火山にはさまざまな形があります。その中でも、よく比較されるのが成層火山と盾状火山です。
成層火山は、富士山のように高く、比較的急な斜面を持つ円すい形になりやすい火山です。一方、盾状火山は、ハワイのマウナロアのように、低くなだらかな山体が広い範囲に広がります。
この形の違いは、単なる見た目の違いではありません。マグマの粘り気、溶岩の流れやすさ、噴火によって放出される物質、山が成長する過程などが大きく関係しています。
| 比較項目 | 成層火山 | 盾状火山 |
|---|---|---|
| 山の形 | 高く、斜面が比較的急 | 低く、なだらかに広がる |
| 主な構成物 | 溶岩、火山灰、軽石、火山れきなど | 主に何度も流れ出した溶岩 |
| マグマの性質 | 比較的粘り気の強いものが多い | 粘り気の少ないものが多い |
| 多く見られる岩石 | 安山岩などが多い | 玄武岩が多い |
| 噴火の特徴 | 爆発的な噴火を起こすことがある | 溶岩が流れ出す噴火が多い |
| 主な災害 | 火砕流、噴石、降灰、泥流、溶岩流など | 溶岩流、火山ガス、火災、道路や建物の埋没など |
| 代表例 | 富士山、浅間山、マヨン山、ヴェスヴィオ火山 | マウナロア、キラウエア、マウナケア、ハレアカラ |

成層火山とは、溶岩、火山灰、軽石、火山れきなどが、何度も繰り返される噴火によって積み重なってできた火山です。
英語では、stratovolcanoまたはcomposite volcanoと呼ばれます。
「成層」という名前は、異なる種類の噴出物が層をつくるように重なっていることに由来します。
粘り気のある溶岩は遠くまで流れにくく、火口の近くで固まりやすい性質があります。さらに火山灰や軽石なども火口周辺に積もるため、噴火を繰り返すにつれて山体が高くなり、斜面も急になっていきます。

富士山は、成層火山の形を理解しやすい代表例です。山頂から山麓に向かって斜面が広がり、全体として美しい円すい形をしています。
ただし、すべての成層火山が富士山のような整った形をしているわけではありません。噴火や山体崩壊、浸食、カルデラの形成などによって、形が大きく崩れている火山もあります。
たとえば、磐梯山やセント・ヘレンズ山は、大規模な山体崩壊によって山の形が変化した成層火山です。

盾状火山とは、粘り気の少ない溶岩が何度も流れ出し、広い範囲に薄く重なることで形成された火山です。
英語ではshield volcanoと呼ばれます。
地面に置いた盾を横から見たような、低くなだらかな形をしていることから「盾状火山」という名前が付けられました。
盾状火山で多く見られるのは、玄武岩質のマグマです。玄武岩質のマグマは比較的さらさらしているため、地表に出ると火口から遠くまで流れます。
一度の噴火で厚い山体をつくるのではなく、薄い溶岩流が何度も重なり、長い時間をかけて非常に大きな火山へと成長します。

マウナロアは、ハワイ島にある世界最大級の盾状火山です。
標高は4,000メートルを超えていますが、山麓が非常に広く、斜面の傾斜がゆるやかなため、富士山のように鋭くそびえているようには見えません。
海面上に見えている部分だけでなく、海底から巨大な火山体が立ち上がっています。粘り気の少ない溶岩が繰り返し流れ、広い範囲に重なることで現在の山体が形成されました。
成層火山と盾状火山の形を決める大きな要素が、マグマや溶岩の粘り気です。
粘り気の強い溶岩は、地表に出ても遠くまで流れません。火口の近くで厚く固まりやすく、火山灰や軽石などとともに積み重なります。
その結果、山体が上方向へ成長し、高く急な成層火山になりやすくなります。
また、粘り気の強いマグマの中では火山ガスが抜けにくくなります。内部に圧力がたまると、爆発的な噴火につながることがあります。
粘り気の少ない溶岩は、地表に出ると水のように比較的流れやすく、火口から離れた場所まで達します。
火口の周辺に厚く積もるのではなく、広い範囲に薄く広がるため、山は低くなだらかな形になります。
ただし、粘り気が少ないといっても、溶岩の流れが安全という意味ではありません。住宅地や道路まで溶岩が到達すれば、建物や森林、農地などが焼失したり、溶岩に覆われたりすることがあります。

成層火山では、火山ガスを含んだマグマの圧力が高まり、爆発的な噴火が起こることがあります。
噴火すると、大量の火山灰や軽石が上空へ放出されるだけでなく、噴石や火砕流が発生することもあります。
火砕流は、高温の火山ガス、火山灰、岩石などが一体となって山の斜面を高速で流れ下る現象です。火口から離れた場所まで短時間で到達することがあるため、特に危険な火山現象の一つです。

盾状火山では、爆発によって大量の火山灰を噴き上げる噴火よりも、火口や地面の割れ目から溶岩が流れ出す噴火が目立ちます。
キラウエアでは、流れ出した溶岩が住宅地や道路に到達し、大きな被害をもたらしたことがあります。また、溶岩が海まで達すると、水蒸気や火山ガスが発生し、新しい陸地が形成されることもあります。
盾状火山でも、地下水とマグマが接触した場合などには爆発的な噴火が起こる可能性があります。「盾状火山は静かに噴火するため安全」と考えるのは正しくありません。

| 火山名 | 国・地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| 富士山 | 日本 | 整った円すい形を持つ日本を代表する成層火山 |
| 浅間山 | 日本 | 歴史上何度も噴火を繰り返してきた活火山 |
| 桜島 | 日本 | 現在も活発な噴火活動が見られる火山 |
| 鳥海山 | 日本 | 山形県と秋田県にまたがる成層火山 |
| マヨン山 | フィリピン | 非常に整った円すい形で知られる火山 |
| ヴェスヴィオ火山 | イタリア | 西暦79年の噴火でポンペイを埋めた火山 |
| メラピ山 | インドネシア | 火砕流を伴う噴火を繰り返している火山 |
| セント・ヘレンズ山 | アメリカ | 1980年の山体崩壊と爆発的噴火で有名 |

| 火山名 | 国・地域 | 特徴 |
|---|---|---|
| マウナロア | アメリカ・ハワイ | 世界最大級の広い山体を持つ盾状火山 |
| キラウエア | アメリカ・ハワイ | 活発な溶岩流で知られる盾状火山 |
| マウナケア | アメリカ・ハワイ | 盾状火山として成長したハワイ島最高峰 |
| ハレアカラ | アメリカ・ハワイ | マウイ島の大部分を形成する盾状火山 |
| スキャルドブレイダー | アイスランド | なだらかな形を持つ典型的な盾状火山 |
| エルタ・アレ | エチオピア | 溶岩湖で知られるアフリカの盾状火山 |
| シエラ・ネグラ | エクアドル・ガラパゴス諸島 | 大きなカルデラを持つ盾状火山 |
| オリンポス山 | 火星 | 太陽系最大級とされる巨大な盾状火山 |
火山について調べていると、同じ火山が成層火山と盾状火山の両方に関連して紹介されていることがあります。
その理由の一つは、実際の火山が教科書の図のように、完全に一つの種類へ分けられるとは限らないためです。
火山は数万年から数十万年という長い時間をかけて成長します。活動の初期には流動性の高い溶岩を広く流し、その後、火山灰や粘り気の強い溶岩を積み重ねることもあります。
また、一つの大きな火山の上に、火砕丘、溶岩ドーム、小型の成層火山などが形成されることもあります。

鳥海山は、なだらかに広がる古い山体と、比較的急な新しい山体を持っています。そのため、火山体の成長過程を説明するときに、盾状火山に似た地形が取り上げられることがあります。
しかし、鳥海山全体の基本的な分類は成層火山です。盾状火山の代表例として挙げるよりも、複雑な成長史を持つ成層火山として理解する方が適切です。
盾状火山は玄武岩質のマグマによって形成されることが多いものの、玄武岩質のマグマを噴出する火山が、すべて盾状火山になるわけではありません。
伊豆大島は玄武岩質の溶岩を噴出し、広く低い山体を持っていますが、一般的には成層火山に分類されます。
八丈島を構成する八丈富士と三原山も、主に玄武岩質の火山ですが、火山の形や構造から成層火山として扱われます。
アフリカのニイラゴンゴ火山は、非常に流動性の高い溶岩と溶岩湖で知られています。
しかし、ニイラゴンゴは急な斜面を持つ成層火山です。隣にあるニアムラギラは、低くなだらかな山体を持つ盾状火山です。
このように、溶岩の性質だけではなく、山全体の構造、噴出物の積み重なり方、形成の歴史などを含めて分類する必要があります。

日本列島は、海洋プレートが別のプレートの下へ沈み込む場所に位置しています。
このような沈み込み帯では、安山岩質などの比較的粘り気のあるマグマが生じやすく、成層火山が多く形成されます。
一方、ハワイはプレートの境界ではなく、地下深くから高温のマグマが上昇するホットスポットの上にあります。玄武岩質の流動性の高いマグマが大量に噴出するため、巨大な盾状火山が形成されました。
日本にも玄武岩質の火山や、なだらかな火山地形はありますが、マウナロアのような典型的で巨大な盾状火山は多くありません。
どちらか一方だけが危険というわけではありません。発生しやすい災害の種類が異なります。
爆発的な噴火が起こると、複数の火山現象が短時間に発生する可能性があります。
盾状火山の溶岩流は、火砕流より遅いことが多いものの、長期間流れ続け、広い地域を覆う場合があります。
成層火山と盾状火山の違いは、次のように覚えるとわかりやすくなります。
代表例と組み合わせる場合は、次のように整理できます。
富士山は成層火山です。溶岩、火山灰、火山れきなどが、長い時間をかけて何度も積み重なって形成されました。
盾状火山の「低い」という表現は、標高そのものが低いという意味ではありません。山体の幅に比べて斜面の傾斜がゆるやかであることを意味します。
マウナロアは標高4,000メートルを超えていますが、山麓が非常に広く、全体としてなだらかな形をしています。
安全ではありません。溶岩流によって住宅、道路、森林、農地などが失われる可能性があります。火山ガスや地震、地面の割れ目などにも注意が必要です。
必ずしも円すい形ではありません。噴火、山体崩壊、浸食、カルデラ形成などによって、山の形が大きく変化することがあります。
典型的な火山であれば、形からある程度推測できます。しかし、正確に分類するには、岩石の種類、噴出物、地下構造、噴火の歴史などを調べる必要があります。
成層火山と盾状火山の大きな違いは、マグマの粘り気と、噴出物が積み重なる仕組みにあります。
成層火山は、溶岩、火山灰、軽石などが火口周辺に積み重なるため、高く急な山になりやすい火山です。富士山、浅間山、マヨン山、ヴェスヴィオ火山などが代表例です。
盾状火山は、粘り気の少ない溶岩が遠くまで流れ、薄く広く重なるため、なだらかで広い山体になります。マウナロア、キラウエア、マウナケア、ハレアカラなどが代表例です。
ただし、実際の火山は長い活動の中で噴火の仕方を変えることがあり、複数の火山地形をあわせ持つ場合があります。
鳥海山のようになだらかな部分を持つ成層火山や、伊豆大島のように玄武岩質でありながら成層火山に分類される火山もあります。
火山の種類を判断するときは、山の見た目だけでなく、マグマの性質、噴出物、噴火の仕方、山体の構造、形成の歴史を総合的に見ることが重要です。