メジャーリーグ・MVP予想
【2025年版】MLBのMVPを予想する
2025年メジャーリーグのレギュラーシーズンが終了しました。ポストシーズン開幕直前の“確定版”メジャーリーグのMVP予想を、最新成績と各種アワード投票の傾向(WAR・wRC+・OPS、対戦相手の強さ、所属球団の順位や貢献の「物語性」など)を総合評価してお届けします。日付は日本時間の2025年9月30日です。
この予想の前提と評価式
本稿では、候補を次の5軸の合算(100点満点)で相対評価します。
- 打撃影響(40点):打率・本塁打・出塁率・長打率・OPS、wRC+の水準と安定性。
- 総合価値(25点):WAR(打撃+走塁+守備)やポジション補正の妥当性。
- チーム貢献(15点):地区優勝やワイルドカード争いへの直接寄与。
- 9月の上積み(10点):終盤の勝敗を分ける局面でのインパクト。
- 物語性(10点):歴史的記録、復帰ストーリー、二刀流など“票を動かす”要素。
※実際のBBWAAの投票は各有権者の価値観によります。本スコアは議論の枠組みとしてお読みください。
今年のメジャーリーグMVPを占うポイント
- 圧倒的な打撃指標:伝統指標(打率・本塁打・打点)と先進指標(wRC+・xwOBA等)の“二刀”で抜けるか。
- ポジション価値:捕手・遊撃・中堅など守備負担が大きいほど、同等打力なら得票で有利に働きます。
- 終盤の記憶効果:9月のラッシュは僅差の年ほど決め手に。最終週の“物語”は無視できません。
ア・リーグ(AL)MVP予想
本命:アーロン・ジャッジ(ヤンキース)

総評:打率タイトル(.331)と本塁打(53)の長打量産を両立。OPS・wRC+でもメジャー最上位帯をキープし、伝統指標と先進指標を“両取り”した年です。9月の猛追で首位打者争いを制し、地区優勝へ牽引した“記憶の強さ”も加点材料です。
- 強み:
- 伝統指標:打率王+50HR超級という“王道の絵面”。
- 先進指標:wRC+・xSLG・バレル率いずれもトップ級。
- 票心理:ニューヨーク市場×看板スターの物語性。
- 懸念:
- 捕手や遊撃の“ポジション補正”をどう超えるか。
- チームに他の打撃好調者が多い年は“分散”も。
大接戦の対抗:カル・ラリー(Cal Raleigh/マリナーズ)
※日本語メディアでは**「カル・ラリー/レイリー」など表記ゆれがあります。本稿ではCal Raleigh**に統一します。
総評:捕手で60本塁打級という歴史的インパクト。ゲームコールや阻止能力を含む“捕手WAR”は評価が大きく、打率・出塁でジャッジに及ばなくともポジション価値の上乗せで接戦に持ち込む公算です。
- 強み:
- 守備負担最大級のポジションでの超長打。
- 先発陣の数字改善(投手成績)に対する見えない貢献も“語り”として効く。
- 懸念:
- 打率・出塁率の見劣りは一部有権者の減点要素。
- 選手層が厚いチームの場合、価値の帰属が分散しがち。
ダークホース&上位圏
- ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ):30-30到達級+遊撃守備で総合WARは最上位帯。クラッチでの寄与が可視化されれば上位票を掴みます。
- ヨルダン・アルバレス(アストロズ):寡黙に圧をかける超高水準の打撃。守備位置の価値をどう補うかが鍵。
- ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ):攻守のバランスで上位維持。チームの勝利寄与とともに伸びるタイプ。
- コーリー・シーガー(レンジャーズ):怪我さえなければ“打撃内容はMVP級”の常連。規定到達・出場数が票を左右。
- ボー・ビシェット(ブルージェイズ):高打率の波及効果で打線を底上げ。指標の伸びがもう一段あれば2〜3位圏。
AL最終予想: 1位 ジャッジ(本命)/2位 ラリー(大接戦)/3〜6位はウィットJr.、アルバレス、ヘンダーソン、シーガーの順で混戦。
AL想定トップ10(順不同の候補一覧): ジャッジ/ラリー/ウィットJr./アルバレス/ヘンダーソン/シーガー/ラミレス/タッカー/トルークソン/スプリンガー
ナ・リーグ(NL)MVP予想
本命:大谷翔平(ドジャース)

総評:55本塁打の球団新記録級の長打と、投手としての復帰登板による“実イニング”の上積みで、投打合算の価値は別格。バレル数・ハードヒット率は依然リーグ屈指で、OPS・wRC+もトップ帯。地区優勝の原動力として“連覇ムード”の世論も形成しています。
- 強み:
- 打撃の破壊力+投球の実績が同時成立。
- 走塁でも加点(盗塁成功率や進塁値)。
- “二刀流の稀少性”という明確な差別化軸。
- 懸念:
- 同僚スター(ベッツ、フリーマン)との票割れ。
- 投球回の絶対量に厳しい目を向ける有権者も一部存在。
対抗:ブライス・ハーパー(フィリーズ)/フレディ・フリーマン(ドジャース)

- ハーパー:四球を稼ぎつつ長打で仕留める“勝負強さ”。9月の勝負所での印象度が極めて高い年は、1位票の“刈り取り”に定評があります。
- フリーマン:出塁+長打+一塁守備の安定で高WARを安定確保。スター共存による票割れをどこまで跳ね返せるかが鍵。
ダークホース&上位圏

- ファン・ソト(ヤンキース→※NL移籍ケース想定の比較枠):選球眼が異次元。所属・リーグが変わっても“打撃の普遍性”は揺るぎません。
- エリー・デラクルーズ(レッズ):走攻守・身体能力の総合点はMVP級。K%改善と出塁の安定が実現すれば“いつ取ってもおかしくない”。
- トレイ・ターナー(フィリーズ):高打率と走塁・守備の“足し算”で積み上げ型の評価。
- オースティン・ライリー/マット・オルソン(ブレーブス):強力打線の核。地区優勝に直結する数字を積む年は一気に上位票へ。
NL最終予想: 1位 大谷(本命)/2位 ハーパー(対抗)/3位 フリーマン。4〜6位はソト、ターナー、ライリー(またはオルソン)。
NL想定トップ10(順不同の候補一覧): 大谷/ハーパー/フリーマン/ソト/ターナー/ライリー/オルソン/デラクルーズ/ベッツ/アクーニャJr.
指標で読み解く“分岐点”
- wRC+の“150ライン”:ここを安定的に超える候補は“打撃だけでMVP級”の資格。守備・走塁が平均以上なら一気に最有力へ。
- WARの“8.0近辺”:8WAR級は歴史的なシーズンの目安。ポジション補正が大きい捕手や遊撃は、同じWARでも“体感価値”が上振れします。
- クラッチ指標:WPAや高Leverage打席の成績は“最後の一押し”になりやすい。ただし有権者間で重みの付け方に差があります。
票割れ・有権者心理の読み筋(詳説)
- 同僚スター効果:ドジャースは“大谷・ベッツ・フリーマン”で票が割れやすい構図。とはいえ二刀流の希少性が最終的に大谷へ集約する可能性が高いと見ます。
- ポジション補正:捕手(ラリー)と一塁(フリーマン)では“同打力でも評価に差”が出やすい。守備負担の大きさが実際の出場試合数や打撃疲労にも跳ね返るためです。
- 市場と物語:ニューヨーク/ロサンゼルスの話題性は、拮抗年の“記憶バイアス”として作用します。
過去10年のMVP傾向と2025年の位置づけ
- 傾向:近年は「圧倒的打撃+高出塁」または「走攻守バランス型(遊撃・中堅)」が強い。歴史的記録や前例の乏しい活躍(大谷の二刀流など)は“例外的推進力”。
- 2025年の特徴:ALは“打率王+50HR級”というクラシックな王道と、“捕手60HR級”という希少性の真っ向勝負。NLは“二刀流の実働回帰”が争点。
模擬バロット(想定投票用紙・各リーグ10名)
AL(1〜10位):
- ジャッジ
- ラリー
- ウィットJr.
- アルバレス
- ヘンダーソン
- シーガー
- ラミレス
- タッカー
- ビシェット
- トルークソン
NL(1〜10位):
- 大谷
- ハーパー
- フリーマン
- ソト
- ターナー
- ライリー
- オルソン
- デラクルーズ
- ベッツ
- アクーニャJr.
よくある反論と補足
- 「チームが勝っていないとMVPは取りにくい?」:規定はありません。ただ、拮抗年は“勝利への寄与”が言説上の決め手になりがちです。
- 「捕手の打率が低いのは減点?」:一面では正しいですが、守備・配球・出場負担を加味した総合価値(WAR)で見直す必要があります。
- 「二刀流の投球回が少ない」:投球の“質”と“打撃の別格性”を同時に満たす年は、合算価値で上振れします。
最終結論(9/30時点)
- AL MVP:アーロン・ジャッジ(僅差でCal Raleighを抑える)
- NL MVP:大谷翔平(対抗はブライス・ハーパー、次点フレディ・フリーマン)
“王道の打撃三冠級”と“二刀流の総合価値”が、それぞれのリーグで最後にものを言う――これが2025年の結論です。
用語ミニ解説
- wRC+:リーグや球場補正をかけた“打撃創出力”指数。100が平均、150なら平均の1.5倍。
- WAR:Wins Above Replacement。控え選手(置換水準)と比べて何勝分の価値を上乗せしたかの推定値。
- バレル率:打球速度と打球角度の理想的な組み合わせの割合。長打期待を示す。
- WPA:Win Probability Added。各打席・投球で勝率をどれだけ上下させたかの累積。
よくある質問(FAQ)
Q. ポストシーズンの活躍はMVP投票に影響しますか?
A. いいえ。投票はレギュラーシーズン終了時点の成績で行われ、ポストシーズンの成績は反映されません。
Q. WARはどのサイトの数値を見ればよい?
A. Baseball-Reference、FanGraphs、Statcast起点の派生指標などで算出方法が異なります。複数ソースの傾向を比較する見方が一般的です。
Q. MVPは“勝ったチームの選手”が有利?
A. 厳密な規定はありません。ただし競り合いの年ほど、地区優勝・上位進出と結びつく“価値”が評価されやすい傾向はあります。
注:本稿は9/30時点での確定成績・主要メディアの世論、オッズ動向、各種リーダーボードを横断参照したメジャーリーグのMVP予想です。正式発表は11月中旬(米国時間)見込み。