近年、サウジアラビアリーグ(サウジ・プロフェッショナルリーグ)は、世界中の注目を集めています。特に2022年以降、欧州のスター選手の移籍が相次ぎ、国際的な注目度が急上昇しました。その象徴的な出来事が、クリスティアーノ・ロナウドのアル・ナスル加入です。この移籍を契機として、ネイマール、カリム・ベンゼマ、サディオ・マネなど、世界的な名選手たちが次々とサウジリーグのクラブに加入するようになりました。
こうしたスター選手の大量流入を支えているのが、「外国人枠の拡大」です。この制度は、国内リーグにおけるクラブチームの選手構成に大きな影響を与えるだけでなく、リーグ全体の競技レベルや商業的価値にも関わる非常に重要な要素です。
サウジアラビアリーグにおける「外国人枠」とは、各クラブが契約し、登録・出場させることができる外国籍選手の最大数を定める制度のことです。
つまり、1つのクラブが8人までの外国籍選手を登録することが可能で、さらにその全員が1試合に同時に出場することもルール上問題ありません。この点は、多くの他国リーグと比較して非常に自由度が高く、柔軟な運用が可能となっています。
もともと外国人枠は5〜6名程度に制限されていましたが、サウジアラビア政府の後押しとスポーツ強化政策の一環として、年々緩和が進められてきました。近年のサッカー界で最も注目されているリーグの一つとなった背景には、こうした政策の転換が大きく影響しています。
この外国人枠の拡大は、単なるサッカーの強化策というだけでなく、サウジアラビアの国家戦略「ビジョン2030」と密接に結びついています。この計画は、石油に依存しない持続可能な経済の構築を目指し、観光やエンターテインメント、スポーツなどの非石油分野への積極投資を柱としています。
このように、サッカーにおける外国人枠の拡大は、単なる興行的な側面を超えて、国家の将来的な発展を視野に入れた包括的な施策として位置づけられているのです。
現在、サウジアラビアリーグでは多数の外国籍選手が活躍しており、その中には世界的に知名度の高い選手も数多く含まれています。以下はその一例です:
彼らはクラブの勝利に大きく貢献しているだけでなく、現地の若手選手にとってはお手本となる存在です。加えて、テレビ放映権の価値向上、チケット販売の増加、ユニフォームなどのグッズ販売促進にも寄与しており、リーグ全体の商業的成功を支えています。
これらの課題は、中長期的にリーグが持続可能な発展を遂げるために、今後解決していくべき重要なテーマです。
サウジアラビア国内リーグでの外国人枠の拡大は進んでいますが、国際大会となると話は別です。AFC(アジアサッカー連盟)が主催する大会、たとえばAFCチャンピオンズリーグなどでは、参加クラブに対して「3+1ルール」が適用されています。
このルールは以下のような構成です:
そのため、サウジアラビアのクラブは、アジア大会に向けて登録メンバーの見直しや戦略的な調整が求められます。リーグと国際大会でのルールの違いに対応するため、各クラブは多角的な選手マネジメントと戦術設計を行う必要があります。
今後もサウジアラビアリーグはさらなる注目と変化を迎えることが予想されます。外国人枠制度を中心に、グローバル化が進むサッカー界の中で、どのようにその存在感を発揮していくのか、引き続き注目していきましょう。