2025年に入り、鹿児島県・トカラ列島周辺で地震が頻発していることがニュースやSNSで注目されています。小規模な地震が数日〜数週間にわたり連続して発生しており、地域住民の不安も高まっています。こうした状況の中、「これはたつき諒氏が予言した2025年7月5日の大災害の前兆ではないか」という声が一部で広がり、検索トレンドでも急上昇しています。
この説に一部の人々が根拠を感じているのは、たつき諒氏の漫画『私が見た未来』において「地震の発生場所はフィリピン海」と描写されていたことです。トカラ列島は、フィリピン海プレートの北端に位置しているため、位置関係の一致を指摘し、「予言と現実がリンクし始めているのでは?」という憶測が生まれているのです。
また、ネット上では「7月5日に大地震が起こる」と断定的に記載された投稿やYouTube動画も増えており、それらがさらなる不安の拡散に拍車をかけています。しかし、これらの情報に対しては慎重な検証と批判的な思考が求められます。
たしかに、トカラ列島はフィリピン海プレートの影響を受ける位置にあり、プレート境界に近いため、地震が起こりやすい地域です。特にマグニチュード4〜5クラスの中規模地震が集中する傾向にあり、地質学的にも活動的な場所です。
しかし以下の点からも、「今回の群発地震が予言の成就に関係している」とする説には無理があります:
仮に今後も地震活動が続いたとしても、それが「2025年7月5日」に発生するという予言と直結するとは言えません。科学的観測に基づかない推測は、正しい防災意識を妨げてしまいます。
人は大きな災害の発生を恐れると、「それは予兆だったのではないか」と過去の出来事をつなげたくなる心理傾向を持っています。この現象は「後知恵バイアス(hindsight bias)」と呼ばれ、すでに起きたことをもとに、何かの意味づけを行ってしまう心の働きです。
さらに、「2025年7月5日」という具体的な日付や、「フィリピン海」という地理的要素が一部一致しているように見えることで、人々の不安心理は増幅されます。また、SNSでは「〇〇が起きるらしい」といった断定的な言葉が拡散されやすく、信憑性に乏しい情報ほど目立ってしまうというメディア特性もあります。
このような情報の拡散によって、本来必要な冷静な備えや行動が二の次になってしまう恐れがあるため、予言的な言説を見かけた際には立ち止まって「その情報に信頼性はあるか?」「誰が何の目的で発信しているか?」と自問することが大切です。
また、災害時にはデマが急速に広まる傾向があるため、情報の真偽を複数の公式情報源で確認する姿勢も必要です。
予言や噂話ではなく、科学的根拠に基づいた防災対策を行うことが、私たちの命を守る唯一の道です。地震が頻発する地域に住んでいる人は特に:
加えて、地域の防災訓練への参加も非常に有効です。実際に体を動かして避難ルートを確認することで、災害時の対応力は格段に向上します。