永久欠番ができたのはなぜ?
永久欠番の起源・意味・外国の事例
スポーツファンなら一度は耳にしたことのある「永久欠番」という言葉。しかし、それがどういった制度で、なぜ生まれたのかまで詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、永久欠番の起源からその目的、世界や日本の事例、さらには現代の課題やトリビアまで、徹底的に掘り下げて解説します。
🔢 永久欠番とは?あらためて定義しよう
永久欠番(えいきゅうけつばん)とは、あるチームにおいて特定の人物が着用していた背番号を、その人物への敬意や功績を称えるために「二度と使用しない」ことにする制度です。
- 🎖️ 讃えられるのは、主にそのチームに多大な貢献をした選手や監督。
- 🕊️ また、事故や病気など不慮の出来事に見舞われた人物に対する追悼の意を込めるケースもあります。
- 🧱 番号自体がその人物の象徴となることで、ファンの記憶に永遠に刻まれます。
永久欠番は、単なる制度ではなく、選手の人生や時代を象徴する文化の一部となっているのです。
🧬 永久欠番の起源は「感動」と「喪失」から
🇺🇸 最初の永久欠番:ルー・ゲーリッグ(Lou Gehrig)

- チーム: ニューヨーク・ヤンキース
- 背番号: 4
- 年: 1939年
- 背景: 「アイアンホース」の異名で知られた名選手ゲーリッグは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病により突然引退。
彼の引退セレモニーで、チームが背番号「4」を永久欠番として発表。
- 🎤「私は世界一幸運な男です」というスピーチは、今なお語り継がれる感動の名場面。
この出来事が、スポーツ界における「番号を封印する」という文化の幕開けとなりました。
📌 なぜ「背番号を封印」するのか? 目的と理由
1️⃣ 功績を永遠に称えるため
プロとしての成績だけでなく、人格やチームへの忠誠心などを含めて“伝説”となった人物への最大限の敬意。
- 例)王貞治(巨人)→ 背番号「1」
- 例)イチロー(マリナーズ)→ 背番号「51」は2025年に正式な永久欠番に指定
- 例)長嶋茂雄(巨人)→ 背番号「3」も永久欠番として有名
2️⃣ トラウマや悲劇を忘れないため
不慮の事故や病で現役を終えた選手を偲ぶために、背番号を封印。
- 例)ロベルト・クレメンテ(パイレーツ)→ 人道支援中に墜落事故で死亡し「21」が欠番に。
- 例)阪急ブレーブス・中田昌宏 → 脳腫瘍で死去、「7」番が欠番に
- 例)木村拓也(元巨人コーチ)→ 在籍していた広島東洋カープでは「0番」が欠番として扱われています。
3️⃣ ファンと共に記憶を守る象徴
永久欠番は単にチーム内の制度ではなく、ファンにとっても「心の記念碑」。
背番号を見るだけで、その人物の姿が蘇るという心理的効果があります。
スタジアムの壁や記念碑に刻まれた番号が、世代を越えて語り継がれる理由にもなっています。
🌍 世界に広がる永久欠番文化
⚾ アメリカ・メジャーリーグ(MLB)
- ヤンキースの「4(ゲーリッグ)」から始まり、多くの球団に波及。
- 史上最大の永久欠番:ジャッキー・ロビンソンの「42」
→ MLB史上初の黒人選手。差別に立ち向かい、野球と社会に大きな変革をもたらしたことから、1997年に全30球団で欠番化。
→ 現在「42」を着用できるのは、毎年4月15日の「ジャッキー・ロビンソン・デー」限定で、全選手が着用。
⚠️ ヤンキースの永久欠番が多すぎる問題
- ヤンキースはMLBで最も多くの永久欠番を持つ球団で、その数は**22人分・21番号(8番は2人)**にのぼります。
- 1〜10のすべての番号が永久欠番で埋まっており、新たな選手は80番台や90番台を選ばざるを得ないことも。
- アーロン・ジャッジの「99」も、その流れの中で与えられた番号だとされています。
- 一部では「多すぎるのでは?」という声もありますが、それだけ長い歴史と多くの英雄たちを生み出してきた証とも言えるでしょう。
🏀 NBA(アメリカ・プロバスケット)
- マイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ) → 背番号「23」
- コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ) → 異例の「8」と「24」両方が永久欠番
- ビル・ラッセルの「6」 → NBA全体で欠番化された希少な例(2022年)
🏒 NHL(アイスホッケー)
- ウェイン・グレツキーの「99」 → NHL全体で欠番に
💡 永久欠番にまつわるトリビア集
📛 背番号「0」や「00」も欠番にできる?
NBAでは「0」と「00」は別番号として扱われ、実際に「00」が永久欠番になっている例(セルティックスのロバート・パリッシュ)もあります。NPBでは「0」番を使う選手も多く、特別扱いされるケースもあります。
📜 日本最初の永久欠番は?
- 日本プロ野球で最初に永久欠番となったのは、1952年の西鉄ライオンズ「24」番。その後、1960年代から文化として広まりました。
🔄 永久欠番の復活例
- 特別試合での一時復活や、選手の希望で「実質欠番」が復活することもあり、形式にこだわらないケースも存在します。
- 記念イベントなどで背番号を着用する例もあります。
🧢 若手が「伝説の番号」を引き継ぐケース
- 阪神の「6番」(藤田平→和田豊→金本知憲など)は、エースナンバーのように継承されるパターンも。
- 巨人の「18番」も長年にわたりエース投手が背負い、象徴的な番号とされてきました。
🗾 日本で“実質的な”永久欠番も存在
- イチローのオリックス時代の「51」番は、マリナーズ同様に事実上の欠番扱いとなっていました。
- 楽天イーグルスの「10」番は“ファンの番号”として欠番扱いです。