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デフリンピックとパラリンピックの違い

デフリンピックとパラリピックの違い

デフリンピックとパラリンピックの違い

~耳の障害と身体の障害、それぞれの国際大会~

世界には、障害を持つ人々が参加する国際的なスポーツ大会がいくつかあります。その中で特によく知られているのが「パラリンピック」ですが、実はそれとは別に「デフリンピック(Deaflympics)」という大会も存在します。

どちらも障害を抱えるアスリートたちが活躍する舞台ですが、対象とする障害や大会の運営の仕組みなど、多くの違いがあります。本記事では、「デフリンピックとパラリンピックの違い」というテーマについて、わかりやすく解説していきます。


1. デフリンピックとは?

まずはデフリンピックについて紹介します。

● デフリンピックの基本情報

デフリンピック(Deaflympics)とは、聴覚に障害のあるアスリートのための国際スポーツ大会です。正式名称は「ろう者のオリンピック大会(The Deaflympics)」で、1924年にフランス・パリで第1回大会が開催されました。これは、パラリンピックよりも歴史が古く、世界で2番目に長い歴史を持つ国際的なスポーツ大会とされています(1番目は近代オリンピック)。

● 主催団体

デフリンピックは「国際ろう者スポーツ委員会(ICSD: International Committee of Sports for the Deaf)」によって運営されています。ICSDは、ろう者スポーツの普及と発展を目的に、各国のろう者スポーツ団体を取りまとめており、国際的な調整やルールの整備も行っています。

● 出場条件

デフリンピックに出場するには、以下のような条件があります。

  • 両耳の聴力損失が55デシベル以上であること
  • 補聴器や人工内耳などの聴力補助装置を競技中に使用しないこと
  • 手話でのコミュニケーションが基本

つまり、選手たちは音を聞くことが難しい、あるいはまったく聞こえない状態で競技に参加します。


2. パラリンピックとは?

一方、パラリンピックは多くの人に知られている障害者スポーツの祭典です。

● パラリンピックの基本情報

パラリンピック(Paralympics)は、身体的・知的な障害を持つアスリートが参加する国際スポーツ大会です。近代パラリンピックの始まりは1948年にさかのぼります。第二次世界大戦で負傷した兵士のリハビリとして、ロンドン郊外で車いすのアーチェリー大会が開催されたことがその起源とされています。

正式なパラリンピックは1960年のローマ大会から始まり、夏季と冬季が4年ごとに交互に開催されています。現在ではオリンピックと並んで、世界最大規模のスポーツイベントの一つとされています。

● 主催団体

パラリンピックは「国際パラリンピック委員会(IPC: International Paralympic Committee)」が主催しています。IPCは視覚、肢体、脳性麻痺、知的障害など、さまざまな障害を持つ選手をサポートし、国際的なスポーツ大会を運営しています。

● 出場条件

パラリンピックでは、以下のような障害を持つアスリートが対象となります。

  • 肢体不自由(切断、麻痺、四肢欠損など)
  • 視覚障害
  • 脳性まひ
  • 知的障害(知能指数などの基準あり)

競技によっては、障害の程度に応じた「クラス分け(Classification)」がされており、できるだけ公平な条件で競技が行われるようになっています。


3. デフリンピックとパラリンピックの主な違い

では、この2つの大会には具体的にどのような違いがあるのでしょうか?以下の表にまとめてみました。

比較項目 デフリンピック パラリンピック
対象者 聴覚障害者 身体・視覚・知的障害者
歴史 1924年に開始(パリ) 1960年に開始(ローマ)
主催団体 国際ろう者スポーツ委員会(ICSD) 国際パラリンピック委員会(IPC)
出場条件 両耳の聴力損失55dB以上、補聴器使用不可 障害の種類ごとに細かく分類
オリンピックとの関係 IOC公認だが同時開催ではない オリンピックと同都市・同時期に開催
競技方法 音の代わりに光や旗を使う 障害ごとにルールや道具が調整される
言語 手話が主なコミュニケーション手段 音声・通訳などで対応

このように、障害の種類が異なることで、運営の方法やルール、選手の条件も大きく異なることがわかります。


4. 音のない世界で戦う:デフリンピックの工夫

デフリンピックでは、音が聞こえない選手のために、特別な工夫が凝らされています。

● 音の代わりに光や手旗を使用

例えば、陸上競技ではスタートの合図として音のピストルの代わりに「光のフラッシュ」や「旗の動き」が使われます。また、チーム競技では、笛の代わりに審判がフラッグを使ったり、バレーボールでは振動を使って合図を伝えたりします。

● 手話通訳が基本

選手間のコミュニケーションには手話が使われます。国際大会では国際手話(IS: International Sign)を用いることで、言語の壁を越えて円滑な交流が行われています。


5. メディアの扱いと知名度の差

残念ながら、デフリンピックはパラリンピックに比べて一般的な知名度が低く、テレビ中継やメディア報道も少ないのが現実です。

● 日本での認知度の違い

日本ではパラリンピックがNHKなどで積極的に報道され、選手のドキュメンタリー番組や特集も多く組まれています。一方、デフリンピックはニュースですら取り上げられないことが多く、存在自体を知らない人も少なくありません。

● 課題:支援体制の違い

この知名度の差は、選手への支援にも影響します。パラリンピック選手はスポンサーがついたり、強化指定選手制度のもとで合宿やコーチのサポートを受けられる一方で、デフリンピック選手は自己負担が大きく、職場との調整なども大きな課題となっています。


6. 両大会に共通する「スポーツの力」

違いは多くありますが、どちらの大会にも共通しているのは「スポーツの持つ力」です。

障害を持っていても、自分の限界に挑戦し、夢に向かって努力する姿は、見る人に感動と勇気を与えてくれます。国籍や言葉、障害の種類を越えて、多様な人々がスポーツを通してつながる姿は、社会の多様性や共生の大切さを私たちに教えてくれます。


7. まとめ:違いを知ることは、理解の第一歩

「デフリンピックとパラリンピックの違い」は、単に競技や対象者の違いだけでなく、社会の中での認知や支援体制にも大きな差があります。

しかし、どちらも人間の可能性を広げる素晴らしい大会であり、もっと多くの人が関心を持つべきイベントです。この記事を読んで、ひとりでも多くの方が「デフリンピックって何だろう?」と興味を持っていただけたら幸いです。


Q&Aコーナー

Q1. デフリンピックはどのくらいの頻度で開催されますか?
A. 夏季大会と冬季大会があり、それぞれ4年に1度開催されています。

Q2. 手話ができないとデフリンピックに出場できませんか?
A. 手話は主なコミュニケーション手段ですが、厳密な条件ではありません。ただし、審判の指示やチーム内のやりとりに手話が使われるため、ある程度の理解は必要です。

Q3. パラリンピックと同じように、デフリンピックにもメダルがありますか?
A. はい、金・銀・銅メダルが授与されます。開会式や閉会式も行われ、雰囲気はオリンピックに近いものです。

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