衝突が残る越境紛争
- 🟥 米国・イスラエル—イラン危機:停戦・交渉・ホルムズ海峡危機が併存
- 🟥 スーダン内戦:国家中枢を巻き込む内戦と世界最大級の人道危機
- 🟥 ミャンマー内戦:国軍、反軍政勢力、民族武装組織が絡む複合紛争
- 🟥 イエメン・紅海周辺:国内紛争と海上交通リスクが連動
- 🟥 コンゴ民主共和国東部:武装勢力と国家の衝突、人道危機、資源問題が重なる地域
- 🟧 サヘル地域:マリ、ブルキナファソ、ニジェールなどの武装勢力・治安危機
- 🟧 ハイチ:武装集団による治安崩壊
- 🟨 台湾海峡・南シナ海・朝鮮半島:現在進行中の全面戦争ではないが、軍事衝突の危機が高い地域
ここに挙げた地域は、単に現地の問題にとどまりません。原油価格、LNG価格、海上保険、難民、食料、航空路、物流コスト、金融市場にまで影響を及ぼす可能性があります。
特に2026年春以降の中東情勢は、ガザ、レバノン、イラン、ホルムズ海峡、紅海、湾岸諸国の米軍基地やエネルギー施設が連動する形で悪化しました。5月下旬には和平協議やホルムズ海峡再開の動きも報じられていますが、民間船が通常時と同じ条件で安全に航行できるかどうかは、保険料率、護衛体制、機雷・ドローン・ミサイルへの警戒、イラン側の対応を見なければ判断できません。
4. 2026年5月の情勢で特に重要な変化

2026年の国際情勢を考えるうえで、最も大きなポイントの一つは、中東の連動構造です。ガザ、レバノン、シリア、イエメン、イラン、ホルムズ海峡、紅海は、それぞれ別々の地域でありながら、実際には互いに影響し合う「つながった危機」として理解したほうが実態に近くなっています。
イラン本土への攻撃、レバノンでの衝突、湾岸エネルギー施設への攻撃リスク、ホルムズ海峡の危険化、紅海での船舶攻撃、イスラエルとパレスチナの人道危機は、すべて個別の出来事であると同時に、より大きな中東危機の一部として動いています。
4-1. イスラエル—レバノンは「停戦中だが不安定」な局面へ
2026年5月時点では、イスラエルとレバノンの戦線は、全面的な拡大局面から、停戦交渉と限定的な衝突が並行する不安定な段階に移っています。
停戦が維持・延長されているとされる一方で、南レバノンでは攻撃や衝突が残り、イスラエル、レバノン政府、ヒズボラ、イラン、米国の思惑が重なっています。
したがって、レバノン戦線は「全面戦争が一方的に拡大している」と書くよりも、停戦延長の動きはあるが、南部では衝突が残り、再燃リスクが高いと整理するのがより正確です。
4-2. イラン危機は「全面拡大」から「停戦・海上危機・交渉」の局面へ
イランをめぐる情勢も、2026年春の激しい軍事衝突から、5月には停戦維持、交渉、ホルムズ海峡の安全確保をめぐる駆け引きが中心になっています。
米国・イスラエルとイランの衝突は中東全体を揺さぶりましたが、5月下旬時点では和平合意やホルムズ海峡再開をめぐる交渉が報じられています。一方で、イラン側は強硬姿勢を示す場面もあり、停戦や交渉がそのまま安定につながるとは限りません。
現在のイラン危機を見るうえでは、ミサイル攻撃だけでなく、ホルムズ海峡の航行安全、タンカー保険、掃海作戦、湾岸諸国の米軍基地、イラン革命防衛隊の動き、ヒズボラなど支援勢力との関係を合わせて見る必要があります。
4-3. ホルムズ海峡は「閉鎖宣言」よりも実務上の危険が重要
ホルムズ海峡については、法律上の「正式な閉鎖宣言」があるかどうかだけで判断すると、実態を見誤る可能性があります。
重要なのは、民間船が安全に通れるのか、保険が付くのか、船会社が航行を受け入れるのか、軍の護衛なしで通航できるのかという実務上の問題です。
2026年5月時点では、ホルムズ海峡は完全に通航不能になったとまでは言い切れない一方で、通常時のように自由で安全な商業航行ができる状態とも言い切れません。船舶拿捕、機雷、ドローン、ミサイル、掃海作戦、海上護衛、保険料率の上昇などが重なり、通航は一部可能でも、軍事的リスクと保険・物流コストが大きく上がっている危険水域と見るのが適切です。
5月下旬には、ホルムズ海峡の再開を含む和平案も報じられています。ただし、実際に民間船が通常時と同じ条件で航行できるかどうかは、合意文書の有無だけでなく、現場の安全、海上保険、船会社の判断、護衛体制を確認する必要があります。
5. 「戦争をしている国」を数えるのが難しい理由

5-1. 現代の戦争は宣戦布告しないことが多い
第二次世界大戦のような形式的な宣戦布告は、現代ではむしろ少なくなっています。現実には、次のような形で戦争や武力紛争が進みます。
- 国境を越える攻撃
- 越境砲撃、空爆、ドローン攻撃
- 反政府武装勢力と国家の戦闘
- 他国が武器、資金、訓練、情報で関与する代理戦争
- 海峡、港湾、空域、基地をめぐる軍事危機
- サイバー攻撃や経済制裁を伴う複合的な対立
そのため、「宣戦布告がないから戦争ではない」とは言い切れません。現代では、宣戦布告なき武力行使、限定作戦、報復攻撃、ドローン攻撃、サイバー攻撃、経済制裁が組み合わさることが多くなっています。
5-2. 内戦でも生活は戦争そのものになる
内戦は「国内の争い」と表現されることがあります。しかし、現地の人々にとっては、国家間戦争と同じか、それ以上に過酷な状況になることがあります。
- 電力、水道、通信、道路などのインフラ破壊
- 病院、薬、救急体制の崩壊
- 難民・国内避難民の大量発生
- 食料危機、栄養失調、学校閉鎖
- 地雷、不発弾、武装勢力による拉致や徴兵
ガザ、スーダン、ミャンマー、コンゴ民主共和国東部などは、その典型です。外から見ると「内戦」や「地域紛争」でも、住民の生活感覚では戦争そのものです。
5-3. 「小競り合い」と「戦争」の境界は揺れる
研究機関や国際機関でも、武力紛争の定義は一つではありません。あるデータセットでは「戦闘関連死の規模」が重視され、別の機関では「組織的な武力行使の継続性」や「国家の関与」が重視されます。
そのため、同じ事態でも、報道では「戦争」「武力紛争」「軍事危機」「越境衝突」「治安作戦」「テロ対策」など、さまざまな呼び方が使われます。
5-4. 同じ国でも別々の紛争が同時進行する
一つの国の中で、首都周辺は比較的安定していても、国境地帯では激しい戦闘が続くことがあります。また、同じ国内で複数の武装勢力が別々の目的で戦っていることもあります。
- 首都周辺は比較的安定している
- 国境地帯では戦闘が続いている
- 資源地帯では武装勢力が支配を争っている
- 別地域ではテロや治安作戦が続いている
- 港湾、空港、油田、鉱山などが戦略目標になる
ミャンマー、シリア、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、メキシコなどは、このような理解が必要な国です。「その国全体が戦争中」と単純化するより、どの地域で何が起きているのかを見るほうが正確です。
6. 2026年の主な「戦争中の国・紛争地域・軍事危機」地域別一覧

ここでは、戦争と呼ばれやすい武力紛争、軍事衝突、軍事危機を地域別に整理します。
※注意:ここで挙げるのは代表例です。情勢は非常に流動的です。渡航、出張、輸送、投資、保険、物流判断などの実務判断では、各国政府の安全情報、国際機関、紛争トラッカー、保険会社、船会社などの最新情報を必ず確認する必要があります。
6-1. ヨーロッパ・ユーラシア
🇺🇦 ウクライナ/🇷🇺 ロシア
- ロシア—ウクライナ戦争は、2022年のロシアによる全面侵攻以降、ヨーロッパ最大級の国家間戦争として続いています。
- 戦場は、前線、後方都市、エネルギー・物流インフラという三層構造で理解する必要があります。
- 前線では、東部・南部を中心に塹壕戦、砲撃戦、ドローン戦が続いています。
- 後方都市では、首都キーウを含む都市部に対して、ミサイルや無人機による攻撃が繰り返されています。
- エネルギー・物流インフラでは、発電所、変電所、港湾施設、鉄道網などが標的となり、国民生活と国家機能に圧力をかける戦いが続いています。
- この戦争の特徴は、ドローン戦争化が急速に進んでいる点です。安価な無人機が戦車や砲兵と同じ、あるいはそれ以上の役割を持つようになり、戦場の構造が大きく変わりました。
- また、ウクライナは欧米から軍事支援を受け、ロシアは国内動員と資源を背景に戦争を継続しており、代理戦争的な側面も強くなっています。
- この戦争は、領土問題だけでなく、黒海、穀物輸出、エネルギー、軍需産業、NATOとロシアの関係にも影響する、世界経済と直結した戦争です。
🇦🇲 アルメニア/🇦🇿 アゼルバイジャン
- 大規模戦闘が常時起きているわけではありませんが、停戦後の国境問題、避難民問題、政治的不信から再燃リスクが残る地域です。
- 「今まさに大規模戦争中」とは言いにくいものの、南コーカサスの安全保障を考えるうえで重要な地域です。
🇬🇪 ジョージア周辺/🇲🇩 モルドバ周辺
- ジョージアやモルドバ周辺には、いわゆる凍結紛争や周辺大国の影響を受けやすい地域があります。
- 普段は大きく報じられなくても、ロシアと欧米の対立が長期化する中で、一気に緊張が高まる可能性があります。
6-2. 中東・北アフリカ
中東は、一つの戦場が周辺へ波及しやすい地域です。国境線の複雑さ、国家と非国家武装勢力の混在、宗派、代理勢力、海上交通、エネルギー施設の集中が重なり、局地戦が国際経済の大問題に変わりやすいのが特徴です。
2026年5月時点では、ガザ、レバノン、イラン、ホルムズ海峡、紅海、シリア、イラク、イエメンが、それぞれ別々の問題でありながら、互いに連動する大きな危機として見られています。
🇮🇱 イスラエル/🇵🇸 パレスチナ
- イスラエルとパレスチナをめぐる戦闘は、ガザを中心に大規模な人道危機を生んでいます。
- 民間人被害、避難、医療・物資不足、人質問題、停戦交渉が同時に起きている戦場です。
- ガザの問題は、イスラエルとパレスチナの対立だけでなく、レバノン、イラン、イエメン、紅海、米国の中東政策にも影響します。
- ヨルダン川西岸でも治安作戦、入植地問題、衝突が続き、情勢が悪化しやすい状態です。
🇱🇧 レバノン
- 2026年5月時点では、イスラエルとレバノンの間で停戦が維持・延長されているとされる一方、南レバノンでは攻撃や衝突が残っています。
- ヒズボラはイスラエル側の攻撃や占領継続を問題視し、イスラエル側は安全保障上の脅威を理由に限定的な軍事行動を続ける姿勢を見せています。
- したがって、レバノンは「全面戦争が続いている国」と断定するよりも、停戦下にあるが、再燃リスクの高い越境紛争地域として整理するのが適切です。
- レバノン問題は、イラン、ヒズボラ、イスラエル、米国の関係と密接に結びついており、中東危機全体の温度計のような役割を持っています。
🇮🇷 イラン
- 2026年5月時点では、米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、全面拡大の局面から、停戦維持と交渉、海上交通の安全確保をめぐる局面へ移っています。
- ただし、イラン本土への攻撃や報復の記憶は新しく、湾岸地域、米軍関連施設、イスラエル、レバノン、紅海、ホルムズ海峡を含む広域危機としての性格は残っています。
- イラン情勢を見るうえでは、ミサイル攻撃だけでなく、ホルムズ海峡の航行安全、タンカー保険、掃海作戦、イラン革命防衛隊の動き、ヒズボラなど支援勢力との関係を合わせて見る必要があります。
- イランは中東の複数の紛争に影響力を持つため、イラン危機は単独の二国間対立ではなく、地域全体の安定に直結する問題です。
ホルムズ海峡
- ホルムズ海峡は、2026年5月時点でも世界経済に直結する最大級の不安要因です。
- 一時的な通航再開や護衛ルートの確保が進んでも、船舶拿捕、機雷、ドローン、ミサイル、掃海作戦などのリスクが残れば、通常時のような安全な商業航行に戻ったとは言えません。
- したがって、現在の表現としては「完全封鎖」よりも、通航は一部可能でも、軍事的リスクと保険・物流コストが大きく上がっている危険水域と説明するほうが正確です。
- ホルムズ海峡の危険化は、日本にとっても重要です。日本は中東から多くの原油やLNGを輸入しているため、海峡の安全はエネルギー価格、電気料金、ガソリン価格、輸送費に影響します。
🇦🇪 UAE/🇸🇦 サウジアラビア/🇶🇦 カタールなど湾岸諸国
UAE、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンなどの湾岸諸国は、単なる周辺国ではありません。米軍基地、港湾、空港、石油・ガス関連施設、LNG輸出施設が集中しているため、イラン危機やホルムズ海峡危機の影響を直接受けやすい地域です。
2026年春の中東危機では、湾岸諸国の米軍関連施設やエネルギー施設が攻撃・警戒対象となったことが報じられました。そのため、これらの国々は「全面戦争をしている国」と単純に分類するかどうかは別として、中東危機の直接的な影響圏にあると考える必要があります。
- 🇦🇪 アラブ首長国連邦:フジャイラなど、ホルムズ海峡を迂回する原油輸送ルートに関わる港湾・石油関連施設が重要です。
- 🇸🇦 サウジアラビア:石油施設や輸出インフラが世界の原油市場に直結しており、攻撃リスクが価格に反映されやすい国です。
- 🇶🇦 カタール:中東最大級の米軍拠点を抱え、世界有数のLNG輸出国でもあるため、軍事・エネルギーの両面で重要です。
- 🇧🇭 バーレーン:米海軍第5艦隊司令部があり、海上安全保障の中核に位置します。
- 🇰🇼 クウェート:米軍の重要拠点があり、基地防衛やミサイル・ドローン対策の文脈で注目されます。
- 🇴🇲 オマーン:ホルムズ海峡に近く、周辺海域の軍事行動や航行リスクの影響を受けやすい国です。
このように、現在の中東危機は「イスラエル対イラン」という単純な二国間構図だけでは説明できません。湾岸諸国の基地、エネルギー施設、港湾、空港、海峡の安全が、すべて一つの危機として結びついています。
🇾🇪 イエメンと紅海周辺
- イエメンでは国内紛争が長期化しており、政治分裂、人道危機、武装勢力の支配地域が複雑に絡んでいます。
- さらに紅海周辺では船舶攻撃や航路変更の問題があり、海上交通の安全保障と国内紛争が連動しています。
- コンテナ船の航路変更、保険料上昇、遅延の連鎖など、実務面から戦争を実感しやすい地域でもあります。
🇸🇾 シリア
- シリアでは、長期内戦の影響が今も残り、多勢力が絡む複雑な状態が続いています。
- ある地域では沈静化しても、別地域では再燃する「地域ごとの温度差」が大きいのが特徴です。
- イスラエル、イラン、トルコ、クルド勢力、各種民兵組織などが関係するため、単純な国内問題としては理解できません。
🇮🇶 イラク
- 全面戦ではなくても、イラン系民兵、米軍関連施設への攻撃、報復空爆などを通じて不安定化しやすい局面が続いています。
- イラクは地理的にも、イラン、シリア、湾岸、トルコの間に位置しており、中東危機の影響を受けやすい国です。
🇱🇾 リビア/🇹🇷 トルコ周辺
- リビアは政治分裂と武装勢力の存在が続き、全面戦争ではなくても不安定さが残ります。
- トルコは国内外でクルド系武装勢力との衝突や越境作戦を行うことがあり、地域安全保障上の重要な要素です。
6-3. サブサハラ・アフリカ
アフリカでは、武力紛争が政治、治安、資源、民族・地域対立、気候変動、食料危機と結びつき、人道危機として爆発しやすい傾向があります。
- 政治:クーデター、権力闘争、政府の統治能力低下
- 治安:過激派、武装勢力、民兵、治安部隊の衝突
- 経済:資源、密輸、税収、鉱山支配
- 気候:干ばつ、洪水、農地・牧草地をめぐる対立
🇸🇩 スーダン
- スーダンでは、国軍と準軍事組織RSFの対立を中心に、国家中枢を巻き込む内戦が続いています。
- 医療、食料、水、避難、教育、保護の問題が急速に悪化し、世界最大級の人道危機の一つになっています。
- 首都周辺の支配が変化しても、地方では戦闘、略奪、民族暴力、避難民の増加が続く可能性があります。
- ホルムズ海峡や紅海の危険化は、スーダンなどへの援助物資輸送にも影響します。つまり中東の海上危機は、アフリカの人道危機ともつながっています。
🇨🇩 コンゴ民主共和国
- コンゴ民主共和国東部では、武装勢力が多く、住民への被害、避難、性的暴力、鉱物資源をめぐる争いが続いています。
- 周辺国との関係、難民の移動、鉱山資源の利権が絡むため、国内問題でありながら国際的な性格も強い紛争です。
🇸🇴 ソマリア
- ソマリアでは、テロ、越境、治安作戦が絡む長期型の紛争が続いています。
- 政府の統治能力、過激派組織の活動、干ばつや食料危機が重なり、住民の生活が不安定になりやすい国です。
🇪🇹 エチオピア/🇸🇸 南スーダン/🇨🇫 中央アフリカ共和国
- エチオピアでは、地域対立や政治不安が残り、過去の大規模紛争の影響も続いています。
- 南スーダンでは、和平合意後も政治対立と暴力の再燃リスクが残ります。
- 中央アフリカ共和国では、武装勢力、外国勢力、資源問題が絡む不安定な状況が続いています。
🇲🇱 マリ/🇧🇫 ブルキナファソ/🇳🇪 ニジェール
- サヘル地域では、反政府勢力、過激派、治安部隊、民兵組織の戦闘が複雑に絡んでいます。
- 国家の統治が弱い地域ほど、武装勢力が支配を広げやすく、住民が避難を強いられます。
- クーデター後の政治変動、外国軍の撤退・再編、ロシア系民間軍事会社などの関与も、地域の安全保障を複雑にしています。
🇳🇬 ナイジェリア/🇲🇿 モザンビーク/🇨🇲 カメルーン
- 国家間戦争ではなくても、武装勢力、コミュニティ間暴力、治安作戦の組み合わせによって、地域によっては「戦場に近い危険」が発生します。
- ナイジェリアでは過激派、盗賊集団、農牧民対立など、複数の暴力が重なっています。
- モザンビーク北部では、天然ガス開発と治安問題が結びつき、経済と安全保障の両面で注目されています。
- カメルーンでは英語圏地域の紛争や周辺国の不安定化の影響が続いています。
6-4. アジア・太平洋
🇲🇲 ミャンマー
- ミャンマーでは、2021年のクーデター後、国軍と反軍政勢力、民族武装組織の戦闘が続き、内戦として激化しやすい局面が続いています。
- 地域によって情勢が大きく変わり、国境貿易、避難、医療、教育にも深刻な影響が出ています。
- 2026年時点でも、多くの人が人道支援を必要とし、周辺国への避難や国境地帯の不安定化が続いています。
🇦🇫 アフガニスタン/🇵🇰 パキスタン
- アフガニスタンでは、政権交代後も治安問題、過激派組織、人道危機、女性や少数派の権利問題が続いています。
- パキスタンでは、国内の武装勢力、越境的な緊張、政治不安が重なり、地域によって安全状況が大きく異なります。
🇮🇳 インド/🇵🇰 パキスタン
- インドとパキスタンは、核保有国同士であり、国境・地域対立を背景に軍事衝突のリスクが常に意識される枠組みです。
- 大規模戦争が常時起きているわけではありませんが、カシミール周辺などでは緊張が高まりやすく、偶発的衝突への警戒が必要です。
🇹🇭 タイ/🇰🇭 カンボジア
- 全面戦争とまでは言いにくくても、国境地帯の衝突や停戦後の摩擦が再燃リスクとして残るタイプです。
- このような地域では、普段は目立たなくても、政治的緊張や軍の動きによって急に情勢が悪化することがあります。
🇨🇳 中国/🇹🇼 台湾
- 台湾海峡は、「いま戦争中」というより、軍事衝突の危機として高い関心を集める地域です。
- 中国軍の演習、台湾周辺での航空・海上活動、米国や日本を含む周辺国の対応、半導体サプライチェーンへの影響が注目されます。
- 台湾有事が現実化した場合、東アジアの安全保障だけでなく、世界の半導体、海運、航空、金融市場にも大きな影響が出る可能性があります。
南シナ海
- 南シナ海では、領有権、海上警備、資源開発、国際法が絡み、偶発的衝突が政治問題に直結しやすい状態が続いています。
- 中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾などが関係し、米国の関与も含めて軍事的緊張が高まりやすい海域です。
🇰🇵 北朝鮮/🇰🇷 韓国
- 朝鮮半島は、一般に「現在戦争中ではない」と見られがちですが、実際には1953年の朝鮮戦争休戦協定以降、正式な終戦には至っていない状態です。
- つまり現在は「平和条約による終戦」ではなく、休戦状態が長期的に続いている特殊な地域です。
- ミサイル発射、核開発、軍事演習、政治対立は、単なる緊張ではなく、いつでも武力衝突に発展し得る構造の中で起きている動きです。
- 特に、偶発的な衝突や誤認によるエスカレーションのリスクは常に存在し、戦争が再開する可能性を内包した休戦状態であることが、この地域の最大の特徴です。
6-5. アメリカ大陸
アメリカ大陸では、国家間戦争よりも、武装集団、組織犯罪、治安崩壊、政治危機が「戦場のような危険」を生むケースが多く見られます。
- 武装集団・組織犯罪
- 治安崩壊
- 政治危機
- 麻薬取引や密輸をめぐる暴力
- 国家の統治能力低下
🇭🇹 ハイチ
- ハイチでは、武装集団による治安崩壊が深刻化し、生活基盤が急速に壊れています。
- 国家間戦争ではありませんが、住民にとっては移動、食料、医療、安全が脅かされる深刻な危機です。
🇲🇽 メキシコ
- メキシコでは、組織犯罪の暴力は「戦争」とは別分類されることが多い一方、地域によっては武力紛争並みの危険をもたらします。
- 麻薬カルテル、治安部隊、地域住民、自警団などが複雑に絡み、都市や州によって危険度が大きく異なります。
🇨🇴 コロンビア/🇪🇨 エクアドル
- コロンビアでは、和平合意後も一部地域で武装勢力、犯罪組織、麻薬取引をめぐる暴力が続いています。
- エクアドルでは、近年、犯罪組織の暴力と治安悪化が深刻化し、地域によっては非常に危険な状態になっています。
🇻🇪 ベネズエラ
- 2026年1月、米軍がベネズエラで武力行使を伴う急襲作戦を実施し、ニコラス・マドゥロ氏とシリア・フローレス氏を拘束して国外へ移送したと複数の海外メディアが報じました。
- この事案は、米国側が「法執行」「麻薬犯罪捜査」「国際犯罪対策」などの論理で説明したとしても、実態としては外国の首都で軍事力を用いて政権中枢を拘束した作戦であり、非常に強い軍事介入です。
- ただし、ウクライナ戦争やスーダン内戦のように、長期の前線戦や継続的な大規模戦闘に発展したケースとは性格が異なります。
- このため、ベネズエラは「現在も大規模な戦争が続いている国」と見るよりも、2026年に短期決着型の軍事介入・政権中枢への急襲が起きた国として整理するのが分かりやすいでしょう。
- その後も、国内の権力再編、治安機関や軍の掌握、暫定的な統治体制、対米関係、周辺国との関係が大きな争点になっています。
- このケースは、現代型の武力行使に多い「宣戦布告なき急襲」「短期決着型の軍事作戦」「法執行と軍事介入の境界が曖昧な作戦」として理解するとよいでしょう。
🇬🇾 ガイアナ周辺
- ガイアナ周辺では、資源・国境問題を背景に緊張が高まりやすい状態があります。
- ただし、2026年5月時点で読者の関心が高いのは、ガイアナ単体よりも、ベネズエラで報じられた米軍の急襲作戦と、その後の地域秩序への影響です。
7. 数字で見る「世界の紛争の多さ」

世界では、国家間戦争だけでなく、国家と武装勢力の戦闘、内戦、越境衝突、武装勢力同士の戦闘などを含めると、同時に多数の武力紛争が進行しています。
紛争研究では、UCDPやPRIOのように、戦闘関連死や国家の関与を基準に分類するデータセットがあります。UCDP/PRIOの集計では、2024年に国家が関与する武力紛争が61件記録され、これは1946年以降で最も高い水準とされています。
また、ACLEDのような紛争トラッカーは、政治暴力、抗議活動、武装衝突、民間人への攻撃などを細かく記録し、世界各地の紛争リスクを分析しています。こうしたデータを見ると、ウクライナ、ガザ、スーダン、ミャンマー、シリア、イエメン、コンゴ民主共和国、サヘル、ハイチ、メキシコなどが、世界的に高い関心を集めていることが分かります。
ここで大切なのは、ニュースで目立つ戦争だけが世界の戦争ではないという点です。中東やウクライナのような大きな戦場に視線が集まりやすい一方で、スーダン、コンゴ、サヘル、ミャンマーなどでも、日常生活が壊される深刻な紛争が続いています。
8. ニュースで「戦争中の国」を見分けるチェックリスト

戦争・紛争報道を見たとき、次の観点で読むと理解が早くなります。
- ✅ 当事者は誰か:国家対国家、国家対反政府勢力、武装勢力同士のどれか
- ✅ 戦場はどこか:国境地帯、首都周辺、資源地帯、港湾、海峡のどこか
- ✅ 目的は何か:領土、政権、宗派、資源、治安、独立のどれが中心か
- ✅ 外部の関与はあるか:武器供与、軍事顧問、空爆、代理勢力があるか
- ✅ 人道面の影響は大きいか:避難民、医療崩壊、飢餓、学校閉鎖が起きているか
さらに、2026年のように海上交通とエネルギーが大きな焦点になる時代には、次の視点も重要です。
- ✅ 海上交通が止まるか:海峡、運河、港湾が危険になっていないか
- ✅ エネルギー施設が標的か:油田、ガス田、精製施設、LNG拠点が攻撃対象か
- ✅ 停戦の実効性があるか:監視体制、履行メカニズム、外部保証があるか
- ✅ 周辺国へ飛び火していないか:空域閉鎖、基地攻撃、難民流入、航路変更が起きていないか
- ✅ 保険や物流費に影響しているか:戦争保険、危険料率、迂回航路、燃料サーチャージが上がっていないか
現在の中東危機では、とくに海峡、エネルギー施設、周辺国への飛び火、物流コストの4点が非常に重要です。これらは現代の戦争を理解するうえで、非常に強い判断軸になります。
9. よくある誤解:戦争・紛争をめぐる混乱ポイント

9-1. 「戦争=国家間の宣戦布告」ではない
現代では、宣戦布告なしに武力行使が始まることが珍しくありません。内戦、越境攻撃、限定作戦、報復攻撃、ドローン攻撃、サイバー攻撃が組み合わさり、事実上の戦争状態になることがあります。
9-2. テロ、内戦、報復戦は重なることがある
同じ地域で、国家間攻撃、武装勢力の越境攻撃、治安作戦、人質問題、空爆、報復攻撃が混在することがあります。中東はこの重なりが特に強い地域です。
9-3. 「海峡が法的に閉鎖されていない=安全」ではない
ホルムズ海峡の現状が象徴的です。正式な閉鎖宣言の有無とは別に、民間船が危険で通常どおり航行できないなら、それは実務上きわめて深刻な海上危機です。
9-4. 停戦合意は終戦ではない
停戦は、戦闘を一時的に止める合意にすぎません。局地的な戦闘の継続、再攻撃、履行違反、監視体制の不備が起こることは珍しくありません。
9-5. 「戦争中ではない国」でも戦争の影響を受ける
日本のように直接戦争をしていない国でも、原油価格、LNG価格、海上保険、航空路、食料価格、輸入品価格、為替、株式市場を通じて、戦争の影響を受けることがあります。
10. 現在の中東危機で起きやすい連鎖
- ホルムズ海峡の危険化 → タンカー・商船の待機や迂回
- 湾岸エネルギー施設への攻撃リスク → 原油・LNG価格の上昇
- 燃料高 → 海運・陸送・航空のサーチャージ増
- 保険条件の変更 → 戦争保険・危険料率の上昇
- 空域制限 → フライト遅延・欠航・乗り継ぎ混乱
- 援助物資輸送の遅れ → スーダンやアフリカ諸国の人道危機が悪化
- 市場心理の悪化 → 株価、為替、資源価格の変動
つまり、戦場から遠い国でも、物流コストとエネルギー価格を通じて戦争の影響を受けるということです。
特に日本は、原油やLNGの多くを海外から輸入しているため、ホルムズ海峡、紅海、スエズ運河、パナマ運河、マラッカ海峡などの海上交通の安定が非常に重要です。中東の戦争や海上危機は、日本のガソリン価格、電気料金、航空券、輸入食品、企業の物流コストにも影響します。
11. 用語ミニ辞典
- 武力紛争:国家が絡むかどうかを問わず、組織だった武力行使が継続する状態の総称。
- 内戦:同一国内の権力、統治、独立、地域支配などをめぐる大規模な武力衝突。
- 国家間戦争:国と国が直接戦う戦争。ロシア—ウクライナ戦争が代表例。
- 越境衝突:国境をまたぐ攻撃や報復が常態化した状態。
- 代理戦争:当事国以外が、武器、資金、訓練、情報などで当事者を支援し、実質的に争いを拡大させる構造。
- 凍結紛争:大規模戦闘が止まっても政治解決がなく、再燃の火種が残る状態。
- 人道危機:医療、食料、安全な居住、水、衛生、教育などが不足し、人命の危険が拡大する状態。
- 停戦:戦闘を一時的に止める合意。終戦や和平とは異なり、再燃リスクを残すことが多い。
- 事実上の封鎖:法的な宣言の有無とは別に、攻撃、機雷、威嚇、保険不能、航行回避などにより、実務上は航行が著しく妨げられている状態。
- 戦争保険:戦争、武力紛争、海賊、テロなどのリスクに対応する保険。危険水域では保険料率が急上昇することがある。
12. まとめ:2026年の「今戦争をしている国」は、地図より連動で理解すると見えやすい

「今戦争をしている国・2026」を一つの固定リストで言い切るのは難しいものの、現代の戦争・紛争は大きく分けて次のような型で理解できます。
- 🟥 国家間戦争:ロシア—ウクライナなど
- 🟥 内戦:スーダン、ミャンマーなど
- 🟥 国際化した内戦・越境衝突:ガザ、レバノン、シリア、イエメンなど
- 🟥 海峡・エネルギー・物流を巻き込む広域危機:イラン危機、ホルムズ海峡、紅海など
- 🟧 治安崩壊・犯罪暴力:ハイチ、メキシコの一部、エクアドルの一部など
- 🟨 軍事衝突の危機:台湾海峡、南シナ海、朝鮮半島など
- 🟨 短期決着型の軍事介入:ベネズエラ急襲事案など
2026年5月時点で特に重要なのは、中東が「複数の別々の紛争」ではなく、相互に連動する一つの巨大危機として見えるようになっていることです。ガザの戦闘、レバノン停戦、イラン危機、ホルムズ海峡、紅海、湾岸エネルギー施設、米軍関連施設、海運や航空への影響は、すべて同じ連鎖の一部として理解したほうが実態に近いでしょう。
また、ウクライナ、スーダン、ミャンマー、コンゴ民主共和国、サヘル、ハイチのように、中東以外にも深刻な戦争・紛争・治安危機は数多く存在します。ニュースで大きく報じられる地域だけでなく、長期化した内戦や人道危機にも目を向けることが、世界情勢を理解するうえで重要です。
現代の戦争は、地図上の国境だけでは見えません。戦場、海峡、港湾、エネルギー施設、難民の移動、保険料、物流費、食料価格がすべてつながっています。そのため、2026年の「今戦争をしている国」を理解するには、国名の一覧だけでなく、世界がどのように連動しているのかを見る視点が欠かせません。