メジャーリーグの試合を見ていると、選手のユニフォームに花のようなワッペンがついていることがあります。特に5月下旬の試合では、胸元に赤い花のパッチが見えることがあり、普段のユニフォームと違うため気になりやすいポイントです。
この花の正体は、多くの場合、赤いポピーのワッペンです。ポピーは日本語で「ヒナゲシ」と呼ばれる花で、アメリカではMemorial Day(メモリアルデー)に戦没者を追悼する象徴として使われます。
MLBでは、メモリアルデーに合わせて、選手、監督、コーチ、審判などがユニフォームに赤いポピーのパッチをつけることがあります。これは単なる飾りではなく、軍務中に命を落とした人々への敬意を表すためのものです。

MLBのユニフォームについている花は、一般的な花柄デザインではありません。チームのファッション性を高めるための装飾でもなく、球団ごとのオリジナルマークでもありません。
赤い花のワッペンは、戦没者追悼のためのポピーです。白やグレーのユニフォームの胸元に赤い花がついているとかなり目立ちますが、その目立つ赤色には、記憶と追悼の意味があります。
パッチには、“Lest We Forget”という言葉が入っていることがあります。これは「私たちは忘れない」「その犠牲を忘れてはならない」という意味で、追悼の場面でよく使われる英語表現です。
MLBのユニフォームに使われる赤い花は、ポピーです。日本ではヒナゲシ、グビジンソウなどの呼び名でも知られています。
ポピーは、欧米では戦没者追悼の象徴として広く知られています。第一次世界大戦の戦場跡に赤いポピーが咲いたことから、戦争で亡くなった人々を思い起こす花として受け止められるようになりました。
イギリスやカナダでは、11月の追悼行事の時期に赤いポピーを胸につける文化がよく知られています。一方、アメリカでは5月下旬のメモリアルデーに、同じように赤いポピーが追悼の象徴として使われます。
Memorial Day(メモリアルデー)は、アメリカの連邦祝日の一つです。日本語では「戦没将兵追悼記念日」などと訳されます。
毎年5月の最終月曜日に行われ、アメリカ軍の軍務中に命を落とした人々を追悼する日です。アメリカではこの時期が三連休になることも多く、夏の始まりを告げる休日としても知られていますが、本来の意味は戦没者への追悼です。
MLBはアメリカの国民的スポーツであり、メモリアルデーには各球場で追悼の演出が行われることがあります。国旗、黙とう、軍関係者の紹介、国歌斉唱、特別な場内アナウンスなどが行われ、その一部としてユニフォームの赤いポピーが使われます。
スポーツのユニフォームは、チーム名や背番号だけを示すものではありません。MLBでは、社会的なメッセージや記念日を表すために、特別なパッチや色のアイテムが使われることがあります。
メモリアルデーの赤いポピーも、その一つです。選手が試合中に身につけることで、観客やテレビ視聴者にも「今日は追悼の日である」という意味が伝わります。
野球場は、多くの人が集まり、テレビでも広く放送される場所です。そのため、ユニフォームに小さな花のパッチをつけるだけでも、追悼のメッセージを大きく広げることができます。
赤いポピーのワッペンは、特定の球団だけがつけるものではありません。メモリアルデーには、MLB全体の取り組みとして、各球団の選手や関係者が同じ趣旨のパッチを着用します。
そのため、ドジャース、ヤンキース、レッドソックス、カブス、メッツ、パドレス、ジャイアンツ、ブレーブス、フィリーズ、ブルージェイズなど、さまざまなチームの試合で見ることがあります。
ただし、ユニフォームの色によって見え方は変わります。白いホームユニフォームでは赤い花がかなり目立ちます。一方、グレーのビジターユニフォームや濃い色のオルタネートユニフォームでは、テレビ画面では少し分かりにくいこともあります。
赤いポピーのワッペンは、ユニフォームの胸元、特に左胸側につけられることが多くあります。
左胸は、テレビ中継で選手がアップになったときに見えやすい位置です。また、胸元は追悼や敬意を示すワッペンを配置する場所として自然です。
打席に入った選手がカメラで大きく映されたとき、またはベンチで選手が映されたときに、胸元の赤い花が見えることがあります。投手や守備の選手でも、カメラの角度によって確認できる場合があります。
ポピーのパッチには、“Lest We Forget”という言葉が入っていることがあります。
これは追悼の場面で使われる英語表現で、日本語では次のような意味になります。
日常会話で気軽に使う言葉ではなく、戦没者追悼や記念式典など、重い意味を持つ場面で使われます。
この言葉がポピーと一緒に使われることで、花のワッペンが単なるデザインではなく、追悼のメッセージであることが分かります。
MLBの赤い花のワッペンを見て、Veterans Dayと関係があるのではないかと思う人もいるかもしれません。
Memorial DayとVeterans Dayは、どちらもアメリカ軍に関係する日ですが、意味は異なります。
| 名称 | 時期 | 主な意味 |
|---|---|---|
| Memorial Day | 5月の最終月曜日 | 軍務中に亡くなった人々を追悼する日 |
| Veterans Day | 11月11日 | 退役軍人を含む軍務経験者に敬意を表す日 |
5月下旬のMLBで見られる赤いポピーは、基本的にMemorial Dayに関係するものです。Veterans Dayは11月11日なので、レギュラーシーズン中に見られる5月の赤い花とは別に考える必要があります。
MLBでは、メモリアルデー以外にも、記念日や啓発活動に合わせてユニフォームや道具の色が変わることがあります。
たとえば、母の日にはピンク色のバット、スパイク、リストバンドなどが使われることがあります。これは乳がん啓発活動と関係しています。
父の日には水色の用具が使われることがあり、こちらは前立腺がん啓発活動と結びついています。
一方、メモリアルデーの赤いポピーは、病気の啓発ではなく、戦没者追悼の象徴です。同じように特別な色やアイテムが使われていても、意味はそれぞれ異なります。

MLBでは、シーズン中にさまざまな記念日や社会的テーマをユニフォームに反映させることがあります。
代表的な例には、次のようなものがあります。
このように、MLBのユニフォームや道具には、試合以外の意味が込められることがあります。赤い花のワッペンも、そうしたMLB文化の一部です。
メモリアルデーの赤いポピーがついたユニフォームを見て、同じものを買えるのか気になる人もいるかもしれません。
MLBの発表では、メモリアルデー用のユニフォームは一般販売されないと説明されることがあります。つまり、選手が試合で着ている赤いポピー付きのユニフォームが、そのまま通常のレプリカ商品として販売されるとは限りません。
一方で、球団によってはメモリアルデー関連のキャップや記念グッズが配布・販売されることがあります。赤いポピーをテーマにしたキャップや球場配布品が登場するケースもあります。
ただし、選手が着用している試合用ユニフォームと、ファン向けに販売・配布されるグッズは別物として考える必要があります。
日本では、赤いポピーを見てすぐに戦没者追悼を連想する人は多くありません。
日本のプロ野球でも、記念日やイベントに合わせたユニフォームはありますが、全球団が同じ花のワッペンをつけて戦没者を追悼する文化は一般的ではありません。
そのため、MLB中継で赤い花を見たときに、次のように感じる人もいるでしょう。
しかし、5月下旬のMLBで見られる赤い花は、基本的にメモリアルデーのポピーです。アメリカの祝日文化を知っていると、ユニフォームの意味がより理解しやすくなります。
MLBの試合でユニフォームの花が気になった場合、次の点を確認すると意味を判断しやすくなります。
これらの条件が重なっていれば、メモリアルデーの赤いポピーである可能性が高いです。
花は一般的に、祝い事や美しさを連想させることが多いものです。しかし、赤いポピーは追悼の花としても使われます。
戦場跡に咲いた赤いポピーは、失われた命、残された記憶、平和への願いを象徴するものとして受け止められてきました。そのため、MLBのユニフォームについている赤い花も、華やかな飾りではなく、静かな追悼の意味を持っています。
野球の試合は明るく、観客の歓声に包まれる場ですが、その中に赤いポピーがあることで、祝日の本来の意味を思い出すきっかけになります。
MLBでは、野球を単なるスポーツとしてだけでなく、アメリカ社会や歴史と結びついた文化として見せる場面が多くあります。
国歌斉唱、始球式、軍関係者への敬意、社会的な啓発活動、歴史的選手への追悼など、試合前後やユニフォームの細部に意味が込められることがあります。
赤いポピーのワッペンも、そのようなMLB文化の一部です。選手の胸元にある小さな花ですが、そこにはアメリカの祝日、戦没者追悼、球場でのセレモニー、ファンへのメッセージが重なっています。
MLBのユニフォームについている花は、多くの場合、メモリアルデーに合わせた赤いポピーのワッペンです。
このポピーは、アメリカ軍で軍務中に命を落とした人々を追悼するための象徴です。パッチに入っていることがある“Lest We Forget”という言葉には、「私たちは忘れない」「その犠牲を忘れてはならない」という意味があります。
ポイントを整理すると、次のようになります。
MLB中継で選手の胸元に赤い花を見つけたら、それはユニフォームの飾りではなく、戦没者を追悼するための大切なシンボルです。メジャーリーグのユニフォームには、チームの歴史だけでなく、アメリカ社会の記憶や文化も表れているのです。