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ドジャース王朝

Kike Hernandez

ドジャース王朝

Dodgers Dynastyをどう定義する?—2連覇で始まった“時代”論争

 

2025年、ロサンゼルス・ドジャースがワールドシリーズ連覇(2024→2025)を達成。これで6年で3度目の世界一となりました。優勝パレードと本拠地セレモニーでは、ユーティリティのエンリケ(キケ)・ヘルナンデスがマイクを握り、放送禁止ワードを交えながら——

「俺たちは王朝だ!(We’re a ****ing dynasty, baby!)」

と“王朝宣言”。以後、ドジャースは既に王朝なのか? という議論がアメリカでも日本でも一気に加速しています。本記事は、王朝=dynastyという言葉の意味、判定基準、歴史比較、そしてなぜドジャースが“王朝論争の中心”なのかを整理するガイドです。


1. 「王朝」は英語 dynasty の日本語訳

スポーツでいうdynastyは、一定期間にわたってリーグを支配・制覇し続けたチームを指す俗称です。歴史用語の「王朝」を比喩的に転用したもの。ポイントは2つ:

  • 期間性:一度きりの優勝ではなく、複数年スパンの支配。
  • 質と量タイトル数(WS優勝)に加え、毎年の到達点(常に優勝争い・勝率・指標)やプレーの再現性も評価。

日本語メディアが「王朝」と書くとき、ほぼこの dynasty の訳語として用いています。厳密な辞書語ではありませんが、スポーツ文脈では定着した表現です。

2. どこから「王朝」と呼べるのか?—代表的な“基準”

公式の定義は存在しません。そのうえで、北米スポーツメディアや評論でよく使われる目安を並べます。

  • 三冠則(チャンピオンシップ3回)5〜6年で3回の優勝が一つの目安(近年のMLBだとジャイアンツ2010・2012・2014)。
  • 連覇ボーナス連覇(back-to-back)を“王朝の証拠”として強く評価。三連覇なら文句なし。
  • 連年の優位:優勝しない年もリーグ最上位の成績・指標を維持(100勝級、リーグ優勝決定戦常連など)。
  • 象徴性同一コア(主力・監督・球団文化)で勝ち続けること。顔ぶれの継続性が“時代”感を生む。

まとめると、「数(タイトル)×連続性×再現性×象徴性」の掛け算で“王朝”の説得力が決まります。

3. 歴史の物差し:ヤンキースの王朝と比較

  • ヤンキース1949–53(5連覇):WS一発勝負時代の絶対王朝
  • ヤンキース1996–2000(5年で4度、うち1998–2000で3連覇):プレーオフ多層化後に成立した近代王朝の完成形。
  • SFジャイアンツ2010–14(5年で3度、非連覇)三冠則クリアで“王朝”と呼ぶ論者が多数(ただし連覇がないため異論も)。

この物差しに照らすと、ドジャース(2020・2024・2025)6年で3度、さらに連覇を含むため、王朝議論の“土台”は満たしていると言えます。

4. なぜ今、ドジャースが「王朝」なのか

  1. 実績:2020・2024・2025の3度優勝に加え、レギュラーシーズンは毎年の100勝級と地区制覇が常態化。短期決戦の不確実性が高い現行フォーマットで連覇まで達成。
  2. ベッツ/フリーマン/大谷/山本/今永/カーショー(象徴)ら「顔」が揃い、デーブ・ロバーツ体制で再現性のある勝ち方を確立。
  3. 物語:2025年WSは第2戦の山本完投第7戦の延長決着など、“時代を語る名場面”で構成。スローガン “WE RULE OCTOBER” が記憶に残る。

5. 反対意見もある:「まだ“3連覇”がない」

  • 1998–2000ヤンキースのような“三連覇”が無い
  • 完全制覇率(出場=優勝)では絶対王朝に届かない。
  • ディビジョンの競争環境が強すぎる時期は「王朝」の線引きを上げるべき、という立場。

それでも、現行の長いポストシーズン連覇+6年3冠は希少。3連覇が加われば、議論はほぼ決着するでしょう。

6. ドジャースが“王朝”と呼ばれる理由:数字以外の3要素

  • 再現性:戦術と編成のアップデートが毎年効く(先発イニング短縮/複線化した“勝ちパターン”/守備走塁の即時スイッチ)。
  • 層の厚さ:主力の離脱を総合力で補填。育成・補強の同時進行が常態化。
  • 文化:ロッカールームの一体感と10月の集中力“Yama mojo”のような合言葉が生まれ、勝ちの空気を共有。

7. 「王朝」を日本語でどう使い分けるか

  • 王朝(dynasty)複数年にわたりタイトルと常勝を両立したチーム。例:ドジャース(2020–25のフェーズ)。
  • 黄金期(golden era):タイトル数はともかく、内容とスター性で時代を象徴。例:カージナルス1940s、アスレチックス1970s。
  • 強豪(powerhouse):常勝だが、タイトルが足りない。王朝と呼ぶには最後の一押し(=優勝)が必要。

日本の読者に向けては、「王朝=優勝の“量”と“連続性”がそろった状態」という注釈を付けると誤解が少なくなります。

8. もし“3連覇”したら—王朝の確定ライン

ケースA:2026年も制覇(3連覇)

  • 近代以降、ヤンキース1998–2000以来の三連覇。
  • 2020年代を象徴する単一王朝として確定。歴史比較でも上位クラス

ケースB:2026年は逃すが、2027〜28で再度複数回

  • 8〜9年で4度優勝のレンジ。連年の常勝と掛け合わせ、“長期王朝”の見方が強まる。

9. まとめ:いまの結論

  • 「王朝」=英語の dynasty の訳語。
  • ドジャースは連覇+6年3冠で“王朝”の条件を多く満たした。
  • 異論の中心は「三連覇の有無」。しかし現行フォーマットでの連覇自体が歴史的に希少で、すでに“時代の名”を主張するに足る達成といえる。

We’re a dynasty, baby.
— 俺たちは王朝だ。(そして、来年それを“確定”にしにいく)

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