〜古米・古古米・古古古米の正体とブレンドの理由を徹底解説〜
最近、「古米」「古古米」「古古古米」などの言葉がニュースやSNSで目に付くようになりました。実はこれらは、政府が備蓄している“備蓄米”と深く関わりがあります。そしてこの「備蓄米」は多くの場合、“ブレンド米”として市場に出回っています。
では、「備蓄米はなぜブレンドされているのか?」という疑問に、今回はしっかりとお答えします。古米の意味から、ブレンドの仕組み、そして私たちの食卓への影響まで、わかりやすく解説していきます。
「備蓄米(びちくまい)」とは、政府が主食である米の安定供給を目的に保有しているお米のことです。収穫量が多かった年などに政府が民間から買い入れ、一定期間(通常5年以内)備蓄した後、計画的に放出されます。
備蓄米には以下のような役割があります:
🌀 災害時の非常食や緊急供給源
💹 米価格の高騰時に市場へ放出して価格を安定させる
🚛 海外援助(ODA)や学校給食への活用
これらの言葉は、「備蓄米の保存年数」によって俗称的に使われる表現です。具体的には次のように分類されます:
表現 | 保存年数 | 例(2025年時点) |
---|---|---|
新米 | その年に収穫された米 | 2025年産 |
古米 | 1年古い米 | 2024年産 |
古古米 | 2年古い米 | 2023年産 |
古古古米 | 3年以上古い米 | 2022年以前 |
つまり、古米・古古米・古古古米=備蓄米として考えて間違いありません。
最近、楽天などでも「政府備蓄米」と明示された商品が販売されており、その多くがこうした“古米”に分類される米です。
さて本題です。なぜ、備蓄米は“単一の品種や産地”ではなく、「ブレンド米」として出回るのでしょうか?ここには、いくつかの現実的な理由があります。
政府が備蓄する米は、全国各地の生産者から集められたものです。コシヒカリ、ヒノヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれ……など、品種も産地もバラバラ。
これを完全に分けて保管し、個別に出荷するには膨大なコストと手間がかかります。そこで、同一年産であることだけを条件に、複数品種・複数産地をまとめて精米し、ブレンド米として流通させているのです。
この時点でのポイント:
🔸 異なる年の米は混ぜないが、同じ年の異なる米は混ぜている。
米は自然の産物なので、産地・品種・気候条件によって味や香り、硬さ、粘りが異なります。
単一品種・単一農家のお米だと、「当たり年」「外れ年」が顕著になり、味にばらつきが出やすくなります。そこで、ブレンドを行うことで:
食味をまろやかに中和できる
香りや粘りを安定させられる
加工用や業務用に適した“クセのない米”に仕上げられる
このような目的があるのです。とくに、学校給食や業務用弁当などでは、ブレンドによる“安定した炊き上がり”が高く評価されています。
たとえば、2022年産の備蓄米がまだ10万トン、2023年産が20万トンあったとします。これをそれぞれ産地別・品種別で分けて出荷すると、何十通りものロットが発生してしまいます。
しかし、「同一年産で一括ブレンド」すれば、管理が格段に簡単になります。輸送コストも抑えられ、販売価格にも反映されるため、ブレンドは合理化手段として不可欠なのです。
ここはとても重要なポイントです。
政府備蓄米は「年次ごと」に厳密に管理されており、2022年産と2023年産の米を混ぜることは行われていません。理由は以下のとおり:
消費期限・保管期限が異なる
品質・味・香りに差が出すぎる
トレーサビリティ(追跡性)を保てない
このため、「古古米」なら古古米だけ、「古米」なら古米だけの構成です。“古米どうしのブレンド”ではあっても、“年度をまたいだブレンド”ではないということを覚えておきましょう。
多くの備蓄米は、パッケージに以下のような表記があります:
この表記のポイントは:
「複数原料米」=ブレンドされている
「2022年産」=同一年産であり、年次ブレンドはなし
「ブレンド米は安かろう悪かろう」と思われがちですが、備蓄米には次のような特徴があります:
📦 低温倉庫で厳格に管理されていた安全な米
🔍 出荷前に再精米・異物除去・品質チェック済み
🍛 カレーや炒飯、丼など味付けご飯には最適
💰 価格が安く、家計にやさしい
味の好みは人によりますが、日常使いには非常に実用的なお米です。
項目 | 政府備蓄米の特徴 |
---|---|
年度の違いをブレンド | ❌ 禁止されている |
同一年内で品種・産地を混合 | ✅ 一般的に行われている |
安全性 | ✅ 国の管理下で高い |
食味 | ⭕ 安定性を重視(特別美味ではないが無難) |
家計にやさしいお米を探している人
災害備蓄を意識してまとめ買いしたい人
毎日食べるご飯に“安定感”を求める人
ブレンド米であることに不安を感じる必要はありません。ブレンドにはちゃんとした理由があり、味や安全性にも十分配慮された「政府の工夫」なのです。
ぜひ、備蓄米という選択肢もご家庭で活用してみてください😊