2025年、韓国で革新系の政治家イ・ジェミョン(Lee Jae-myung)氏が大統領に当選し、新たな政権が発足しました。
しかし今、そのイ・ジェミョン氏の過去の「日本は敵性国家」発言が再び注目を浴び、日韓関係の行方に大きな関心が集まっています。
そもそも「敵性国家」とは何なのか? そして、実際に日本を「敵性国家」とみなしている国は存在するのか?
この記事では、その定義や使われ方、韓国新大統領の発言背景、そして世界における対日感情まで、幅広く丁寧に解説します。
「敵性国家(てきせいこっか)」という言葉には、法律的な定義があるわけではありません。しかし、一般的には次のような国家を指します。
国際法においても「敵国」という言葉はありますが、これは戦時中の概念に近く、平時に使うのは外交的に強い意味合いを持ちます。
さらに、「敵性国家」との関係が生まれる過程には、政治的緊張、歴史的対立、国境を巡る紛争、軍事的な挑発行為、外交の断絶など、多様な背景が存在します。
イ・ジェミョン氏は大統領就任前の2020年代初頭、野党・共に民主党に所属し、日本に対する強い言動で知られていました。
特に2021年頃には、以下のような過激とも取れる発言を行っています。
「我々は、日本の軍国主義復活に断固として対抗しなければならない。歴史を歪曲し、経済報復まで行う日本は、もはや友好的な国家ではない。事実上の敵性国家である。」
—— 京畿道知事時代の講演より(2021年)
この発言は日本のメディアにも取り上げられ、日韓関係の悪化を懸念する声が国内外で広がりました。
また、イ・ジェミョン氏の対日スタンスは、韓国の若年層や保守的世論とは温度差があることも指摘されており、選挙戦における「反日強硬発言」の是非が今も議論を呼んでいます。
日本政府は公式にはこの発言に強い抗議はしませんでしたが、外務省や一部の外交専門家は次のような懸念を表明していました。
加えて、日本の世論調査では「韓国を信頼できない」という回答が過去最高を記録した時期とイ氏の発言が重なっており、メディア論調だけでなく一般市民レベルの対韓感情にも影響を与えたと見られます。
以下の国々は、明言こそしていないものの、日本を「敵」またはそれに準じた存在として扱っている実態があります。
📌 特徴的な言動:
また、北朝鮮の憲法や軍事戦略文書には明示的に「日本を仮想敵国と想定した軍備計画」が存在しており、実質的に戦時レベルの意識で日本を敵視しています。
また、中国国内では歴史教科書や映画・テレビなどのメディア作品において、今も日本軍が悪役として描かれる傾向が強く、世論形成において「日本=警戒対象」という印象が根強く存在しています。
さらに近年、ロシアの軍事演習が日本海や北海道周辺でも展開されており、軍事的牽制の一環として日本を仮想敵国の一つに含めている可能性が指摘されています。
一方で、経済界・学術界・観光業などでは日韓協力を重視する声が根強く、政府の一部機関や自治体レベルではむしろ「未来志向の日韓関係」を模索する動きも見られます。
国名 | 用語 | 意味合い |
---|---|---|
🇺🇸 アメリカ | hostile nation, adversary | 政策上の脅威国(例:北朝鮮、イラン) |
🇷🇺 ロシア | 非友好国(unfriendly countries) | 制裁対象国や軍事的対抗対象国 |
🇨🇳 中国 | 明言せず | 「挑発国家」「軍国主義」などで代替表現 |
🇰🇵 北朝鮮 | 敵対国家(적대국) | 宣伝・教育・軍事面すべてで使用 |
外交用語の中でも「敵性国家」に類する表現は、使い方によって制裁の正当化・軍事行動の名分・世論誘導に利用されることがあります。
イ・ジェミョン大統領が実際の政権運営において、過去の強硬発言を維持するのか、あるいは現実的な外交姿勢へと舵を切るのかが注目されています。
また、アジア太平洋地域での地政学的リスクが高まる中で、日韓が協調せざるを得ない場面も増えており、外交の現実主義が優先される可能性も高いでしょう。
「敵性国家」という言葉は、単なる罵倒ではなく、国際関係における極めて強い政治的メッセージです。
イ・ジェミョン氏のように、選挙戦略や国内向けメッセージとして使うこともありますが、その影響は外交にも波及します。
我々一般市民にできることは、感情的な発言に一喜一憂するのではなく、冷静に歴史と現状を見つめ、建設的な関係を模索する視点を持つことです。
そのためには、メディアに流れる単語だけでなく、「背景」「利害」「戦略」を見極め、敵ではなく“相手”としてどう向き合うかを考えることが重要なのかもしれません。