後発地震注意情報とは
後発地震注意情報とは
後発地震注意情報とは
後発地震注意情報の意味・仕組み・発表されたときの備えをやさしく解説
テレビやネットで「後発地震注意情報」という言葉を見かけて、「それって何?」「余震とどう違うの?」と不安になった方も多いはずです。
結論から言うと、報道などで“注意報”と呼ばれることがありますが、**気象庁などが運用している正式名称は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」です。これは“巨大地震の発生可能性が、平常時より相対的に高まっているかもしれない”**という状況を伝え、1週間程度、日常生活を続けながら備えを強化してほしいという趣旨の情報です。
1. まず押さえたい:先発地震・後発地震とは
- 先発地震:先に起きた地震
- 後発地震:その後に続いて起きる地震(小さい地震も、大きい地震も含む)
「余震(よしん)」は一般的に「先発地震より小さい地震」というイメージが強い言葉です。一方で、後発地震は“先発地震より大きい地震”も含むという点が重要です。
この“後からもっと大きい地震が起きる可能性”に注意を促すための仕組みが、後発地震注意情報です。
2. 何のための情報?(予知ではありません)
後発地震注意情報は、
- 「次の地震がいつ起きるか」
- 「どこで起きるか」
- 「規模はどれくらいか」
を当てるものではありません。つまり、地震予知情報ではありません。
ただし、世界の事例などから、**大きめの地震が起きた直後は、一定期間だけ“さらに大きい地震が起きる可能性が相対的に高まる”**と考えられる場面があります。
「確実に起きる」ではなく、“起きない方が多い”けれど、もし起きた場合の被害が非常に大きいので、短期間だけ警戒レベルを上げようという考え方です。
3. どんなときに発表されるの?(発表基準のイメージ)
後発地震注意情報(北海道・三陸沖)は、主に次のようなケースで発表されます。
- 日本海溝・千島海溝沿いの想定震源域(および周辺)で
- モーメントマグニチュード(Mw)7.0以上の地震(先発地震)が発生
この条件を満たすと、 「今後1週間程度は、平常時より巨大地震の可能性が相対的に高まっているかもしれないので、備えを再確認し、すぐ避難できる態勢を整えましょう」 という意味で発表されます。
4. 「1週間」の意味:何をして、何をしない?
後発地震注意情報が出たら、地震発生から1週間程度が一つの目安になります。
ここで大切なのは、
- 社会経済活動(日常生活)は基本的に継続しつつ
- 避難が必要になったら、すぐ動ける準備を強化する
というバランスです。
「全員が一斉に避難」や「仕事・学校を全部止める」ことを一律に求める情報ではありません。
5. 対象地域は?(“自分が関係あるか”の確認方法)
この注意情報には、防災対応をとるべき地域(自治体単位)が定められています。
ただし、対象地域は自治体単位で示されるため、SNSの切り抜きだけで判断すると誤解が起きがちです。おすすめは次の確認方法です。
- 気象庁の発表文(注意情報の本文)
- 国(内閣府・防災)や都道府県・市町村の公式発信
- テレビやアプリの表示でも「対象地域」の表を確認
※報道では「北海道〜千葉の太平洋側の自治体」などとまとめて表現されることがあります。
6. 情報が出たら、具体的に何をする?(やることチェック)
ここでは「すぐできて効果が大きい順」に、やることを整理します。
✅ その日のうちにやる(最優先)
- 🧭 避難場所・避難ルートを再確認(津波・土砂災害も含む)
- 👟 就寝時の工夫(枕元に靴、懐中電灯、眼鏡、ヘルメットなど)
- 📱 緊急情報を取り逃がさない設定(スマホの音量、通知、予備バッテリー)
- 🧯 火災対策の確認(消火器、ブレーカー、ガス元栓の確認)
✅ 翌日〜数日で整える
- 🧰 家具の固定・転倒防止(突っ張り棒、L字金具、滑り止め)
- 🥤 水・食料・常備薬の見直し(目安:最低3日〜1週間)
- 🎒 持ち出し袋の点検(電池の期限、簡易トイレ、雨具、現金)
- 🚗 車の燃料・交通手段の確認(ただし津波避難は原則徒歩が基本)
✅ 家族・職場で決めておく
- 📞 連絡手段(災害用伝言ダイヤル、集合場所、連絡カード)
- 🧑🧑🧒 子ども・高齢者・ペットの避難方法
- 🏢 職場の安全確保(避難誘導、安否確認、帰宅困難の対応)
7. 「揺れを感じた」「津波警報が出た」…そのときの原則
後発地震注意情報が出ている期間は、**“いつでも避難に移れる状態”**が大切です。
- 強い揺れを感じたら:落下物から身を守る → 揺れが収まったら安全確認
- 津波警報・注意報が出たら:ただちに高台や避難ビルへ(自治体の指示に従う)
「情報が出ているから大丈夫」でも、「情報が出ていないから大丈夫」でもありません。
8. よくある誤解(ここで不安が増えがち)
誤解①:注意情報=巨大地震がもうすぐ確実に来る
→ 違います。確定ではなく“不確実性が高い”情報です。
誤解②:注意情報が出ない限り、巨大地震は起きない
→ 違います。大規模地震は突発的に起きることも多いとされています。
誤解③:解除情報が出るまで安心できない
→ 「解除」を知らせる情報は基本的に出ないため、期間終了後も日頃の備えが大切です。
誤解④:旅行や出張は必ず中止すべき
→ **一律に中止を求める情報ではありません。**ただし、海沿いの滞在・夜間移動などはリスク評価を丁寧に行い、自治体の避難計画が想像できない場所は避けるなど、慎重に判断すると安心です。
9. 似た情報との違い(混同しやすい)
- 緊急地震速報:強い揺れが“来る直前”に知らせる(秒〜十数秒の世界)
- 津波警報・注意報:津波の危険があるため“すぐ避難”
- 後発地震注意情報:先発地震の後、1週間程度、備えと避難準備を強化
- 南海トラフ地震臨時情報:南海トラフに関する別の枠組み(対象海域も運用も別)
10. まとめ:後発地震注意情報のポイント3つ
- **正式には「注意情報」**で、地震予知ではない
- 先発地震の後、1週間程度は「備えの再確認+即避難の準備」を強化
- 情報の有無に関わらず、巨大地震は突発的に起きうるため、日頃の備えが最重要