2025年7月30日朝、ロシア・カムチャツカ半島沖でM8.7の巨大地震が発生し、日本の太平洋沿岸部には津波警報・注意報が相次いで発令されました。そんな中、千葉県館山市の海岸に複数頭のクジラが打ち上げられているとの報道が入り、「クジラが打ち上げられたのは地震の前兆ではないか?」「クジラは津波に流されたのでは?」といった憶測がSNSなどで飛び交いました。
はたして、地震による津波とクジラの打ち上げには関係があるのでしょうか? 本記事では、事実関係を整理しながら、両者の関連性について科学的に検証していきます。
一部報道では、津波が打ち上げの原因ではないかと疑う声もありました。しかし、次の理由から津波によってクジラが陸上に打ち上げられたとは考えにくいとされます。
今回、千葉県沿岸で観測された津波は1メートル未満でした。通常、クジラのような大型海洋生物が波によって海岸まで運ばれるには、数メートル以上の大規模な津波が必要です。
✅ 結論:津波の規模としては、クジラを岸まで押し上げる力はなかったと推定されます。
日本では過去にも、地震の前後にクジラやイルカが打ち上げられたことがあり、「これは地震の前兆では?」という説がたびたび話題になります。たとえば:
現在の科学では、地震とクジラ打ち上げとの因果関係は証明されていません。ただし、以下のような仮説が提案されることはあります。
とはいえ、これらの仮説はあくまで「可能性の一つ」に過ぎず、実証的な研究結果は乏しいのが現状です。
2025年7月30日放送のテレビ朝日「ワイド!スクランブル」では、MCの大下容子アナが専門家に電話で意見を求めていた際、**「地震との関係はないという情報が入った」**と発言。少なくとも初期調査の段階では、千葉で打ち上げられたクジラと津波や地震との関連は否定されたことになります。
🎙️「ごめんなさい。今、地震とは関係ないという情報が入りました。失礼しました」
地震や津波以外で、クジラが打ち上げられる理由は複数あります。
→ クジラのエコーロケーション(反響定位)を乱す
→ ナビゲーションを失って浅瀬に迷い込む
→ 通常の回遊ルートが変化し、誤って接岸
→ 1頭の異常行動に他の個体が追従
これまでにも、クジラやイルカが大量に打ち上げられ、「大地震の前兆では?」と心配されたものの、実際には大きな地震は起こらなかったケースが数多くあります。たとえば:
このような事例は、メディアやSNSで注目を集めやすい一方で、「打ち上げ=地震の予兆」と短絡的に結びつけてしまうことの危険性も示しています。