エシカル商品の例
エシカルな商品:今日からできる選択
エシカルな商品の選択肢は、食品、ファッション、日用品、美容製品といった、私たちの日常生活のあらゆるカテゴリーに広がっています。かつては高価であったり、入手が困難であったりしたエシカル商品も、大手企業の参入や技術革新により、より手頃な価格で広く流通するようになっています。これにより、エシカル消費は「特別なこと」から「日常的なこと」へと変化しています。
エシカル商品の例を早速見ていきましょう。
エシカルフード

エシカル商品の代表的な例の一つは食品と言えるでしょう。
毎日口にする食品だからこそ、エシカルフードへの取り組みは、最も身近で始めやすいカテゴリーの一つです。目視で確認できるものが多く、いつもの買い物の中から一品でもエシカル食品にするといった取り組みから始めることができるため、参加ハードルが低く、継続しやすいと言えます。
具体的なエシカルフードの例:
- オーガニック食品: 化学肥料や農薬を使わずに栽培された食品はエシカルな商品代用例。
- 規格外の農産物: 見た目は少し不揃いでも、品質には全く問題のない野菜や果物を選ぶことで、食品ロス削減に貢献できます 。
- 地元産の食品(地産地消): 輸送にかかるCO2排出量を削減し、地域経済を活性化させます。
- CO2排出量が抑えられた食品: 製造から輸送までの過程で環境負荷が低い食品です。
- アニマルウェルフェアに配慮した食品: 飼育環境や方法が動物の福祉に配慮された畜産物や卵などです。
- フェアトレードな食品: 開発途上国の生産者に公正な価格が支払われたコーヒー、チョコレート、バナナなどです。
フードロス削減に貢献する行動:
エシカルフードの選択には、購入する食品そのものだけでなく、食品ロスを減らすための行動も含まれます。
- 買い物に出かける前に冷蔵庫の中身を確認し、必要なものだけを買う。
- 食べきれない量の食材は買わない。
- 少量パックや量り売りなどを利用し、必要な量だけ購入する。
- すぐに食べる商品は、手前に陳列されているものから購入する(「てまえどり」)。
- 食材を使い切るためのエコレシピを参考にしたり、飲食店で余った食品を低価格で提供するフードシェアリングサービスを利用したりする。
- 長野県松本市発祥の「。0・。0運動」のように、宴会での食べ残しを減らす、家庭で冷蔵庫の食材を使い切る日を設けるといった取り組みも有効です 。
関連企業事例:
エシカル商品の一つであるエシカルフードを扱っている代表的な企業に以下の様なものがあります。
- セブンイレブン: 「エコだ値」や「てまえどり」といった取り組みを通じて、食品ロス削減に継続して取り組んでいます 。
- スターバックスコーヒー: コーヒー豆のパッケージに付いている「エシカルソーシングスタンプ」は、高品質のアラビカ種であること、生産者に適切な対価が支払われること、生産者の権利保護と地域社会支援、栽培環境保全と生物多様性維持の4つの約束を掲げています 。
- 無印良品: 形が不揃いなために廃棄される部分を活用した「不揃いシリーズ」を展開し、フードロス削減に貢献しています 。
エシカルファッション

エシカルファッションとは、原材料の調達から生産、輸送などにおける環境負荷をできるだけ抑えるよう工夫されているファッションを指します。
具体的なエシカルファッションの例:
- フェアトレードな衣服: 生産者の労働環境や賃金に配慮して作られた衣服です 。
- 環境にやさしい素材の衣服: オーガニックコットン、麻、靭皮繊維(ジュートなど)といった環境負荷の低い素材や、再生素材(再生コットン、再生ウール、再生ポリエステル)を使用した衣服です。
- 有害な農薬や化学薬品が使われていない衣服: 生産者や消費者の健康、土壌や水質汚染に配慮しています。
- 動物を犠牲にしていない衣服: 動物由来の素材を使わないヴィーガンファッションや、アニマルウェルフェアに配慮した製品です 。
- 廃棄リンゴを活用したヴィーガンレザーのトートバッグ: リンゴの皮や芯などの廃棄部分を利用した代替レザーで、環境負荷を抑えつつ耐久性も確保されています。
- 世界初の植物由来新素材「PlaX」を使ったルームウェア: 生分解性が高く環境負荷を軽減する特性を持つ素材です 。
- 和紙糸で作られた肌着: 和紙を糸状に加工し、通気性や吸湿性に優れた肌着で、環境にも配慮されています。
- ヴィンテージアイテムのリメイク品: 古着に新しい魅力を加えるアップサイクル製品は、廃棄物削減に貢献します。
関連企業事例:
- ユニクロ: オーガニックコットンやリサイクルポリエステルを使用した衣料品を提供し、環境負荷を軽減しています。また、「RE. UNIQLO」プロジェクトでは、着なくなった服を回収し、難民キャンプや被災地への支援物資として提供したり、新しい服の原材料として再利用したりする取り組みを行っています。ユニクロは2030年度までに全使用素材の約50%をリサイクル素材に切り替えることを目標としています。
日本発のエシカルファッションブランド:
- CFCL: 温暖化ガスの排出を最小限に抑える取り組みを行っています 。
- ashuhari: 「捨てられない服」を目指し、長く着られるシンプルで上質なデザインの服を展開しています。
- oblekt: サステナブル素材を使った服を中心に販売し、ファッションと環境問題をつなぐムーブメントを創出しています。
- tennen: 「自然分解」をコンセプトに、ゴミにならず土に還る服作りを目指し、素材からボタン、縫い糸まで天然素材でできています。
- MALION VINTAGE: ヴィンテージアイテムをリメイクし、古着に新しい息吹を吹き込んでいます。
- CASA FLINE: 地球と人にやさしいモノづくりにこだわり、オーガニックコットンや質の良いリサイクル素材を使った服を展開しています。
- 宝島染工: 天然の染料だけを使用し、伝統的な手作業で染色した服などを販売しています。
- KORARU: 再生ナイロン糸ECONYL®を使った水着を展開しています。
- 石徹白洋品店: 廃棄を最小限に抑えるために考え抜かれたパターンで服作りを行い、オーガニックなどの天然素材を草木染めなどで色づけしています。

エシカル日用品

エシカルな商品は、食べ物、ファッション、コスメにとどまらず、普段何気なく使う日用品にも選択肢が広がっています。エシカル日用品は、環境に配慮した商品、人や社会に配慮した商品、地域に配慮した商品の3分類で捉えることができます 。
具体的なエシカル日用品の例:
以下の様な日用品もエシカルな商品の例になります。
- 繰り返し使える保存容器: 「stasher(スタッシャー)」のようなシリコン製保存容器は、使い捨てプラスチックの削減に貢献します。
- 折りたためるシリコンカップ: 「Stojo(ストージョ)」のような携帯用カップは、使い捨てカップの使用を減らします。
- 自然素材のキッチンスポンジ: mana. ORGANIC LIVINGの製品のように、自然素材で作られたスポンジは、マイクロプラスチックの排出を抑えます。
- リユース可能で抗菌性もある「Bee Eco Wrap(ビーエコラップ)」: プラスチックラップの代替として利用できます。
- シャンプーバー/コンディショナーバー: ethiqueの製品のように、固形タイプはプラスチック容器の削減に貢献し、環境にも動物にも優しい処方です。
- マイクロプラスチックを流さない洗濯ネット: 「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」は、洗濯中に衣類から出るマイクロプラスチックの流出を防ぎます。
- 持続可能なパーム油を使用した洗剤: SARAYAは日本で販売するアイテム全てに持続可能なパーム油を使用しており、知らないうちに環境破壊に関与している可能性をほぼゼロにすることができます。
- カフェでのマイカップ・マイボトル利用: 使い捨てカップの消費を減らす小さな貢献です。
- カサのシェアサービス利用: 『アイカサ』のようなサービスを利用することで、急な雨のたびにビニール傘を買う無駄をなくします。
- バッテリーのシェアサービス利用: スマホ充電器を新たに買う代わりにシェアサービスを利用することで、不要な消費を避けます。
- 公共交通機関や自転車の利用: 車ではなく電車や自転車を使うことで、二酸化炭素の排出量を減らし、健康にもプラスの影響が期待できます。
- 紛争鉱物を使用しないPC: オフィスで使うPCを、紛争の原因となる鉱物を含まないものに変えることで、平和につながる行動ができます(例:ZEROPC) 。
- オフィスイベントでのゴミ削減: 洗えるお皿やカトラリー、コップを準備することで、使い捨て製品のゴミを減らします。
- バナナペーパーでの名刺作成: 廃棄されたバナナの皮から作られたバナナペーパーを使用することで、ゴミ削減と資源循環に貢献します。
エシカルコスメ

エシカルコスメに明確な定義はありませんが、一般的には製品の製造や使用において、人、環境、社会に配慮した化粧品を指します。 肌に負担のかかる成分の使用量が少なく、植物由来の成分やオーガニック原料を使用している製品が多いため、肌トラブルに悩む方にも使いやすいのが特徴です。
具体的なエシカルコスメの例:
- フェアトレードなコスメ: 原材料の生産者や労働者に公正な対価が支払われた製品です。
- 人の健康に配慮したコスメ: 化学成分の軽減や、肌に負担の少ない成分を使用している製品です。
- 環境負荷を抑えたコスメ: 原材料の調達から生産、輸送まで、環境への影響を最小限に抑えるよう工夫された製品です。
- 動物実験を行わないコスメ: 動物を犠牲にしない「クルエルティフリー」な製品です。
- 地域の資源を活用したコスメ: その地域の特産品や未利用資源を原料として使用することで、地域経済の活性化に貢献します。
- 植物由来の成分やオーガニック原料を使用した製品: 自然の恵みを活かし、土壌環境の保全にもつながります。
- 環境配慮型パッケージのコスメ: 包装・容器を削減したり、木、ガラス、リサイクル資材など環境に優しい素材を使用したり、詰め替え販売や店頭での容器回収を行っている製品です。
- 売り上げの一部を社会貢献のために寄付している企業: 購入を通じて間接的に社会貢献ができます。
関連企業事例:
- LUSH(ラッシュ): エシカルコスメの先駆者として知られ、製品は動物実験を一切行わず100%ベジタリアン対応で、約。割がヴィーガン対応です。原材料は持続可能な方法で生産され、環境保護を支援するサプライヤーと取引しています 。
- SHIRO: パッケージの外箱なしにする「エシカル割」を導入したり、酒粕やカゴメ昆布といった自然素材を使用したスキンケアコスメを販売したりしています。
エシカル商品のカテゴリー別具体例
カテゴリー |
具体例 |
エシカルな理由 |
エシカルフード |
オーガニック食品、規格外の農産物、地元産食品、フェアトレードコーヒー、フードロス削減行動(てまえどり、30・10運動など) |
環境負荷軽減、生産者保護、地域経済活性化、資源の有効活用、廃棄物削減
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エシカルファッション |
オーガニックコットン衣類、ヴィーガンレザーバッグ、和紙糸肌着、ヴィンテージリメイク品、再生素材使用の服 |
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エシカル日用品 |
繰り返し使える保存容器、シャンプーバー、マイクロプラスチックを流さない洗濯ネット、持続可能なパーム油洗剤、マイボトル・マイバッグ、シェアリングサービス利用 |
プラスチック削減、環境負荷軽減、資源循環、不要な消費の抑制
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エシカルコスメ |
動物実験フリーコスメ、オーガニック原料使用コスメ、詰め替え可能な容器のコスメ、化学成分軽減コスメ |
動物福祉、肌への優しさ、環境負荷軽減、廃棄物削減、生産者保護
|
この表は、多様なエシカル商品をカテゴリー別に整理し、一目で全体像を把握できるようにすることで、今日から始められる具体的な行動を見つけやすくします。また、「エシカルな理由」を併記することで、読者は単に商品を知るだけでなく、その背後にある倫理的な価値や社会・環境への貢献を理解し、持続的なライフスタイルへの転換を促す上で非常に有効です。
エシカル商品を見つけるヒント:認証マークと企業の取り組み

エシカル商品を選ぶ際、その信頼性を見極めるための重要な手がかりとなるのが「認証マーク」です。これらのマークは、製品が特定の環境的・社会的基準を満たしていることを第三者機関が保証するものであり、消費者が賢い選択をする上で非常に役立ちます。
主要な認証マークとその意味
数多くの認証マークが存在しますが、ここでは特に主要なものを紹介します 。これらのマークは、消費者が企業の主張の「裏付け」となる客観的な基準に基づいて賢い選択ができるように設計されており、エシカル消費市場の健全な発展にも寄与します。
マーク名 |
意味 / 対象 |
MSC「海のエコラベル」 |
持続可能な漁業で獲られた天然の水産物に付けられるマーク |
マリン・エコラベル・ジャパン認証 |
日本の水産業と魚食文化の持続的な発展に寄与する基準を満たしたことを認証するマーク |
FSC認証 |
適正に管理された森林から生産された木材や木材製品であることを承認するマーク |
レインフォレスト・アライアンス認証 |
厳しい環境保全基準をクリアした農園で栽培された製品であることを承認するマーク |
ASC認証 |
環境と社会への影響を最小限にして養殖された水産物であることを認証するマーク |
フェアトレード認証マーク |
開発途上国の生産者に公正な価格が支払われ、労働環境や地域社会に配慮して生産された製品に付けられるマーク |
オーガニック認証マーク |
化学物質を使わずに栽培された自然食品や製品、またはその原材料を使用した化粧品や衣類に付けられるマーク |
地域に根ざした取り組み:
- 千葉県流山市の郵便局: 「エシカルふるさと小包」を販売しており、これはカーボンオフセット、フードロス削減、生産者の働き方改革を通じて消費者のエシカルな消費行動を後押しするものです 。。また、郵便局を不要品の身近な回収拠点として活用し、循環型社会の実現に貢献しています 。。
- 千葉県全体でのエシカル消費の例: 障害者支援につながる商品の消費、フェアトレード商品や寄付付き商品などの消費、エコ商品やリサイクル商品、資源保護等に関する認証がある商品の消費、地産地消や被災地産品の消費など、地域に配慮した消費行動が挙げられます 。
これらの地域に根ざした取り組みは、エシカル消費がグローバルな課題だけでなく、地域社会の活性化や持続可能性にも貢献する「ローカル」な側面を持つことを示しています。消費者は、より身近な場所で、具体的な貢献を実感できる機会を得られます。地域に根ざしたエシカル消費は、サプライチェーンが短くなることで、CO。排出量の削減(地産地消)や、生産者の顔が見える安心感、地域経済への直接的な貢献といった多層的なメリットを生み出すのです。
まとめ:小さな一歩が未来を変える

エシカル消費は、現代社会が直面する地球規模の課題に対する、私たち一人ひとりができる具体的な解決策です。消費者一人ひとりの選択が企業に影響を与え、その結果、より良い社会と持続可能な未来の構築に繋がるという確信が、今のエシカル消費の基盤となっています。エシカル消費は単なる個人の価値観に基づく選択ではなく、社会全体を変える力を持つ行動として、今後もさらに重要性を増していくでしょう 。
「日々のちょっとした意識で、大きな変化をもたらすことができる」というメッセージは、個人の行動が孤立したものではなく、集合体として社会全体に波及し、最終的に社会全体を変える力となるという、エシカル消費の核心的なメカニズムを強調しています。これは、読者に対して、自身の行動が持つ潜在的な力を認識させ、「エシカルな」行動へのモチベーションを高めるものです。個人の無関心や諦めが問題の継続を許容する最大の要因であるとすれば、エシカル消費は、この無関心を打破し、ポジティブな変化への参加を促す力となります。
エシカル消費は、未来への投資であり、私たちがより良い社会を築くための力強い一歩となります 。この視点は、短期的なコストや手間の概念を超え、長期的な視点での価値創造を促します。次世代への責任、持続可能な社会の構築という、より高次の目的と個人の行動を結びつけることで、エシカル消費は単なるトレンドではなく、人類が直面する地球規模の課題に対する不可欠な解決策として位置づけられます。
私たち一人ひとりの小さな一歩が、大きな未来への一歩となるのです 。エシカル消費は、環境保護、社会的公正、健康と安全、そして経済の変革を起こすために、その重要性が今後さらに加速していくと考えられます 。この動きをさらに推進するためには、消費者、企業、政府が一丸となって支持し、推進していくことが求められています。この記事のエシカル商品の例に見られるような身近なエシカル商品を選び、賢い消費を始めてみませんか。