モロッコ代表は、近年の世界サッカーで最も存在感を高めているアフリカの強豪国です。
2022年カタールワールドカップでは、アフリカ勢・アラブ圏の国として初めてベスト4に進出し、世界中を驚かせました。その勢いは一過性のものではなく、2026年ワールドカップでも再び決勝トーナメントに進出しています。
日本のサッカーファンにとっても、モロッコは無視できない相手です。なぜなら、2026年ワールドカップでは、日本がグループFを1位で通過した場合、決勝トーナメント初戦でモロッコと対戦する可能性があるためです。
この記事では、モロッコ代表の有名選手を、特に2026年ワールドカップで注目される選手を中心に紹介します。
モロッコ代表は、北アフリカのモロッコ王国を代表するサッカーナショナルチームです。愛称は「アトラスのライオン」。アトラス山脈に由来する力強い名前で、モロッコ代表の粘り強さや誇りを象徴しています。
モロッコは、アフリカの中でも特に欧州サッカーとのつながりが深い国です。フランス、スペイン、ベルギー、オランダなどで育ったモロッコ系選手が多く、代表チームには欧州トップリーグで活躍する選手が数多くそろっています。
そのため、モロッコ代表は単なる「身体能力の高いアフリカ勢」という見方では説明できません。欧州仕込みの戦術理解、足元の技術、守備の組織力、そしてカウンターの鋭さを併せ持つチームです。
2026年ワールドカップでモロッコは、ブラジル、スコットランド、ハイチと同じグループCに入りました。
初戦ではブラジルと引き分け、続くスコットランド戦では勝利。さらにハイチ戦にも勝って、グループCを2位で通過しました。勝ち点ではブラジルと並びましたが、得失点差でブラジルが1位、モロッコが2位となっています。
この結果、モロッコは決勝トーナメント初戦でグループFの1位チームと対戦することになります。グループFには日本、オランダ、スウェーデン、チュニジアが入っているため、日本が1位通過した場合、モロッコ戦が実現する可能性があります。
| 選手名 | ポジション | 主な所属クラブ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アクラフ・ハキミ | DF | パリ・サンジェルマン | 世界屈指の攻撃的サイドバック |
| ブラヒム・ディアス | MF / FW | レアル・マドリード | ドリブルと創造性が武器の攻撃的選手 |
| ヤシン・ボノ | GK | アル・ヒラル | 大舞台に強い守護神 |
| ソフィアン・アムラバト | MF | レアル・ベティス | 中盤の守備力と強度が持ち味 |
| ヌサイル・マズラウィ | DF | マンチェスター・ユナイテッド | 左右でプレーできる万能型サイドバック |
| イスマエル・サイバリ | MF / FW | PSVアイントホーフェン | 2026年大会で急浮上した得点源 |
| ビラル・エル・カンヌス | MF | シュトゥットガルト | 攻撃の間でボールを受ける技巧派 |
| アゼディン・ウナヒ | MF | ジローナ | 2022年大会でも評価を高めた中盤の司令塔 |
| ナイフ・アゲルド | DF | マルセイユ | 空中戦とビルドアップに強いセンターバック |
| スフィアン・ラヒミ | FW | アル・アイン | 途中出場から流れを変えられるアタッカー |
| アユブ・エル・カービ | FW | オリンピアコス | ゴール前の決定力に優れるストライカー |
| アイユーブ・ブアディ | MF | リール | 将来性の高い若手ミッドフィールダー |

モロッコ代表で最も有名な選手を一人挙げるなら、アクラフ・ハキミでしょう。
ハキミは右サイドバックを主戦場とする選手ですが、単なる守備の選手ではありません。圧倒的なスピード、縦への突破力、クロス、シュート、さらにセットプレーでも存在感を示す、世界トップクラスの攻撃的サイドバックです。
所属クラブはフランスの強豪パリ・サンジェルマン。過去にはレアル・マドリード、ドルトムント、インテルなどでもプレーしており、欧州トップレベルで豊富な経験を積んできました。
2026年大会ではキャプテンとしてチームを引っ張り、ハイチ戦ではゴールにも絡む活躍を見せました。モロッコの攻撃は、ハキミが右サイドを駆け上がることで一気にスピードアップします。
日本がモロッコと対戦する場合、右サイドのハキミをどう止めるかは非常に重要なポイントになります。ハキミを自由にさせると、クロス、折り返し、ミドルシュート、セットプレーのすべてで危険が生まれます。

ブラヒム・ディアスも、モロッコ代表を語るうえで欠かせない有名選手です。
レアル・マドリードでプレーする攻撃的ミッドフィールダーで、狭いエリアでのボールタッチ、ドリブル、ターン、ラストパスに優れています。相手の守備ブロックの間に入り込み、少しのスペースからチャンスを作るタイプの選手です。
ディアスはもともとスペイン代表としてプレーした経験もありますが、その後モロッコ代表を選択しました。このように、欧州で育ったモロッコ系選手が代表に加わっていることも、近年のモロッコの強さにつながっています。
モロッコの攻撃では、ハキミの縦突破とディアスの中央での創造性が組み合わさることで、相手守備に大きな負担をかけます。
日本が対戦する場合、ディアスを自由に前向きで持たせないことが重要です。中盤と最終ラインの間にスペースを与えると、一気に決定機を作られる可能性があります。

ヤシン・ボノは、モロッコ代表のゴールを守るベテランGKです。
2022年ワールドカップでは、スペイン戦のPK戦で大きな注目を集めました。冷静な対応、反応の速さ、そして大舞台で動じないメンタルは、モロッコ代表の大きな武器です。
現在はサウジアラビアのアル・ヒラルでプレーしていますが、以前はスペインのセビージャでも活躍していました。欧州の厳しい試合を数多く経験しており、代表でも安定感のあるGKとして知られています。
決勝トーナメントでは、接戦や延長戦、PK戦になる可能性もあります。その意味で、ボノの存在はモロッコにとって非常に大きいと言えます。

ソフィアン・アムラバトは、モロッコ代表の中盤を支える守備的ミッドフィールダーです。
2022年大会でも、アムラバトの激しい守備、広いカバー範囲、ボール奪取能力は世界的に高く評価されました。相手の攻撃の芽を摘み、奪ったボールを味方につなぐ役割を担います。
モロッコは守備が固いチームという印象がありますが、その中心にいるのがアムラバトです。センターバックの前でスペースを消し、相手のトップ下やインサイドハーフを自由にさせません。
日本がモロッコと戦う場合、アムラバトの周囲でどうボールを動かすかがカギになります。正面からぶつかるだけではボールを奪われやすいため、ワンタッチのパス交換やサイドチェンジで揺さぶる必要があります。

ヌサイル・マズラウィは、マンチェスター・ユナイテッドでプレーするサイドバックです。
本職は右サイドですが、左サイドでもプレーできる柔軟性があります。足元の技術が高く、ビルドアップにも参加できるため、単純に守備をするだけのサイドバックではありません。
モロッコにはハキミという強烈な右サイドの武器がありますが、マズラウィの存在によって反対サイドにも安定感が生まれます。両サイドに欧州トップレベルの経験を持つ選手がいることは、モロッコ代表の大きな強みです。

2026年ワールドカップで特に注目度を高めているのが、イスマエル・サイバリです。
サイバリはPSVアイントホーフェンでプレーする攻撃的な選手で、本来はミッドフィールダーやウイングとして起用されることもあります。しかし2026年大会では、よりゴールに近い位置で起用され、得点力を発揮しています。
ブラジル戦、スコットランド戦、ハイチ戦でゴールを決め、グループステージで大きなインパクトを残しました。特にスコットランド戦では、試合開始直後に得点し、モロッコに勝利をもたらしました。
サイバリの怖さは、スピードと動き出しです。相手DFの背後を取る動きが鋭く、少しでも守備ラインが乱れると一気にゴール前へ入ってきます。
日本がモロッコと対戦する場合、ハキミやディアスだけでなく、サイバリの裏抜けにも注意が必要です。
ビラル・エル・カンヌスは、モロッコ代表の攻撃に変化をつける若いミッドフィールダーです。
相手の中盤と最終ラインの間でボールを受け、細かいタッチやパスで攻撃のリズムを作ります。派手なスピードで突破するタイプというより、狭い場所で前を向き、味方を生かすプレーに特徴があります。
モロッコはカウンターだけのチームではありません。エル・カンヌスのような技巧派がいることで、相手に引かれた場面でも中央から崩すことができます。
アゼディン・ウナヒは、2022年ワールドカップで一気に評価を高めた選手です。
細身の体格ながら、ボールを持ったときの身のこなしが非常にうまく、プレスを受けても簡単には失いません。中盤でボールを前進させる力があり、モロッコの攻撃にリズムを与えます。
日本が対戦する場合、ウナヒを自由に運ばせると、モロッコの攻撃がスムーズになります。中盤でプレッシャーをかけつつ、背後のスペースを空けない守備が求められます。
ナイフ・アゲルドは、モロッコ代表の守備を支えるセンターバックです。
空中戦に強く、左足でのパスも得意なため、守るだけでなく後方から攻撃を組み立てる役割も担います。モロッコは守備組織が整ったチームですが、その土台にはアゲルドのような経験あるDFの存在があります。
日本がモロッコの守備を崩すには、単純なクロスだけでは難しいかもしれません。アゲルドを含むセンターバック陣は高さと強さがあるため、地上での速いパス交換や、DFの間に入る動きが重要になります。
スフィアン・ラヒミは、前線で流れを変えられるアタッカーです。
2026年大会のハイチ戦では途中出場から得点し、モロッコの勝利に大きく貢献しました。スタメンだけでなく、ベンチにも勝負を決められる選手がいることは、トーナメントを戦ううえで大きな強みです。
モロッコは先発メンバーだけを見ると守備的なチームに見えるかもしれません。しかし、ラヒミのような選手を途中から投入することで、後半に攻撃の圧力を高めることができます。
アユブ・エル・カービは、モロッコ代表の前線で得点を狙うストライカーです。
動き出し、ポジショニング、ゴール前での反応に優れており、ペナルティエリア内で仕事をするタイプの選手です。派手なドリブルで目立つ選手ではありませんが、クロスやこぼれ球に反応して得点を奪う力があります。
モロッコにはハキミ、ディアス、サイバリといったチャンスを作れる選手がいるため、エル・カービのような決定力のあるFWは非常に重要です。
アイユーブ・ブアディは、モロッコ代表の中でも将来性が注目される若手ミッドフィールダーです。
若いながらも落ち着きがあり、中盤でボールを受けて展開する力を持っています。リールでプレーしており、欧州でも期待される存在です。
2026年大会では、モロッコ代表が世代交代を進めながらも高い競争力を保っていることを示す存在の一人です。
日本がグループFを1位で通過した場合、決勝トーナメント初戦でモロッコと対戦する可能性があります。その場合、試合のポイントは大きく分けて次の5つです。
モロッコの最大の武器は、右サイドのハキミです。ハキミが高い位置でボールを持つと、クロス、シュート、折り返しのすべてが危険になります。
日本としては、左サイドの守備だけで対応するのではなく、中盤の選手がカバーに入る必要があります。ただし、ハキミに人数をかけすぎると、中央のディアスやサイバリが空くため、守備のバランスが重要です。
2026年大会で好調なサイバリは、相手DFの背後を狙う動きが得意です。モロッコは守備から一気に前へ出るカウンターも得意なため、日本が攻め込んだ後のボールロストには注意が必要です。
日本の最終ラインが高くなりすぎると、サイバリに裏を取られる危険があります。
アムラバトは中盤で相手の攻撃を止める力があります。日本が中央から攻めようとしても、アムラバトに引っかかると一気にカウンターを受ける可能性があります。
そのため、日本は中央だけでなく、サイドチェンジや斜めのパスを使って、モロッコの中盤を横に動かすことが重要になります。
モロッコには高さのある選手が多く、セットプレーも大きな武器になります。アゲルドのようなセンターバック、ハキミのキック、前線の選手の動き出しには注意が必要です。
決勝トーナメントでは、流れの中でチャンスが少なくても、セットプレー一つで試合が決まることがあります。
決勝トーナメントでは、1点差の試合やPK戦も珍しくありません。モロッコには大舞台に強いGKボノがいます。
日本としては、試合をPK戦まで持ち込めば有利とは簡単に言えません。90分、あるいは延長戦の中で決定機をしっかり決め切ることが重要になります。
モロッコ代表の強さは、単に有名選手が多いからではありません。チームとしてのまとまり、守備の集中力、欧州で鍛えられた選手たちの戦術理解が組み合わさっている点にあります。
特に近年のモロッコは、守備の堅さをベースにしながら、攻撃ではハキミ、ディアス、サイバリ、エル・カンヌスのような技術ある選手が違いを作ります。
また、ベンチにもラヒミやエル・カービのような選手がいるため、試合の途中で攻撃の形を変えることができます。これは、トーナメントを勝ち上がるうえで大きな武器です。
モロッコの有名選手というと、2022年大会で活躍した選手たちを思い浮かべる人も多いでしょう。ハキム・ジイェシュ、ユセフ・エン=ネシリ、ロマン・サイスらは、モロッコのベスト4進出を語るうえで欠かせない存在でした。
一方、2026年大会のモロッコは、当時の主力に頼るだけのチームではありません。ブラヒム・ディアス、イスマエル・サイバリ、ビラル・エル・カンヌス、アイユーブ・ブアディといった選手が加わり、攻撃面のバリエーションが増えています。
つまり、2026年のモロッコ代表は「2022年の再現」を狙うだけではなく、より攻撃的で、より選手層の厚いチームへ進化していると言えます。
モロッコ代表は、2026年ワールドカップでも非常に警戒すべき強豪国です。
アクラフ・ハキミ、ブラヒム・ディアス、ヤシン・ボノ、ソフィアン・アムラバトといった世界的に知られる選手に加え、イスマエル・サイバリのような新しいスターも台頭しています。
日本がグループFを1位で通過した場合、決勝トーナメント初戦でモロッコと対戦する可能性があります。その場合、日本にとっては非常に難しい相手になるでしょう。
ハキミの右サイド、ディアスの創造性、サイバリの得点力、アムラバトの守備力、そしてボノの安定感。これらをどう封じるかが、日本にとって大きなテーマになります。
モロッコは、もはや「番狂わせを起こすチーム」ではありません。世界の強豪国と正面から戦える、アフリカを代表する実力国です。