🌊 「トカラの法則」とは何か?——群発地震と噂の真相を検証
6月21日から急増したトカラ列島近海の地震は、24日までの4日間で327回に達するなど、例年にない活動となっています。17日に最大震度4、有感地震が頻発し、震源は深さ10~20kmで、ユーラシアプレート内での内陸群発地震と見られています。
鹿児島地方気象台によると、過去にも2021年12月(308回)、2023年9月(346回)など大規模な群発地震が発生しており、今回も同様「一度活発化すると続く傾向がある」と説明しています。こうした活動は、プレート境界付近のエネルギー蓄積が一定の閾値を超えた際に一気に解放されることで起こるとされており、自然のメカニズムによるものと見られています。
SNSで広まっているのは次のような説です:
「トカラ列島で群発地震が起きると、数日〜数週間以内に日本本土など遠く離れた地域で大地震が発生する」
特に、2021年12月の群発地震とその後の地震・火山活動を結びつける説が有名です。音声や動画でも言及されており、一部では「群発終了から3か月ほど全国で注意」と語られるものもあります。さらに一部のネット上では、「トカラが揺れたら本州が危ない」といった煽り文句が流布しており、実際の災害との因果関係がないまま、不安が拡大する傾向があります。
鹿児島大学・中尾茂教授によれば、「日本全体が地震多発地帯である以上、トカラ以外で地震が続くのは当然」で、「科学的根拠はなく偶然の一致に過ぎない」という見解です。これは、地震の統計的な頻度とランダム性の中で、局所的な活動が他地域の地震と近接して起こる可能性を完全に否定できないという自然現象の難しさとも言えるでしょう。
東海大学・長尾年恭教授は、「地震や火山活動が遠隔地で相互誘発する科学的根拠はない」と断言しています。影響が及ぶ範囲はせいぜい100〜200km以内とし、トカラ列島から数百キロ離れた場所には届かないと明言。こうした説明により、「法則」という言葉の印象から連想される予兆性や因果性が、科学の世界では否定されていることが明らかになります。
同教授の動画では、群発収束後にも「3か月間全国に大地震注意」は科学的裏付けがなく、あくまでオカルト的な噂の域であるとしています。
ITOITO‑STYLEなどによると、トカラ近海では時折**群発地震(スウォーム)**が起こります。地震数は何百回にも及ぶことがあり、海底にある帯状の地溝のずれ動きが原因と見られています。群発地震は、通常の地震と異なり1つの大きな本震がなく、比較的小さな地震が連続して発生するのが特徴です。
気象台や研究者も「一度活発化すると数日〜1週間程度は続く傾向にある」としていますが、それ以上の遠隔地への影響は認めていません。つまり、あくまで局所的な自然活動の一環としてとらえるべき現象であり、全国的な災害の予兆とは見なされていないのです。
「トカラの法則」が“適用されたと言えなくもない”と噂された過去の事例を3つご紹介します。これらは因果関係が証明されたわけではないものの、インターネット上や一部の防災系YouTuberなどの間で関連があるのでは?と注目されたケースです。
これらの事例に共通するのは、「時間差で他地域の地震が起きていた」というだけで、明確な因果関係の証明は一切ないという点です。気象庁や地震学会の見解では、トカラの群発地震が遠く離れた地震の「引き金」となる証拠は確認されていません。
それでもこの「法則」が語られる理由は、
といった人間の認知の性質に関係していると言えます。
ポイント | 内容 |
---|---|
根拠 | 専門家は「科学的に裏付けは全くない」と明言 |
距離の壁 | 数百㎞先への影響は、物理的にほぼありえない |
心理的影響 | 繰り返しの揺れが不安を煽り、オカルト的な解釈に傾きやすい |
活かし方 | 「備えるきっかけ」にし、日常的に防災意識や備蓄を高めるというポジティブな姿勢が推奨されている |
この動画では、「トカラの法則」には科学的根拠はない、という専門家の見解が詳しく解説されています。
「トカラの法則」という表現は、一見ドラマチックですが、**現状では科学的な根拠が無い“都市伝説”**と捉えるべきです。繰り返し起こる群発地震が不安を助長するのは当然ですが、それによって本州などで地震が誘発されるという証拠はありません。
むしろ、本ブログが強調したいのは、備えの継続こそが真の安心につながるということです。噂や憶測に左右されず、公的機関の情報と冷静な対策に基づく行動を。