馬面太夫

馬面太夫（うまづらだゆう）とは？

江戸時代の芸能文化を語るうえで欠かせない人物の一人に「馬面太夫（うまづらだゆう）」がいます。2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』にも登場し、注目を集めていますが、馬面太夫とは一体どのような人物だったのでしょうか？この記事では、馬面太夫こと富本午之助（とみもと うまのすけ）について詳しく解説します。

馬面太夫の本名と由来

馬面太夫の本名は 富本午之助（とみもと うまのすけ） で、江戸時代中期から後期にかけて活躍した浄瑠璃の太夫（語り手）です。彼の父は、富本節の創始者である 初代富本豊前太夫（とみもと ぶぜんだゆう） であり、芸能の世界に生まれた人物でした。

「馬面太夫」という異名の由来は、その名の通り 顔立ちが面長だったこと から来ています。当時の芸能界では、特徴的な外見や芸風をもとに、愛称や異名が付けられることが一般的でした。

また、彼の特徴的な語り口や、表現力の豊かさも評価されており、富本節の発展に大きく寄与しました。

富本午之助の功績

富本午之助は 二代目富本豊前太夫 を襲名し、父の築いた 富本節 の発展に貢献しました。富本節は、それまでの義太夫節よりも 優雅で洗練された旋律 を持ち、特に遊郭文化と深く結びついた芸能でした。

江戸時代の吉原では、富本節は人気の芸能であり、高級遊女たちが客をもてなすために学ぶこともありました。午之助の美声と独特の語り口は、江戸の人々を魅了し、彼の名声を不動のものとしました。

また、彼は 新たな節回しや表現技法を生み出し、後世の芸人たちに影響を与えた とされています。彼の芸風は、現代の邦楽にも受け継がれています。

NHK大河ドラマ『べらぼう』での描かれ方

2024年のNHK大河ドラマ『べらぼう』では、俳優 寛一郎さん が富本午之助（馬面太夫）を演じています。

ドラマでは、

• 主人公 蔦屋重三郎（つたや じゅうざぶろう）（横浜流星）が富本節を出版しようと試みる
• 午之助は過去の因縁から吉原を嫌っていたが、後日、祭り「俄（にわか）」を盛り上げるために出演を決意する
• 江戸の芸能文化の発展に寄与する

といったエピソードが描かれています。

さらに、午之助の 内面の葛藤や、当時の芸能界における立場の難しさ も丁寧に描かれ、単なる芸人としてではなく、時代を生きた一人の人物としての深みが加えられています。

馬面太夫の影響と評価

富本午之助の活躍により、富本節は江戸時代後期に一世を風靡(ふうび)しました。彼の存在なくして、江戸文化の発展は語れません。

また、現代においてもその影響は色濃く残り、富本節は現在の邦楽の一ジャンルとして伝承されています。特に、

• 伝統芸能の発展に寄与し、多くの後進を育成した
• 当時の遊郭文化と密接に結びついた芸能として、後世の芝居や落語にも影響を与えた
• 日本の伝統音楽として、現在も一部の演奏家によって受け継がれている

といった点で、彼の功績は計り知れません。

NHK大河ドラマを通じて、改めてその功績が注目されることは、日本の伝統芸能を再評価する良い機会となるでしょう。

まとめ

✅ 馬面太夫（うまずらだゆう）は、富本午之助の異名

✅ 富本節の二代目富本豊前太夫として活躍

✅ その名は顔の特徴からつけられた

✅ NHK大河ドラマ『べらぼう』では寛一郎が演じる

✅ 江戸時代の芸能文化に大きな影響を与えた

✅ 後世の邦楽や芝居にも影響を残した

✅ 現代でも一部の演奏家が富本節を受け継いでいる

富本午之助（馬面太夫）は、江戸の芸能文化を象徴する存在の一人です。彼の芸が、現代の邦楽やエンターテインメントに与えた影響を考えると、その重要性は計り知れません。今後もその名が語り継がれることを期待したいですね！

べらぼう11回（３月16日放送回）用語集

俄（にわか）とは

稲荷町とは

四民（四民の外）とは

正本とは

富本とは

大夫（たゆう）とは